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  • 【世界の亀ニュース】米西海岸で史上初のウミガメ産卵 ヒメウミガメはなぜカリフォルニアの浜を選んだのか?

    【世界の亀ニュース】米西海岸で史上初のウミガメ産卵 ヒメウミガメはなぜカリフォルニアの浜を選んだのか?

    2026年9月16日。

    アメリカ・カリフォルニア州。

    ロサンゼルスの南にある、

    Seal Beach(シールビーチ)。

    砂浜へ、一匹のウミガメが上がってきました。

    穴を掘る。

    卵を産む。

    砂をかける。

    そして、

    海へ戻っていく。

    世界各地の熱帯の海岸なら、

    珍しくない光景かもしれません。

    でも、

    ここはカリフォルニア。

    しかも、

    アメリカ西海岸です。

    産卵していたのは、

    ヒメウミガメ
    Lepidochelys olivacea
    。

    NOAA Fisheriesによると、

    これは、

    アメリカ西海岸で記録された、あらゆるウミガメを含めて史上初の自然産卵

    だといいます。

    つまり、

    ヒメウミガメだけの初記録ではありません。

    アオウミガメでも、

    アカウミガメでも、

    オサガメでもない。

    「ウミガメがアメリカ西海岸で自然に産卵した」という出来事そのものが初めて確認された。

    かなり大きなニュースです。

    今回のニュース

    最初の産卵が確認されたのは、

    2026年9月16日。

    場所は、

    カリフォルニア州オレンジ郡のシールビーチ周辺。

    雌のヒメウミガメが砂浜へ上陸し、

    巣穴を掘って産卵する様子が確認されました。

    そして、

    その3日後。

    今度は数km離れた、

    Huntington Beach(ハンティントンビーチ)

    でもウミガメが上陸。

    現地報道では、こちらでも産卵が確認されています。

    同じ雌が二度産卵した可能性もありますが、NOAAは少なくとも当初、

    同一個体か別個体かは確定していない

    としていました。

    つまり現在確認されているのは、

    一匹かもしれない。

    二匹かもしれない。

    でも、

    少なくとも二つの産卵地点が現れた。

    ここが重要です。

    どこの国・地域の話か

    国:アメリカ合衆国
    州:カリフォルニア州
    郡:オレンジ郡
    最初の場所:Seal Beach周辺
    最初の確認日:2026年9月16日
    その後の確認:Huntington Beach周辺
    種類:ヒメウミガメ
    学名:Lepidochelys olivacea
    英名:Olive Ridley Sea Turtle
    ニュースの種類:産卵記録・分布・生態・海洋環境

    主役は「ヒメウミガメ」

    今回のカメは、

    ヒメウミガメ。

    学名、

    Lepidochelys olivacea。

    NOAAによると、

    世界のウミガメの中では小型の種類で、

    成体でも体重はおよそ100ポンド、

    約45kgまで。

    甲長は、

    およそ60〜75cmほどです。

    甲羅は名前の通り、

    オリーブ色から灰緑色。

    上から見ると、

    少しハート型に見える甲羅を持っています。

    日本語名の「ヒメ」も、

    比較的小型のウミガメであることから来ています。

    でも、ものすごく遠くまで泳ぐ

    小さいから、

    行動範囲も小さい。

    ――わけではありません。

    ヒメウミガメは、

    熱帯を中心に、

    太平洋。

    インド洋。

    大西洋。

    という、

    非常に広い海域に分布しています。

    外洋性が強く、

    岸から数千km離れた場所で確認されることもあります。

    NOAAは東太平洋での分布を、

    南カリフォルニアからチリ北部

    までとしています。

    つまり、

    カリフォルニア沖にヒメウミガメがいること自体は、

    完全な異常ではありません。

    問題は、

    そこで産卵したこと。

    です。

    海にいることと、卵を産むことは全然違う

    ウミガメは、

    海の中なら広い範囲を移動できます。

    餌を探す。

    海流に乗る。

    水温の高い海域へ移動する。

    だから、

    本来の主要産卵地からかなり離れた場所で見つかることがあります。

    でも、

    産卵となると話が違います。

    雌は、

    砂浜へ上がる。

    穴を掘る。

    卵を産む。

    そして、

    卵は何週間も砂の中で発生しなければなりません。

    つまり産卵地には、

    海だけでなく、

    砂の温度、湿度、地形、波、高潮など、さまざまな条件

    が必要になります。

    だから、

    「泳いできた」

    と、

    「ここで子孫を残そうとした」

    の間には、

    大きな違いがあります。

    普段はどこで産卵している?

    東太平洋のヒメウミガメの主要な産卵地は、

    もっと南にあります。

    メキシコ。

    ニカラグア。

    コスタリカ。

    パナマ。

    特に有名なのが、

    メキシコのLa Escobilla。

    NOAAによれば、

    ここでは推定約45万匹もの雌が産卵に参加します。

    コスタリカの主要産卵地でも、

    大規模な繁殖集団が知られています。

    それに対して、

    カリフォルニア。

    今まで、

    産卵記録はありませんでした。

    NOAAも今回、

    ヒメウミガメは暖かい海流に伴って南カリフォルニアで時折見られるものの、

    アメリカ本土で産卵した記録はこれまでなかった

    と説明しています。

    ヒメウミガメには二つの産卵方法がある

    このカメには、

    面白い特徴があります。

    産卵方法が、

    一つではありません。

    一つは、

    普通のウミガメと同じ、

    単独産卵。

    そしてもう一つが、

    ヒメウミガメで有名な、

    Arribada(アリバダ)。

    スペイン語で、

    「到着」

    という意味です。

    数百。

    数千。

    場所によっては、

    何万匹もの雌が、

    ほぼ同時に砂浜へ押し寄せます。

    夜の砂浜が、

    ウミガメで埋め尽くされる。

    世界でも特に壮観なウミガメの繁殖行動です。

    この集団産卵を行うのは、

    ヒメウミガメとケンプヒメウミガメを含むLepidochelys属だけです。

    今回のカリフォルニア産卵は、

    もちろんアリバダではありません。

    一匹あるいは少数の雌による、

    単独産卵

    です。

    一つの巣にはどれくらい卵がある?

    ヒメウミガメは一般に、

    一度の産卵で、

    およそ100個前後の卵を産みます。

    NOAAは、

    一頭の雌が1シーズンに1〜3回産卵することがあるとしています。

    今回のカリフォルニアの巣については、

    現地報道では、

    一つの巣に推定50〜100個程度

    とされています。

    孵化までの期間は、

    およそ、

    45〜60日。

    だから、

    2026年9月中旬に産まれた卵なら、

    順調に発生すれば、

    10月末から11月ごろに何らかの動きが見られる可能性があります。

    ただし現時点では、

    実際に孵化するかどうかはまだ分かりません。

    ここからが、一番面白い

    なぜ、

    この雌は、

    カリフォルニアを選んだのでしょう。

    これまで産卵記録がなかった場所です。

    間違えたのか。

    海流に運ばれたのか。

    昔から稀に産卵していたけれど、

    人間が見つけていなかっただけなのか。

    それとも、

    海の環境そのものが変わり始めているのか。

    今は、

    分かりません。

    でも、

    ここで一つ、

    非常に気になることがあります。

    2026年のカリフォルニア沖は暖かい

    NOAA Fisheriesは、

    9月3日の時点で、

    南・中央カリフォルニア沖の海水温が異常に高い

    と報告していました。

    ただし、

    ここは重要です。

    NOAAは、

    その高水温について、

    2026年のエルニーニョそのものが直接原因ではなく、

    それ以前から続いている海洋熱波の影響

    だと説明しています。

    同時に、

    2026年6月には熱帯太平洋でエルニーニョが成立しており、

    今後その影響がアメリカ西海岸へ及ぶ可能性をNOAAが監視しています。

    つまり、

    「エルニーニョだからヒメウミガメが産卵した」

    とは、

    現時点では言えません。

    ここを結び付けて断定するのは早すぎます。

    でも、

    普段より暖かい海と、史上初の産卵記録が同じ年に起きた。

    これは、

    今後研究する価値のある現象です。

    暖かければ、北へ産卵地が広がるのか?

    単純に考えると、

    そう思ってしまいます。

    海が暖かくなる。

    南のカメが北へ来る。

    そこで産卵する。

    でも、

    自然はそんなに単純ではありません。

    ウミガメの繁殖には、

    海水温だけでなく、

    砂の温度。

    湿度。

    潮位。

    産卵浜の幅。

    嵐。

    捕食者。

    人工照明。

    そして、

    雌自身の出生地への帰巣行動。

    たくさんの要素が関係します。

    今回一匹が産卵したからといって、

    カリフォルニアが新しい産卵地になった

    とは言えません。

    一匹が産んだだけでも意味がある

    とはいえ、

    こういう偶発的な産卵は、

    長い時間で見ると非常に重要かもしれません。

    NOAAは過去、

    ハワイ・オアフ島で稀なヒメウミガメの産卵が確認された際、

    こうした通常と異なる場所への産卵が、

    将来的に新しい繁殖地が形成される一つの方法になり得る

    と説明しています。

    一匹の雌が、

    いつもと違う浜へ行く。

    卵を産む。

    その子ガメの一部が成長する。

    何十年後。

    その雌たちが、

    同じ浜へ帰ってくる。

    また産む。

    これが何世代も続けば、

    やがて、

    そこが「産卵地」になります。

    もちろん、

    今回のカリフォルニアでそうなるかどうかは、

    誰にも分かりません。

    むしろ現時点では、

    一度きりの非常に珍しい出来事

    として見るべきです。

    だから、この巣は「未来」を含んでいる

    僕は、

    今回のニュースの面白さは、

    卵そのものにもあると思います。

    もし孵化したとしても、

    その子ガメたちが成熟するまでには、

    長い時間がかかります。

    海へ出る。

    広い太平洋を生きる。

    大部分は、

    成熟する前に死ぬ。

    でも、

    もし何匹かが生き残ったら。

    そして、

    雌が、

    生まれた浜へ戻ってきたら。

    今回のニュースの続きは、

    2026年ではなく、

    2040年代、2050年代

    に起こるかもしれません。

    僕たちは、

    答えを見ることができるかもしれない。

    もう一つ気になること――昼間に上陸した

    今回確認された雌は、

    行動にも少し変わった点がありました。

    NOAA関係者は現地メディアに、

    通常は夜間に産卵することが多いヒメウミガメが、

    今回、

    日中から日没近くに上陸した

    と説明しています。

    なぜなのか。

    これも、

    まだ分かりません。

    初めての場所だったからなのか。

    個体差なのか。

    水温や潮のタイミングなのか。

    単なる偶然なのか。

    分からないことが、

    また一つ増えました。

    亀好きとして注目したいポイント

    今回のニュースで、

    僕が一番注目したいのは、

    「分布」と「繁殖地」は固定された地図ではない

    ということです。

    図鑑を見る。

    分布図を見る。

    ここまでが生息域。

    ここが産卵地。

    線が引いてある。

    でも、

    カメは、

    その線を知りません。

    海流が変わる。

    水温が変わる。

    一匹の雌が、

    いつもと違う方向へ泳ぐ。

    そして、

    地図の外側へ上がる。

    穴を掘る。

    卵を産む。

    その瞬間、

    人間が作っていた地図に、

    新しい一点

    が加わります。

    自然の分布図は、

    完成した地図ではない。

    今も、

    書き換わっている。

    今回のヒメウミガメは、

    それを見せてくれた気がします。

    湯川亀吉の一言

    ウミガメ飼ってみたいね。

    出典

    NOAA Fisheries — Olive Ridley Turtle
    ヒメウミガメの形態、世界分布、東太平洋の主要産卵地、アリバダ、繁殖などの基本情報。
    NOAA Fisheriesのヒメウミガメ解説を見る

    NOAA Fisheries West Coast発表を基にした報道
    2026年9月16日のSeal Beachでの産卵が、米国西海岸における史上初の自然産卵記録であること、3日後の別の上陸、孵化期間など。

    ABC7 Los Angeles
    二つの産卵地点、日中〜日没付近の上陸、推定卵数などについてNOAA Fisheries関係者に取材。
    ABC7の現地報道を見る

    NOAA Fisheries — West Coast Ocean Conditions
    2026年9月時点の南・中央カリフォルニア沖の異常高水温と、海洋熱波・エルニーニョの関係について。
    NOAAの西海岸海洋環境解説を見る

  • 【世界の亀ニュース】ヒラチズガメは「危険な水」を知っている? エリー湖で藻類ブルーム直前に姿を消す季節移動を確認

    【世界の亀ニュース】ヒラチズガメは「危険な水」を知っている? エリー湖で藻類ブルーム直前に姿を消す季節移動を確認

    夏。

    巨大なエリー湖を、

    一匹の雌のヒラチズガメが泳いでいます。

    6月。

    7月。

    湖の沖合まで出る。

    ところが、

    7月下旬。

    亀たちは、

    湖からいなくなりました。

    そして数km離れた支流を、

    上流へ。

    そこで冬を越し、

    翌春になると、

    また元の産卵場所近くへ戻ってきます。

    そのころエリー湖では、

    ある現象が始まります。

    有害藻類ブルーム。

    しばしば毒素を作る藍藻が、

    夏の終わりに大発生します。

    不思議なのは、

    ヒラチズガメが、

    そのピークを迎える前に、

    湖を離れていたことです。

    今回のニュース

    研究を行ったのは、

    アメリカ・オハイオ州のUniversity of Toledo(トレド大学)。

    研究者のDi’Carlo Jackson氏とJeanine M. Refsnider博士は、2022年にエリー湖西部の産卵地で捕獲した雌のヒラチズガメへ発信器を取り付け、

    音響テレメトリー

    と、

    衛星テレメトリー

    という二つの方法を組み合わせて行動を追跡しました。

    研究成果は2026年、『Journal of Great Lakes Research』に掲載されています。

    登場する亀

    今回の主役は、

    ヒラチズガメ。

    学名、

    Graptemys geographica。

    英名は、

    Northern Map Turtle
    または
    Common Map Turtle。

    日本では「ヒラチズガメ」という名称が使われています。

    北米に生息する、

    チズガメ属の淡水ガメです。

    「map turtle=地図ガメ」という名前の通り、

    甲羅には地図の等高線のような細かな模様が入ります。

    種小名のgeographicaも、

    「地理・地図」を意味する言葉に由来します。

    雌は雄の約2倍まで大きくなる

    ヒラチズガメでは、

    雄と雌の体格差がかなり大きいことが知られています。

    雌は雄のほぼ2倍の大きさまで成長することがあり、

    行動範囲も一般に雌の方が広くなります。

    さらに食べるものにも違いがあります。

    大型の雌は、

    硬い殻を持つ貝類などを主に利用。

    小型の雄は、

    より柔らかい水生無脊椎動物を食べます。

    今回研究者が追跡したのも、

    成体の雌。

    産卵のために岸へ上がってきた個体でした。

    10匹の背中に発信器を付けた

    2022年6月。

    研究者たちは、

    エリー湖西部にあるMagee Marshの砂浜で、

    産卵に訪れた雌10匹を捕獲しました。

    そして甲羅へ発信器を装着。

    その後、

    亀を湖へ戻しました。

    10匹のうち2匹については、発信器が早期に外れたと考えられ、十分な追跡データが得られなかったため解析から除外されています。

    残る個体の動きを、

    研究者は長期間追い続けました。

    「音」と「宇宙」の両方から追跡する

    今回面白いのが、

    追跡方法です。

    まず、

    音響テレメトリー。

    亀の発信器から出る音響信号を、

    湖や川に設置された受信機が拾います。

    水中にいる動物の追跡に向いています。

    一方、

    衛星テレメトリーでは、

    発信器の情報を衛星を使って取得します。

    ただし、

    亀が水中深く潜っていると、

    衛星との通信が難しくなります。

    そこで、

    二つを組み合わせました。

    湖の中では、

    音。

    支流などでは、

    衛星。

    片方だけでは見えなかった亀の一年間を、

    二つの技術でつなぎました。

    Refsnider博士は、この組み合わせについて、

    それぞれが異なる状況でうまく機能したと説明しています。

    すると、想像以上に移動していた

    追跡してみると、

    ヒラチズガメの雌は、

    かなり大きな範囲を移動していました。

    研究論文によると、

    湖と支流のデータを合わせた移動範囲は、

    約10〜22km。

    産卵を終えた後、

    6月から7月には、

    エリー湖の沖合を利用します。

    その後、

    支流へ入る。

    そして、

    さらに上流へ数km進んでいきます。

    僕たちがイメージする、

    「近所の池でずっと暮らしている亀」

    とは、

    かなり違います。

    冬になると支流で姿を消す

    上流へ移動した亀たちは、

    その支流周辺で冬を越したと考えられています。

    そして、

    翌春。

    再び下流へ。

    産卵浜のすぐ近くにある支流の河口へ戻ってきました。

    つまり、

    湖。

    川。

    湿地。

    産卵地。

    越冬場所。

    一匹の亀が、

    一年の中で複数の環境を使い分けていたのです。

    そして研究者が気付いた

    追跡データを見ていて、

    研究者たちは、

    あるタイミングに気付きました。

    ヒラチズガメがエリー湖で確認されたのは、

    7月下旬まで。

    それ以降、

    湖では確認されなくなりました。

    そのころ、

    エリー湖西部では、

    毎年ある現象が強くなります。

    cyanobacterial bloom。

    藍藻、

    つまりシアノバクテリアによる、

    大規模な水の華です。

    夏の終わりに湖が緑になる

    エリー湖西部では、

    夏になると大量の藍藻が増殖することがあります。

    特に、

    8月ごろにピークを迎えることが多い。

    種類によっては、

    microcystin(ミクロシスチン)

    と呼ばれる毒素を作ります。

    この毒素は、

    さまざまな動物の肝臓・消化器・生殖器などへ悪影響を与える可能性があります。

    過去の研究では、

    カメ類でも免疫機能への影響が報告されています。

    ところがヒラチズガメは、もういない

    藻類ブルームが本格化する、

    8月。

    その時点で、

    追跡中のヒラチズガメは、

    すでに湖から移動していました。

    Refsnider博士は、

    7月下旬以降エリー湖では個体が確認されず、

    そのころには支流や周辺湿地へ移動していたため、

    ブルームのピーク時には藻類毒素へ曝露されていなかったと考えられる

    と説明しています。

    ここで、

    ものすごく面白い疑問が出てきます。

    亀は「危険」を察知して逃げているのか?

    もしそうなら、

    すごい。

    水の変化を感じる。

    「ここは危ない」

    と判断する。

    川へ移動する。

    そんな行動を想像したくなります。

    でも研究者は、

    そこまでは言っていません。

    むしろ、

    かなり慎重です。

    Refsnider博士自身、

    亀が藻類ブルームを理由に湖を離れているのか、それとも通常の季節移動とブルームの時期が偶然一致しているだけなのかは分からない

    としています。

    ここは、

    今回の記事で一番重要なところです。

    「避けていた」と「避けるために移動した」は違う

    結果だけを見ると、

    亀は藻類ブルームを避けています。

    でも、

    原因は分からない。

    たとえば、

    水温。

    日照時間。

    水位。

    餌。

    繁殖周期。

    越冬準備。

    季節そのもの。

    こうした別の要因をきっかけに、

    毎年7月ごろ支流へ移動しているのかもしれません。

    その結果として、

    たまたま有毒藻類からも逃れることになる。

    これでも、

    十分面白い。

    生物の行動には、

    「この危険を避けよう」と意識的に進化したわけではなくても、

    別の生活パターンが結果的に危険を回避していることがあります。

    そもそも湖に暮らすヒラチズガメは、よく分かっていなかった

    これまでヒラチズガメについて、

    河川での行動研究は比較的多く行われてきました。

    一方、

    巨大な湖に暮らす個体が、

    一年を通じてどこへ移動するのかについては、

    まだ情報が少なかったと研究チームは説明しています。

    理由の一つが、

    単純に、

    追いかけるのが難しいから。

    川なら、

    移動方向は比較的限られます。

    でも、

    エリー湖は巨大です。

    亀が沖へ泳いだら、

    従来の人間による追跡は一気に難しくなります。

    だから今回、

    衛星と水中の音響受信機を組み合わせた方法が有効でした。

    亀の世界は、人間が思っているよりずっと広い

    10km。

    20km。

    人間なら、

    車ですぐです。

    でも、

    甲羅を背負った淡水ガメです。

    泳ぐ。

    川を上る。

    湖へ出る。

    戻る。

    翌年、

    また同じ場所へ来る。

    しかも、

    これを何年も繰り返している可能性があります。

    一匹のヒラチズガメにとって、

    エリー湖とその支流は、

    別々の場所ではないのかもしれません。

    全部まとめて「自分の生活圏」。

    そう考えると、

    亀を見る目が少し変わります。

    名前は「ヒラチズガメ」

    ちなみにこのカメ、

    日本では、

    ヒラチズガメ

    と呼ばれています。

    チズガメ類の中では比較的、

    甲羅が平たいことが名前の由来です。

    チズガメ属には、

    ニセチズガメ。

    フトマユチズガメ。

    ワモンチズガメ。

    クロコブチズガメ。

    など、

    特徴的な種類がたくさんいます。

    その中でも、

    Graptemys geographicaは、

    チズガメ属を代表する種類の一つです。

    「水の中で暮らす亀」をどう追跡するか

    今回のニュースは、

    亀そのものだけでなく、

    研究方法についても面白いと思います。

    昔なら、

    研究者が、

    双眼鏡で見る。

    捕まえる。

    印を付ける。

    また探す。

    それしかありませんでした。

    今は、

    甲羅に小さな装置を付ける。

    水中の受信機が、

    通過した亀を記録する。

    衛星が、

    別の場所に移動した亀を見つける。

    研究者が寝ている間も、

    亀は動く。

    そして、

    機械は記録する。

    その結果、

    人間が直接追いかけていたら見えなかった、

    一匹の亀の一年間

    が見えてきます。

    亀好きとして注目したいポイント

    僕が今回一番面白いと思うのは、

    「亀が毒を避ける能力を持っている」という話ではない

    ところです。

    むしろ、

    まだ分からない。

    そこがいい。

    7月まで、

    湖にいる。

    8月になる前に、

    いなくなる。

    有毒藻類が増える。

    結果として、

    亀はそこにいない。

    これは事実。

    でも、

    なぜ?

    そこから先は、

    まだ分からない。

    亀自身が水質の変化を感知しているのか。

    季節移動なのか。

    何世代にもわたって身についたタイミングなのか。

    別の環境要因なのか。

    今は、

    答えがありません。

    でも、

    「変なことが起きている」

    ということが分かった。

    科学って、

    そこから始まるんだと思います。

    湯川亀吉の一言

    俺は付き合っちゃいけない人間を察することができるよ

    出典

    University of Toledo
    「UToledo Herpetologist Tracks Turtles Amid Harmful Algal Bloom」
    2026年9月10日。追跡研究、藻類ブルームとの時期関係、音響・衛星テレメトリーについて。
    トレド大学の公式記事を読む

    Journal of Great Lakes Research
    Di’Carlo Jackson & Jeanine M. Refsnider
    「Acoustic and satellite telemetry reveal extensive distances traveled in both lake and tributary habitat by female northern map turtles (Graptemys geographica)」
    2026年。10匹への発信器装着、移動距離10〜22km、季節的な湖・支流利用、藍藻ブルームとの関係を扱った原著論文。
    原著論文を見る

    ITIS
    Graptemys geographicaの分類および英名Northern Map Turtle / Common Map Turtleについて。
    ITISの分類情報を見る

  • 【世界の亀ニュース】ウェールズから8,000km ケンプヒメウミガメ「Rhossi」が2年8か月かけてテキサスへ

    【世界の亀ニュース】ウェールズから8,000km ケンプヒメウミガメ「Rhossi」が2年8か月かけてテキサスへ

    今回は、本来の生息地から約8,000kmも離れたイギリス・ウェールズの海岸で発見されたケンプヒメウミガメが、約2年8か月の治療を経てアメリカ・テキサス州まで戻ってきたニュースを紹介します。

    名前は、

    Rhossi(ロッシ)。

    メキシコ湾へ帰るまで、あと少し。

    しかし最後の健康診断で、もう一つ乗り越えなければならない問題が見つかりました。

    今回のニュース

    2026年8月10日、ケンプヒメウミガメのRhossiが、イギリス・ウェールズからアメリカ・テキサス州へ到着しました。

    Rhossiが発見されたのは2023年12月。

    場所はウェールズ北西部、アングルシー島のRhosneigr周辺の海岸です。

    本来ケンプヒメウミガメが主に暮らすメキシコ湾から、およそ5,000マイル、約8,000km離れた場所でした。

    発見時のRhossiは、冷たい海水によって体の機能が低下する**「コールドスタン(cold-stunning)」**の状態でした。

    体重はわずか約2ポンド、約0.9kg。

    その後、Anglesey Sea Zooで長期間の治療とリハビリを受け、2026年には約46ポンド、約21kgまで成長しました。

    そして約2年8か月後。

    Rhossiはついに大西洋を渡り、メキシコ湾への野生復帰を目指してテキサスへ戻ってきました。

    どこの国・地域の話か

    発見地:イギリス・ウェールズ、アングルシー島
    保護施設:Anglesey Sea Zoo
    移送先:アメリカ合衆国・テキサス州、Houston Zoo
    到着日:2026年8月10日
    Houston Zoo発表:2026年8月14日
    対象種:ケンプヒメウミガメ
    情報の種類:ウミガメ・救助・リハビリ・国際移送・野生復帰

    今回の移送には、Anglesey Sea Zoo、Houston Zoo、Texas State Aquarium、NOAA、U.S. Fish & Wildlife Serviceなど、イギリスとアメリカの複数の機関が関わっています。

    一匹のカメを野生へ戻すために、二つの国と複数の組織が動きました。

    登場する亀

    今回の主役は、ケンプヒメウミガメです。

    学名は Lepidochelys kempii。

    英語ではKemp’s Ridley Sea Turtleと呼ばれます。

    NOAA Fisheriesによると、ケンプヒメウミガメは世界で最も小型のウミガメです。

    成体でも甲長はおよそ2フィート、約60cm。

    体重はおよそ70〜100ポンド、約32〜45kgです。

    成体の甲羅は灰緑色を帯び、腹側は淡い黄色。

    頭部は三角形に近く、少し鉤状になった嘴を持っています。

    ケンプヒメウミガメの中心はメキシコ湾

    ケンプヒメウミガメの主な生息地はメキシコ湾です。

    特に繁殖地はメキシコ北東部へ集中しています。

    NOAAによると、世界のケンプヒメウミガメの産卵の約95%がメキシコ・タマウリパス州で確認されています。

    Rancho Nuevo。

    Tepehuajes。

    Barra del Tordo。

    こうした海岸が、世界に残るケンプヒメウミガメにとって極めて重要な場所になっています。

    テキサスでも産卵は確認されますが、中心となる繁殖地はメキシコ側です。

    それなのに、なぜウェールズにいたのか

    ケンプヒメウミガメの幼体は、メキシコ湾だけで一生を過ごすわけではありません。

    孵化した子ガメの一部は海流に乗り、フロリダ周辺から大西洋へ出ます。

    若い個体はアメリカ東海岸を北上することがあり、カナダのノバスコシア付近まで確認されています。

    さらに少数ですが、アゾレス諸島、イギリス周辺、地中海など、大西洋東部まで到達した記録もあります。

    つまり、

    ウェールズで見つかったこと自体は、

    「絶対にあり得ない」

    というわけではありません。

    問題は、その海の温度です。

    冷たい海で動けなくなる「コールドスタン」

    ウミガメは外部の温度によって体温が大きく左右されます。

    水温が急激に低下すると、体の働きも低下します。

    泳げなくなる。

    餌を食べられなくなる。

    水面へ呼吸に上がることさえ難しくなる。

    こうした状態が「コールドスタン」です。

    Anglesey Sea Zooは、冷たい海に入り込んだウミガメでは代謝機能が低下し、そのまま海流に流され、海岸へ打ち上げられることがあると説明しています。

    Rhossiも、まさにその状態で見つかりました。

    見つけたのは、一匹の犬だった

    2023年12月。

    アングルシー島の海岸で、Rhossiを最初に発見したのは地元の人と一緒に歩いていた犬でした。

    海岸へ打ち上げられた小さなウミガメ。

    体重は約0.9kg。

    冷たい北大西洋の海水によって衰弱していました。

    もし誰にも見つからなければ、

    そのまま波打ち際に残されていたかもしれません。

    でも、一匹の犬が立ち止まった。

    そこからRhossiの帰還計画が始まりました。

    体温は急に上げればいいわけではない

    冷え切ったカメを見つけると、

    すぐ暖かくしてあげたくなります。

    しかし、Anglesey Sea Zooによれば、コールドスタンしたウミガメの体温を急激に上げることには危険があります。

    体への負担を避けるため、

    少しずつ。

    慎重に。

    状態を確認しながら体温を戻していく必要があります。

    食べられるようになるまで体を回復させる。

    泳げるようにする。

    体力を戻す。

    それを何日、何週間、何か月と続ける。

    Rhossiはそのままウェールズで約2年8か月を過ごしました。

    0.9kgから21kgへ

    発見時は約0.9kgだったRhossi。

    2026年にテキサスへ渡る頃には、約21kgまで成長していました。

    海岸で犬に発見された小さな幼体から、

    両手で簡単には抱えられない大きさへ。

    治療だけではありません。

    食べる。

    泳ぐ。

    成長する。

    毎日その状態を確認する。

    Anglesey Sea Zooで過ごした時間そのものが、Rhossiの成長期でもありました。

    でも、イギリスの海へは放せない

    元気になった。

    泳げるようになった。

    だからウェールズの海へ戻そう。

    とはいきません。

    ケンプヒメウミガメが本来暮らす中心的な環境は、暖かいメキシコ湾です。

    Rhossiがウェールズへ到達したのは、

    そこで暮らすためではありません。

    海流によって、本来の生活圏から遠く離れた場所まで運ばれた結果です。

    だから野生復帰させるなら、

    ただ海へ放すのではなく、

    そのカメが生きていける海へ戻さなければならない。

    ここから問題になるのが、国境です。

    カメ一匹が国境を越える

    野生動物を国から国へ移動させることは、

    航空券を買って乗せれば終わり、

    という話ではありません。

    ケンプヒメウミガメは保護対象の野生動物です。

    輸送。

    輸出入。

    野生復帰。

    それぞれに許可と調整が必要になります。

    Anglesey Sea Zooは過去にも、同じケンプヒメウミガメの「Tally」をウェールズからテキサスへ戻しています。

    そのときは救助から放流まで20か月を要しました。

    Rhossiについても、帰還のための許可と体制が整うまで長い時間が必要になりました。

    ヘリコプターから大西洋横断便へ

    2026年8月。

    ついにRhossiの移送が始まりました。

    ウェールズからロンドン・ヒースロー空港まではヘリコプター。

    そこから航空機で大西洋を横断。

    そしてテキサスへ。

    総移動距離はおよそ5,000マイル、約8,000kmです。

    海流に流されて何千kmも移動したカメが、

    今度は人間の手によって、

    空を飛んで元の海へ近づいていきました。

    8月10日、テキサスへ到着

    8月10日。

    Rhossiはテキサスへ到着しました。

    空港ではHouston Zooのウミガメ担当スタッフと獣医師が健康状態を確認。

    その後、Houston Zooへ移動し、深い水槽へ入れられました。

    長時間の輸送直後です。

    すぐに放すのではなく、

    まず泳ぎ方。

    呼吸。

    反応。

    食欲。

    新しい環境への適応。

    そうした状態を観察します。

    最後の健康診断

    そして、野生復帰前の詳しい健康診断が行われました。

    担当したのはHouston Zooの獣医チーム。

    検査では、

    臓器。

    眼。

    口。

    甲羅。

    ヒレ。

    などを確認。

    さらにX線撮影とCTスキャンを行い、肺の状態まで調べました。

    外から見れば、

    Rhossiは元気でした。

    活発に動く。

    泳ぐ。

    反応する。

    Houston Zooも「healthy, active and vigorous」と表現しています。

    しかし、

    CT画像には別のものが写っていました。

    肺炎の痕跡

    Rhossiの肺には、

    まだ肺炎が残っている可能性を示す所見

    が確認されました。

    海へ帰る寸前でした。

    2年以上治療した。

    8,000km飛んできた。

    テキサスまで戻った。

    あと少し。

    それでも、

    放さなかった。

    Houston Zooは追加の観察と必要な治療を続けることを決めました。

    「元気そう」と「野生へ戻せる」は違う

    今回のニュースで、とても重要なのがここだと思います。

    Rhossiは、

    見た目には元気です。

    泳げる。

    食べられる。

    大きくなった。

    でも、

    野生へ戻せるかどうかは、それだけでは決められない。

    飼育施設なら、

    具合が悪くなれば人間が気づけます。

    餌もあります。

    治療もできます。

    ところが海へ入れば、

    そこから先はカメ自身です。

    泳ぐ。

    餌を捕る。

    潮流に逆らう。

    長距離を移動する。

    一度海へ返したあと、

    「やっぱり肺炎が悪化したから捕まえよう」

    ということは簡単にはできません。

    だから、

    最後の最後で立ち止まりました。

    放流延期は「失敗」ではない

    Houston Zooは、Rhossiのメキシコ湾への帰還について、

    当初想定していたより少し時間がかかるとしています。

    でも、

    これは失敗ではありません。

    むしろ、

    野生復帰を成功させるための判断です。

    海へ返したというニュースを早く作ることより、

    海へ返したあと、そのカメが生きられること

    のほうが重要です。

    世界最小のウミガメ

    Rhossiが属するケンプヒメウミガメには、もう一つ大きな特徴があります。

    世界で最も小型のウミガメです。

    成体でも甲長約60cm。

    大きなオサガメなどと比べれば、かなり小柄です。

    しかし、その生活史は壮大です。

    子ガメは海へ入り、

    海流へ乗り、

    何年も海を移動し、

    およそ13歳で成熟すると考えられています。

    そして雌は、

    自分たちの重要な繁殖地へ戻ってきます。

    昼間に集団産卵する珍しいウミガメ

    ケンプヒメウミガメは、

    「アリバダ」と呼ばれる集団産卵を行うことで知られています。

    多数の雌が同じ時期に海岸へ集まり、

    一斉に産卵します。

    さらにケンプヒメウミガメは、ウミガメの中でも珍しく主に昼間に産卵する種です。

    何百、何千という雌が砂浜へ上がる。

    卵を産む。

    数週間後、

    大量の子ガメが海へ向かう。

    その巨大な生命の流れの一匹が、

    海流に乗って大西洋を渡り、

    ウェールズまで到達した。

    それがRhossiです。

    一度は大きく減少したケンプヒメウミガメ

    現在、ケンプヒメウミガメはアメリカのEndangered Species Actで絶滅危惧種として保護されています。

    1947年にはメキシコのRancho Nuevoで、一日に数万匹規模の雌が産卵する様子が記録されていました。

    しかし20世紀後半に個体数は急減。

    1985年には年間702巣まで落ち込みました。

    その後、産卵地保護や漁業対策などによって回復が進みましたが、2010年以降は増加傾向が止まり、巣数は変動しています。

    だからこそ、

    一匹を野生へ返す意味も小さくありません。

    一匹を返すために、国を越えて人がつながった

    今回Rhossiに関わったのは、一つの水族館だけではありません。

    Anglesey Sea Zoo。

    Houston Zoo。

    Texas State Aquarium。

    NOAA。

    U.S. Fish & Wildlife Service。

    そのほか複数の関係者。

    二つの大陸にまたがる協力によって、Rhossiはテキサスまで戻ってきました。

    一匹のカメが、

    人間の組織を国境の向こう側までつなげたことになります。

    亀好きとして注目したいポイント

    今回のニュースで僕が一番注目したいのは、

    「あと少しなのに、放さなかった」

    というところです。

    2年以上育てた。

    許可も取った。

    飛行機も飛ばした。

    8,000km運んだ。

    メキシコ湾はもう目の前。

    普通なら、

    ここまで来たら海へ返したくなる。

    物語としても、

    「ついに故郷の海へ!」

    で終わったほうがきれいです。

    でも、

    CTを撮った。

    肺を見た。

    まだ心配がある。

    だから止めた。

    ニュースとしてきれいに終わることより、

    一匹のカメが生きることを優先した。

    僕は、

    そこが今回の保護活動で一番大事なところだと思います。

    湯川亀吉の一言

    亀はけっこう肺炎になるんだよね〜。

    僕も、昔飼ってた亀が肺炎にかかってしまって、治療費が10万円くらいかかったよ。

    出典

    Houston Zoo
    「Rhossi’s Road Home: One More Step Toward the Gulf」
    2026年8月14日。

    Anglesey Sea Zoo
    「Turtle Rescue & Rehab – Rhossi the Kemp’s Ridley」
    Rhossiの救助・リハビリ・帰還計画について。

    NOAA Fisheries
    「Kemp’s Ridley Turtle」
    ケンプヒメウミガメの分布、生態、繁殖、個体群、保全状況について。

    The Guardian
    「Rhossi, a rare sea turtle, recovers after 5,000-mile trek from Wales to Texas」
    2026年8月17日。

  • 【世界の亀ニュース】16巣中13巣が捕食 X線と216ヤードの糸で追うトウブハコガメの産卵

    【世界の亀ニュース】16巣中13巣が捕食 X線と216ヤードの糸で追うトウブハコガメの産卵

    今回は、アメリカ・バージニア州で進められている、トウブハコガメの巣を探し出して孵化までの生存率を調べる研究を紹介します。

    使われているのは、

    X線装置。

    GPS。

    無線発信器。

    自動撮影カメラ。

    そして、

    プラスチックのカップと、細い糸。

    最新技術と驚くほど単純な道具を組み合わせながら、人間にはなかなか見つけることのできない「カメの巣」を追いかけています。

    今回のニュース

    2026年8月14日、Smithsonian’s National Zoo and Conservation Biology Institute(スミソニアン国立動物園・保全生物学研究所)は、バージニア州で進めているトウブハコガメの繁殖調査について発表しました。

    研究チームは約8週間、ほぼ毎日のように野外調査を行い、16か所のトウブハコガメの巣を発見しました。

    しかし、そのうち13巣が産卵後わずか数時間ほどで掘り返され、卵を食べられていました。

    主な捕食者として確認されたのは、アライグマやスカンクです。自動撮影カメラには、アライグマが巣の卵を食べる姿も記録されました。

    16巣中13巣。

    今回確認された巣の約81%が失われたことになります。

    過去の研究でも、ハコガメ類の巣では捕食率が90%に達する場合があるとされており、今回の結果もそれと一致する高い捕食圧を示しました。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:アメリカ合衆国
    州:バージニア州
    研究機関:Smithsonian’s National Zoo and Conservation Biology Institute
    研究チーム:Turtle Conservation Ecology Lab
    発表日:2026年8月14日
    対象:トウブハコガメ
    情報の種類:陸生ガメ・繁殖・産卵・捕食・野外研究・保全

    スミソニアンのTurtle Conservation Ecology Labは、2022年からバージニア州に生息するハコガメの移動、繁殖行動、生息地利用などを調べています。

    今回新たに始めたのが、

    「母ガメがどこへ卵を産み、その卵がどのくらい生き残るのか」

    を調べる研究です。

    登場する亀

    今回の主役は、トウブハコガメです。

    学名は Terrapene carolina carolina。

    英語ではEastern Box Turtleと広く呼ばれてきましたが、バージニア州野生生物資源局では現在、Woodland Box Turtleという名称を使用しています。

    トウブハコガメは、バージニア州全域に自然分布する陸生傾向の強いカメです。

    甲長はおよそ11〜20センチ。

    背甲は高く盛り上がり、褐色から黒色の地色に、黄色やオレンジ色の斑点、線、まだら模様が入ります。

    模様には非常に大きな個体差があります。

    名前の由来は「箱」

    ハコガメという名前の大きな理由が、腹甲です。

    トウブハコガメの腹甲には可動する蝶番のような構造があります。

    危険を感じると頭や手足を甲羅の中へ完全に引っ込め、腹甲を閉じることで、まるで箱のような状態になります。

    成熟した個体では、とても頑丈な防御です。

    でも、

    卵にはその甲羅がありません。

    そして孵化したばかりの子ガメにも、大人と同じ防御力はありません。

    今回の研究は、

    頑丈な「箱」を持つようになるずっと前に、どれほど多くの命が失われているのか

    を調べる研究でもあります。

    まず、母ガメを探す

    巣を調べるには、当然ながら最初に巣を見つけなければなりません。

    これが簡単ではありません。

    研究チームが調査している5か所には、無線発信器とGPSタグを装着した56匹のハコガメがいます。

    研究者はVHF受信機を使い、それぞれの個体に割り当てられた電波を探します。

    信号が強くなる方向へ進む。

    草をかき分ける。

    落ち葉を見る。

    そしてようやく、模様によって森の地面へ溶け込んでいる小さな甲羅を見つけます。

    発信器が付いていても見つけるのが難しいほど、ハコガメは森の中へ隠れるのが上手です。

    次にX線を撮る

    母ガメを発見したら、

    今度はその個体が卵を持っているかを調べます。

    雌のハコガメは、形成された卵を体内におよそ30〜60日間保持します。

    バージニア州でこの状態になるのは、主に5月下旬から7月上旬です。

    研究者はまず、後脚付近を慎重に触って硬い卵があるか確認します。

    ただし、触診だけでは確実ではありません。

    そこで登場するのが、

    携帯型X線装置です。

    プラスチックカップが研究器具になる

    野外に大きな病院設備を持ち込むことはできません。

    研究者は車の後ろに簡易的なフィールドステーションを作り、

    携帯型X線装置。

    タブレット。

    無線受信機。

    体重計。

    自動撮影カメラ。

    などを並べます。

    そしてX線を撮るときに使われる、非常に重要な道具があります。

    プラスチックカップです。

    カメを鉛で保護されたプレートとカップの上へ一時的に乗せます。

    カップは、撮影中にカメが歩いてどこかへ行ってしまわない高さになっています。

    その状態で短時間だけX線撮影を行うと、

    体内に卵があるかどうかが、その場で確認できます。

    高度なX線装置と、

    どこにでもありそうなプラスチックカップ。

    この組み合わせで野生の母ガメを調べています。

    卵があったら「糸」を付ける

    X線で卵が確認されたら、

    次に登場するのが糸です。

    研究者は母ガメの甲羅に、重さわずか約2グラムの小さな糸巻きを慎重に取り付けます。

    そしてカメを発見した場所へ戻します。

    糸巻きには、

    216ヤード、約198メートル

    もの糸が巻かれています。

    母ガメが森を歩く。

    その後ろに、細い糸が伸びていく。

    研究者は翌日、その糸をたどります。

    母ガメは簡単には産まない

    卵を持っているからといって、

    すぐにその場所へ産卵するわけではありません。

    ハコガメの雌は、巣を作る場所を何時間、ときには何日もかけて探します。

    土の状態。

    日当たり。

    温度。

    周囲の環境。

    さまざまな条件を確かめながら歩きます。

    研究者が、

    「ここに産むだろう」

    と思った場所から離れ、

    翌朝には約1.5マイル、約2.4キロ離れた山の上で巣を掘っていることさえあると報告されています。

    カメはゆっくり歩きます。

    でも、

    ゆっくりだから移動しないわけではありません。

    時間をかければ、人間が想像する以上の距離を移動します。

    糸をたどれば、巣が見つかる

    翌日。

    研究者は再び母ガメを探します。

    そして体重を測ります。

    もし体重が前日と変わっていなければ、

    まだ産卵していない可能性が高い。

    ところが、

    20〜80グラムほど軽くなっていたら、卵を産んだ可能性があります。

    そこで研究者は、

    母ガメの後ろに残された細い糸を逆方向へたどります。

    草の中。

    落ち葉の中。

    牧草地。

    森。

    何十メートル、場合によっては100メートル以上。

    糸を追っていく。

    そして、

    新しく土が掘り返された場所と糸が交差していれば、

    そこが巣である可能性があります。

    見つけたら、触らない

    巣を発見しても、

    研究者は卵を掘り出して確認するわけではありません。

    可能な限り巣をそのままの状態にします。

    位置を記録し、

    小さな目印を付け、

    自動撮影カメラを設置する。

    そして、

    その後何が起こるのかを見守ります。

    母ガメが選んだ場所を、

    できるだけ母ガメが残した状態のまま観察する。

    そのための研究です。

    20匹の母ガメから16巣を発見

    2026年の調査では、

    研究対象のうち20匹の雌が卵を持っていることが確認されました。

    そのうち研究チームが見つけることができた巣は16か所。

    3匹は研究者が立ち入れない私有地で産卵。

    残る1匹については、最終的に巣を発見できませんでした。

    ここまでは、

    かなり高い精度で母ガメを追跡できています。

    しかし、

    本当に厳しい結果は、その後でした。

    16巣中13巣が失われた

    約8週間の調査で見つかった16巣。

    そのうち13巣が、

    アライグマやスカンクなどによって掘り返されました。

    しかも一部は、

    産卵からわずか数時間後です。

    母ガメが穴を掘る。

    卵を産む。

    土を戻す。

    その日のうちに、

    別の動物がその場所を見つける。

    掘り返す。

    卵を食べる。

    子ガメになる前に、

    そこで命が途切れます。

    カメの最大の敵は「道路」だけではない

    陸生のカメについて考えるとき、

    人間には分かりやすい危険があります。

    道路。

    自動車。

    草刈り機。

    農薬。

    森林開発。

    実際、スミソニアンのこれまでの調査でも、道路、気候の変化、芝刈り機、住宅地周辺の捕食動物などがハコガメ減少に関係している可能性が示されています。

    しかし今回の研究が見せているのは、

    甲羅を持ったカメとして地上へ出てくる前にも、大きな壁がある

    ということです。

    卵の段階です。

    成熟まで10〜20年

    トウブハコガメは、たくさんの子どもを短期間で増やす動物ではありません。

    バージニア州野生生物資源局によると、性成熟までには10〜20年かかります。

    雌が一年に産む卵も、およそ2〜7個です。

    そして今回の調査では、

    その数少ない卵の多くが、孵化する前に捕食されました。

    一匹の雌が10年以上かけて大人になる。

    その雌が数個の卵を産む。

    その多くが孵化前に失われる。

    さらに孵化した子ガメも、捕食、道路、生息地の変化などを越えなければならない。

    ハコガメが個体数を回復するのに時間がかかる理由が見えてきます。

    100年で約32%減少

    バージニア州野生生物資源局は、州内のWoodland Box Turtleについて、過去100年間で個体数がおよそ32%減少したと推定しています。

    生息地の分断や都市化、野生個体の違法なペット取引などが主要な脅威として挙げられています。

    一方で今回の研究は、

    「生まれたカメがなぜ減るのか」

    だけでなく、

    「そもそも、何匹が生まれるところまで到達できているのか」

    という段階へ調査を広げています。

    捕食者を悪者にすればいいのか

    13巣を失った。

    原因はアライグマやスカンク。

    だから捕食動物を排除すればいい。

    そう単純な話でもありません。

    アライグマやスカンクも、その生態系の中で生きている動物です。

    今回の研究の目的も、

    ただ捕食者を見つけることではありません。

    どんな場所に作られた巣が生き残るのか。

    土壌温度はどう違うのか。

    周囲の植生はどうなっているのか。

    巣の微気候はどうなっているのか。

    そうした条件を調べ、

    ハコガメが繁殖できる環境そのものを理解すること

    が目的です。

    来年は「生き残る巣」の条件を調べる

    研究チームは2027年も調査を続ける予定です。

    次の段階では、

    土壌温度。

    巣の位置。

    巣周辺の微気候。

    そのほかの環境条件。

    など、より詳しいデータを集めます。

    「捕食された巣」だけを見るのではありません。

    生き残った巣と比べる。

    そこに何が違うのかを探す。

    もし、

    生き残りやすい巣の条件が分かれば、

    将来、生息地管理や巣の保護方法を考える材料になります。

    亀好きとして注目したいポイント

    今回のニュースで僕が一番面白いと思うのは、

    人間が母ガメに巣の場所を教えてもらっていることです。

    人間が地図を広げて、

    「ここに産むだろう」

    と決めるのではない。

    まずカメを探す。

    卵を持っているか確認する。

    そして、

    カメを元の場所へ戻す。

    そこから先は、

    母ガメに好きなところへ歩いてもらう。

    人間は後ろに残された一本の糸をたどる。

    森の中で、

    細い糸の先にある答えを探す。

    最新のX線装置があっても、

    GPSがあっても、

    最後に必要なのは、

    カメ自身がどこへ行くのかを見ること。

    この研究は、

    人間がカメに正解を教える研究ではありません。

    カメが選んだ場所から、

    人間が正解を教えてもらう研究なのだと思います。

    湯川亀吉の一言

    亀は成熟に時間がかかるよね!

    僕は熱帯魚や金魚の繁殖をしていたから、亀の繁殖にもそれと同じ感覚で取り組んでしまいました。

    亀の繁殖にはめちゃめちゃ時間がかかる。

    それに、失敗もつきものである。

    プロのブリーダーさんたちの努力・研究には本当に敬服する。

    この記事にはあまり関係ないコメントになってしまったね。

    出典

    Smithsonian’s National Zoo and Conservation Biology Institute
    「How X-Rays, Plastic Cups and Spools of String Help National Zoo Researchers Find Wild Box Turtle Nests」

    Virginia Department of Wildlife Resources
    「Woodland Box Turtle」

    IUCN Red List of Threatened Species
    「Eastern Box Turtle – Terrapene carolina」

  • 【世界の亀ニュース】アカウミガメ922巣で過去最多 サニベル島。しかし4分の1の巣がコヨーテ被害

    今回は、アメリカ・フロリダ州のサニベル島で、アカウミガメの産卵巣が観測史上最多を更新したニュースを紹介します。

    数字だけを見ると、とても嬉しいニュースです。

    しかし、その砂浜では同時に、別の問題も大きくなっていました。

    今回のニュース

    2026年8月12日、Sanibel-Captiva Conservation Foundation(SCCF)は、フロリダ州サニベル島で確認されたアカウミガメの巣が922か所に達し、過去最高記録を更新したと発表しました。

    これまでの最高記録は2023年の878巣。

    2026年は産卵シーズンが完全に終了する前の段階で、それをすでに44巣上回っています。

    しかし、同じ発表にはもう一つ重要な数字があります。

    サニベル島では、922か所のアカウミガメの巣のうち、211か所がコヨーテによる捕食被害を受けました。

    被害率は22.6%。

    隣接するキャプティバ島では、241巣のうち82巣が被害を受け、被害率は33.7%に達しています。

    両島を合わせると、アカウミガメの巣1,163か所のうち293か所、およそ4巣に1巣がコヨーテの被害を受けていることになります。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:アメリカ合衆国・フロリダ州
    場所:サニベル島、キャプティバ島
    発表日:2026年8月12日
    対象種:アカウミガメ
    情報の種類:ウミガメ・産卵・繁殖・捕食・保護活動

    サニベル島とキャプティバ島では、SCCFが毎日砂浜を巡回し、ウミガメの巣を記録・監視しています。

    この地域のウミガメ調査は1959年に始まっており、フロリダ州でも最も長く継続されているウミガメのモニタリング活動の一つです。

    登場する亀

    今回の主役は、アカウミガメです。

    学名は Caretta caretta。

    英語ではLoggerhead Sea Turtleと呼ばれています。

    アカウミガメは世界の温帯から亜熱帯の海に広く分布しており、フロリダ州の砂浜は世界的にも非常に重要な産卵地です。

    フロリダ州魚類野生生物保護委員会(FWC)によると、北西大西洋のアカウミガメ繁殖集団は世界最大規模とされ、その巣のおよそ90%がフロリダ州に集中しています。

    一匹の母ガメが何度も砂浜へ戻る

    922巣あるからといって、922匹の母ガメが来たという意味ではありません。

    一匹の雌は同じ繁殖シーズンに何度も産卵します。

    FWCによると、アカウミガメの雌は繁殖年に約4〜7回巣を作り、およそ14日間隔で再び砂浜へ上陸します。ひとつの巣には約100〜126個の卵が入り、孵化までには約60日かかります。

    つまり砂浜で数えられている「巣」は、

    母ガメが海から上がり、

    砂を掘り、

    卵を産み、

    再び海へ戻った、

    一回一回の繁殖行動の記録です。

    1959年から見続けてきた砂浜

    サニベル島のウミガメ調査は1959年に始まりました。

    当初は研究者Charles LeBuffとCaretta Researchが調査を行い、1992年からSCCFが引き継いでいます。

    2026年の922巣は、67年近く続く記録の中で最も多いアカウミガメの巣数です。

    一つのシーズンだけを見れば、

    「今年は多かった」

    で終わります。

    しかし、半世紀以上同じ砂浜を見続けているからこそ、

    昔と比べて増えたのか。

    減ったのか。

    どの場所へ産卵するようになったのか。

    何が変化しているのか。

    ということが分かります。

    過去最高なのに、安心できない

    2026年の巣数は記録的です。

    しかしSCCFは、巣の数だけを見て今シーズンを成功と判断することには慎重です。

    理由が、コヨーテによる卵の捕食です。

    サニベル島では211巣。

    キャプティバ島では82巣。

    合計293巣が被害を受けています。

    SCCFが引用している連邦政府のアカウミガメ回復計画では、捕食被害率10%が管理上の一つの目安とされています。

    ところがサニベル島では22.6%。

    キャプティバ島では33.7%。

    サニベル島西端のFar West地区では、**42.6%**に達しました。

    ほぼ2巣に1巣です。

    コヨーテが悪いのか

    この話を見ると、

    「コヨーテがウミガメを襲っている」

    と考えてしまいます。

    でも、野生動物の世界を単純に善悪で分けることはできません。

    コヨーテも生きるために餌を探しています。

    砂浜に大量の卵が埋まっていれば、それを見つける個体が現れること自体は不思議ではありません。

    問題なのは、

    現在の捕食圧が、ウミガメ個体群にとって許容できる範囲を超えている可能性があること

    です。

    そこでSCCFでは、一部の巣へ金網状の保護スクリーンを設置し、コヨーテなどが掘り返すことを防ぎながら、孵化した子ガメ自身は網目から外へ出られる仕組みを使っています。

    巣が多くても、子ガメが多いとは限らない

    ここが今回のニュースで、とても重要なところです。

    922巣。

    これは間違いなく大きな記録です。

    でも、

    巣の数と、海へ到達する子ガメの数は同じではありません。

    卵が捕食される。

    高潮で巣が流される。

    孵化しない卵がある。

    生まれても砂から出られない個体がいる。

    人工照明によって海とは反対方向へ進んでしまう場合もあります。

    SCCFも、2026年シーズンの本当の結果は、残っている巣がすべて孵化または失敗し、最終的な子ガメの脱出数が集計されるまで分からないとしています。

    2023年にも同じことが起きていた

    実は、これは初めて起きた問題ではありません。

    2023年も、サニベル島とキャプティバ島ではアカウミガメの巣が過去最高水準を記録しました。

    しかし同時に、両島では約43%の巣が捕食被害を受けました。

    その結果、その年に砂浜から出てきた子ガメの数は、当時として2016年以来最も少なくなりました。

    つまり、

    母ガメがたくさん産卵した。

    だから安心。

    とは言えません。

    卵が孵化して、

    子ガメが砂から出て、

    海へ入って、

    初めて次の段階へ進みます。

    アカウミガメは大人になるまで約35年

    海へ入った子ガメが、すぐ次の世代を作るわけでもありません。

    FWCによると、アカウミガメが性成熟するまでには、およそ35年かかります。

    2026年にサニベル島から海へ入る子ガメが、

    大西洋を泳ぎ、

    成長し、

    さまざまな危険を越え、

    繁殖できる母ガメとなるのは、

    2060年前後になる可能性があります。

    そして雌は、成熟すると自分が生まれた地域に近い砂浜へ戻り、次の卵を産みます。

    今砂浜で見えている母ガメたちは、何十年も前の保護活動の結果でもあります。

    922巣は「今年だけ」の数字ではない

    SCCFは、近年の巣数増加について、過去に行われてきた保全活動の成果が現れている可能性を指摘しています。

    海亀の保護には時間がかかります。

    今日卵を守る。

    明日結果が出る。

    というものではありません。

    数十年前に守られた子ガメが大人になり、

    今、

    砂浜へ戻っている。

    2026年の922巣には、そんな長い時間が含まれています。

    フロリダは世界最大級の産卵地

    フロリダ州は、アカウミガメにとって世界でも特に重要な場所です。

    FWCによると、北西大西洋の繁殖集団のおよそ90%の巣がフロリダ州にあります。

    つまり、フロリダの一つの砂浜で起きていることは、

    その地域だけの話ではありません。

    大西洋を回遊するアカウミガメ個体群全体につながっています。

    人間にもできることがある

    SCCFは、観光客や住民に対して、産卵シーズン中の砂浜でいくつかの行動を呼びかけています。

    夜間は照明を落とす。

    砂浜に掘った穴を埋める。

    ビーチチェアやテント、玩具を夜まで残さない。

    ゴミや釣り糸を放置しない。

    産卵中の母ガメへ近づかない。

    保護用のスクリーンへ触らない。

    どれも巨大な保護施設を作るような活動ではありません。

    でも、一匹の母ガメが安心して卵を産み、

    一匹の子ガメが海まで歩くためには、

    そういう小さなことが重要になります。

    亀好きとして注目したいポイント

    今回のニュースで僕が一番面白いと思うのは、

    「過去最多」という数字の先を見なければならないことです。

    922巣。

    ニュースのタイトルとしては、とても分かりやすい。

    記録更新。

    保護活動成功。

    アカウミガメ復活。

    そう書きたくなる。

    でも砂を掘ってみれば、

    卵がない巣がある。

    コヨーテに食べられた巣がある。

    水に流された巣がある。

    まだ孵化していない巣がある。

    一つの数字だけでは、生き物の状態は分からない。

    たくさん産んだのか。

    何匹生まれたのか。

    何匹海へ入ったのか。

    何匹大人になったのか。

    全部違う数字です。

    だから、

    922という数字を喜びながら、

    その先も見続ける必要がある。

    今回のニュースは、

    「増えた」ということと、「守れた」ということは同じではない

    と教えてくれている気がします。

    湯川亀吉の一言

    ウミガメって、意外とでかいよね。

    出典

    Sanibel-Captiva Conservation Foundation(SCCF)
    「Record-Breaking Loggerhead Nesting on Sanibel Continues to Rise」
    2026年8月12日
    https://sccf.org/2026/08/12/record-breaking-loggerhead-nesting-on-sanibel-continues-to-rise/

    Sanibel-Captiva Conservation Foundation(SCCF)
    「Record-Breaking Loggerhead Nesting Season on Sanibel」
    2026年7月29日
    https://sccf.org/2026/07/29/record-breaking-loggerhead-nesting-season-on-sanibel/

    Florida Fish and Wildlife Conservation Commission(FWC)
    「Loggerhead Nesting in Florida」
    https://myfwc.com/research/wildlife/sea-turtles/nesting/loggerhead/

    Florida Fish and Wildlife Conservation Commission(FWC)
    「Loggerhead Sea Turtle」
    https://myfwc.com/wildlifehabitats/profiles/reptiles/sea-turtles/loggerhead-turtle/

    NOAA Fisheries
    「Loggerhead Turtle」
    https://www.fisheries.noaa.gov/species/loggerhead-turtle

  • 【世界の亀ニュース】絶滅危惧種を含む5種7匹の子ガメが誕生 テネシー水族館で淡水ガメのベビーブーム

    【世界の亀ニュース】絶滅危惧種を含む5種7匹の子ガメが誕生 テネシー水族館で淡水ガメのベビーブーム

    今回は、アメリカのテネシー水族館で、5種類の淡水ガメの子どもが相次いで誕生したニュースを紹介します。

    今回のニュース

    アメリカ・テネシー州チャタヌーガにあるテネシー水族館で、2026年5月中旬以降、5種類、合計7匹の淡水ガメが孵化しました。

    誕生したのは、ヨツメイシガメ3匹、ジャノメイシガメ1匹、キボシイシガメ1匹、ワモンチズガメ1匹、ヒラリーカエルガメ1匹です。

    このうち多くは、絶滅の危機に直面している種類です。さらに水族館の孵卵器では、別のワモンチズガメやモリイシガメ類などの卵も発生を続けています。テネシー水族館が7月7日に発表し、アメリカ動物園水族館協会が7月31日に改めて紹介しました。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:アメリカ合衆国、テネシー州
    場所:チャタヌーガ、テネシー水族館
    元記事の言語:英語
    水族館による発表:2026年7月7日
    アメリカ動物園水族館協会による紹介:2026年7月31日
    情報の種類:新着ニュース・淡水ガメ・繁殖・孵化・動物園・絶滅危惧種

    テネシー水族館は、一般公開されているものとしては北米最大規模の淡水ガメコレクションを持つ施設です。1992年の開館から今回の発表までに、56種類・亜種、合計1,166匹のカメを孵化させてきました。

    誕生した5種類のカメ

    今回孵化したのは、次の5種類です。

    ヨツメイシガメ 3匹

    学名は Sacalia quadriocellata。

    頭部の左右にある眼状斑によって、本物の目と合わせて四つの目があるように見えることが、和名の由来です。今回誕生した種類の中では最も多い3匹が孵化しました。

    ジャノメイシガメ 1匹

    学名は Sacalia bealei。

    英語ではBeal’s four-eyed turtle、またはBeal’s eyed turtleと呼ばれます。ヨツメイシガメと同じSacalia属ですが、甲羅や頭部の模様に違いがあります。日本では「ジャノメイシガメ」という和名が使われています。

    キボシイシガメ 1匹

    学名は Clemmys guttata。

    黒い甲羅や皮膚に黄色い斑点が散らばる、小型の北米産淡水ガメです。英語ではSpotted turtleと呼ばれています。

    ワモンチズガメ 1匹

    学名は Graptemys oculifera。

    甲羅に輪のような模様が現れるチズガメの仲間で、英語名はRinged map turtleです。アメリカ南部の限られた水系に分布する種類です。

    ヒラリーカエルガメ 1匹

    学名は Phrynops hilarii。

    南米に分布するヨコクビガメ類の一種です。首を甲羅へまっすぐ引き込むのではなく、横へ曲げて収納します。顎にある2本のヒゲ状突起も特徴です。

    ニュースの要約

    今回の孵化では、ヨツメイシガメが3匹、そのほかの4種類が1匹ずつ誕生しました。

    テネシー水族館の記事では、ヨツメイシガメは「深刻な絶滅危機」、ジャノメイシガメ、キボシイシガメ、ワモンチズガメは「絶滅危惧」と紹介されています。

    ヒラリーカエルガメは同じ評価対象には含まれていませんが、異なる大陸や環境で進化した5種類が、同じ時期に一つの水族館で孵化したことになります。

    水族館の孵卵器では、さらに2匹のワモンチズガメが孵化直前とみられています。

    また、チュウオウアメリカモリイシガメとキボシチズガメの卵も、順調な発生を示していると報告されました。ワモンチズガメがテネシー水族館で孵化したのは、1998年以来です。

    孵卵器の中に季節を作る

    カメの卵を孵化させるには、温度を一定に保つだけでは十分ではありません。

    土や砂などの床材、水分量、空気の温度、湿度といった条件を、その種類が野生で経験する環境に近づける必要があります。

    飼育下での繁殖例が少ない種類では、どの条件が適しているのか、まだ十分に分かっていない場合もあります。飼育担当者は、卵の状態を観察しながら、野生の季節変化を孵卵器の中で再現します。

    特に複雑だったのが、ヒラリーカエルガメの孵化です。

    このカメが生息する南米では、卵が産み落とされる時期と、子ガメが安全に活動できる雨季との間に時間があります。

    卵の発生や孵化はすぐに進むのではなく、条件が整うまで遅らせられることがあります。雨季の嵐や水位上昇などの環境変化が、子ガメにとって外へ出る合図になります。

    テネシー水族館では、最初に卵を低温・低湿度に近い条件で管理しました。

    その後、少しずつ温度を上げ、時折水を吹きかけることで、乾季から雨季へ移り変わる環境を再現しました。

    つまり、飼育員は孵卵器の中で南米の季節を進め、子ガメが卵から出る時期を待ったのです。

    2007年から続くヨツメイシガメの繁殖

    テネシー水族館は、ヨツメイシガメの繁殖で特に大きな成果を残してきました。

    同館では2007年、飼育下では世界初とされたヨツメイシガメの孵化に成功しました。それ以降、今回の3匹を含め、飼育下個体群へ加わったヨツメイシガメは合計72匹になりました。

    水族館で誕生した個体の一部は、ブロンクス動物園、ノックスビル動物園、キャメロンパーク動物園など、アメリカ動物園水族館協会に加盟する別の施設へ移されています。

    一つの施設だけで個体を抱えるのではなく、複数の施設で分散して飼育・繁殖することで、災害や病気などによって一度に個体群を失う危険を減らせます。

    飼育下で残す「もう一つの個体群」

    今回誕生した子ガメが、すぐに野生へ放されるわけではありません。

    動物園や水族館で維持される希少種の個体群には、野生の個体群がさらに減少した場合に備える「保険」のような役割があります。

    適切な血統管理を行いながら繁殖を続けることで、その種類そのものと、飼育・繁殖に必要な知識を将来へ残します。テネシー水族館は、こうした個体群を野生絶滅への備えとなる「assurance population」と説明しています。

    ただし、水族館で繁殖できることと、野生のカメを守ることは同じではありません。

    川や湿地そのものが失われれば、帰る場所はなくなります。

    飼育下繁殖は野生環境の代わりではなく、野生の個体群と生息地を守る活動を支える、もう一つの方法なのだと思います。

    飼育技術も次の施設へ受け継がれる

    テネシー水族館では、繁殖に成功した方法を施設内だけの秘密にはしていません。

    卵を管理した温度、湿度、床材、孵化までの変化などを、ほかの動物園や水族館の専門家と共有しています。

    以前は飼育下での孵化が難しかった種類でも、複数の施設が知識を共有することで、繁殖例を増やせる可能性があります。

    一匹の子ガメが誕生するまでに得られた知識は、その一匹だけのものではありません。

    次の卵を孵化させる人へ伝わり、別の水族館へ伝わり、その種類全体を守るための技術へ変わっていきます。

    亀好きとして注目したいポイント

    このニュースで注目したいのは、5種類のカメが、それぞれ違う季節と環境を卵の中に持っていることです。

    同じ孵卵器へ入れて、同じ温度にすれば孵化するわけではありません。

    アジアの山地に暮らすカメ。

    北米の湿地に暮らすカメ。

    南米の乾季と雨季を生きるカメ。

    卵は小さく、外から見ればよく似ています。

    でも、その卵が待っている雨や温度、湿度、孵化の時期は、それぞれ違います。

    飼育員は卵を見ながら、その中にある遠い川や森の季節を想像します。

    カメを増やすというより、カメが何百万年もかけて身につけた時間の進み方を、人間が少しずつ学んでいるのだと思います。

    湯川亀吉の一言

    繁殖は楽しいよね!

    出典

    Tennessee Aquarium
    「Hatching bonanza adds 7 adorable baby turtles from 5 species to Aquarium」

    Association of Zoos and Aquariums
    「Tennessee Aquarium Welcomes Seven Baby Turtles From Five Species」

  • 【世界の亀ニュース】アカウミガメの巣4,100個超 米ジョージア州で過去最多を更新

    【世界の亀ニュース】アカウミガメの巣4,100個超 米ジョージア州で過去最多を更新

    今回は、アメリカ・ジョージア州の海岸で、アカウミガメの巣が過去最多を更新したニュースを紹介します。

    今回のニュース

    2026年、アメリカ・ジョージア州で確認されたアカウミガメの巣が、これまでの記録を上回りました。

    ジョージア州自然資源局が参加するウミガメ巣穴監視システムによると、8月2日時点で州内の海岸から報告されたウミガメの巣は暫定4,169個。そのうち、4,107個がアカウミガメの巣です。

    これまでの最多記録は、2022年に確認された4,071個でした。2026年の産卵シーズンはまだ完全には終わっておらず、最終的な数はさらに増える可能性があります。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:アメリカ合衆国、ジョージア州
    主な地域:大西洋沿岸の島々と砂浜
    元記事の言語:英語
    集計時期:2026年8月2日時点
    情報の種類:新着ニュース・ウミガメ・産卵・繁殖・保護活動

    ジョージア州では、カンバーランド島、オサボー島、セントキャサリンズ島、ジキル島、タイビー島など、多数の海岸でウミガメの産卵調査が行われています。

    州の沿岸約150キロを対象に、ボランティア、研究者、行政職員らが巣を探し、保護し、孵化状況を記録しています。

    登場する亀

    今回のニュースに登場するのは、アカウミガメです。

    学名は Caretta caretta。英語ではLoggerhead Sea Turtleと呼ばれます。

    名前のとおり、ほかのウミガメと比べて大きく頑丈な頭を持っています。強い顎でカニや貝などの硬い獲物をかみ砕き、大西洋、太平洋、インド洋などの広い海域を移動します。

    アメリカのジョージア州では、海岸へ産卵に来るウミガメの大部分をアカウミガメが占めています。アメリカでは保護対象となっており、ジョージア州のウミガメ保護活動でも中心となる種です。

    ニュースの要約

    2026年の産卵シーズンに、ジョージア州で最初のアカウミガメの巣が確認されたのは5月5日でした。

    それから約3か月の間に、州内の各地で次々と巣が発見されました。

    8月2日時点の暫定集計では、アカウミガメの巣が4,107個、アオウミガメの巣が5個、ケンプヒメウミガメの巣が4個、種を確定できていない巣が53個確認されています。

    産み落とされた卵の推定数は、すでに16万個を超えています。

    一部の巣では孵化も始まり、同日の集計では約5万6,800匹の子ガメが巣から出たと記録されています。ただし、これらは産卵・孵化シーズン途中の暫定値であり、今後も更新されます。

    2022年の記録を超えた

    ジョージア州では、1989年に州内の主要な海岸を対象とした本格的な調査が始まりました。

    それ以降の最多記録は、2022年の4,071個でした。2022年には、26万匹を超えるアカウミガメの子どもが海へ向かったとされています。

    2026年は、産卵シーズンが始まる前から、巣の多い年になると予測されていました。

    6月22日の時点ですでに2,366個の巣が確認され、その後も急速に数が増えました。そして8月初め、アカウミガメだけで4,100個を超え、2022年の記録を更新しました。

    なぜ今年は巣が多いのか

    アカウミガメの雌は、毎年必ず産卵するわけではありません。

    一度の産卵シーズンに複数回の巣を作ったあと、次の産卵まで2年から3年ほど間を空ける個体もいます。

    そのため、巣の数は毎年一定ではなく、数年おきに大きく増えることがあります。ジョージア州の研究者たちは、2026年がそうした「多くの雌が同じ年に戻ってくる年」になると予測していました。

    ただし、2026年には、例年より多くの雌が同じ時期に集中して産卵する「波」のような動きも確認されています。

    なぜ産卵の時期がこれほど重なったのかは、まだ完全には分かっていません。研究者たちは卵から採取したDNAや産卵記録を調べ、その原因を探っています。

    タイビー島でも島の記録を更新

    観光地として知られるタイビー島でも、2026年は過去最多の産卵シーズンとなりました。

    これまでの島の最多記録は2022年の35個でしたが、7月15日の時点ですでに49個へ到達。その後も増え続け、8月2日時点の監視記録では、53個のアカウミガメの巣が報告されています。

    タイビー島では毎朝、訓練を受けたボランティアが海岸を歩き、前夜に残された母ガメの足跡を探しています。

    巣が見つかると場所を特定し、印を付けて保護します。高潮による浸水の危険が高い場所では、許可を受けた担当者が卵を安全な位置へ移すこともあります。

    数が増えても、すべての卵が孵化するわけではない

    巣の数が過去最多になったことは、大きな希望です。

    しかし、産み落とされた卵がすべて子ガメになるわけではありません。

    高潮や嵐で巣が浸水することもあります。捕食者に卵を食べられることもあります。砂浜に残された深い穴や椅子、テント、ゴミが、母ガメや子ガメの進路を塞ぐこともあります。

    さらに、海岸沿いの人工照明は、子ガメが進む方向を狂わせます。子ガメは本来、暗い砂浜から海側の明るい地平線へ向かいますが、建物や道路の光に引き寄せられると、海とは反対側へ進んでしまうことがあります。

    タイビー島の保護関係者は、海岸を「平らに、きれいに、暗く」保つよう呼びかけています。

    砂の穴を埋める。
    砂の城を崩す。
    ゴミや道具を持ち帰る。
    夜は海岸に向けた照明を消す。

    一つひとつは小さな行動ですが、母ガメが巣を作り、子ガメが海へ向かうためには重要なことです。

    長い保護活動が数字になって現れた

    ジョージア州では、1990年代初めにウミガメ保護活動が本格化して以降、アカウミガメの巣が平均して年間約4%ずつ増加してきたとされています。

    毎朝、海岸を歩く。

    足跡を見つける。

    砂の下の卵を確認する。

    巣を囲い、嵐や捕食者、人間の活動から守る。

    そして、子ガメが海へ向かったあと、巣を調査して結果を記録する。

    2026年の4,100個を超える巣は、突然現れた数字ではありません。

    何十年も前から続けられてきた調査と保護の結果が、長い時間を経て現れ始めたものだと考えられます。

    記録更新でも、保護は終わらない

    巣が過去最多になったからといって、アカウミガメが完全に安全になったわけではありません。

    アカウミガメは現在も保護対象であり、海岸の開発、人工照明、漁業による混獲、海洋ごみ、生息環境の変化など、さまざまな危険にさらされています。

    また、巣が増えたことと、海で暮らすアカウミガメ全体の個体数が同じ割合で回復したことは、必ずしも同じではありません。

    子ガメが海へ入り、成長し、再び産卵できる年齢になるまでには長い時間がかかります。

    2026年に生まれた子ガメたちが、いつか同じ砂浜へ戻ってくる。その未来まで保護が続いて、初めて今回の記録が次の世代へつながるのだと思います。

    亀好きとして注目したいポイント

    このニュースで注目したいのは、4,100個を超える巣の一つひとつに、一匹の母ガメの移動があることです。

    海の中から砂浜へ上がる。

    重い体を前肢で引きずりながら、波の届きにくい場所まで進む。

    砂を掘り、卵を産み、穴を埋める。

    そして、再び大西洋へ帰っていく。

    人間が記録するのは「巣の数」です。

    でも、その数字の中には、夜の砂浜を進んだ母ガメたちの時間が積み重なっています。

    4,107という数字は、4,107個の穴があったというだけではない。

    何千回もの上陸と産卵が、同じ海岸で繰り返されたということです。

    湯川亀吉の一言

    良かったね。

    出典

    Georgia DNR Sea Turtle Conservation Program
    「Sea Turtle Nest Monitoring System」

    Georgia Public Broadcasting
    「Georgia is on track for a record-high turtle nesting season. What’s behind the good news」

    Tybee Island Marine Science Center
    「Sea Turtle Nesting Season Updates」

    NOAA Fisheries
    「Loggerhead Turtle: Science」

  • 【世界の亀ニュース】砂漠の泉に残るソノイタドロガメ約250匹 国境壁建設を前に緊急避難を検討

    【世界の亀ニュース】砂漠の泉に残るソノイタドロガメ約250匹 国境壁建設を前に緊急避難を検討

    今回は、アメリカとメキシコの国境近くにある砂漠のオアシスで暮らす、絶滅危惧の淡水ガメに関するニュースを紹介します。

    今回のニュース

    アメリカ・アリゾナ州のソノラ砂漠にあるキトバキート・スプリングスで、絶滅危惧のソノイタヒゲナガドロガメを緊急避難させる計画が検討されています。

    キトバキート・スプリングスは、オルガンパイプ・カクタス国定公園内にある小さな泉と池です。アメリカ国内でソノイタヒゲナガドロガメが自然に生息している場所は、ここ一か所しかありません。

    この泉の近くでは、既存の国境壁に加えて、高さ約30フィートの二重目の壁を建設する計画が進められています。

    研究者や保護関係者は、工事に伴う地下水の利用、重機の移動、地形の改変などによって泉や池が維持できなくなる可能性を懸念し、最悪の場合に備えてカメを人工環境へ移す準備を進めています。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:アメリカ合衆国、アリゾナ州
    場所:オルガンパイプ・カクタス国定公園、キトバキート・スプリングス
    元記事の言語:英語
    元記事の公開時期:2026年7月24日
    情報の種類:新着ニュース・淡水ガメ・生息地保全・絶滅危惧種

    キトバキート・スプリングスは、アメリカとメキシコの国境近くにある砂漠のオアシスです。

    周囲約100マイルの範囲でも数少ない安定した水源の一つで、淡水ガメだけでなく、魚や巻き貝、鳥類、哺乳類など、多くの生き物にとって重要な場所になっています。

    登場する亀

    今回のニュースに登場するのは、英語でSonoyta mud turtleと呼ばれる淡水ガメです。

    学名は Kinosternon sonoriense longifemorale。ソノラドロガメの亜種で、日本語の標準的な呼称が広く定着しているとは確認できなかったため、この記事では「ソノイタヒゲナガドロガメ」と表記します。

    成体の甲長は最大約13.5センチ。背甲はオリーブ色から暗褐色で、頭部や首には網目状の模様があります。前後に蝶番を持つ腹甲と、指の間にある水かきも特徴です。

    アメリカでは、2017年に絶滅危惧種として保護対象になりました。

    現在確認されている生息地は、アリゾナ州のキトバキート・スプリングスにある一個体群と、メキシコ・ソノラ州のソノイタ川流域に残る複数の個体群です。

    ニュースの要約

    報道によると、現在キトバキートの池には、およそ250匹のソノイタヒゲナガドロガメが生息していると推定されています。

    研究者たちは、池の水が失われたり、堤が損傷したりする最悪の事態を想定し、可能な限り多くのカメを捕獲して、一時的に人工の飼育環境へ移す方法を検討しています。

    アリゾナ・ソノラ砂漠博物館では、野生個体群に何かが起きた場合に備え、すでに約20匹のソノイタヒゲナガドロガメを飼育しています。

    同館は、緊急時にはさらに最大50匹を受け入れる意向を示しています。フェニックス動物園も、カメの受け入れに協力する可能性があります。

    しかし、カメを施設へ移せば問題が解決するわけではありません。

    保護関係者が最も心配しているのは、一時的に避難させたカメを、将来戻せる生息地が残っているかどうかです。人工環境は命をつなぐ場所にはなっても、泉そのものの代わりにはなりません。

    砂漠にある、小さな淡水の世界

    ソノイタヒゲナガドロガメは、砂漠に暮らす淡水ガメです。

    広大な乾燥地帯に大きな川が流れているわけではありません。

    地下から湧き出す水が短い水路を流れ、小さな池を満たす。その限られた水の中で、カメたちは餌を探し、身を隠し、世代をつないできました。

    キトバキート・スプリングスは、ソノイタヒゲナガドロガメだけの生息地ではありません。

    世界でこの泉にしか野生個体が残っていないキトバキート・パプフィッシュや、非常に小さな泉性の巻き貝も生息しています。

    一つの小さな泉が失われれば、複数の生き物が同時に野生の生息地を失う可能性があります。

    なぜ国境壁が泉へ影響するのか

    今回計画されている二重目の国境壁は、既存の壁から約90〜150フィート離れた位置に建設される可能性があります。

    壁そのものだけでなく、工事用道路、資材置き場、重機の通行、地下水の利用などが、泉を支える地下水系や周辺環境へ影響することが懸念されています。

    2020年に行われた最初の国境壁建設でも、コンクリート製造のための地下水利用が問題になりました。

    アメリカ魚類野生生物局が2025年にまとめた状況評価でも、国境壁建設に使われる地下水のくみ上げが、キトバキート・スプリングスを支える水系への新たな負荷として挙げられています。

    一方、アメリカ税関・国境警備局は、キトバキート・スプリングスを避け、希少な自然資源への影響を最小限にするため、魚類野生生物局や国立公園局と協力していると説明しています。

    また、泉から5マイル以内では地下水をくみ上げない方針を示していますが、研究者からは、それだけで泉を守れるかを判断する十分な情報がないとの懸念も出ています。

    亀好きとして注目したいポイント

    このニュースで注目したいのは、約250匹のカメが、一つの小さな泉に生存を託していることです。

    250匹という数字だけを見れば、決して一匹や二匹ではありません。

    けれど、そのすべてが同じ池で暮らしている。

    泉の水が止まれば、逃げ込める別の川はない。
    池が失われれば、歩いて隣の湿地へ移ることもできない。

    砂漠の中では、水がある場所そのものが、生き物の世界です。

    カメを捕まえて施設へ運ぶことはできるかもしれない。

    でも、そのカメたちが何世代も生きてきた水、泥、岸辺、季節まで運ぶことはできません。

    絶滅危惧種を守るということは、個体を生かすだけではなく、その個体がカメとして暮らせる場所を残すことなのだと思います。

    湯川亀吉の一言

    ソノイタヒゲナガドロガメ。

    僕はこの記事を読むまで知らない亀だった。

    この世界には、知らない亀がたくさんいるにちがいない。

    少なくとも僕は、知らない亀と出会うことを生き甲斐にしている。

    僕のような人たちはたくさんいるだろうし、これからもたくさん出てくるだろう。

    まだ見ぬ亀ファンの楽しみを奪うのはナンセンスである。

    どうにかしっかりした保全を行なって欲しいものです。

    余談ですが、僕の故郷の川ではギギやアカザといった魚がたくさん棲んでいました。

    しかし、上流のダム工事があり、今ではすっかり見られなくなってしまいました。

    僕はちょっと寂しいです。

     

    へへ、湿っぽい話しちまったな。

    出典

    The Guardian
    「This desert oasis is a biological wonderland. Trump’s border wall threatens to destroy it」

    U.S. Fish and Wildlife Service
    「Sonoyta Mud Turtle」

    U.S. Fish and Wildlife Service
    「Draft Recovery Plan for Endangered Sonoyta Mud Turtle Available」

    National Park Service
    「Quitobaquito Springs」

  • 【世界の亀ニュース】バージニア州でオサガメが初産卵 世界最大のウミガメが軍施設の海岸へ

    【世界の亀ニュース】バージニア州でオサガメが初産卵 世界最大のウミガメが軍施設の海岸へ

    今回は、アメリカ・バージニア州で初めて確認された、オサガメの歴史的な営巣に関するニュースを紹介します。

    今回のニュース

    アメリカ・バージニア州の海岸で、オサガメの巣が記録上初めて確認されました。

    巣が見つかったのは、バージニアビーチにあるアメリカ海軍航空基地オシアナの施設、ダムネック・アネックスの海岸です。

    海岸に残された大きな足跡を自然資源管理チームが確認し、調査した結果、オサガメが卵を産んだ巣であることが判明しました。

    発見後、巣の周囲には柵が設置され、卵が安全に孵化できるよう保護と監視が始まっています。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:アメリカ合衆国、バージニア州バージニアビーチ
    発見場所:海軍航空基地オシアナ・ダムネック・アネックス
    元記事の言語:英語
    公開時期:2026年7月23日
    情報の種類:新着ニュース・ウミガメ・産卵・繁殖・保護活動

    登場する亀

    今回のニュースに登場するのは、オサガメです。

    学名は Dermochelys coriacea。英語ではLeatherback Turtleと呼ばれます。

    オサガメは、現生するカメの中で最大の種類です。一般的なウミガメのような硬い鱗板のある甲羅を持たず、背中は厚く弾力のある皮膚で覆われています。

    背中には前後へ伸びる7本の隆起があり、大きな前肢を使って外洋を長距離移動します。個体によっては、産卵地と餌場の間を年間1万マイル以上移動することもあります。

    ニュースの要約

    今回確認された巣は、バージニア州で記録された最初のオサガメの営巣です。

    バージニア州では、オサガメが海を泳ぐ姿は以前から確認されていました。しかし、2025年にまとめられた州のウミガメ保全計画には、それまで州内でオサガメの営巣は一度も記録されていないと明記されていました。

    オサガメは主に、フロリダ州、カリブ海地域などの熱帯・亜熱帯の砂浜で産卵します。

    それより北に位置するバージニア州で巣が確認されたことは、州のウミガメ観測史に残る出来事です。

    巣が見つかったダムネック・アネックスには、約3.2マイルにわたる大西洋沿岸の海岸があります。

    軍事施設であるため一般の人が自由に立ち入れる場所ではなく、観光客の往来や夜間照明などの影響を受けにくい環境です。今回の巣も、発見後すぐに周囲を囲って保護されました。

    軍事施設の海岸で始まった保護

    今回の保護活動には、海軍航空基地オシアナの自然資源管理チームだけでなく、バージニア水族館、バージニア州野生生物資源局、バックベイ国立野生生物保護区などが協力しています。族館、バージニア州野生生[object Object],[object Object],[object Object][object Object],[object Object],[object Object]の発見以前から海岸環境を守る活動が行われていました。

    2026年4月には、海岸の清掃と砂丘の修復作業が実施され、592本の使用済みクリスマスツリーが約1,097フィートにわたって配置されました。木によって砂を受け止め。

    作業では、産卵するウミガメの通り道を妨げないよう、木の配置にも注意が払われていました。citeturn897331search17

    その数か月後、同じ海岸にオサガメが現れた。

    今回の営巣が砂丘修復の直接的な成果だったと断定することはできません。

    それでも、人間が海岸を守ろうとしてきた場所に、世界最大のウミガメが卵を残したという事実には、大きな意味があるように感じます。

    卵が孵化するまで

    オサガメの雌は夜の砂浜へ上がり、体全体が入るほどの大きなくぼみと、深い産卵穴を掘って卵を産みます。

    一度に産む卵はおよそ100個で、通常はから12日ほどの間隔を空けて複数回産卵することがあります。citeturn490649search0turn490649search1

    ただし、卵が無事に産み落とされたからといって、必ず孵化できるわけではありません。

    高潮や嵐による浸水、砂浜の温度、捕食者、人間の光や活動など、孵化までには多くの危険があります。

    今回の巣が無事に孵化し、バージニア州で初めてのオサガメの子どもたちが大西洋へ向かえるかどうか、関係者による監視が続きます。

    亀好きとして注目したいポイント

    このニュースで注目したいのは、オサガメが、それまで産卵記録のなかった場所へ現れたことです。

    一匹の雌が、暗い海からバージニア州の砂浜へ上がった。

    砂を掘り、卵を産み、また大西洋へ帰っていった。

    その行動によって、バージニア州のウミガメの記録が書き換えられました。

    なぜ今回、この海岸が選ばれたのか。

    母ガメがさらに北へ移動するようになったのか。
    海や砂浜の環境に変化があったのか。
    それとも、これまでも人間が見つけられなかっただけなのか。

    一つの巣だけでは、理由を決めることはできません。

    それでも、これまで存在しなかった記録が生まれたということは、海の中で何かが動いていることを感じさせます。

    湯川亀吉の一言

    オサガメ見たことないんです。

    見てみたいな〜♡

    出典

    FOX Weather
    「World’s largest ss in Virginia for first time in recorded history」citeturn755526view0

    WTKR News 3
    「Leatherback sea turtle lay Dam Neck Annex — the first recorded in Virginia」citeturn755526view2

    Virginia Departmees
    「Virginia Sea Turtle Conservation 26view4

    NOAA Fisheries
    「Leatherback Turtle」citeturn490649search0

  • 【世界の亀ニュース】低体温で瀕死だったケンプヒメウミガメ「パンケーキ」、8か月の治療を終えて大西洋へ

    【世界の亀ニュース】低体温で瀕死だったケンプヒメウミガメ「パンケーキ」、8か月の治療を終えて大西洋へ

    今回は、アメリカで保護されたケンプヒメウミガメが、長期間の治療とリハビリを終え、大西洋へ戻ったニュースを紹介します。

    今回のニュース

    2026年7月23日、絶滅危惧種のケンプヒメウミガメ「パンケーキ」が、アメリカ・ニューヨーク市のコニーアイランドから大西洋へ放されました。

    パンケーキは2025年11月、マサチューセッツ州ケープコッドで、低水温による「コールドスタニング」に陥った状態で発見された若いウミガメです。

    救助後は二つの施設で治療とリハビリを受け、約8か月ぶりに海へ帰ることができました。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:アメリカ合衆国
    発見場所:マサチューセッツ州ウェルフリート
    治療・リハビリ:マサチューセッツ州、ニューヨーク州
    放流場所:ニューヨーク市コニーアイランド
    元記事の言語:英語
    公開時期:2026年7月23日
    情報の種類:新着ニュース・ウミガメ・救助・治療・野生復帰

    登場する亀

    今回のニュースに登場するのは、ケンプヒメウミガメです。

    学名は Lepidochelys kempii。英語ではKemp’s ridley sea turtleと呼ばれています。

    ケンプヒメウミガメは、現生するウミガメの中で最も小型の種類です。成長すると体重約32〜45キロ、甲長約60センチに達しますが、今回放されたパンケーキは推定2〜5歳の若い個体で、体重は約5キロでした。

    ニュースの要約

    パンケーキが発見されたのは、2025年11月22日です。

    マサチューセッツ州ウェルフリートのダック・ハーバー・ビーチで、低水温によって動けなくなった状態で見つかり、マサチューセッツ・オーデュボン協会によって救助されました。

    その後、ニューイングランド水族館へ運ばれ、緊急の検査と治療を受けました。

    12月3日には、パンケーキを含む25匹のケンプヒメウミガメが、ニューヨーク州ウェストハンプトンビーチにあるAtlantic Marine Conservation Societyの施設へ移され、長期的なリハビリが始まりました。

    パンケーキは治療を続けながら、少しずつ体力を取り戻していきました。

    施設では、しっかり泳げるか、自分で潜れるか、餌を追いかけて食べられるかなどが確認されました。

    パンケーキはエビや貝を積極的に追い、安定した食欲と力強い遊泳を見せるまでに回復したため、野生へ戻せると判断されました。

    コールドスタニングとは

    コールドスタニングとは、ウミガメが低い水温にさらされ、体が極端に弱って動けなくなる状態です。

    ウミガメは周囲の環境によって体温が変化する爬虫類です。水温が急激に下がると、動きが鈍くなり、自力で泳げなくなって水面へ浮かんだり、風や潮によって海岸へ流されたりします。

    長く低温にさらされると、血液循環や臓器、免疫機能にも影響が出て、救助されなければ死亡する可能性があります。

    ケープコッド周辺では、秋から冬にかけて多数のウミガメがコールドスタニングによって漂着することがあります。

    パンケーキも、海水温が下がる前に暖かい海域へ移動できず、動けなくなった一匹でした。

    約8か月ぶりの海

    2026年7月23日、パンケーキはニューヨーク水族館の前にあるコニーアイランドの海岸へ運ばれました。

    海岸には、保護団体、行政関係者、水族館のスタッフや子どもたちなどが集まりました。

    パンケーキは午後1時13分、自分の力で砂浜を進み、大西洋へ戻りました。集まった人たちは、パンケーキの名前を繰り返し呼びながら、その姿を見送りました。

    甲羅には衛星追跡用の発信器が取り付けられています。

    研究者たちは、パンケーキがどの海域を移動し、どのように餌を取りながら暮らしていくのかを、今後も追跡する予定です。

    亀好きとして注目したいポイント

    このニュースで注目したいのは、一匹のウミガメが海へ戻るまでに、多くの人と施設がつながっていることです。

    最初に海岸でパンケーキを発見した人がいる。

    寒さで動けない体を運んだ人がいる。

    緊急治療を行った獣医師や飼育員がいる。

    長いリハビリの間、毎日状態を確認し、餌を与え、泳ぐ力が戻るのを見守った人たちがいる。

    パンケーキが海へ戻ったのは、一つの施設だけの力ではありません。

    マサチューセッツ州からニューヨーク州へ、多くの人が一匹のウミガメの命をつないだ結果です。

    湯川亀吉の一言

    ほんと素敵なエピソードだと思うぜ。

    でも、名前つけるのは嫌いだね。

    あと、俺がパンケーキなら発信機取付けられたくないね。

    恩を着せられて利用される人生なんて真っ平だぜ。

    出典

    Wildlife Conservation Society
    「Endangered Kemp’s Ridley Sea Turtle “Pancake” Returns to the Atlantic After Successful Rescue and Rehab」

    Popular Science
    「Pancake the rescued sea turtle released on Coney Island beach」

    NOAA Fisheries
    「Cold-Stunning and Sea Turtles – Frequently Asked Questions」