カテゴリー: 淡水ガメ

川や湖に暮らす亀、淡水ガメ、スッポン系、外来種問題など。、汽水ガメも含みます。

  • 【世界の亀ニュース】アマゾンで白いモンキヨコクビガメが誕生 ボリビアの保護区で確認

    【世界の亀ニュース】アマゾンで白いモンキヨコクビガメが誕生 ボリビアの保護区で確認

    今回は、ボリビアのアマゾンにある自然保護区で確認された、アルビノのモンキヨコクビガメに関するニュースを紹介します。

    今回のニュース

    ボリビア北部・パンド県にあるマヌリピ・アマゾン野生生物国立保護区で、通常とは大きく異なる白く淡い体色を持つ、小さな川ガメが誕生しました。

    確認されたのは、現地で「ペタ・デ・リオ」と呼ばれるモンキヨコクビガメです。

    学名は Podocnemis unifilis。体や甲羅の色素が少なく、白色から淡い黄色に見えることから、アルビノ個体として報告されました。

    ボリビア国営通信社ABIによると、この個体の存在はボリビア国立保護区局によって公表され、マヌリピ保護区で続けられている野生動物の監視と保全にとって、特に価値のある記録だとされています。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:ボリビア、パンド県
    発見場所:マヌリピ・アマゾン野生生物国立保護区
    元記事の言語:スペイン語
    公表時期:2026年6月13日
    報道時期:2026年7月9日
    情報の種類:新着ニュース・淡水ガメ・希少個体・保護活動

    マヌリピ保護区は、ペルーとブラジルに近いボリビア北部のアマゾン地域にあります。保護区内では、マヌリピ川流域に生息する淡水ガメの産卵地を監視し、卵や子ガメを密猟や捕食などから守る活動が行われています。

    登場する亀

    今回のニュースに登場するのは、モンキヨコクビガメです。

    学名は Podocnemis unifilis。英語ではYellow-spotted River Turtleと呼ばれています。

    日本動物園水族館協会や鳥羽水族館でも、Podocnemis unifilisの和名として「モンキヨコクビガメ」が使われています。別名として、テレケイヨコクビガメと呼ばれることもあります。

    幼体の頭部には、通常、黄色い斑点や模様があります。この模様は成長するにつれて薄くなり、成体の雌ではほとんど見えなくなることがあります。

    南米の河川、湖沼、雨季に水没する森林などに生息し、日光浴や産卵を除けば、水中で過ごす時間の長い淡水ガメです。

    ニュースの要約

    今回誕生した子ガメは、本来のモンキヨコクビガメに見られる濃い灰色や緑褐色の色素が少なく、甲羅と皮膚が白色から淡い黄色に見えます。

    報道では、色素の減少によるアルビノ個体とされており、自然環境では非常に珍しい記録として紹介されています。

    アルビノのカメは、その白い体によって周囲の環境から目立ちやすくなります。

    暗い水や泥、落ち葉の中では、通常の体色が身を隠す役割を果たします。しかし、白く淡い体では捕食者に発見されやすくなる可能性があります。

    そのため、珍しく美しい個体である一方、野生で生き残るうえでは、不利な特徴になることも考えられます。

    マヌリピ保護区で続くカメの保護

    マヌリピ保護区では、モンキヨコクビガメの卵や成体が食用・販売目的で採取されることを防ぐため、産卵地の監視や巣の保護が行われています。

    保護活動には、保護区職員だけでなく、大学、地域行政、保全団体なども参加しています。

    2026年4月には、保護活動によって育てられた2,500匹以上のモンキヨコクビガメが、マヌリピ川へ放されました。

    この活動では、前年から個体数調査、卵の管理、地域住民による巣の監視などが続けられていました。

    今回の白い子ガメも、そうした継続的な監視の中で確認された一匹です。

    ただ珍しいカメが偶然見つかったのではなく、川辺を歩き、巣を守り、孵化した子ガメを確認する人たちがいたからこそ、記録として残されたのだと思います。

    珍しい個体をどう見るか

    アルビノのカメは、とても目立ちます。

    通常とは違う体色を持つため、写真を見た人の記憶にも強く残ります。

    しかし、この子ガメが生きていくうえで本当に必要なのは、珍しさを称賛されることではありません。

    隠れられる水辺があること。
    食べ物があること。
    捕獲されないこと。
    そして、成長できる川が残されていること。

    珍しい個体だから特別に命が重いのではなく、普通の体色で生まれた何千匹もの子ガメと同じように、この一匹にも生きる時間があります。

    亀好きとして注目したいポイント

    このニュースで注目したいのは、アマゾンの濁った川の中に、僕たちがまだ知らない個体が生まれていることです。

    同じ種類のカメでも、すべてが同じ姿で生まれるわけではありません。

    甲羅の形や模様、体の大きさ、色。

    一匹ずつに違いがあり、ときには今回のように、見た瞬間に誰もが驚くような個体も現れます。

    その違いは、人間に見せるために生まれたものではありません。

    白いカメも、普通の色のカメも、ただモンキヨコクビガメとして川へ向かおうとしている。

    その姿を記録し、川と一緒に守っていくことが大切なのだと思います。

    湯川亀吉の一言

    モンキヨコクビガメってでかくなるしかっこいいよね〜?

    出典

    Agencia Boliviana de Información
    「Una pequeña peta de río albina nace en Manuripi y vuelve a maravillar a la amazonia boliviana」

    Servicio Nacional de Áreas Protegidas
    「El SERNAP libera más de 2.500 tortugas de agua dulce en la Reserva Manuripi para fortalecer la biodiversidad amazónica」

    IRFA Bolivia
    「Reserva Manuripi pone en marcha programa para conservación y repoblamiento de la peta de río」

    鳥羽水族館・生きもの図鑑
    「モンキヨコクビガメ」

  • 【世界の亀ニュース】ムツコブヨコクビガメがブラジルで絶滅危惧種に 36年間で個体数50%超減少

    【世界の亀ニュース】ムツコブヨコクビガメがブラジルで絶滅危惧種に 36年間で個体数50%超減少

    今回は、アマゾン川流域に生息するムツコブヨコクビガメが、ブラジルの国家レベルで初めて絶滅危惧種に指定されたニュースを紹介します。

    今回のニュース

    ブラジル環境・気候変動省は2026年、国内の絶滅危惧動物をまとめた公式リストを更新しました。

    この新しいリストで、ムツコブヨコクビガメは従来の「準絶滅危惧」から、絶滅の危険がより高い**「危機・EN」**へ引き上げられました。

    ブラジルの公式な絶滅危惧種リストに、ムツコブヨコクビガメが加えられたのは今回が初めてです。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:ブラジル
    主な地域:アマゾナス州、西部パラー州など
    対象となる環境:アマゾン川流域の河川、湖、氾濫原、砂浜
    元記事の言語:英語・ポルトガル語
    報道時期:2026年7月15日
    情報の種類:新着ニュース・淡水ガメ・絶滅危惧種・保護政策

    ブラジルでは2026年、環境・気候変動省の省令によって、爬虫類や鳥類、哺乳類などを含む公式の絶滅危惧種リストが更新されました。

    ICMBioによると、新しいリストではブラジルの動物1,279種が絶滅危惧種として認定され、そのうち123種が爬虫類です。

    登場する亀

    今回のニュースに登場するのは、ムツコブヨコクビガメです。

    学名は Podocnemis sextuberculata。

    ブラジルでは「イアサ」「ピチウ」などの名前で呼ばれ、英語ではSix-tubercled Amazon River Turtleと呼ばれています。

    Podocnemis属の中では比較的小型で、成体の体重は最大約3.5キロ、甲長は約34センチに達します。ブラジル、コロンビア、ペルーの河川や氾濫原に分布しています。

    和名にある「六つのこぶ」は、幼体や若い個体の腹甲に見られる六つの突起に由来します。

    この突起は成長とともに目立たなくなり、成体では消失することもあります。

    ニュースの要約

    ICMBioの評価によると、アマゾナス州と西部パラー州では、過去36年間にムツコブヨコクビガメの個体数が50%以上減少したと推定されています。

    36年間は、このカメのおよそ三世代分に相当します。

    調査対象となった地域は、種全体の分布域のおよそ70%を占める重要な地域です。この大幅な減少を受け、ブラジル国内の評価が「準絶滅危惧」から「危機・EN」へ引き上げられました。

    今回の指定は、ムツコブヨコクビガメがすぐに絶滅するという意味ではありません。

    しかし、保護活動を続けていても減少を止められていないことを、ブラジル政府が公式に認めたことになります。

    アマゾンの乾季に現れる砂浜

    ムツコブヨコクビガメは、川の水位が低下する乾季に繁殖します。

    普段は水に覆われている砂浜や河岸が姿を現すと、雌は夜間に上陸して穴を掘り、卵を産みます。

    一度の巣には6個から39個ほどの卵が産み落とされ、孵化までにはおよそ45日から87日かかります。雌は同じ繁殖期に、約2週間の間隔を空けて二度産卵することもあります。

    水位が下がらなければ、安全な産卵場所が現れない。

    反対に、水位が急激に上がれば、砂の中の巣が浸水する。

    このカメの繁殖は、アマゾンの雨季と乾季によって作られる、川の水位変化と深く結びついています。

    捕まえやすいことが弱点になる

    ブラジル環境・再生可能天然資源院は、ムツコブヨコクビガメが減少している原因の一つとして、漁網による捕獲を挙げています。

    繁殖期になると複数の個体が同じ地域へ集まるため、刺し網などにかかりやすくなります。

    ほかのPodocnemis属よりも環境変化に弱く、水質の悪化や、川の増水と減水の周期が変わることによる影響も受けやすいと考えられています。

    アマゾンの淡水ガメは、古くから肉や卵を食料として利用されてきました。

    現在も違法な捕獲や販売は続いており、卵を採取されるだけでなく、産卵のために上陸した雌が捕まえられることもあります。

    川そのものの変化

    ムツコブヨコクビガメを脅かしているのは、直接的な捕獲だけではありません。

    森林伐採、気候変動、河岸での牧畜、ダム建設などによって、アマゾンの川の流れや水位、土砂の移動が変化しています。

    ダムはカメの移動を妨げるだけでなく、下流に形成される砂浜や、乾季と雨季の水位変化にも影響する可能性があります。

    ムツコブヨコクビガメにとって、川は単なる水の通り道ではありません。

    雨季に餌を探す氾濫原。

    乾季に集まる河川。

    卵を産む砂浜。

    孵化した子ガメが最初に入る浅瀬。

    それらすべてがつながって、一つの生息地を作っています。

    1億匹以上を放しても減少している

    ブラジルでは1979年から「アマゾン淡水ガメ計画」が続けられています。

    産卵地の監視、巣の保護、卵の移動、子ガメの放流、地域住民への環境教育などを行う、大規模な保全事業です。

    計画開始から2026年までに、ムツコブヨコクビガメ、モンキヨコクビガメ、オオヨコクビガメの3種を合わせて、約1億700万匹の子ガメが自然へ放されました。

    この活動によって、一部のPodocnemis属では個体群の回復が確認されています。

    しかし、ムツコブヨコクビガメについては、複数の地域で現在も減少が続いています。

    子ガメを放すことは重要です。

    けれど、放した後に漁網で捕まる。

    産卵できる砂浜が失われる。

    川の水位変化が変わる。

    そうした状況が続けば、放流だけで個体群を回復させることはできません。

    地域住民が砂浜を守る

    アマゾンの淡水ガメ保護では、川沿いに暮らす地域住民が重要な役割を担っています。

    産卵期になると、住民が砂浜を巡回して巣を記録し、密猟者や捕食動物、浸水から卵を守ります。

    ブラジルのプルス川とイトゥシ川周辺では、住民主体の保全活動によって、オオヨコクビガメ、モンキヨコクビガメ、ムツコブヨコクビガメを合わせて、250万匹を超える子ガメが放流されています。

    広大なアマゾンのすべての砂浜を、行政職員だけで監視することはできません。

    いつ砂浜が現れるのか。

    どこにカメが集まるのか。

    どの場所が浸水しやすいのか。

    川とともに暮らしてきた人たちの知識がなければ、巣を見つけて守ることは難しいのです。

    絶滅危惧種への指定は「保護の始まり」

    絶滅危惧種に指定されたこと自体は、喜ばしいニュースではありません。

    それは、これまでの保護だけでは十分ではなかったという警告でもあります。

    一方で、公式リストへ加わることで、保護計画、環境影響評価、研究、監視、違法捕獲への対策などにおいて、ムツコブヨコクビガメを優先する根拠が強くなります。

    ブラジルの絶滅リスク評価は、分布域、個体数の減少、脅威、生息地の状態などを調査し、専門家による評価と検証を経て政策へ反映されます。

    名前がリストへ加えられただけでは、カメは増えません。

    しかし、減少している事実を公式に認めることが、対策を強化する最初の一歩になります。

    亀好きとして注目したいポイント

    このニュースで注目したいのは、たくさん子ガメを放してきた種類でも、安心できるとは限らないことです。

    砂浜から何千匹もの子ガメが川へ入る光景は、保護活動の成功として強く記憶に残ります。

    でも、子ガメが川へ入った瞬間が、保護の終わりではありません。

    その一匹が成長するまでには、長い時間がかかる。

    漁網を避けなければならない。

    水位の変化を生き延びなければならない。

    そして大人になった雌は、もう一度、安全な砂浜へ戻らなければならない。

    放された数だけでは見えない時間があります。

    今回の絶滅危惧種指定は、その見えない時間の中で、多くのカメが失われていることを示しているのだと思います。

    湯川亀吉の一言

    地球の運動と人間の経済活動を止めることができれば良いかもね。

    出典

    Mongabay
    「Brazil lists the Amazon river turtle as endangered for the first time」

    ブラジル・シコ・メンデス生物多様性保全研究所
    「ブラジル公式絶滅危惧動物リスト」

    ブラジル環境・再生可能天然資源院
    「アマゾン淡水ガメ計画」

    WCSブラジル
    「アマゾン淡水ガメが直面する脅威」

  • 【世界の亀ニュース】アマゾンの淡水ガメ「ムツコブヨコクビガメ」、ブラジルで絶滅危惧種に

    【世界の亀ニュース】アマゾンの淡水ガメ「ムツコブヨコクビガメ」、ブラジルで絶滅危惧種に

    今回は、ブラジルで報じられた、アマゾン川流域に生息する淡水ガメの保全状況に関するニュースを紹介します。

    今回のニュース

    ブラジルで、アマゾン川流域に暮らすムツコブヨコクビガメが、国内の最新評価で絶滅危惧種に分類されました。

    ムツコブヨコクビガメの学名は、Podocnemis sextuberculata。英語では「Six-tubercled Amazon River Turtle」と呼ばれています。

    報道によると、これまでブラジル国内では「準絶滅危惧」と評価されていましたが、個体数の大幅な減少が確認されたことから、「絶滅危惧」へ引き上げられました。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:ブラジル、アマゾナス州・パラー州西部を中心とするアマゾン川流域
    元記事の言語:英語
    公開時期:2026年7月15日
    情報の種類:新着ニュース・淡水ガメ・絶滅危惧種・保護活動

    登場する亀

    今回のニュースに登場するのは、ムツコブヨコクビガメです。

    アマゾン川とその支流に暮らすヨコクビガメの仲間で、ブラジルのほか、ペルー、コロンビア、ボリビアにも分布しています。

    Podocnemis属の中では比較的小型で、甲長はおよそ34センチ、体重は最大3.5キロほどになるとされています。

    英名の「Six-tubercled」は、幼い個体の腹甲に見られる特徴的な6つの隆起に由来します。

    この隆起は成長するにつれて目立たなくなるため、成体を上から見ただけでは、名前の由来が分かりにくいカメです。

    ニュースの要約

    ブラジルの評価では、アマゾナス州とパラー州西部に生息するムツコブヨコクビガメの個体数が、過去36年間で50%以上減少したと推定されました。

    36年は、この種にとって約3世代に相当します。

    調査対象となった地域には、ムツコブヨコクビガメの分布域全体のおよそ70%が含まれているため、この減少は種全体の将来を考えるうえでも、非常に重いものとされています。

    主な脅威として挙げられているのは、生息環境の悪化、卵や成体の過剰な採取、違法な捕獲などです。

    ムツコブヨコクビガメを含むアマゾンの淡水ガメは、長く地域の食文化と関わってきました。

    そのため、保護を進めるには、単に捕獲を禁止するだけでなく、カメに依存してきた先住民や河川地域の人々の生活と両立できる仕組みが必要だと指摘されています。

    長年の保護活動があっても減少している

    ブラジルでは、アマゾンのカメを守るための大規模な活動が長く続けられてきました。

    ブラジル環境・再生可能天然資源院の「アマゾン・カメ類プログラム」では、ムツコブヨコクビガメや、同じPodocnemis属のトラカジャ、オオヨコクビガメなどを対象に、子ガメの管理、放流、監視が行われています。

    これまでに保護活動の対象となった子ガメは、合計1億匹を超えるとされています。

    それでも、ムツコブヨコクビガメの個体数は減少しました。

    カメをたくさん放流するだけでは、すべての問題は解決しません。

    成体になるまで生きられる川が必要です。
    産卵できる砂州が必要です。
    卵を掘り返されない環境が必要です。
    そして、保護活動が数十年先まで続く仕組みも必要です。

    亀好きとして注目したいポイント

    このニュースで注目したいのは、保護活動が行われている種類でも、安心できるとは限らないということです。

    子ガメが放流される場面は、明るく希望に満ちて見えます。

    でも、その子ガメが成長し、繁殖できる年齢になり、再び砂州へ戻って卵を産むまでには、長い時間がかかります。

    その途中で、捕獲されるかもしれない。
    川の環境が変わるかもしれない。
    産卵場所が失われるかもしれない。

    亀の保護は、放流した瞬間に終わるものではありません。

    一匹の子ガメが、次の世代を残せる成体になるまで生きられる環境を守ること。

    その長い時間まで含めて、保護なのだと思います。

    地域の人々が守るアマゾンの川

    アマゾンでは、地域住民が産卵地や湖を守る保全活動も進められています。

    ジュルア川流域では、地域社会との協力によって砂州や三日月湖を保護し、違法漁業や密猟から淡水生態系を守る取り組みが行われています。

    ムツコブヨコクビガメも、こうした保護対象となる淡水ガメの一種です。

    遠くから来た誰かが亀を守るだけではなく、その川で暮らしてきた人たちが、自分たちの川と亀を守る。

    その形が続かなければ、アマゾンの広大な水域を守りきることはできないのかもしれません。

    湯川亀吉の一言

    アマゾン行ってみたいね〜。

    亀探してみたいし、ピンクのカワイルカも見てみたいね!

    出典

    元記事:Mongabay
    「Brazil lists the Amazon river turtle as endangered for the first time」

    関連情報:The Reptile Database
    「Podocnemis sextuberculata」

    関連情報:ブラジル環境・再生可能天然資源院
    「Programa Quelônios da Amazônia」

  • 【世界の亀ニュース】約50年ぶりに仲間と出会ったトウブハコガメの回復物語

    【世界の亀ニュース】約50年ぶりに仲間と出会ったトウブハコガメの回復物語

    今回は、アメリカで報じられた、長年不適切な環境で飼われていたトウブハコガメの回復に関するニュースを紹介します。

    今回のニュース

    アメリカで、約50年にわたって室内で飼われていたトウブハコガメが保護され、回復を続けていると報じられました。

    Peopleの記事によると、このトウブハコガメの名前は「Rockalina」。1970年代に野生から持ち帰られたあと、長いあいだ暗い室内で、主にキャットフードを食べながら暮らしていたとされています。2025年にGarden State Tortoiseによって保護され、その後、屋外環境での回復が進められてきました。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:アメリカ、ニュージャージー州
    元記事の言語:英語
    公開時期:2026年7月
    情報の種類:新着ニュース・保護活動・飼育改善・回復記録

    登場する亀

    今回のニュースに登場するのは、トウブハコガメです。

    トウブハコガメは、アメリカ東部に分布するハコガメの仲間です。名前に「turtle」とありますが、主に陸上で生活するカメで、森林や草地、湿った環境などと関わりながら暮らします。

    今回のRockalinaは、野生から人間の暮らしの中へ持ち込まれ、長いあいだ本来の環境から離れて生きてきた個体です。Garden State Tortoiseの動画説明では、1977年に野生から持ち帰られ、約50年にわたり台所の床で飼われていたと紹介されています。

    ニュースの要約

    Rockalinaは、保護された当初、非常に悪い状態だったと報じられています。

    Peopleの記事では、暗い室内で長く暮らし、日光を浴びることも、同じ種類のカメと関わることもなく、キャットフード中心の生活を続けていたと紹介されています。保護時には、目が閉じた状態で、爪は伸びすぎ、体には猫の毛が絡まっていたとされています。

    その後、Garden State Tortoiseの管理のもとで、Rockalinaは屋外の専用環境へ移され、自然に近い食事や日光、土や草に触れる生活を取り戻していきました。

    そして最近、Rockalinaは「Pebble」という若いトウブハコガメと初めて穏やかに対面し、イチゴを分け合うような様子も見られたと報じられています。これは、長く孤立していたRockalinaにとって、大きな一歩として紹介されています。

    亀好きとして注目したいポイント

    このニュースで注目したいのは、亀の時間の長さです。

    人間にとって50年は、とても長い時間です。
    でも、長寿のカメにとっても、それは決して軽い時間ではありません。

    野生から連れてこられ、本来の土も、草も、日光も、仲間もない場所で暮らす。
    それでもRockalinaは生き続けた。

    このニュースは、「カメは丈夫だから何でも大丈夫」という考えが、どれほど危ういかを教えてくれます。

    亀は強い。
    でも、強いから雑に扱っていいわけではない。

    日光、土、水、食べ物、隠れる場所、季節、そして同じ種類の仲間。
    そういうものがあって、初めてそのカメらしい時間が流れるのだと思います。

    湯川亀吉の一言

    俺も亀飼ってるから言えることだけど、生き物飼ってる人間は全員クズだね。

    この記事を読んで、すぐに全部の水槽の水換えをしたよ。

    出典

    元記事:People「Turtle Who Spent Decades Eating Cat Food Gets a New Best Friend After Remarkable Recovery」

    関連動画:Garden State Tortoise「Kitchen Floor Turtle Fed Cat Food for 50 Years Feels Sun for the First Time Since 1977!」

  • 【世界の亀ニュース】育てて放したブランディングガメが母に 20年越しの次世代が湿地へ

    今回は、アメリカ・マサチューセッツ州で続けられてきた淡水ガメの保護活動が、約20年を経て大きな節目を迎えたニュースを紹介します。

    今回のニュース

    2026年6月25日、アメリカ・マサチューセッツ州のグレート・メドウズ国立野生生物保護区で、2匹の若いブランディングガメが湿地へ放されました。

    今回の放流が特別だったのは、この2匹の母親もまた、幼いころに人間の手で育てられ、同じ湿地へ戻されたカメだったことです。

    保護活動で育てられたカメが成長し、野生で繁殖し、その子どもが再び湿地へ帰る。

    2003年に始まった保護事業で、初めて確認された「二代目」の野生復帰です。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:アメリカ合衆国、マサチューセッツ州
    場所:コンコード、グレート・メドウズ国立野生生物保護区と周辺湿地
    放流日:2026年6月25日
    発表時期:2026年6月29日〜7月7日
    情報の種類:新着ニュース・淡水ガメ・野生復帰・繁殖・保護活動

    グレート・メドウズ周辺では、アメリカ魚類野生生物局、マサチューセッツ州野生生物局、ズー・ニューイングランド、学校、地域住民などが協力し、ブランディングガメの保護を続けています。

    登場する亀

    今回のニュースに登場するのは、ブランディングガメです。

    学名は Emydoidea blandingii。英語ではBlanding’s Turtleと呼ばれます。

    北米に分布する半水棲の淡水ガメで、浅く流れの緩やかな湿地や、水草の多い池などを利用します。暗く滑らかなドーム状の背甲と、明るい黄色の顎から喉が特徴です。成体の甲長はおよそ16〜22センチになります。

    水中だけで一生を過ごすわけではありません。

    餌場、越冬場所、繁殖に使う水域、産卵場所の間を移動し、1マイル以上も陸上を歩くことがあります。そのため、湿地の分断や道路上での事故の影響を受けやすいカメです。

    ニュースの要約

    今回放された2匹は、生後約9か月のブランディングガメです。

    孵化後の最初の冬をストーン動物園で過ごし、十分に成長してから湿地へ戻されました。

    野生で冬を越した子ガメは、春になっても硬貨ほどの小ささであることが多く、捕食者に襲われる危険があります。一方、暖かい飼育環境で十分な餌を与えられた子ガメは、短期間で体を大きくし、野生で生き残れる可能性を高められます。

    この保護方法は、ヘッドスタートと呼ばれます。

    カメを一生飼育するのではありません。

    命を落としやすい幼少期だけを人間が預かり、ある程度成長した段階で本来の生息地へ戻します。

    母ガメ「アイビー」の物語

    2匹の母親は、個体番号144番、愛称をアイビーといいます。

    アイビーの物語は、2010年に始まりました。

    一匹の母ガメがグレート・メドウズの湿地を離れ、1マイル以上を移動して、近くのオフィス街の植え込みに巣を作りました。

    その巣から生まれた11匹の中に、体重わずか7グラムの雌の子ガメがいました。それがアイビーです。

    アイビーはストーン動物園で約10か月間育てられ、2011年に湿地へ放されました。

    甲羅には、将来再発見したときに識別できる小さな印が付けられていました。

    しかし、その後アイビーは10年以上、人間の前から姿を消します。

    湿地のどこかで生きているのか。
    事故に遭ったのか。
    捕食されたのか。

    人間には分からないまま、時間だけが過ぎていきました。

    10年以上ぶりの再発見

    2023年、野外調査を行っていたスタッフが、成長したアイビーを再発見しました。

    硬貨ほどの子ガメだったアイビーは、繁殖可能な大きさの成体になっていました。

    スタッフは甲羅に無線発信器を取り付け、その後の移動を追跡しました。

    そして2025年6月25日の深夜、アイビーが湿地から産卵場所へ向かっていることを発信器が知らせました。

    保護スタッフが追跡すると、アイビーは保全されている野生の花畑を選び、午前2時30分ごろから8個の卵を産みました。

    そのうち7個が無事に孵化しました。

    保護されたカメが、自分で次の世代を残した

    ヘッドスタートでは、放した子ガメの数が成果として注目されることがあります。

    しかし、本当の目的は、放したカメが大人になることです。

    さらに、その成体が人間の助けを受けずに野生で相手を見つけ、産卵し、次の世代を残すことです。

    アイビーの産卵は、この保護活動が「子ガメを放す段階」から、野生の個体群が自分たちで世代をつなぐ段階へ進み始めたことを示しています。

    2003年に活動が始まってから、グレート・メドウズと周辺湿地では800匹以上のヘッドスタート個体が放されてきました。

    ズー・ニューイングランドのHATCHプログラム全体では、1,400匹以上のブランディングガメが育てられています。

    学校の教室で育てられる子ガメ

    この活動に参加しているのは、動物園や研究施設だけではありません。

    地元の学校では、子どもたちが教室に設置された水槽で、ブランディングガメの子ガメをひと冬育てます。

    暖かい水槽の中で餌を与え、体重や甲羅の長さを記録し、春になると湿地へ戻します。

    2009年以降、この活動にはマサチューセッツ州の学校から2万2,000人以上の児童・生徒が参加しています。

    アイビーが産んだ7匹のうち、今回の式典で放された2匹以外の子ガメも、地域の学校で育てられ、生徒たちによって野生へ戻されました。

    一匹の母ガメから生まれた子どもたちが、複数の教室で冬を越し、それぞれの生徒に見送られて湿地へ帰ったことになります。

    なぜ回復に20年以上かかるのか

    ブランディングガメは、とても長く生きるカメです。

    保護された環境では70〜80年以上生きる可能性があります。

    一方で、繁殖を始めるまでには長い時間がかかり、一般に成熟するのは十数年から20年以上経ってからです。

    卵を孵化させ、子ガメを育て、放流するだけなら、一年以内に行えます。

    しかし、そのカメが無事に成長し、自分の卵を産んだことを確認するには、さらに十年以上待たなければなりません。

    保護活動の結果を確かめるためには、人間の年度や計画期間ではなく、カメの一生に合わせて待つ必要があります。

    カメが移動できる地域を守る

    ブランディングガメを守るには、巣や一つの池だけを囲えばよいわけではありません。

    カメたちは複数の湿地を利用し、その間にある森林や草地、住宅地の近くを歩きます。

    アイビーの母親はオフィス街へ産卵に向かい、アイビー自身は保護された花畑に卵を産みました。

    人間が利用する土地と、カメが利用する土地は、完全には分かれていません。

    道路、住宅地、学校、企業、保護区を含む地域全体で協力しなければ、移動するカメを守ることはできません。

    亀好きとして注目したいポイント

    このニュースで注目したいのは、一度放したカメを、人間が完全には見守れないことです。

    アイビーは湿地へ帰ったあと、10年以上姿を見せませんでした。

    保護した人たちは、その間に何が起きているのか知ることができなかった。

    それでも、アイビーは生きていた。

    水の中で餌を探し、冬を越し、少しずつ体を大きくしていた。

    そして、再び見つかったときには、次の世代を残せる母ガメになっていました。

    保護活動は、すべてを管理することではありません。

    人間の手から離れたあと、カメが自分の時間を生きられるようにすること。

    アイビーの子どもたちは、今度は自分たちの姿を湿地の中へ消していきます。

    次に人間と出会うのは、何年後になるのでしょうか。

    湯川亀吉の一言

    亀の累代繁殖やりたいよね。

    出典

    U.S. Fish and Wildlife Service
    「Partners release second generation of “headstarted” turtles at Great Meadows National Wildlife Refuge」

    Massachusetts Division of Fisheries and Wildlife
    「Historic win for Blanding’s turtles」

    Zoo New England
    「Zoo New England, MassWildlife, and U.S. Fish & Wildlife Service release historic second-generation Blanding’s turtles」

    U.S. Fish and Wildlife Service
    「Blanding’s Turtle(Emydoidea blandingii)」

  • 【世界の亀ニュース】洪水に沈む産卵地 マグダレナヨコクビガメの卵を守るコロンビアの人々

    【世界の亀ニュース】洪水に沈む産卵地 マグダレナヨコクビガメの卵を守るコロンビアの人々

    今回は、南米コロンビアにしか生息していない淡水ガメ、

    マグダレナヨコクビガメ

    を紹介します。

    学名は、

    Podocnemis lewyana。

    英語では、

    Magdalena River Turtle

    と呼ばれています。

    2026年。

    このカメが産卵するシヌー川で、大規模な洪水が発生しました。

    本来なら、

    水位が下がる。

    砂州が現れる。

    雌ガメが上陸する。

    穴を掘る。

    卵を産む。

    そんな季節でした。

    ところが今年は、

    卵を産む砂浜そのものが水の下へ消えてしまった。

    それでも地域の人たちは、水位の変化を見ながら残された砂州を歩き、カメの巣を探し続けています。

    今回のニュース

    2026年6月29日、Turtle Survival Alliance(TSA)は、コロンビア北西部のシヌー川で行われているマグダレナヨコクビガメの保全活動について報告しました。

    2026年初頭、北半球から南下した寒冷前線の影響によってコロンビア・カリブ地域で激しい雨が降り、大規模な洪水が発生。

    さらにTSAによると、Urrá水力発電ダムの運用に伴うシヌー川流量の異常な増加が洪水を悪化させたとされています。

    コルドバ県では10を超える自治体が被害を受けました。

    そして、

    マグダレナヨコクビガメの重要な繁殖地である**Cotocá Arriba(コトカ・アリバ)**も、大きな被害を受けました。

    どこの国・地域の話か

    国:コロンビア
    県:コルドバ県
    地域:Cotocá Arriba
    河川:シヌー川
    発表:2026年6月29日
    対象種:マグダレナヨコクビガメ
    学名:Podocnemis lewyana
    情報の種類:淡水ガメ・産卵・洪水・巣の保護・地域住民による保全

    本種はコロンビア固有種です。

    マグダレナ川水系とシヌー川水系を中心に分布し、ナンベイヨコクビガメ属の中でも、アンデス山脈の西側に自然分布する唯一の種類とされています。

    日本語では「マグダレナヨコクビガメ」という名称が使われることがあります。

    登場する亀

    マグダレナヨコクビガメは、

    ナンベイヨコクビガメ科の中大型淡水ガメです。

    2026年に公開されたIUCN/SSC Tortoise and Freshwater Turtle Specialist Groupの最新種アカウントでは、最大直線甲長は、

    雌:約50cm
    雄:約42.4cm

    とされています。

    そして名前の通り、

    ヨコクビガメ。

    一般的な潜頸類のように首を真っすぐ甲羅の中へ引き込むのではなく、首を横方向へ曲げて収納します。

    雌はおよそ5〜7年、雄は3〜4年ほどで性成熟すると考えられています。

    世代時間は約10〜12年。

    つまり、一度個体群が大きく減ると、

    元の数まで戻るのに非常に長い時間がかかるカメです。

    年に2回、砂浜へ上がる

    マグダレナヨコクビガメは、

    一年に二つの主要な繁殖期があります。

    12月〜2月。

    そして、

    7月〜8月。

    川の水位が下がると、

    普段は水中に隠れている砂州や砂浜が姿を現します。

    雌ガメはそこへ上がり、

    穴を掘って卵を産みます。

    通常は一度に12〜22個程度。

    大型の雌では、

    最大32個ほどの卵を産むことがあります。

    孵化までは平均約61日。

    生まれたばかりの子ガメの甲長は、わずか4〜5cmほどです。

    カメの巣に必要なのは「水が少ない時間」

    ここが今回のニュースを理解するうえで重要です。

    川に暮らすカメだから、

    水が多いほうが良い。

    とは限りません。

    成体にとって川は生活場所です。

    でも、

    卵には水が多すぎると困る。

    川の水位が下がる。

    砂浜が出る。

    雌が産卵する。

    約2か月、

    卵が土の中で発生する。

    子ガメが孵化する。

    川へ向かう。

    この時間が必要です。

    ところが途中で川が増水すれば、

    巣が水没します。

    卵は正常に発生できなくなり、

    孵化できない可能性が高くなります。

    2026年、その砂浜が消えた

    本来この時期のシヌー川では、

    水位が低くなり、

    産卵に使える砂浜が現れます。

    ところが2026年。

    豪雨と河川の増水によって、

    その砂浜が水没しました。

    川岸だけではありません。

    Cotocá Arribaでは、

    農作物。

    道路。

    住宅。

    人間の暮らしそのものも洪水の被害を受けました。

    つまり、

    カメを守っている人たち自身も、

    被災者でした。

    それでも川へ行く

    それでも、

    地域住民はカメの巣を探しました。

    水が少し引く。

    砂浜が少しだけ現れる。

    そこへ行く。

    足跡を見る。

    砂を見る。

    巣を探す。

    また水が来る前に、

    卵を救い出す。

    TSAの報告では、住民たちは洪水の波の合間を縫って砂州を巡回したとされています。

    卵は「向きを変えない」

    巣を見つけると、

    すぐ掘り出せばいい。

    というわけでもありません。

    カメの卵は、

    扱い方にも注意が必要です。

    住民たちは慎重に卵を掘り出し、

    向きを回転させないようにして

    運搬用の容器へ入れます。

    その後、

    安全な施設へ運び、

    人工的な環境で孵化まで管理します。

    つまり、

    自然の巣を別の場所へ移して、

    洪水より先に卵を避難させるわけです。

    普通なら140巣

    数字を見ると、

    2026年の異常さが分かります。

    通常の繁殖シーズン。

    地域住民が救出する巣は、

    平均して、

    約140巣。

    ところが、

    2026年6月29日の報告時点で救出できたのは、

    5巣。

    140。

    そして、

    5。

    産卵できる砂浜がどれほど失われたのかが分かります。

    でも、その5巣から孵化が始まった

    そして、

    小さなニュースがあります。

    救出された5巣の卵から、

    子ガメが孵化し始めました。

    5巣しか救えなかった。

    そう考えることもできます。

    でも、

    もし誰も砂州へ行かなければ、

    その5巣も水の下へ消えていたかもしれません。

    今年生まれるはずだった一世代の一部が、

    人間の手によって洪水を越えました。

    この活動は2013年から続いている

    今回だけ、

    突然カメを助け始めたわけではありません。

    Cotocá Arribaの地域住民は、

    2013年から

    WCS ColombiaやTurtle Survival Allianceと協力して、

    シヌー川でカメの巣を守っています。

    最初の年に保護した巣は、

    9巣。

    そこから活動は拡大。

    現在では、

    15か所の産卵地を監視しています。

    そしてこれまでに、

    1,000巣以上を保護。

    そこから生まれた、

    16,000匹以上の子ガメをシヌー川へ放してきました。

    9巣から始まった

    僕は、

    この数字も好きです。

    最初から、

    巨大な保全プロジェクトだったわけではありません。

    2013年。

    9巣。

    そこから、

    毎年川を見る。

    雌が来る。

    巣を探す。

    卵を守る。

    子ガメを放す。

    また次の年。

    それを繰り返す。

    13年。

    その結果が、

    1,000巣。

    16,000匹です。

    「Sinú Turtles」

    Cotocá Arribaで行われているこの取り組みは、

    Sinú Turtles

    と呼ばれています。

    主役は、

    地域住民です。

    研究者だけが川へ来て調査するのではありません。

    川の水位を普段から見ている人。

    砂州がどこに出るか知っている人。

    カメがいつ来るか知っている人。

    その川で暮らしてきた人たち自身が、

    巣を探します。

    これは、

    かなり強い保全方法だと思います。

    川にはダムがある

    さらに、

    シヌー川のカメには難しい問題があります。

    上流には、

    Urrá水力発電ダム

    があります。

    ダムは、

    人間に電力を供給します。

    しかし、

    河川の水位変化にも影響します。

    WCS Colombiaは、人工的な水位変動によってマグダレナヨコクビガメの巣が浸水する危険性が高まるため、地域住民が毎年産卵地を監視し、必要なら卵を人工孵化施設へ移していると説明しています。

    つまり、

    昔なら自然の季節変化に合わせていた産卵が、

    人間による河川管理の影響も受けるようになっています。

    洪水だけが敵ではない

    マグダレナヨコクビガメは、

    IUCNレッドリストで、

    Critically Endangered(CR/深刻な危機)

    に分類されています。

    CITESでは、

    ナンベイヨコクビガメ属として附属書IIに掲載されています。

    大きな脅威の一つが、

    捕獲です。

    成体が食用として捕られる。

    卵も採取される。

    2024年に発表された12年間の調査では、調査個体群で雌と幼体の割合が時間とともに減少し、残された雌も小型化する傾向が確認されました。

    研究者たちは、捕獲圧によって大型の成体雌が選択的に失われている可能性を指摘しています。

    雌が減るということ

    これは、

    カメでは特に大きな問題です。

    一匹の大きな雌が、

    毎年何十個もの卵を産む。

    その雌が捕られる。

    すると、

    失われるのは一匹だけではありません。

    その先、

    何年にもわたって産まれるはずだった卵も、

    同時に失われます。

    しかもマグダレナヨコクビガメの世代時間は、

    10〜12年ほど。

    大きな雌を失った個体群が、

    すぐ次の世代で元に戻ることはできません。

    推定16,000〜28,000匹

    Turtle Survival Allianceは現在の野生個体数を、

    約16,000〜28,000匹

    と推定しています。

    数字だけを見ると、

    「まだたくさんいる」

    と思うかもしれません。

    でも、

    個体数傾向は減少。

    そして分布は、

    ほぼコロンビアの限られた河川水系だけです。

    さらに、

    すべての個体が同じではありません。

    2026年の研究では、シヌー川とマグダレナ川などの個体群には明確な遺伝的違いがあり、少なくとも3つの異なる保全管理単位として考える必要があることが示されています。

    つまり、

    別の川にたくさんいるから、

    一つの川の個体群が消えても大丈夫、

    という話ではありません。

    このカメは種を運ぶ

    マグダレナヨコクビガメは、

    主に植物を食べます。

    水生植物。

    陸上植物。

    果実。

    そして、

    食べた果実の種子を別の場所へ運びます。

    2026年の種アカウントでは、本種が種子散布や発芽を助け、河川生態系の栄養循環にも関わっている可能性が指摘されています。

    カメが一匹減る。

    それだけでは、

    川の変化は見えないかもしれません。

    でも、

    何千匹、

    何万匹と減れば、

    植物の種が運ばれる方法まで変わる可能性があります。

    16,000匹を「放した」という数字の意味

    これまでに放された子ガメは、

    16,000匹以上。

    ものすごい数字です。

    でも、

    16,000匹を放せば、

    16,000匹の成体になるわけではありません。

    子ガメは小さい。

    魚。

    鳥。

    その他の捕食者。

    洪水。

    乾燥。

    さまざまな危険があります。

    だから、

    たくさん生まれる。

    たくさん死ぬ。

    その中から、

    ごく一部が成体になる。

    それが、

    カメの自然な生き方です。

    保全活動がしていることは、

    子ガメを永久に安全な場所で飼うことではありません。

    「本来川へ入るはずだった子ガメが、卵の段階で全滅する」という異常を減らしている。

    そう考えるほうが近いと思います。

    2026年の5巣

    だから、

    今回の5巣も重要です。

    普通なら140巣。

    今年は5巣。

    数字だけなら、

    失敗に見えます。

    でも、

    洪水の中で、

    住宅も農地も被害を受けている人たちが、

    それでも砂浜へ行った。

    そして、

    5つを見つけた。

    卵を運んだ。

    孵化させた。

    その子ガメが、

    もうすぐ川へ戻る。

    保全の成果は、

    毎年右肩上がりになるとは限らないんですね。

    自然条件が悪い年もあります。

    亀好きとして注目したいポイント

    今回のニュースで僕が一番注目したいのは、

    「カメを守っている人も、同じ洪水の中にいる」

    というところです。

    外から来た人が、

    カメだけを助けているわけじゃない。

    家が水に浸かる。

    作物が駄目になる。

    道路が通れない。

    自分たちの生活にも、

    大きな問題が起きている。

    それでも、

    川を見る。

    砂浜が出たら、

    カメの巣を探す。

    なぜそこまでやるのか。

    Cotocá Arribaで巣の救出に参加するJuan Negretteさんは、

    このカメを、

    シヌー川と地域を象徴する存在

    として語っています。

    カメを守ることと、

    自分たちの川を守ることが、

    分かれていないんだと思います。

    湯川亀吉の一言

    亀ってかっこいいよね。

    出典

    Turtle Survival Alliance
    「Protecting Magdalena River Turtle Nests as Waters Rise」
    2026年6月29日。洪水、5巣の救出、2013年からの地域保全、1,000巣以上・16,000匹以上の実績について。
    TSAの記事を読む

    WCS Colombia
    「Magdalena river turtle」
    Sinú Turtlesプロジェクト、生態、産卵地の洪水リスク、人工孵化について。
    WCS Colombiaの種紹介を見る

    IUCN/SSC Tortoise and Freshwater Turtle Specialist Group
    「Podocnemis lewyana – Magdalena River Turtle」
    2026年8月17日公開。体格、繁殖、生態、分布、遺伝的構造、保全状況についての最新種アカウント。
    2026年の種アカウントを見る

    Turtle Survival Alliance
    「Magdalena River Turtle」
    推定野生個体数、主要な脅威、現在の保全活動について。
    TSAの種紹介を見る

    Environmental Monitoring and Assessment
    「Lessons learned during a 12-year monitoring project with the endangered Magdalena River turtle」
    2024年8月30日。12年間の調査から、成体雌・幼体の減少と捕獲圧との関係を分析した研究。
    研究論文を読む

  • 【世界の亀ニュース】6週間で90%の個体が消えた川 16匹から始まったベリンジャーリバータートル復活計画

    【世界の亀ニュース】6週間で90%の個体が消えた川 16匹から始まったベリンジャーリバータートル復活計画

    今回は、オーストラリア・ニューサウスウェールズ州の一本の川だけに生息する希少な淡水ガメを紹介します。

    学名は、

    Myuchelys georgesi。

    英語では、

    Bellinger River Snapping Turtle
    または
    Bellinger River Saw-shelled Turtle

    と呼ばれています。

    日本語で広く定着した標準和名は確認できなかったため、この記事では英名をもとに、

    ベリンジャーリバータートル

    と表記します。

    2015年。

    このカメが暮らす川で、突然カメが死に始めました。

    原因は、それまで科学に知られていなかったウイルス。

    わずか6週間。

    その間に、

    野生個体群のおよそ90%が失われました。

    種そのものが、

    一本の川から消える寸前まで追い込まれました。

    今回のニュース

    今回取り上げるのは、一つの出来事というより、

    2015年から現在まで続いている復活計画そのもの

    です。

    2015年の大量死を受け、ニューサウスウェールズ州政府とTaronga Zooなどは緊急対応を開始。

    病気の影響を受けていない健康なカメを探し、

    16匹を保全繁殖の基礎個体として確保しました。

    そこから繁殖が始まります。

    現在、Taronga Zooでは10回の繁殖シーズンを通じて、

    500匹を超える子ガメが孵化。

    その子孫を使って5回の野生復帰が実施され、

    197匹の若いカメがベリンジャー川へ戻された

    と報告されています。

    16匹。

    そこから、

    500匹以上。

    そして、

    再び川へ。

    でも、

    この物語はまだ終わっていません。

    どこの国・地域の話か

    国:オーストラリア
    州:ニューサウスウェールズ州
    地域:ニューサウスウェールズ州北部
    河川:Bellinger River(ベリンジャー川)
    対象種:Myuchelys georgesi
    英名:Bellinger River Snapping Turtle / Bellinger River Saw-shelled Turtle
    情報の種類:淡水ガメ・感染症・飼育下繁殖・野生復帰・河川保全

    このカメの大きな特徴は、

    世界中を探しても、ほぼこの川にしかいない

    ということです。

    オーストラリア政府によると、生息域はニューサウスウェールズ州北部のベリンジャー川流域に限られています。

    つまり、

    この一本の川で何か起きれば、

    世界中の個体群が同時に危険になります。

    登場する亀

    ベリンジャーリバータートルは、

    ヘビクビガメ科に属する短い首の淡水ガメです。

    成体の背甲は楕円形で暗褐色。

    雌は甲長約25cm、

    雄は約18cmまで成長します。

    顎から首にかけて淡い黄色の線が入る個体が多く、

    顎の下には、

    2本の小さな肉質突起=バーベル

    を持つ個体もいます。

    岩のある澄んだ川を好む

    このカメは、

    泥の多い沼を主な生活場所にするタイプではありません。

    好むのは、

    流れのある透明な川。

    特に、

    深さのある淵。

    岩。

    礫。

    小石。

    そうしたものが川底にある場所を利用します。

    オーストラリア政府は、2mを超える深い淵で確認されることも多いとしています。

    水底では、

    水生昆虫などの大型無脊椎動物。

    植物。

    果実。

    などを食べる雑食性です。

    2015年2月、川で異変が起きた

    2015年2月。

    ベリンジャー川の岸で、

    カメが次々と見つかるようになります。

    しかし、

    普通ではありませんでした。

    病気になっている。

    衰弱している。

    そして、

    死んでいく。

    当初、

    原因は分かりませんでした。

    水質汚染なのか。

    毒物なのか。

    細菌なのか。

    未知の感染症なのか。

    調査が始まります。

    そして後に、この大量死と強く関連すると考えられる新しいウイルスが特定されました。

    現在、

    Bellinger River Virus

    と呼ばれています。

    6週間

    数字だけ見ると、

    この事件の異常さが分かります。

    大量死が起こる前、

    野生個体群はおよそ4,000匹だったと推定されています。

    ところが、

    わずか6週間で約90%が死亡。

    2015年末には、

    推定約400匹。

    さらに2019年頃には、

    約150匹まで減少した可能性があります。

    数千匹いたカメが、

    一つの季節の中で、

    ほとんどいなくなりました。

    カメの「パンデミック」

    Taronga Zooは、この出来事を紹介する際、

    Turtle pandemic

    という表現を使っています。

    まさに、

    カメだけのパンデミックです。

    しかも、

    このカメには逃げ場がありません。

    広いオーストラリア大陸のあちこちに生息しているなら、

    一つの川で病気が起きても、

    別の地域の個体群が残る可能性があります。

    でも、

    ベリンジャーリバータートルは違う。

    ほぼ一本の川だけ。

    病気がその川を進めば、

    種そのものを巻き込む可能性がある。

    そこで16匹を川から出した

    大量死が続く中、

    保全チームは一つの決断をします。

    健康なカメを、

    川から避難させる。

    16匹。

    この個体たちが、

    将来の保全繁殖の基礎になりました。

    これは、

    ある意味では非常に怖い選択だったと思います。

    野生動物を自然から取り上げる。

    でも、

    そのまま川に置いておけば、

    ウイルスに感染して死ぬ可能性もある。

    捕まえるリスクと、

    残すリスク。

    その中で、

    種全体を失わないために、

    人間の管理下へ移しました。

    「保険」としての16匹

    この16匹は、

    ただ救助されたカメではありません。

    もし川の個体群が完全に消えてしまっても、

    種そのものを残すための、

    insurance population=保険個体群

    です。

    つまり、

    世界からこのカメがいなくなるかもしれない状況で、

    最後のバックアップを作ったことになります。

    Taronga Zooで繁殖計画が始まり、

    2017年にはSymbio Wildlife Parkにも第二の繁殖個体群が作られました。

    一か所だけではない。

    もし一つの施設で事故や感染症が起きても、

    別の場所に個体群を残す。

    ここにも、

    「種を失わないための保険」

    という考え方があります。

    そして卵を産んだ

    保全施設へ移されたカメたちは、

    繁殖を始めました。

    最初の繁殖成功時には、

    複数の雌が卵を産み、

    小さな子ガメが孵化しました。

    孵化直後の体重は、

    わずか4〜5グラム程度。

    ほぼコインほどの大きさです。

    2018年には、

    その年だけで31匹が孵化。

    前年の22匹と合わせ、

    飼育下個体群が急速に増え始めました。

    現在までに500匹以上が孵化

    そして現在。

    Taronga Zooの保全プログラムでは、

    10回連続の繁殖シーズンで、500匹以上が孵化しました。

    2015年。

    16匹を保護する。

    そこから、

    卵。

    子ガメ。

    また卵。

    また子ガメ。

    何世代もつなぐ。

    一度、

    数百匹規模まで落ちた種を、

    もう一度増やそうとしています。

    でも飼育施設で増やすだけでは意味がない

    この「世界の亀ニュース」で何度も出てくる話だけど、

    ここでも同じです。

    動物園で500匹生まれた。

    それは、

    ものすごい成果です。

    でも、

    ベリンジャーリバータートルは、

    動物園のカメではありません。

    ベリンジャー川のカメです。

    だから、

    最終的には川へ戻さなければなりません。

    2018年、最初の10匹

    最初の試験的な野生復帰は、

    2018年。

    飼育下で生まれ育った若いカメ10匹が、

    ベリンジャー川へ放されました。

    初期の追跡では、

    10匹のうち8匹が生存確認され、

    もう1匹も生きている可能性が高いとされました。

    つまり、

    動物園で生まれたカメでも、川で生活できた。

    この結果が、

    次の放流につながります。

    97匹を一度に川へ

    そして2024年。

    それまでで最大規模となる放流が実施されます。

    数は、

    97匹。

    飼育施設で育てられた若いベリンジャーリバータートルが、

    一度に川へ戻りました。

    この放流によって、

    2018年以降に野生へ戻された数は、

    当時合計179匹になりました。

    その後もプログラムは続き、

    Taronga Zooの現在の情報では、

    197匹が川へ戻された

    とされています。

    放したカメを追いかける

    カメを川へ入れる。

    写真を撮る。

    拍手する。

    それで終わりではありません。

    放流された個体は、

    その後も追跡されます。

    生きているか。

    どこへ移動したか。

    どんな水深を使うか。

    病気になっていないか。

    どんな場所に定着するか。

    そうした情報を集めます。

    野生復帰で本当に知りたいのは、

    「放せたか」ではなく、「放したあと生きられたか」

    だからです。

    そして最大の問題は、まだ川にウイルスがいるかもしれないこと

    ここが、

    この保全プロジェクトの難しいところです。

    原因となったウイルスに対して、

    現在も確立した治療法はありません。

    さらに、

    ウイルスがどのように伝播するのか。

    どこに残っているのか。

    再び大規模な流行が起こる可能性はあるのか。

    完全には解明されていません。

    つまり、

    カメを増やして、

    元の川へ戻す。

    でも、

    その川こそが、かつて大量死が起きた場所。

    そこへ戻さなければ、

    野生復帰にはならない。

    でも、

    戻せば病気に遭遇する可能性がある。

    非常に難しい問題です。

    ワクチンまで研究対象になっている

    オーストラリア政府が挙げている将来の重要な保全策の一つには、

    ニドウイルスに対するワクチン開発

    まで含まれています。

    亀の保全というと、

    巣を守る。

    密猟を防ぐ。

    森を残す。

    そんな活動を想像します。

    でも、

    このカメの場合は、

    ウイルス学。

    獣医学。

    免疫。

    ワクチン。

    そうした分野まで必要になります。

    川そのものを監視する

    さらに、

    病気だけ調べればいいわけではありません。

    水質。

    水生昆虫。

    川岸の植物。

    外来種。

    流域の土地利用。

    全部が、

    カメの生活につながります。

    現在もベリンジャー川では水質調査や大型無脊椎動物の調査が続き、2024〜2025年には病気の監視のため30匹以上のカメが健康診断を受けています。

    河岸では、

    17ヘクタール以上の外来植物除去。

    家畜が川岸へ入り込むのを防ぐ約700mのフェンス設置。

    なども進められています。

    カメを守るというより、

    カメが生きている川全体を診察している

    ようなプロジェクトです。

    卵にも敵がいる

    さらに野生へ戻ったあとには、

    感染症以外の危険もあります。

    雌は晩春になると川岸へ上がり、

    砂や礫のある場所へ、

    10〜15個程度の卵を産みます。

    ところが、

    その卵は、

    キツネ。

    オオトカゲ類。

    などに捕食されます。

    そのため、

    重要な産卵地を守ることも、

    現在の保全計画に含まれています。

    一つ問題を解決すると、

    次の問題が出てきます。

    病気から救う。

    繁殖させる。

    川へ戻す。

    卵を守る。

    川を守る。

    亀一種を守るために、一本の川を見る

    僕は、

    このニュースの面白いところはここだと思います。

    最初は、

    「カメが死んでいる」

    という事件でした。

    だから、

    カメを調べる。

    でも、

    だんだん範囲が広がる。

    ウイルスを調べる。

    水を調べる。

    川底を調べる。

    植物を見る。

    外来種を見る。

    農地を見る。

    人間の暮らしを見る。

    最後には、

    一本の川そのものを理解しなければ、カメを守れない

    というところまで行きます。

    小さなカメ一種から、

    川全体が見えてきます。

    亀好きとして注目したいポイント

    今回のニュースで僕が一番注目したいのは、

    16匹という数字です。

    500匹以上生まれた。

    197匹戻った。

    97匹を一度に放した。

    どれも大きな数字です。

    でも、

    そのすべての始まりは、

    16匹だった。

    ウイルスが川を進んでいる。

    カメが次々死ぬ。

    残っている健康な個体を探す。

    見つける。

    捕まえる。

    隔離する。

    その16匹が、

    今の個体群の未来につながっている。

    もし、

    「あまりにも少ないから意味がない」

    と諦めていたら、

    現在の500匹は存在していなかったかもしれません。

    16匹でも、

    始める。

    僕は、

    そこが一番すごいと思います。

    湯川亀吉の一言

    この亀初めてみた!!

    かっこいいなぁ!!

    出典

    Taronga Conservation Society Australia
    「Bellinger River Turtle」
    現在の繁殖状況、生態、500匹以上の孵化、197匹の野生復帰について。
    Taronga Zoo「Bellinger River Turtle」

    Australian Government – Department of Climate Change, Energy, the Environment and Water
    「Bellinger River snapping turtle」
    分布、形態、2015年の大量死、個体数推定、脅威、現在の保全策について。2026年5月26日更新。
    オーストラリア政府の種情報

    NSW Government / Saving our Species
    「From crisis to conservation: almost 100 Bellinger River snapping turtles in largest release yet」
    2024年4月8日。97匹の放流と2015年以降の回復計画について。
    NSW Governmentの記事

    Taronga Conservation Society Australia
    「From crisis to conservation: almost 100 Bellinger River snapping turtles in largest release yet」
    2024年4月5日。
    Taronga Zooの記事

    NSW Government – North Coast Local Land Services
    「Bellinger River snapping turtle conservation」
    2024〜2025年の水質調査、疾病監視、河岸環境の回復活動について。
    現在の河川保全プロジェクト

  • 【世界の亀ニュース】18,000個超の卵を救う ガイアナの先住民が川岸で守る淡水ガメの未来

    【世界の亀ニュース】18,000個超の卵を救う ガイアナの先住民が川岸で守る淡水ガメの未来

    今回は、南米ガイアナのルプヌニ地方で、地域住民が中心となって淡水ガメの産卵地を守り、1万8,000個を超える卵を孵化させた保護活動を紹介します。

    今回のニュース

    ガイアナ南部のルプヌニ地方で、2021年から2025年までの間に、18,000個を超える淡水ガメの卵が保護され、孵化しました。

    活動には、Sustainable Wildlife Management Programme、South Rupununi Conservation Society、Caiman House、そして地域の先住民コミュニティが参加しています。保全活動全体では26の先住民コミュニティと連携し、カメの現地活動では123人のレンジャーが関わり、5つの地域コミュニティで131か所の砂浜を見守ってきました。

    成果は2026年5月、Sustainable Use of Wild Species Transformative Partnership Platformによって紹介されました。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:ガイアナ共和国
    地域:ルプヌニ地方
    対象環境:河川、湿地、砂浜、氾濫原
    活動期間:2021〜2025年
    発表時期:2026年5月
    情報の種類:淡水ガメ・産卵地保全・孵化・地域保全・先住民コミュニティ

    ルプヌニはガイアナ南西部に位置し、森林、サバンナ、河川、湿地が入り組む地域です。地域では魚や野生動物が食文化や生活と深く結びついており、保全と持続可能な利用を同時に考える取り組みが進められています。

    登場する亀

    ルプヌニ地方では、6種類の淡水ガメが確認されています。

    その中でも今回の保全活動で特に重要なのが、モンキヨコクビガメとオオヨコクビガメです。研究では、ルプヌニにはモンキヨコクビガメ(Podocnemis unifilis)、オオヨコクビガメ(Podocnemis expansa)のほか、Rhinoclemmys punctularia、マタマタ、Platemys platycephala、Mesoclemmys gibbaが生息すると報告されています。

    モンキヨコクビガメ

    学名は Podocnemis unifilis。

    英語ではYellow-spotted River Turtleと呼ばれます。

    日本の環境省も「モンキヨコクビガメ」という和名を使用しており、南米のアマゾン川・オリノコ川流域などに広く分布する一方、生息地の減少や卵・成体の過剰利用によって多くの地域で個体数が減少しているとしています。

    幼体では頭部に黄色い斑紋があり、これがこのカメを見分ける大きな特徴です。成長すると模様は薄くなりますが、雄では残る場合があります。

    オオヨコクビガメ

    学名は Podocnemis expansa。

    南米最大級の淡水ガメで、アマゾン川、オリノコ川、エセキボ川などの大河川流域に生息します。大型の雌では甲長60センチを大きく超えることがあります。

    今回の活動地域であるガイアナも、本種の自然分布域に含まれています。

    ニュースの要約

    ルプヌニ地方では、淡水ガメの個体群が、卵や成体の過剰利用、ペット取引、洪水などによって減少してきました。

    そこで地域住民が河川の砂浜を巡回し、産卵された巣を確認。

    浸水や捕食などの危険が高い場合には卵を安全な場所へ移し、孵化するまで保護します。孵化した子ガメは、その後ふたたび自然の河川へ戻されます。

    2021年から2025年までの活動で、保護・孵化された卵は1万8,000個を超えました。

    131か所の砂浜を見守る

    この活動で印象的なのは、一つの巨大な保護施設でカメを増やしているわけではないことです。

    保全の現場は、カメが実際に卵を産む川岸です。

    活動では123人のレンジャーが参加し、5つの地域コミュニティにまたがる131か所の砂浜が対象になりました。

    川岸を歩く。

    足跡を探す。

    巣を見つける。

    水位を見る。

    卵が安全な場所にあるか判断する。

    必要な場合だけ、人間が手を加える。

    広い河川を守るには、毎年その川を見て暮らしている地域住民の存在が欠かせません。

    カメの繁殖は「川の水位」とつながっている

    モンキヨコクビガメの繁殖は、川の水位変化と強く結びついています。

    雌は水位が下がり始める乾季に産卵場所へ移動し、砂浜などに卵を産みます。

    つまり、人間から見ればただの川岸でも、カメにとっては期間限定の産卵場所です。

    雨季には水の下にある。

    乾季になると砂浜が現れる。

    そこへ母ガメが上がる。

    そして卵を残す。

    ところが、予想より早く水位が上昇すれば、砂の中の卵は水没します。

    そのため、レンジャーたちは卵だけを見るのではなく、川そのものの変化を観察する必要があります。

    卵を動かすべきか、動かさないべきか

    すべての卵を回収して人工的に孵化させるわけではありません。

    2025年にまとめられた「Rupununi Freshwater Turtle Management Plan」では、現地で巣をそのまま守る方法、危険な巣の移動、ヘッドスタート、研究、環境教育、住民への啓発、地域ルールの整備など、複数の方法を組み合わせる方針が示されています。

    重要なのは、

    「人間が全部育てればいい」

    という考え方ではありません。

    安全な巣は、そのまま自然に任せる。

    洪水や捕食の危険が高い巣だけを助ける。

    カメが本来自分たちで繁殖できる状態を残しながら、人間が必要な場所だけ補助する考え方です。

    カメは食料でもある

    ルプヌニ地方での保護が難しい理由の一つに、淡水ガメが地域の食文化や生活と深く関係していることがあります。

    特にモンキヨコクビガメは、南米の多くの地域で長く食料として利用されてきました。

    2025年に発表された研究では、ルプヌニにおいてカメと卵の利用実態を調べながら、地域社会による保全と伝統的利用をどう両立させるかが検討されています。

    「食べる人間」と「守る人間」を単純に分けることはできません。

    同じ地域の人が、昔からカメを利用してきた一方で、今は巣を守るレンジャーにもなっています。

    保護と利用を一緒に考える

    このプロジェクトの目的は、地域住民から野生動物の利用を完全に切り離すことではありません。

    SWM Programmeは、野生動物の個体群と生態系を維持しながら、先住民や農村地域の食料、文化、生活も守ることを目的としています。ガイアナでは、39の先住民コミュニティ、約2万4,000人の生活を含む地域管理の仕組みづくりが進められています。

    カメを守るために人を森や川から追い出すのではない。

    その土地で暮らしてきた人たち自身が、

    「どれだけ利用できるのか」

    「どこは守るべきなのか」

    を考える。

    このニュースの大きな特徴は、そこにあります。

    子どもたちにもカメを伝える

    この活動では、卵や子ガメを守るだけでなく、環境教育も行われています。

    子どもや若者たちに淡水ガメの生態や保全について伝え、次の世代が地域のカメを知る機会を作っています。

    2025年に作られた管理計画でも、環境教育と意識の変化は、巣の保護や研究と並ぶ重要な柱として位置づけられています。

    卵を一つ守れば、その年の子ガメを救えるかもしれない。

    でも、人の考え方が次の世代へ伝われば、その先の何十年も川を守れる可能性があります。

    18,000という数字の向こう側

    18,000個。

    数字だけを見ると、とても大きな成果です。

    でも、実際の保全活動では、一度に18,000個の卵を守ったわけではありません。

    一つの砂浜で、一つの巣を見つける。

    別の日に、また別の巣を見つける。

    水位を確認する。

    孵化を待つ。

    子ガメを川へ戻す。

    それを何年も続けた結果が、18,000という数字になりました。

    亀好きとして注目したいポイント

    今回のニュースで注目したいのは、人間がカメを「増やしている」のではなく、カメが自分で増えられる時間を守っていることです。

    卵を産んだのは母ガメです。

    砂の中で育ったのも卵自身です。

    殻を破ったのも子ガメです。

    川へ泳いでいくのもカメです。

    人間がやったことは、

    洪水が来そうなら卵を移す。

    巣を荒らされそうなら見守る。

    子ガメが生まれるまで時間を作る。

    それだけです。

    でも、自然の中では、その「それだけ」がなければ消えてしまう命がたくさんあります。

    湯川亀吉の一言

    南米の亀も買えるうちに買っておこう。

    出典

    Sustainable Use of Wild Species Transformative Partnership Platform
    「Over 18,000 freshwater turtle eggs hatched in Guyana」

    Sustainable Wildlife Management Programme / CIFOR-ICRAF
    「SWM Programme – Guyana」

    Frontiers in Ecology and Evolution
    「Balancing conservation and traditional use of yellow-spotted river turtle Podocnemis unifilis in Southern Rupununi, Guyana」

    環境省
    「モンキヨコクビガメ Podocnemis unifilis」

  • 【世界の亀ニュース】ガンジススッポンを衛星で追う インド初の個体がブラマプトラ川へ帰還

    【世界の亀ニュース】ガンジススッポンを衛星で追う インド初の個体がブラマプトラ川へ帰還

    今回は、インド北東部のカジランガ国立公園で、絶滅危惧種のガンジススッポンに衛星発信器を装着し、その行動を追跡する取り組みが始まったニュースを紹介します。

    今回のニュース

    2026年5月15日、インド・アッサム州のカジランガ国立公園・トラ保護区で、衛星発信器を装着したガンジススッポン1匹が野生へ戻されました。

    ガンジススッポンを衛星追跡する試みとしては、インド初と報じられています。

    健康な成体を捕獲し、獣医師の監督のもとで発信器を取り付けた後、ブラマプトラ川北岸の本来の生息環境へ放しました。今後は衛星から位置情報を取得し、このカメが季節ごとにどこへ移動するのか、どれほどの範囲を利用するのか、どこを繁殖や産卵に使うのかを調べます。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:インド共和国、アッサム州
    場所:カジランガ国立公園・トラ保護区、ブラマプトラ川流域
    放流日:2026年5月15日
    元記事の言語:英語
    情報の種類:淡水ガメ・スッポン・衛星追跡・研究・保護活動

    この調査は、インド環境・森林・気候変動省の取り組みとして、Wildlife Institute of India、カジランガ国立公園、アッサム州森林局が協力して実施し、National Geographic Societyが資金面で支援しています。

    登場する亀

    今回の主役は、ガンジススッポンです。

    学名は Nilssonia gangetica。

    日本では「ガンジススッポン」または「インドスッポン」という名称が使われています。経済産業省のワシントン条約関連資料でも、Nilssonia gangeticaに対して「ガンジススッポン(インドスッポン)」という和名が記載されています。

    英語ではGanges Softshell TurtleやIndian Softshell Turtleと呼ばれます。

    一般的なカメのような硬い甲板に覆われた甲羅ではなく、平たく柔らかな甲羅を持つスッポンの仲間です。

    頭部には特徴的な模様があり、報道では頭頂部に見られる矢じりのような模様が、ほかの河川性のスッポンと見分ける特徴の一つとして紹介されています。

    ニュースの要約

    衛星発信器を取り付けられたガンジススッポンは、カジランガ周辺のブラマプトラ川へ戻されました。

    研究チームが特に知りたいのは、

    季節によってどこへ移動するのか。

    一匹がどのくらい広い範囲を利用するのか。

    どの場所で餌を探すのか。

    どこで繁殖するのか。

    そして、どこに重要な産卵場所があるのか。

    ということです。

    Wildlife Institute of Indiaの研究者Abhijit Das氏は、季節的な移動、行動圏、繁殖・産卵に重要な場所を把握することが、ブラマプトラ川流域のスッポン保全に役立つと説明しています。

    川にカメがいることと、カメが川のどこを使っているかは違う

    ガンジススッポンがブラマプトラ川に生息していること自体は、以前から知られています。

    しかし、「いる」という情報だけでは、川のどの部分を守ればよいのかまでは分かりません。

    例えば、一年のほとんどを深い水域で過ごしていても、繁殖期だけ特定の浅瀬へ移動する可能性があります。

    普段は広い川を利用しながら、産卵するときだけ特定の砂州へ上がるかもしれません。

    雨季の増水に合わせて、支流や湿地へ移動する可能性もあります。

    重要な場所が一年中同じとは限りません。

    衛星追跡を行うことで、これまで人間が水面から見ているだけでは分からなかった「一匹のカメが使っている川の地図」が少しずつ見えてきます。

    ブラマプトラ川という巨大な世界

    ブラマプトラ川は、ヒマラヤからインド北東部を通り、バングラデシュ方面へ流れる巨大な河川です。

    カジランガ周辺では、本流だけでなく、砂州、支流、湿地、氾濫原などが複雑につながっています。

    川は毎年同じ形をしているわけではありません。

    増水すれば水域が広がる。

    水が引けば砂州が現れる。

    流路そのものが変わることもあります。

    ガンジススッポンは、そんな動き続ける環境の中で暮らしています。

    研究者が知ろうとしているのは、単に「カメが何メートル移動したか」ではありません。

    変化し続ける川の中で、カメがどの場所を選びながら生きているのかということなのだと思います。

    アッサム州は淡水ガメの重要地域

    アッサム州は、アジアでも淡水ガメの多様性が高い地域の一つです。

    報道によると、州内では21種類のカメが確認されており、インドに生息する8種類のスッポン類のうち、5種類がカジランガで確認されています。

    サイやトラで有名なカジランガですが、その保護区を流れる水の中には、多くのカメやスッポンも暮らしています。

    しかし、大型哺乳類と比べると、水中で暮らすカメは姿を確認することさえ難しい。

    だからこそ、一匹に発信器を付けて追跡することには大きな意味があります。

    ガンジススッポンは川の掃除屋でもある

    ガンジススッポンは、魚類や水生動物などを食べる捕食者である一方、死んだ動物や腐敗した有機物も利用します。

    そのため、河川の食物網の中で捕食者として働くだけでなく、死骸を処理する存在としても重要な役割を持っています。

    大きなスッポンが一匹減ることは、単にカメが一匹いなくなることではありません。

    長い時間をかけて川の中で担ってきた役割も、一緒に失われます。

    広く分布していても安全とは限らない

    ガンジススッポンは、インドの複数の大河川や湖、貯水池などに分布しています。

    しかし、分布範囲が広いからといって安全な種というわけではありません。

    現在、絶滅の危険がある種として扱われており、インドではWildlife Protection ActのSchedule Iに掲載され、厳重な保護対象となっています。

    河川環境の変化、水質汚染、捕獲、砂州の消失など、淡水ガメが直面する問題は一つではありません。

    そして、対策を行うためにはまず、

    「どこを守るべきなのか」

    を知らなければなりません。

    今回の衛星追跡は、その問いへ答えるための調査です。

    一匹の背中から送られてくる位置情報

    今回の計画で興味深いのは、調査対象がまず一匹のカメだということです。

    巨大なブラマプトラ川に、一匹のガンジススッポンがいる。

    その背中に、小さな発信器が付いている。

    カメが動けば、点が動く。

    昨日いた場所から今日の場所へ。

    乾季から雨季へ。

    川の本流から、別の水域へ。

    一つひとつはただの座標です。

    でも、それを何か月、何年と重ねていけば、そのカメが必要としている川の形が見えてくるかもしれません。

    衛星追跡は「監視」ではない

    発信器を取り付けるというと、人間がカメをずっと監視しているようにも感じます。

    しかし、この研究の目的はカメの行動を管理することではありません。

    むしろ逆です。

    人間には分からない場所へ自由に泳いでいくカメを、そのまま泳がせる。

    人間は遠くから位置情報を受け取り、

    「この場所を使っていたのか」

    と後から知る。

    カメの行動に合わせて、人間の保護計画の方を変えていくための技術です。

    亀好きとして注目したいポイント

    このニュースで注目したいのは、一匹のカメに川のことを教えてもらう研究だということです。

    人間が地図を広げて、

    「ここが重要な場所だろう」

    と決めるのではありません。

    まずカメを川へ戻す。

    そして待つ。

    どこへ泳ぐのかを見る。

    どこで止まるのかを見る。

    どの季節に移動するのかを見る。

    カメ自身が、自分に必要な場所を移動によって示していく。

    研究者は、その後ろから地図を描いていきます。

    この順番が、とても面白いと思います。

    湯川亀吉の一言

    とてもいいですね!

    まず事実を確かめること・把握することはとても大きな意味があると思います。

    自分の妄想や思い込みだけで行動するような豚野郎にはなりたくないもんだぜ。

    出典

    The New Indian Express
    「India’s first satellite-tagged Ganges softshell turtle released in Kaziranga」

    The Sentinel Assam
    「First-ever satellite tagging of Ganges softshell turtle in Kaziranga National Park」

    The Times of India
    「Satellite-tagged Ganges softshell turtle released in Kaziranga」

    経済産業省
    「ワシントン条約附属書掲載種・動物」

  • 世界の亀ニュース】メコン川で257匹のカントールマルスッポンが孵化 14巣を守る保全活動

    世界の亀ニュース】メコン川で257匹のカントールマルスッポンが孵化 14巣を守る保全活動

    今回は、カンボジアを流れるメコン川で、絶滅の危機にある大型のスッポン「カントールマルスッポン」の子ども257匹が孵化したニュースを紹介します。

    今回のニュース

    2026年、カンボジアのメコン川沿いで、カントールマルスッポンの巣が14か所確認されました。

    5月24日時点で、そのうち12巣から合計257匹の子ガメが孵化しています。

    さらに残る2巣についても、保全チームが引き続き監視を続けています。カンボジア農林水産省傘下の水産当局とWildlife Conservation Society(WCS)Cambodia、地域住民らが協力して巣を守ってきました。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:カンボジア
    場所:メコン川流域
    発表日:2026年5月24日
    情報の種類:淡水ガメ・スッポン・繁殖・孵化・産卵地保全

    カンボジアのメコン川では、地域住民と保全チームが産卵期に砂州や河岸を巡回し、カントールマルスッポンの巣を探して保護する活動を続けています。

    登場する亀

    今回の主役は、カントールマルスッポンです。

    学名は Pelochelys cantorii。

    日本では「マルスッポン」と呼ばれることもあります。英語ではCantor’s Giant Softshell Turtle、Asian Giant Softshell Turtleなどと呼ばれます。

    スッポン科の中でも非常に大型になる種類で、専門家による種解説では甲長60〜100センチほどに達するとされています。

    硬い甲板に覆われた一般的なカメとは違い、平たく柔らかな甲羅を持ち、魚類、甲殻類、貝類などの水生生物を食べます。

    ニュースの要約

    2026年に保全チームが確認した巣は14か所。

    そのうち12巣から257匹が孵化しました。

    興味深いのは、その後の扱いです。

    257匹すべてを同じ方法で管理したわけではありません。

    43匹は、孵化したあと自分の力でメコン川へ入りました。

    残る214匹は慎重に回収され、ココン爬虫類保全センターへ運ばれました。一定期間安全な環境で育てたあと、将来的に野生へ戻す予定です。

    自然に任せる個体と、人間が一時的に保護する個体。

    二つの方法を組み合わせながら、この種の生存率を高めようとしています。

    川岸の砂の中で生まれる巨大スッポン

    成体のカントールマルスッポンは巨大になります。

    しかし、生まれたときは当然、小さな子ガメです。

    母ガメは河岸や砂州に穴を掘り、そこへ卵を産みます。専門家の種解説では、一度に24〜70個程度の卵を産むとされています。

    卵を産んだあと、母ガメは川へ戻ります。

    そこから先、卵は砂の中で育ちます。

    雨。

    川の増水。

    捕食動物。

    人間による卵の採取。

    孵化するまでには、さまざまな危険があります。

    だから保全チームは、成体のスッポンだけを探すのではなく、川岸そのものを見守っています。

    43匹は自分で川へ入った

    今回のニュースで特に印象的なのが、43匹の子ガメです。

    この43匹は孵化後、人間に運ばれることなく、自分自身でメコン川へ入りました。

    砂の中から地上へ出る。

    川の方向へ進む。

    そして水へ入る。

    非常に短い距離かもしれません。

    しかし、生まれたばかりの子ガメにとっては、最初の野生の移動です。

    残る214匹については保全施設へ移されましたが、この43匹は孵化直後から完全に野生の時間を歩き始めました。

    なぜ214匹は保全施設へ運ばれたのか

    子ガメは非常に小さく、捕食される危険が高い時期です。

    そこで一部の個体を安全な施設で育て、ある程度生存しやすい状態にしてから野生へ戻す方法が使われています。

    今回の214匹は、ココン爬虫類保全センターで保護・飼育されます。

    これはカメを永久に飼育するためではありません。

    目的は、最も危険な成長初期を人間が少しだけ補助し、最終的には再び川へ返すことです。

    一度はカンボジアから消えたと思われていた

    カントールマルスッポンは、カンボジアでは長い間ほとんど確認されなくなっていました。

    WCSによれば、科学者による野生個体の確認が途絶えていた時期がありましたが、その後、クラチエ州とストゥントレン州の間を流れるメコン川で再確認されました。

    現在では、その地域がカンボジアに残る重要な生息地となっています。

    つまり、今回257匹が生まれた川は、

    「たまたま子ガメがたくさん生まれた場所」

    ではありません。

    一度は姿を消したと思われた大型スッポンが、今も繁殖を続けている貴重な場所です。

    2022年には982匹が孵化

    今回の257匹だけを見ると、とても大きな成果に感じます。

    しかし、カンボジアでは以前から大規模な巣の保護が続けられています。

    2022年には63巣、2,155個の卵が確認され、5月20日までに40巣から982匹が孵化しました。

    その年には580匹の子ガメが、世界亀の日に合わせてメコン川へ放されています。

    2021年にも66巣、2,528個の卵が確認され、1,300匹が野生へ戻されました。

    一年だけの成功ではありません。

    砂州を探し、巣を守り、子ガメを川へ返す活動が何年も積み重ねられています。

    カメだけを守っても生き残れない

    カントールマルスッポンの減少には、食用を目的とした捕獲、卵の採取、漁具への混獲、河川環境の破壊などが関係しています。

    つまり、

    卵だけ守ればよい。

    子ガメだけ放せばよい。

    という問題ではありません。

    大きく成長したスッポンが暮らせる深い水域。

    餌を探せる川。

    安全に卵を産める砂州。

    それらが全部残っていなければ、次の世代は続きません。

    メコン川の巨大生物の一員

    カントールマルスッポンが暮らすメコン川には、ほかにも巨大な淡水生物が生息しています。

    WCSは、このスッポンがカワゴンドウや巨大淡水エイなどと同じ深い水域を利用する、メコン川を象徴する生物の一つだと紹介しています。

    水面から見れば、ただ大きな川が流れている。

    でも水の下には、

    巨大な魚がいて、

    エイがいて、

    スッポンが砂へ潜っている。

    カントールマルスッポンを守ることは、そうした巨大河川生態系そのものを残すことにもつながります。

    亀好きとして注目したいポイント

    このニュースで注目したいのは、257匹という数字より、その前に14個の巣を見つけた人がいたことです。

    子ガメが生まれる瞬間は分かりやすい。

    写真にもなる。

    数字にもなる。

    でも、そのずっと前に、

    砂浜を歩く人がいる。

    母ガメの足跡を探す。

    砂の盛り上がりを見る。

    ここに卵があるかもしれないと考える。

    そして、その場所を何週間も守る。

    257匹という結果は、孵化した日に突然生まれた成果ではありません。

    川岸で何も起こらない日にも、砂を見続けた時間の結果なのだと思います。

    湯川亀吉の一言

    大きなスッポン飼ってみたいと思ったことありますが、めちゃめちゃ大きくなるから飼えないね。

    将来、水族館を作った時には飼育してみたい。

    出典

    Agence Kampuchea Presse(カンボジア国営通信)
    「Over 200 Cantor’s Giant Softshell Turtle Hatchlings Discovered along Mekong River in Cambodia」

    Wildlife Conservation Society Cambodia
    カントールマルスッポン保全活動・メコン川への放流記録。

    IUCN SSC Tortoise and Freshwater Turtle Specialist Group
    「Pelochelys cantorii – Asian Giant Softshell Turtle」