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  • 【世界の亀ニュース】ムツコブヨコクビガメがブラジルで絶滅危惧種に 36年間で個体数50%超減少

    【世界の亀ニュース】ムツコブヨコクビガメがブラジルで絶滅危惧種に 36年間で個体数50%超減少

    今回は、アマゾン川流域に生息するムツコブヨコクビガメが、ブラジルの国家レベルで初めて絶滅危惧種に指定されたニュースを紹介します。

    今回のニュース

    ブラジル環境・気候変動省は2026年、国内の絶滅危惧動物をまとめた公式リストを更新しました。

    この新しいリストで、ムツコブヨコクビガメは従来の「準絶滅危惧」から、絶滅の危険がより高い**「危機・EN」**へ引き上げられました。

    ブラジルの公式な絶滅危惧種リストに、ムツコブヨコクビガメが加えられたのは今回が初めてです。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:ブラジル
    主な地域:アマゾナス州、西部パラー州など
    対象となる環境:アマゾン川流域の河川、湖、氾濫原、砂浜
    元記事の言語:英語・ポルトガル語
    報道時期:2026年7月15日
    情報の種類:新着ニュース・淡水ガメ・絶滅危惧種・保護政策

    ブラジルでは2026年、環境・気候変動省の省令によって、爬虫類や鳥類、哺乳類などを含む公式の絶滅危惧種リストが更新されました。

    ICMBioによると、新しいリストではブラジルの動物1,279種が絶滅危惧種として認定され、そのうち123種が爬虫類です。

    登場する亀

    今回のニュースに登場するのは、ムツコブヨコクビガメです。

    学名は Podocnemis sextuberculata。

    ブラジルでは「イアサ」「ピチウ」などの名前で呼ばれ、英語ではSix-tubercled Amazon River Turtleと呼ばれています。

    Podocnemis属の中では比較的小型で、成体の体重は最大約3.5キロ、甲長は約34センチに達します。ブラジル、コロンビア、ペルーの河川や氾濫原に分布しています。

    和名にある「六つのこぶ」は、幼体や若い個体の腹甲に見られる六つの突起に由来します。

    この突起は成長とともに目立たなくなり、成体では消失することもあります。

    ニュースの要約

    ICMBioの評価によると、アマゾナス州と西部パラー州では、過去36年間にムツコブヨコクビガメの個体数が50%以上減少したと推定されています。

    36年間は、このカメのおよそ三世代分に相当します。

    調査対象となった地域は、種全体の分布域のおよそ70%を占める重要な地域です。この大幅な減少を受け、ブラジル国内の評価が「準絶滅危惧」から「危機・EN」へ引き上げられました。

    今回の指定は、ムツコブヨコクビガメがすぐに絶滅するという意味ではありません。

    しかし、保護活動を続けていても減少を止められていないことを、ブラジル政府が公式に認めたことになります。

    アマゾンの乾季に現れる砂浜

    ムツコブヨコクビガメは、川の水位が低下する乾季に繁殖します。

    普段は水に覆われている砂浜や河岸が姿を現すと、雌は夜間に上陸して穴を掘り、卵を産みます。

    一度の巣には6個から39個ほどの卵が産み落とされ、孵化までにはおよそ45日から87日かかります。雌は同じ繁殖期に、約2週間の間隔を空けて二度産卵することもあります。

    水位が下がらなければ、安全な産卵場所が現れない。

    反対に、水位が急激に上がれば、砂の中の巣が浸水する。

    このカメの繁殖は、アマゾンの雨季と乾季によって作られる、川の水位変化と深く結びついています。

    捕まえやすいことが弱点になる

    ブラジル環境・再生可能天然資源院は、ムツコブヨコクビガメが減少している原因の一つとして、漁網による捕獲を挙げています。

    繁殖期になると複数の個体が同じ地域へ集まるため、刺し網などにかかりやすくなります。

    ほかのPodocnemis属よりも環境変化に弱く、水質の悪化や、川の増水と減水の周期が変わることによる影響も受けやすいと考えられています。

    アマゾンの淡水ガメは、古くから肉や卵を食料として利用されてきました。

    現在も違法な捕獲や販売は続いており、卵を採取されるだけでなく、産卵のために上陸した雌が捕まえられることもあります。

    川そのものの変化

    ムツコブヨコクビガメを脅かしているのは、直接的な捕獲だけではありません。

    森林伐採、気候変動、河岸での牧畜、ダム建設などによって、アマゾンの川の流れや水位、土砂の移動が変化しています。

    ダムはカメの移動を妨げるだけでなく、下流に形成される砂浜や、乾季と雨季の水位変化にも影響する可能性があります。

    ムツコブヨコクビガメにとって、川は単なる水の通り道ではありません。

    雨季に餌を探す氾濫原。

    乾季に集まる河川。

    卵を産む砂浜。

    孵化した子ガメが最初に入る浅瀬。

    それらすべてがつながって、一つの生息地を作っています。

    1億匹以上を放しても減少している

    ブラジルでは1979年から「アマゾン淡水ガメ計画」が続けられています。

    産卵地の監視、巣の保護、卵の移動、子ガメの放流、地域住民への環境教育などを行う、大規模な保全事業です。

    計画開始から2026年までに、ムツコブヨコクビガメ、モンキヨコクビガメ、オオヨコクビガメの3種を合わせて、約1億700万匹の子ガメが自然へ放されました。

    この活動によって、一部のPodocnemis属では個体群の回復が確認されています。

    しかし、ムツコブヨコクビガメについては、複数の地域で現在も減少が続いています。

    子ガメを放すことは重要です。

    けれど、放した後に漁網で捕まる。

    産卵できる砂浜が失われる。

    川の水位変化が変わる。

    そうした状況が続けば、放流だけで個体群を回復させることはできません。

    地域住民が砂浜を守る

    アマゾンの淡水ガメ保護では、川沿いに暮らす地域住民が重要な役割を担っています。

    産卵期になると、住民が砂浜を巡回して巣を記録し、密猟者や捕食動物、浸水から卵を守ります。

    ブラジルのプルス川とイトゥシ川周辺では、住民主体の保全活動によって、オオヨコクビガメ、モンキヨコクビガメ、ムツコブヨコクビガメを合わせて、250万匹を超える子ガメが放流されています。

    広大なアマゾンのすべての砂浜を、行政職員だけで監視することはできません。

    いつ砂浜が現れるのか。

    どこにカメが集まるのか。

    どの場所が浸水しやすいのか。

    川とともに暮らしてきた人たちの知識がなければ、巣を見つけて守ることは難しいのです。

    絶滅危惧種への指定は「保護の始まり」

    絶滅危惧種に指定されたこと自体は、喜ばしいニュースではありません。

    それは、これまでの保護だけでは十分ではなかったという警告でもあります。

    一方で、公式リストへ加わることで、保護計画、環境影響評価、研究、監視、違法捕獲への対策などにおいて、ムツコブヨコクビガメを優先する根拠が強くなります。

    ブラジルの絶滅リスク評価は、分布域、個体数の減少、脅威、生息地の状態などを調査し、専門家による評価と検証を経て政策へ反映されます。

    名前がリストへ加えられただけでは、カメは増えません。

    しかし、減少している事実を公式に認めることが、対策を強化する最初の一歩になります。

    亀好きとして注目したいポイント

    このニュースで注目したいのは、たくさん子ガメを放してきた種類でも、安心できるとは限らないことです。

    砂浜から何千匹もの子ガメが川へ入る光景は、保護活動の成功として強く記憶に残ります。

    でも、子ガメが川へ入った瞬間が、保護の終わりではありません。

    その一匹が成長するまでには、長い時間がかかる。

    漁網を避けなければならない。

    水位の変化を生き延びなければならない。

    そして大人になった雌は、もう一度、安全な砂浜へ戻らなければならない。

    放された数だけでは見えない時間があります。

    今回の絶滅危惧種指定は、その見えない時間の中で、多くのカメが失われていることを示しているのだと思います。

    湯川亀吉の一言

    地球の運動と人間の経済活動を止めることができれば良いかもね。

    出典

    Mongabay
    「Brazil lists the Amazon river turtle as endangered for the first time」

    ブラジル・シコ・メンデス生物多様性保全研究所
    「ブラジル公式絶滅危惧動物リスト」

    ブラジル環境・再生可能天然資源院
    「アマゾン淡水ガメ計画」

    WCSブラジル
    「アマゾン淡水ガメが直面する脅威」

  • 【世界の亀ニュース】アマゾンの淡水ガメ「ムツコブヨコクビガメ」、ブラジルで絶滅危惧種に

    【世界の亀ニュース】アマゾンの淡水ガメ「ムツコブヨコクビガメ」、ブラジルで絶滅危惧種に

    今回は、ブラジルで報じられた、アマゾン川流域に生息する淡水ガメの保全状況に関するニュースを紹介します。

    今回のニュース

    ブラジルで、アマゾン川流域に暮らすムツコブヨコクビガメが、国内の最新評価で絶滅危惧種に分類されました。

    ムツコブヨコクビガメの学名は、Podocnemis sextuberculata。英語では「Six-tubercled Amazon River Turtle」と呼ばれています。

    報道によると、これまでブラジル国内では「準絶滅危惧」と評価されていましたが、個体数の大幅な減少が確認されたことから、「絶滅危惧」へ引き上げられました。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:ブラジル、アマゾナス州・パラー州西部を中心とするアマゾン川流域
    元記事の言語:英語
    公開時期:2026年7月15日
    情報の種類:新着ニュース・淡水ガメ・絶滅危惧種・保護活動

    登場する亀

    今回のニュースに登場するのは、ムツコブヨコクビガメです。

    アマゾン川とその支流に暮らすヨコクビガメの仲間で、ブラジルのほか、ペルー、コロンビア、ボリビアにも分布しています。

    Podocnemis属の中では比較的小型で、甲長はおよそ34センチ、体重は最大3.5キロほどになるとされています。

    英名の「Six-tubercled」は、幼い個体の腹甲に見られる特徴的な6つの隆起に由来します。

    この隆起は成長するにつれて目立たなくなるため、成体を上から見ただけでは、名前の由来が分かりにくいカメです。

    ニュースの要約

    ブラジルの評価では、アマゾナス州とパラー州西部に生息するムツコブヨコクビガメの個体数が、過去36年間で50%以上減少したと推定されました。

    36年は、この種にとって約3世代に相当します。

    調査対象となった地域には、ムツコブヨコクビガメの分布域全体のおよそ70%が含まれているため、この減少は種全体の将来を考えるうえでも、非常に重いものとされています。

    主な脅威として挙げられているのは、生息環境の悪化、卵や成体の過剰な採取、違法な捕獲などです。

    ムツコブヨコクビガメを含むアマゾンの淡水ガメは、長く地域の食文化と関わってきました。

    そのため、保護を進めるには、単に捕獲を禁止するだけでなく、カメに依存してきた先住民や河川地域の人々の生活と両立できる仕組みが必要だと指摘されています。

    長年の保護活動があっても減少している

    ブラジルでは、アマゾンのカメを守るための大規模な活動が長く続けられてきました。

    ブラジル環境・再生可能天然資源院の「アマゾン・カメ類プログラム」では、ムツコブヨコクビガメや、同じPodocnemis属のトラカジャ、オオヨコクビガメなどを対象に、子ガメの管理、放流、監視が行われています。

    これまでに保護活動の対象となった子ガメは、合計1億匹を超えるとされています。

    それでも、ムツコブヨコクビガメの個体数は減少しました。

    カメをたくさん放流するだけでは、すべての問題は解決しません。

    成体になるまで生きられる川が必要です。
    産卵できる砂州が必要です。
    卵を掘り返されない環境が必要です。
    そして、保護活動が数十年先まで続く仕組みも必要です。

    亀好きとして注目したいポイント

    このニュースで注目したいのは、保護活動が行われている種類でも、安心できるとは限らないということです。

    子ガメが放流される場面は、明るく希望に満ちて見えます。

    でも、その子ガメが成長し、繁殖できる年齢になり、再び砂州へ戻って卵を産むまでには、長い時間がかかります。

    その途中で、捕獲されるかもしれない。
    川の環境が変わるかもしれない。
    産卵場所が失われるかもしれない。

    亀の保護は、放流した瞬間に終わるものではありません。

    一匹の子ガメが、次の世代を残せる成体になるまで生きられる環境を守ること。

    その長い時間まで含めて、保護なのだと思います。

    地域の人々が守るアマゾンの川

    アマゾンでは、地域住民が産卵地や湖を守る保全活動も進められています。

    ジュルア川流域では、地域社会との協力によって砂州や三日月湖を保護し、違法漁業や密猟から淡水生態系を守る取り組みが行われています。

    ムツコブヨコクビガメも、こうした保護対象となる淡水ガメの一種です。

    遠くから来た誰かが亀を守るだけではなく、その川で暮らしてきた人たちが、自分たちの川と亀を守る。

    その形が続かなければ、アマゾンの広大な水域を守りきることはできないのかもしれません。

    湯川亀吉の一言

    アマゾン行ってみたいね〜。

    亀探してみたいし、ピンクのカワイルカも見てみたいね!

    出典

    元記事:Mongabay
    「Brazil lists the Amazon river turtle as endangered for the first time」

    関連情報:The Reptile Database
    「Podocnemis sextuberculata」

    関連情報:ブラジル環境・再生可能天然資源院
    「Programa Quelônios da Amazônia」

  • 【世界の亀ニュース】犬や嵐からヒメウミガメの巣を守る パラワン島で地域住民が夜の浜を巡回

    【世界の亀ニュース】犬や嵐からヒメウミガメの巣を守る パラワン島で地域住民が夜の浜を巡回

    今回は、フィリピン・パラワン島の砂浜で、地域住民と研究者が協力してヒメウミガメの巣を守っているニュースを紹介します。

    今回のニュース

    フィリピン西部のパラワン島にあるサン・ビセンテでは、ヒメウミガメの産卵期になると、地域住民と研究者が夜通し砂浜を巡回しています。

    活動の中心となっているのは、フィリピンの海洋保全団体Large Marine Vertebrates Research Institute Philippines、通称LAMAVEと、海岸沿いの村で暮らす地域住民です。

    母ガメの上陸を確認し、産卵を見守り、犬や高潮などの危険がある巣は保護用の孵化場へ移します。卵から出てきた子ガメが無事に海へ向かうまで、地域全体で見守る活動が続けられています。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:フィリピン共和国、パラワン州
    場所:サン・ビセンテ、サント・ニーニョ村など
    元記事の言語:英語
    公開時期:2026年7月17日
    情報の種類:新着ニュース・ウミガメ・産卵・孵化・地域保全

    サン・ビセンテは農業と漁業が行われている町で、その海岸はアジアに残る重要なヒメウミガメの産卵地の一つです。町には約284キロに及ぶ砂浜や小さな入り江があり、例年11月中旬から3月ごろにかけて、多数のヒメウミガメが夜の海岸へ上がります。

    登場する亀

    今回のニュースに登場するのは、ヒメウミガメです。

    学名は Lepidochelys olivacea。英語ではOlive Ridley Sea Turtleと呼ばれ、日本語では「オリーブヒメウミガメ」と表記されることもあります。

    ヒメウミガメは小型のウミガメで、甲長と甲幅の差が少なく、上から見ると甲羅の外周が円形に近く見えるのが特徴です。世界の熱帯・亜熱帯の海域に広く分布し、フィリピンの海岸でも産卵します。

    ニュースの要約

    産卵期のサン・ビセンテでは、地域の巡回員やボランティア、LAMAVEの研究者たちが交代で夜の砂浜を歩きます。

    最も忙しい時期には、一晩から早朝にかけて五つの時間帯に分かれ、合計5マイル、約8キロ以上の海岸を巡回します。

    母ガメを見つけても、すぐには近づきません。

    産卵が終わるまで静かに待ち、犬が近づけば追い払い、母ガメが海へ戻る前に甲羅の大きさを測ります。さらに、頭部にある鱗の模様を写真に記録し、将来同じ個体が戻ってきたときに識別できるようにします。遺伝子調査のため、ひれから小さな試料を採取する場合もあります。

    卵を動かさなければならない巣

    母ガメが選んだ場所であっても、すべての巣をそのまま残せるとは限りません。

    波に近すぎる場所では、高潮や嵐によって巣が浸水する可能性があります。人や車が頻繁に通る場所では、砂が踏み固められたり、卵が傷つけられたりする危険もあります。

    安全に孵化できないと判断された巣では、卵の向きを大きく変えないよう慎重に掘り出し、保護用の孵化場へ移します。孵化場では、巣の位置や卵の数、移動した日時などを記録しながら、子ガメが出てくる日を待ちます。

    卵を移すこと自体にも危険があります。

    移動方法や砂の深さ、温度などが適切でなければ、孵化率を下げてしまう可能性があるからです。

    そのためLAMAVEは、地域の巡回員に産卵調査、巣の移動、孵化場の管理、子ガメの放流などの技術を伝え、地域の人たち自身が長期的に海岸を守れる仕組みづくりを進めています。

    巣を襲う犬

    サン・ビセンテで現在、最も身近な脅威とされているのが、海岸を歩き回る犬です。

    犬は砂の中にある卵の匂いを見つけ、巣を掘り返します。孵化したばかりの子ガメが砂から出た直後に襲われることもあります。

    巡回員たちは母ガメの産卵中だけでなく、巣の周辺や子ガメの放流時にも犬が近づかないよう見守っています。

    これは犬を悪者にするという話ではありません。どんなときも、悪いのは人間です。

    放し飼いや野良犬の増加など、人間の暮らし方によって生まれた問題です。

    海岸のウミガメを守るためには、巣に柵を設置するだけでなく、地域の飼い犬の管理や住民への理解を広げる必要があります。

    気候変動と観光開発

    ヒメウミガメの巣を脅かしているのは、犬だけではありません。

    海面上昇、高潮、海岸浸食、激しい嵐によって、これまで安全だった産卵場所が水につかる可能性が高まっています。また、砂の温度は子ガメの性別や発生にも関係するため、海岸の高温化も重要な問題です。

    パラワン島では、観光開発も進んでいます。

    道路、宿泊施設、海岸照明、人や車の往来が増えれば、母ガメが上陸を諦めたり、子ガメが海とは反対側の光へ向かったりする可能性があります。

    自然豊かな海岸が観光地として注目されることと、ウミガメが産卵できる暗く静かな砂浜を残すこと。その二つをどう両立させるかが、これからの大きな課題です。

    卵で遊んでいた少年が、巣を守る側へ

    今回のニュースで紹介された地域巡回員の一人が、ジェラルド・マフサイさんです。

    マフサイさんは子どものころ、海岸でウミガメの卵をよく見つけていました。しかし、その卵がなぜ大切なのかを知らず、友人たちと遊びに使っていたと振り返っています。

    2023年、マフサイさんはLAMAVEの地域巡回員として働き始めました。そして現在は、巡回チームの責任者と、ウミガメ調査の研究助手を務めています。

    かつて卵の意味を知らなかった少年が、今では夜の浜を歩き、母ガメを記録し、同じ卵を犬や嵐から守っている。

    この変化は、一人の考えが変わったというだけではありません。

    地域に知識と仕事が生まれ、海岸で暮らしてきた人が保護活動の中心になったことを示しています。

    地域の人が守る意味

    遠くから研究者がやって来て、数年間だけ調査することはできます。

    しかし、ヒメウミガメは毎年同じ地域へ戻り、夜中や嵐の前後にも産卵します。

    海岸の変化を毎日見ているのは、そこで暮らす人たちです。

    どの場所に犬が多いのか。
    どの浜が高潮で削られるのか。
    どの時間帯に母ガメが上がりやすいのか。

    地域住民が持つ経験と、研究者が持つ調査技術を組み合わせることで、広い海岸を長期間見守れるようになります。LAMAVEの活動は、ウミガメだけを保護するのではなく、地域の人が自分たちの海岸を守り続けられる体制を作ることも目的としています。

    亀好きとして注目したいポイント

    このニュースで注目したいのは、ウミガメを守っているのが、特別な施設の中ではなく、人が暮らしている普通の砂浜だということです。

    母ガメが上陸する浜の近くには、家がある。

    漁へ出る船がある。

    犬が歩き、子どもが遊び、これから観光施設が建つかもしれない。

    人間の暮らしとウミガメの産卵地は、離れた二つの世界ではありません。

    同じ砂浜を使っています。

    だからこそ、ウミガメを守るには、その土地で暮らす人を保護活動の外側に置くことはできません。

    夜の浜を歩く地域巡回員の存在は、人間と亀が同じ場所で生きていくための、小さくても重要な接点なのだと思います。

    湯川亀吉の一言

    人がいる限り難しい問題だね。
    人が悪だってことじゃないよ。
    良いだの悪いだの、正しいだの間違っているだのの判断軸を持っている人間がいることがクソなのさ。

    出典

    Mongabay
    「How a community is helping sea turtles hatch in the Philippines」

    Large Marine Vertebrates Research Institute Philippines
    「Marine Turtle Nesting Beach Monitoring and Conservation Project: An Overview」

    Island Innovation
    「How a Community is Helping Sea Turtles Hatch in the Philippines’ Palawan」

    World Wildlife Fund
    「Constructing climate-resilient hatcheries for endangered sea turtles in the Philippines」

    沖縄美ら海水族館
    「ヒメウミガメ」

  • 【世界の亀ニュース】ジョージア州の島でウミガメの産卵巣が過去最多に

    【世界の亀ニュース】ジョージア州の島でウミガメの産卵巣が過去最多に

    今回は、アメリカ・ジョージア州のタイビー島で報じられた、ウミガメの産卵に関するニュースを紹介します。

    今回のニュース

    アメリカ・ジョージア州のタイビー島で、ウミガメの巣の数が過去最多を記録していると報じられました。

    Southern Livingによると、タイビー島では2026年7月15日時点で49か所のウミガメの巣が確認され、これまでの記録だった2022年の35か所を大きく上回ったとされています。保護活動はTybee Island Marine Science CenterとTybee Island Sea Turtle Projectを中心に行われています。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:アメリカ、ジョージア州、タイビー島
    元記事の言語:英語
    公開時期:2026年7月
    情報の種類:新着ニュース・産卵・保護活動

    登場する亀

    今回のニュースに登場するのは、主にアカウミガメです。

    記事によると、タイビー島で確認されるウミガメはアカウミガメが中心で、アカウミガメは自分が生まれた海岸へ戻って産卵する性質があると紹介されています。

    ニュースの要約

    タイビー島では、2026年のウミガメの産卵シーズンに、これまでで最も多い巣が確認されています。

    2026年7月15日時点で確認された巣は49か所。
    これは、これまでの最高記録だった2022年の35か所をすでに超える数です。

    記事では、この増加は継続的な保護活動の成果として紹介されています。
    一方で、タイビー島のような人が多く訪れる海岸では、ビーチに残されたごみ、夜間の光、混雑した浜辺など、人間の活動による影響もあります。観光客や地域の人たちには、浜辺を清潔に保ち、夜の光を減らすことが呼びかけられています。

    また、ジョージア州全体では、2004年には約400か所だったウミガメの巣が、2022年には4,000か所以上に増えたと紹介されています。これは、長く続けられてきた保護活動が少しずつ実を結んでいることを感じさせる数字です。

    亀好きとして注目したいポイント

    このニュースで注目したいのは、巣の数が増えるまでには、長い時間の積み重ねがあるということです。

    ウミガメの保護は、すぐに結果が見えるものではありません。
    卵を守り、砂浜を守り、光を減らし、人に呼びかけ、また次の年を待つ。

    それを何年も、何十年も続けた先に、ようやく「今年は巣が多い」というニュースになる。

    49か所の巣という数字の裏には、海岸を歩いて確認する人たち、ロープで巣を守る人たち、夜の明かりを消す人たち、浜辺のごみを拾う人たちの時間があります。

    亀は、今日守ったから明日増えるわけではない。
    でも、守り続けた場所には、いつか戻ってくるかもしれない。

    このニュースは、そんなウミガメの長い時間を感じさせてくれます。

    湯川亀吉の一言

    何でも、長く続けることがとても大切。

    それでも、望んだ結果を一朝一夕を願う人が多いのはなんでだろうね?

    ま、僕もそんなクソどものうちの一人だけどね。

    出典

    元記事:Southern Living「This Georgia Beach Is Having Its Biggest Sea Turtle Nesting Season Ever」

  • 【世界の亀ニュース】約50年ぶりに仲間と出会ったトウブハコガメの回復物語

    【世界の亀ニュース】約50年ぶりに仲間と出会ったトウブハコガメの回復物語

    今回は、アメリカで報じられた、長年不適切な環境で飼われていたトウブハコガメの回復に関するニュースを紹介します。

    今回のニュース

    アメリカで、約50年にわたって室内で飼われていたトウブハコガメが保護され、回復を続けていると報じられました。

    Peopleの記事によると、このトウブハコガメの名前は「Rockalina」。1970年代に野生から持ち帰られたあと、長いあいだ暗い室内で、主にキャットフードを食べながら暮らしていたとされています。2025年にGarden State Tortoiseによって保護され、その後、屋外環境での回復が進められてきました。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:アメリカ、ニュージャージー州
    元記事の言語:英語
    公開時期:2026年7月
    情報の種類:新着ニュース・保護活動・飼育改善・回復記録

    登場する亀

    今回のニュースに登場するのは、トウブハコガメです。

    トウブハコガメは、アメリカ東部に分布するハコガメの仲間です。名前に「turtle」とありますが、主に陸上で生活するカメで、森林や草地、湿った環境などと関わりながら暮らします。

    今回のRockalinaは、野生から人間の暮らしの中へ持ち込まれ、長いあいだ本来の環境から離れて生きてきた個体です。Garden State Tortoiseの動画説明では、1977年に野生から持ち帰られ、約50年にわたり台所の床で飼われていたと紹介されています。

    ニュースの要約

    Rockalinaは、保護された当初、非常に悪い状態だったと報じられています。

    Peopleの記事では、暗い室内で長く暮らし、日光を浴びることも、同じ種類のカメと関わることもなく、キャットフード中心の生活を続けていたと紹介されています。保護時には、目が閉じた状態で、爪は伸びすぎ、体には猫の毛が絡まっていたとされています。

    その後、Garden State Tortoiseの管理のもとで、Rockalinaは屋外の専用環境へ移され、自然に近い食事や日光、土や草に触れる生活を取り戻していきました。

    そして最近、Rockalinaは「Pebble」という若いトウブハコガメと初めて穏やかに対面し、イチゴを分け合うような様子も見られたと報じられています。これは、長く孤立していたRockalinaにとって、大きな一歩として紹介されています。

    亀好きとして注目したいポイント

    このニュースで注目したいのは、亀の時間の長さです。

    人間にとって50年は、とても長い時間です。
    でも、長寿のカメにとっても、それは決して軽い時間ではありません。

    野生から連れてこられ、本来の土も、草も、日光も、仲間もない場所で暮らす。
    それでもRockalinaは生き続けた。

    このニュースは、「カメは丈夫だから何でも大丈夫」という考えが、どれほど危ういかを教えてくれます。

    亀は強い。
    でも、強いから雑に扱っていいわけではない。

    日光、土、水、食べ物、隠れる場所、季節、そして同じ種類の仲間。
    そういうものがあって、初めてそのカメらしい時間が流れるのだと思います。

    湯川亀吉の一言

    俺も亀飼ってるから言えることだけど、生き物飼ってる人間は全員クズだね。

    この記事を読んで、すぐに全部の水槽の水換えをしたよ。

    出典

    元記事:People「Turtle Who Spent Decades Eating Cat Food Gets a New Best Friend After Remarkable Recovery」

    関連動画:Garden State Tortoise「Kitchen Floor Turtle Fed Cat Food for 50 Years Feels Sun for the First Time Since 1977!」

  • 【世界の亀ニュース】育てて放したブランディングガメが母に 20年越しの次世代が湿地へ

    今回は、アメリカ・マサチューセッツ州で続けられてきた淡水ガメの保護活動が、約20年を経て大きな節目を迎えたニュースを紹介します。

    今回のニュース

    2026年6月25日、アメリカ・マサチューセッツ州のグレート・メドウズ国立野生生物保護区で、2匹の若いブランディングガメが湿地へ放されました。

    今回の放流が特別だったのは、この2匹の母親もまた、幼いころに人間の手で育てられ、同じ湿地へ戻されたカメだったことです。

    保護活動で育てられたカメが成長し、野生で繁殖し、その子どもが再び湿地へ帰る。

    2003年に始まった保護事業で、初めて確認された「二代目」の野生復帰です。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:アメリカ合衆国、マサチューセッツ州
    場所:コンコード、グレート・メドウズ国立野生生物保護区と周辺湿地
    放流日:2026年6月25日
    発表時期:2026年6月29日〜7月7日
    情報の種類:新着ニュース・淡水ガメ・野生復帰・繁殖・保護活動

    グレート・メドウズ周辺では、アメリカ魚類野生生物局、マサチューセッツ州野生生物局、ズー・ニューイングランド、学校、地域住民などが協力し、ブランディングガメの保護を続けています。

    登場する亀

    今回のニュースに登場するのは、ブランディングガメです。

    学名は Emydoidea blandingii。英語ではBlanding’s Turtleと呼ばれます。

    北米に分布する半水棲の淡水ガメで、浅く流れの緩やかな湿地や、水草の多い池などを利用します。暗く滑らかなドーム状の背甲と、明るい黄色の顎から喉が特徴です。成体の甲長はおよそ16〜22センチになります。

    水中だけで一生を過ごすわけではありません。

    餌場、越冬場所、繁殖に使う水域、産卵場所の間を移動し、1マイル以上も陸上を歩くことがあります。そのため、湿地の分断や道路上での事故の影響を受けやすいカメです。

    ニュースの要約

    今回放された2匹は、生後約9か月のブランディングガメです。

    孵化後の最初の冬をストーン動物園で過ごし、十分に成長してから湿地へ戻されました。

    野生で冬を越した子ガメは、春になっても硬貨ほどの小ささであることが多く、捕食者に襲われる危険があります。一方、暖かい飼育環境で十分な餌を与えられた子ガメは、短期間で体を大きくし、野生で生き残れる可能性を高められます。

    この保護方法は、ヘッドスタートと呼ばれます。

    カメを一生飼育するのではありません。

    命を落としやすい幼少期だけを人間が預かり、ある程度成長した段階で本来の生息地へ戻します。

    母ガメ「アイビー」の物語

    2匹の母親は、個体番号144番、愛称をアイビーといいます。

    アイビーの物語は、2010年に始まりました。

    一匹の母ガメがグレート・メドウズの湿地を離れ、1マイル以上を移動して、近くのオフィス街の植え込みに巣を作りました。

    その巣から生まれた11匹の中に、体重わずか7グラムの雌の子ガメがいました。それがアイビーです。

    アイビーはストーン動物園で約10か月間育てられ、2011年に湿地へ放されました。

    甲羅には、将来再発見したときに識別できる小さな印が付けられていました。

    しかし、その後アイビーは10年以上、人間の前から姿を消します。

    湿地のどこかで生きているのか。
    事故に遭ったのか。
    捕食されたのか。

    人間には分からないまま、時間だけが過ぎていきました。

    10年以上ぶりの再発見

    2023年、野外調査を行っていたスタッフが、成長したアイビーを再発見しました。

    硬貨ほどの子ガメだったアイビーは、繁殖可能な大きさの成体になっていました。

    スタッフは甲羅に無線発信器を取り付け、その後の移動を追跡しました。

    そして2025年6月25日の深夜、アイビーが湿地から産卵場所へ向かっていることを発信器が知らせました。

    保護スタッフが追跡すると、アイビーは保全されている野生の花畑を選び、午前2時30分ごろから8個の卵を産みました。

    そのうち7個が無事に孵化しました。

    保護されたカメが、自分で次の世代を残した

    ヘッドスタートでは、放した子ガメの数が成果として注目されることがあります。

    しかし、本当の目的は、放したカメが大人になることです。

    さらに、その成体が人間の助けを受けずに野生で相手を見つけ、産卵し、次の世代を残すことです。

    アイビーの産卵は、この保護活動が「子ガメを放す段階」から、野生の個体群が自分たちで世代をつなぐ段階へ進み始めたことを示しています。

    2003年に活動が始まってから、グレート・メドウズと周辺湿地では800匹以上のヘッドスタート個体が放されてきました。

    ズー・ニューイングランドのHATCHプログラム全体では、1,400匹以上のブランディングガメが育てられています。

    学校の教室で育てられる子ガメ

    この活動に参加しているのは、動物園や研究施設だけではありません。

    地元の学校では、子どもたちが教室に設置された水槽で、ブランディングガメの子ガメをひと冬育てます。

    暖かい水槽の中で餌を与え、体重や甲羅の長さを記録し、春になると湿地へ戻します。

    2009年以降、この活動にはマサチューセッツ州の学校から2万2,000人以上の児童・生徒が参加しています。

    アイビーが産んだ7匹のうち、今回の式典で放された2匹以外の子ガメも、地域の学校で育てられ、生徒たちによって野生へ戻されました。

    一匹の母ガメから生まれた子どもたちが、複数の教室で冬を越し、それぞれの生徒に見送られて湿地へ帰ったことになります。

    なぜ回復に20年以上かかるのか

    ブランディングガメは、とても長く生きるカメです。

    保護された環境では70〜80年以上生きる可能性があります。

    一方で、繁殖を始めるまでには長い時間がかかり、一般に成熟するのは十数年から20年以上経ってからです。

    卵を孵化させ、子ガメを育て、放流するだけなら、一年以内に行えます。

    しかし、そのカメが無事に成長し、自分の卵を産んだことを確認するには、さらに十年以上待たなければなりません。

    保護活動の結果を確かめるためには、人間の年度や計画期間ではなく、カメの一生に合わせて待つ必要があります。

    カメが移動できる地域を守る

    ブランディングガメを守るには、巣や一つの池だけを囲えばよいわけではありません。

    カメたちは複数の湿地を利用し、その間にある森林や草地、住宅地の近くを歩きます。

    アイビーの母親はオフィス街へ産卵に向かい、アイビー自身は保護された花畑に卵を産みました。

    人間が利用する土地と、カメが利用する土地は、完全には分かれていません。

    道路、住宅地、学校、企業、保護区を含む地域全体で協力しなければ、移動するカメを守ることはできません。

    亀好きとして注目したいポイント

    このニュースで注目したいのは、一度放したカメを、人間が完全には見守れないことです。

    アイビーは湿地へ帰ったあと、10年以上姿を見せませんでした。

    保護した人たちは、その間に何が起きているのか知ることができなかった。

    それでも、アイビーは生きていた。

    水の中で餌を探し、冬を越し、少しずつ体を大きくしていた。

    そして、再び見つかったときには、次の世代を残せる母ガメになっていました。

    保護活動は、すべてを管理することではありません。

    人間の手から離れたあと、カメが自分の時間を生きられるようにすること。

    アイビーの子どもたちは、今度は自分たちの姿を湿地の中へ消していきます。

    次に人間と出会うのは、何年後になるのでしょうか。

    湯川亀吉の一言

    亀の累代繁殖やりたいよね。

    出典

    U.S. Fish and Wildlife Service
    「Partners release second generation of “headstarted” turtles at Great Meadows National Wildlife Refuge」

    Massachusetts Division of Fisheries and Wildlife
    「Historic win for Blanding’s turtles」

    Zoo New England
    「Zoo New England, MassWildlife, and U.S. Fish & Wildlife Service release historic second-generation Blanding’s turtles」

    U.S. Fish and Wildlife Service
    「Blanding’s Turtle(Emydoidea blandingii)」

  • 【世界の亀ニュース】インド沖で漁具に絡まったウミガメを漁師たちが救助

    【世界の亀ニュース】インド沖で漁具に絡まったウミガメを漁師たちが救助

    今回は、インド南部・タミルナードゥ州沖で報じられた、漁具に絡まったウミガメの救助に関するニュースを紹介します。

    今回のニュース

    インド南部のタミルナードゥ州沖で、漁具に絡まったウミガメが漁師たちによって救助されました。

    Times of Indiaによると、このウミガメを救助したのは、研究者から海洋生物の救助対応について訓練を受けていた漁師たちです。ウミガメは漁具に絡まっていましたが、漁師たちによって安全に解放され、けがなく海へ戻されたと報じられています。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:インド、タミルナードゥ州沖
    元記事の言語:英語
    公開時期:2026年7月
    情報の種類:新着ニュース・救助・保護活動

    登場する亀

    今回のニュースに登場するのは、ウミガメです。

    記事では、具体的な種類までは明記されていません。
    そのため今回は、種類を断定せず、インド南部沿岸で起きたウミガメ救助のニュースとして紹介します。

    ニュースの要約

    今回の救助で大切なのは、偶然ウミガメを見つけた漁師たちが、ただ網から外したというだけではない点です。

    漁師たちは、事前に研究者たちから海洋生物が漁具に絡まったときの対応について訓練を受けていました。
    その知識があったからこそ、ウミガメを傷つけず、安全に海へ戻すことができたと考えられます。

    ウミガメにとって、漁具への絡まりは大きな脅威です。
    しかし、海で日々働く人たちが救助方法を知っていれば、命を救える場面が増えるかもしれません。

    このニュースは、研究者と漁業者が協力することで、海の現場で実際に保護につながる行動が生まれることを示しています。

    亀好きとして注目したいポイント

    このニュースで注目したいのは、亀を守る人が、必ずしも研究者や保護団体だけではないという点です。

    海を一番近くで見ているのは、漁師たちです。
    毎日海に出て、潮の流れを知り、網を扱い、魚や海の生き物と向き合っている。

    その人たちが、ウミガメを見つけたときにどう動けばいいかを知っている。
    それだけで、救える命がある。

    亀を守るということは、特別な場所だけで行われるものではなく、海の仕事のすぐ隣にもあるのだと思います。

    湯川亀吉の一言

    えらいね。

    出典

    元記事:Times of India「Fishermen trained by city researchers rescue entangled sea turtle off Tamil Nadu coast」

  • 【世界の亀ニュース】アフリカの巨大リクガメが掘る穴は、生態系を動かしているのかもしれない

    【世界の亀ニュース】アフリカの巨大リクガメが掘る穴は、生態系を動かしているのかもしれない

    今回は、アフリカのサハラ砂漠南縁からサヘル地域に暮らす、ケヅメリクガメに関するニュースを紹介します。

    今回のニュース

    アフリカ大陸最大のリクガメとして知られるケヅメリクガメが掘る巣穴が、生態系に大きな役割を持っている可能性があると報じられました。

    Times of Indiaの記事では、ケヅメリクガメが暑さを避けるために掘る深い巣穴が、単なる避難場所ではなく、土壌や周囲の環境に影響を与える「生態系エンジニア」としての働きを持つ可能性があると紹介されています。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:サハラ砂漠南縁・サヘル地域
    元記事の言語:英語
    公開時期:2026年7月
    情報の種類:新着ニュース・研究/生態系ニュース

    登場する亀

    今回のニュースに登場するのは、ケヅメリクガメです。

    ケヅメリクガメは、アフリカ大陸最大のリクガメで、世界でもガラパゴスゾウガメ、アルダブラゾウガメに次いで大きいリクガメとして知られています。記事では、サハラ砂漠とサヘルの厳しい暑さの中で、ケヅメリクガメが深い巣穴を掘って暑さをしのいでいることが紹介されています。

    ニュースの要約

    ケヅメリクガメは、厳しい乾燥地帯で生きるために巣穴を掘ります。

    これまでは、その巣穴は主に「暑さや乾燥から身を守るための場所」として見られてきました。
    しかし、研究者たちは、こうした巣穴が土壌の状態や周囲の小さな生き物たちに影響を与えている可能性にも注目し始めています。

    記事では、ケヅメリクガメが「生態系エンジニア」として見られ始めていることが紹介されています。
    生態系エンジニアとは、自分の行動によって周囲の環境そのものを変えてしまう生き物のことです。たとえば巣穴を掘ることで、土の状態、湿度、他の生き物の隠れ場所、植物の生え方などに影響を与える可能性があります。

    一方で、ケヅメリクガメは絶滅危惧種とされており、もし個体数が減れば、その巣穴が持っていた生態系への働きも失われてしまうかもしれません。

    亀好きとして注目したいポイント

    このニュースで注目したいのは、リクガメが“ただ歩いている生き物”ではなく、環境そのものを動かしているかもしれないという点です。

    亀は動きが遅い。
    だから、人間の目には「何もしていない」ように見えることがあります。

    でも、長い時間で見ると違う。

    のっし、のっしと大地を歩き、硬い土を掘り、巣穴を残し、そこに湿度や影が生まれる。
    その穴を他の生き物が使い、植物が変わり、土が変わる。

    亀の一歩や、亀が掘った穴は、人間が思うよりもずっと大きな意味を持っているのかもしれません。

    湯川亀吉の一言

    ケヅメリクガメはけっこうでかいね。

    出典

    元記事:Times of India「For thousands of years, this giant tortoise has been digging burrows across the Sahara, and scientists now think those tunnels may play a bigger ecological role than anyone realised」

  • 【世界の亀ニュース】バリ島で保護対象のアオウミガメ21匹の違法取引を摘発

    【世界の亀ニュース】バリ島で保護対象のアオウミガメ21匹の違法取引を摘発

    今回は、インドネシア・バリ島で報じられた、アオウミガメの違法取引に関するニュースを紹介します。

    今回のニュース

    インドネシアのバリ島で、保護対象となっているアオウミガメ21匹の違法取引が摘発されました。

    AP通信によると、現地警察は2026年6月10日、バリ島のPegametan海岸で捜査を行い、保護対象のアオウミガメ21匹を確認し、容疑者1名を逮捕したと報じられています。容疑者は、東ジャワのマドゥラ島付近から亀を受け取り、販売目的で流通させようとしていた疑いがあるとされています。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:インドネシア、バリ島
    元記事の言語:英語
    公開時期:2026年6月
    情報の種類:新着ニュース・密輸/違法取引・保護対象種

    登場する亀

    今回のニュースに登場するのは、アオウミガメです。

    アオウミガメは世界各地の暖かい海に生息するウミガメの仲間です。今回の報道では、インドネシアでは1990年以降、国内の海に生息するすべてのウミガメ類が法的に保護されており、取引は禁止されていると紹介されています。

    ニュースの要約

    今回、バリ島の警察は、地域住民からの情報をもとにPegametan海岸を捜査しました。

    その結果、保護対象のアオウミガメ21匹が確認され、67歳の容疑者が逮捕されました。報道によると、容疑者は別の人物から亀を受け取り、販売目的で流通させようとしていた疑いが持たれています。警察は、背後にいる可能性のある他の関係者についても捜査を続けているとされています。

    記事では、インドネシアではウミガメの取引が禁止されている一方で、食肉利用、伝統的利用、儀式的な需要などを背景に、過去にも違法取引が問題になってきたことが紹介されています。

    亀好きとして注目したいポイント

    このニュースで注目したいのは、保護対象の亀が、いまだに人間の需要によって流通の対象になってしまう現実です。

    アオウミガメは、美しい海を泳ぐ象徴的な存在として語られることが多い亀です。
    でも一方で、地域によっては今も食用や伝統的利用の対象になり、違法取引の危険にさらされています。

    今回のニュースは、単に「悪い人が捕まった」という話だけではありません。
    亀を守るためには、法律、地域社会、文化、経済、そして現場で情報を寄せる人たちの存在が関わっていることを感じさせるニュースです。

    保護活動というのは、海岸で赤ちゃんガメを見送るような美しい場面だけではなく、こうした暗い流通の入口を止めることも含まれているのだと思います。

    湯川亀吉の一言

    大変だね。

    出典

    元記事:AP News「Police in Bali foil an attempt to trade protected 21 live green sea turtles and arrest a suspect」

  • 【世界の亀ニュース】絶滅寸前だったキタブチイシガメ37匹、35年続く保護活動で湿地へ

    【世界の亀ニュース】絶滅寸前だったキタブチイシガメ37匹、35年続く保護活動で湿地へ

    今回は、アメリカ・ワシントン州で報じられた、希少な淡水ガメの野生復帰に関するニュースを紹介します。

    今回のニュース

    2026年7月、アメリカ・ワシントン州で、37匹の若いキタブチイシガメが保護された湿地へ放されました。

    この放流は、ワシントン州魚類野生生物局とウッドランドパーク動物園が協力して進める「Western Pond Turtle Recovery Project」の一環です。

    プロジェクトは2026年で開始から35年を迎えました。絶滅寸前だったカメを守るため、卵や子ガメを一時的に安全な環境で育て、野生で生き残りやすい大きさになってから湿地へ戻す活動が続けられています。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:アメリカ、ワシントン州
    元記事の言語:英語
    公開時期:2026年7月10日
    情報の種類:新着ニュース・淡水ガメ・野生復帰・保護活動

    登場する亀

    今回のニュースに登場するのは、キタブチイシガメです。

    学名は Actinemys marmorata。英語ではWestern Pond TurtleやNorthern Pacific Pond Turtleと呼ばれています。分類や日本語資料によっては、単に「ブチイシガメ」と表記されることもありますが、この記事ではキタブチイシガメとします。

    キタブチイシガメは、池や湿地、流れの緩やかな水辺などに暮らす北米原産の淡水ガメです。

    ワシントン州では個体数が激減し、1990年の時点で残っていたのは、二つの個体群に合計約150匹だけでした。絶滅を防ぐため、1991年に動物園と州当局による本格的な回復事業が始まり、1993年には州の絶滅危惧種に指定されました。

    ニュースの要約

    キタブチイシガメの保護活動では、野生の巣から卵や孵化したばかりの子ガメを集め、ウッドランドパーク動物園やオレゴン動物園で一時的に育てます。

    孵化直後の子ガメは、硬貨ほどの小ささです。

    そのまま野生へ出ると、外来種のウシガエルをはじめとする捕食者に食べられる危険性が高いため、動物園で冬を越しながら、魚やミミズなどを与えて成長させます。

    目標となるのは、体重がおよそ2〜3オンス、約57〜85グラムに達することです。

    この大きさまで育つと、子ガメはウシガエルの口に入りにくくなり、野生で生き残れる可能性が高まります。

    健康状態を確認した後、カメたちは保護された湿地へ戻されます。放流後も、州の生物学者たちが生存状況や移動を追跡します。

    小さなカメに「先行時間」を与える

    この方法は、英語で「ヘッドスタート」と呼ばれています。

    野生動物を一生飼育するのではなく、最も命を落としやすい幼少期だけを安全な環境で過ごさせ、ある程度成長してから本来の生息地へ戻す方法です。

    キタブチイシガメは、性成熟するまでに約10〜12年かかります。孵化した子ガメが成体となり、次の世代を残すまでには、長い時間が必要です。

    だからこそ、最初の数か月を生き延びられるかどうかが、何十年後の個体群に大きく影響します。

    動物園で過ごす一度の冬は、このカメたちにとって、野生へ帰る前に与えられた「先行時間」なのかもしれません。

    35年間で2,300匹以上を野生へ

    35年間にわたる共同事業によって、これまでに2,300匹以上のキタブチイシガメがヘッドスタートを経て野生へ戻されました。

    その結果、ピュージェット湾地域とコロンビア川峡谷では、再び個体群が形成されています。調査では、ヘッドスタート個体と野生で生まれた個体を合わせ、約800匹が生き残っていると推定されています。

    1996年に最初の16匹が放されたワシントン州南部の回復地では、長年の放流によって個体数が200匹を超えるまでに回復した記録もあります。

    約150匹まで減ったカメを、何十年もかけて少しずつ増やしてきた。

    今回放された37匹も、その長い回復の物語につながる新しい世代です。

    回復を脅かす甲羅の病気

    保護活動には、大きな課題も残されています。

    野生個体群では、甲羅に病変が現れる深刻な病気が広がっており、野生個体の80%以上に影響が確認されていると報告されています。

    症状が重くなると、健康状態や生存に影響する可能性があります。現在、シェッド水族館やイリノイ大学の研究者たちが、微生物や環境との関係を含めて病気の原因を調べています。

    外来種から子ガメを守り、生息地を整え、野生へ戻す。

    それだけでも長い時間がかかります。

    さらに、新しく現れた病気にも対応しながら、保護活動を次の世代まで続けなければなりません。

    亀好きとして注目したいポイント

    このニュースで注目したいのは、亀を守る活動そのものも、亀のようにゆっくり進んでいることです。

    1991年に始まった活動が、2026年で35年。

    卵を見つけ、孵化させ、冬のあいだ育て、湿地へ戻す。
    それを毎年繰り返す。

    放した子ガメが成長し、繁殖できるようになるまでには、さらに10年以上かかります。

    一度の放流だけで、絶滅危惧種が回復するわけではありません。

    今日放された37匹が大人になり、その子どもが生まれ、さらに次の世代へ命がつながるまで、保護する人たちは待ち続けます。

    亀は遅い。

    でも、亀を守る活動もまた、急ぐことのできない仕事なのだと思います。

    湯川亀吉の一言

    孵化したばかりの子ガメは、硬貨ほどの大きさしかない。

    その小さな甲羅では、ウシガエルの口から逃げることも難しい。

    だから人間は、一度だけその命を預かる。

    冬のあいだ食べ物を与え、少しだけ大きく育てて、また湿地へ返す。

    守り続けるのではない。
    野生で生きられるところまで、一緒に時間を進める。

    35年間で2,300匹以上。

    一匹ずつを見れば、小さなカメだ。
    でも、その小さな甲羅を一つずつ湿地へ戻してきた時間は、とても大きい。

    亀はゆっくり育つ。
    だから、人間も急がずに守り続けなければならない。

    今回放された37匹が、いつか泥の岸辺で卵を産む日まで。

    この保護活動は、まだ終わらないのだと思います。

    出典

    Woodland Park Zoo
    「Endangered turtles released to the wild」

    Washington Department of Fish and Wildlife
    「South Puget Sound Wildlife Area Management Plan」

    The Reptile Database
    「Actinemys marmorata」