
今回は、カンボジアで報じられた、世界でも特に絶滅の危機が深刻な淡水ガメの野生復帰に関するニュースを紹介します。
今回のニュース
2026年4月29日、カンボジアのスレアンベル川水系に、20匹のロイヤルタートルが放流されました。
このカメは、英語でSouthern river terrapinと呼ばれるBatagur affinisです。カンボジア国内で現在も野生個体が生息し、繁殖していることが確認されている場所は、スレアンベル川水系だけだとされています。
どこの国・地域の話か
国・地域:カンボジア、スレアンベル川水系
元記事の言語:英語
公開時期:2026年4月29日
情報の種類:新着ニュース・淡水ガメ・野生復帰・保護活動
登場する亀
今回のニュースに登場するのは、ロイヤルタートルです。
学名はBatagur affinis。河川や河口付近の水域に暮らす淡水・汽水性のカメで、世界でも特に絶滅の危機が深刻なカメのひとつとされています。
カンボジアでは2005年に「国の爬虫類」に指定されましたが、かつては国内で絶滅したのではないかと考えられていました。その後、2000年代初頭に再発見され、長期的な保護活動が続けられています。
ニュースの要約
今回放流された20匹は、カンボジア水産局や地域行政、Wildlife Conservation Societyなどが進めてきた、長期的な回復事業の一環として川へ戻されました。
この活動では、野生の巣を守るだけでなく、子ガメをある程度の大きさまで育ててから放流し、その後の行動を追跡する取り組みも行われています。
さらに、違法漁業、砂の採掘、生息地の消失などから、川全体を守る活動も進められています。過去10年間で、200匹以上のロイヤルタートルが野生へ戻されました。
回復の兆しも見え始めています。
2024年には、過去に放流されたメスが野生で産卵したことが初めて確認されました。2025年には巣が確認されませんでしたが、2026年の初めにはスレアンベル川で3つの巣が見つかっています。
亀好きとして注目したいポイント
このニュースで注目したいのは、かつて卵を採っていた地域の人たちが、現在は巣を守る側になっていることです。
保護活動では、カメだけを遠くから監視しているわけではありません。
以前は卵を採集していた人たちが、巣を探し、産卵場所を見守り、卵が無事に孵化できるように守っています。今回の放流式では、25年以上にわたってロイヤルタートルの巣を守ってきた地域の家族も表彰されました。
人間がカメを減らす側から、守る側へ変わる。
その変化がなければ、ロイヤルタートルは今も「絶滅したカメ」のままだったかもしれません。
ただカメを育てて放すだけでは、野生復帰は完成しません。
産卵できる砂州が残り、川が守られ、地域の人たちが巣を見つけ、次の世代が生まれる。そのすべてがつながって、ようやく野生の個体群が戻っていくのだと思います。
湯川亀吉の一言
ロイヤルタートルの実物を見てみたいぜ。