カテゴリー: 淡水ガメ

川や湖に暮らす亀、淡水ガメ、スッポン系、外来種問題など。、汽水ガメも含みます。

  • 【世界の亀ニュース】頭が2つあるキスイガメ誕生 わずか5.2gの身体で「二つの頭」はどう生きる?

    【世界の亀ニュース】頭が2つあるキスイガメ誕生 わずか5.2gの身体で「二つの頭」はどう生きる?

    カメがいる。

    小さい。

    生まれたばかりの、

    キスイガメ。

    でも、

    何かがおかしい。

    頭が、

    二つある。

    2026年9月。

    アメリカ・マサチューセッツ州ケープコッドのWellfleetで、

    非常に珍しいキスイガメの幼体が見つかりました。

    体重、

    わずか5.2g。

    このカメには、

    二つの頭があります。

    この状態は、

    bicephaly(双頭・二頭症)

    と呼ばれる発生異常です。 CBS News

    今回のニュース

    この幼体が見つかったのは、

    Mass Audubonが管理するWellfleet Bay周辺の、

    保護されたキスイガメの営巣地。

    その後、

    Mass Audubon Wellfleet Bay Wildlife Sanctuaryから、

    BarnstableにあるBirdsey Cape Wildlife Centerへ運ばれました。

    2026年9月22日にも、

    施設で体重測定や観察が続けられている様子が撮影されています。 Reuters Connect

    Cape Wildlife Centerによると、

    同施設が過去5年間に扱った双頭個体は、

    今回とは別に2例。

    つまり、

    今回で少なくとも3例目になります。 Reuters Connect

    それでも、

    施設側は、

    「特に珍しいケース」

    としています。 CBS News

    登場する亀

    今回の主役は、

    キスイガメ。

    学名、

    Malaclemys terrapin。

    英名、

    Diamondback Terrapin。

    日本の経済産業省によるCITES関連資料でも、Malaclemys terrapinには「キスイガメ」という和名が使われています。 経済産業省

    このカメ、

    生態そのものもかなり変わっています。

    北米のカメとしては唯一、

    汽水域に強く依存して暮らす種類です。

    海水と淡水が混ざる、

    河口。

    塩性湿地。

    沿岸の入り江。

    そんな場所で一生の大部分を過ごします。 国立公園局

    皮膚は、

    灰白色。

    そこへ、

    黒い斑点。

    甲羅には、

    名前の由来になった、

    ダイヤモンド状の模様が入ります。

    かなり格好いいカメです。

    でも、今回の個体はさらに特殊だった

    双頭。

    一つの身体に、

    頭が二つ。

    でも、

    ここで注意したいことがあります。

    「頭が二つある」=「身体の内部構造もこうなっている」

    とは、

    まだ言えません。

    脊椎が何本あるのか。

    消化管は一つなのか二つなのか。

    肺はどうなっているのか。

    心臓や血管はどうつながっているのか。

    そして、

    どちらの頭が、

    どの手足を動かしているのか。

    今回の2026年個体について、

    そうした詳細な内部構造は、

    現時点では公表されていません。

    だから写真だけを見て、

    「二匹のカメが一つになっている」

    と断定することもできません。

    Cape Wildlife Centerも現在、

    食欲、成長、行動

    を中心に観察しています。 News Link Live

    二つの頭は、どう一つの身体を動かすのか?

    僕は、

    ここが一番気になります。

    右の頭が、

    右へ行きたい。

    左の頭が、

    左へ行きたい。

    もし、

    そうなったら?

    泳ぐときは?

    餌を見つけたときは?

    どちらが先に食べる?

    片方だけが眠ることはある?

    一つの刺激に、

    二つの頭が違う反応をすることはある?

    現在の研究チームが見ている、

    「behavior=行動」

    という言葉の中には、

    こうした非常に基本的な疑問が含まれているはずです。

    Cape Wildlife CenterのZak Mertz氏によると、

    初期段階ではこの幼体は通常に近い行動を示し、両側とも良好に見えるとされています。 CBS News

    ただし、

    それは長期的な生存を保証するものではありません。

    まだ、

    生まれたばかりです。

    実はケープコッドでは、2021年にも見つかっている

    今回のニュースには、

    興味深い前例があります。

    2021年。

    同じマサチューセッツ州ケープコッドで、

    やはり双頭のキスイガメが見つかりました。

    こちらは、

    さらに不思議な身体をしていました。

    頭が二つ。

    そして、

    脚が6本。

    検査では、

    二つの消化管。

    二つの脊椎。

    そしてその脊椎が身体の後方で一つにつながっている構造が確認されました。

    さらに観察では、

    左右の頭が別々のタイミングで水面へ呼吸に上がり、

    片側が3本の脚、

    もう片側が残り3本の脚を動かしていたと報じられています。 ワシントンポスト

    すごい。

    でも、

    今回の2026年個体も、

    同じ構造だとは限りません。

    ここは絶対に分けて考える必要があります。

    同じ「双頭」でも、

    身体がどの段階まで分かれているかは、

    個体ごとに異なる可能性があります。

    だから、今回のカメを調べる意味がある

    2021年個体を調べたから、

    もう分かった。

    ――ではありません。

    今回の幼体が、

    同じ身体構造をしているとは限らない。

    むしろ、

    違う可能性がある。

    だから、

    新しい個体が見つかるたびに、

    発生。

    神経。

    骨格。

    運動。

    消化。

    呼吸。

    こうした身体の仕組みについて、

    新しい情報が得られる可能性があります。

    Cape Wildlife Centerも、

    双頭個体を診るたびに、

    動物の解剖学や生理学について学ぶ機会になる

    と説明しています。 News Link Live

    なぜ頭が二つになる?

    ここは、

    まだ簡単には説明できません。

    双頭は、

    胚が成長する非常に早い段階で、

    身体の形成が通常とは異なる形で進んだ結果として起こります。

    ただし、

    今回の個体について、

    「この原因だった」

    と特定されたわけではありません。

    2021年のCape Wildlife Centerも、

    遺伝的要因や環境要因などが胚発生へ影響する可能性に触れていましたが、

    具体的な原因までは分かっていませんでした。 WBZ NewsRadio 1030

    つまり、

    今回についても、

    原因を決めつけることはできません。

    そもそも、なぜこんな珍しい個体を見つけられたのか

    ここも重要です。

    ケープコッドでは、

    長年にわたってキスイガメの営巣地が調査されています。

    Mass AudubonのWellfleet Bayでは、

    1980年代から個体識別を行い、

    毎年産卵する雌や巣、

    孵化個体などを継続して記録しています。 Mass Audubon

    キスイガメの雌は、

    初夏に汽水域から陸へ上がり、

    高潮線より上の砂地へ卵を産みます。

    マサチューセッツでは、

    孵化までおよそ59〜116日かかることがあります。 マサチューセッツ州政府

    そして、

    人間が巣を継続的に観察する。

    幼体が出てくる。

    一匹ずつ確認する。

    そこで初めて、

    こんな特殊な個体も発見できます。

    もし誰も見ていなければ、

    この5.2gのカメは、

    誰にも知られないまま湿地へ入っていたかもしれません。

    5.2gという小ささ

    今回、

    写真以上に僕が驚いた数字があります。

    5.2g。

    単三電池より、

    ずっと軽い。

    その小さな身体に、

    目が四つ。

    頭が二つ。

    そして、

    一つの甲羅。

    現在、

    スタッフはこの小さな個体が、

    食べられるか。

    成長するか。

    身体をうまく動かせるか。

    毎日見ています。 News Link Live

    今後、

    身体が十分に成長すれば、

    画像診断などによって内部構造についてさらに分かる可能性があります。

    でも現時点では、

    まだ、

    分からないことの方が多い。

    キスイガメ自体も、マサチューセッツでは珍しい存在

    マサチューセッツ州では、

    キスイガメは州絶滅危惧種法上の、

    Threatened(絶滅危惧・脅威にさらされている種)

    に指定されています。 マサチューセッツ州政府

    そしてケープコッドは、

    この種の分布域の、

    ほぼ北限。

    Mass Audubonによれば、

    Wellfleet周辺には北米でも特に北に位置するキスイガメ個体群があります。 Mass Audubon

    つまり今回の個体は、

    ただ珍しい双頭のカメではない。

    分布北限近くに暮らす、希少なキスイガメ個体群から生まれた一匹。

    でも今回の記事で僕が面白いと思うのは、

    保護活動そのものより、

    やっぱり、

    身体です。

    一つなのか、二つなのか

    一匹。

    でも、

    頭は二つ。

    二匹?

    でも、

    甲羅は一つ。

    僕たちは、

    生き物を見ると、

    自然に、

    「一匹」

    「二匹」

    と数えます。

    でも、

    こういう生き物を見ると、

    その当たり前の境界が少し揺らぎます。

    心臓が一つなら?

    脳が二つなら?

    胃が二つなら?

    脊椎が途中で一つにつながっていたら?

    どこまでが、

    一匹なんだろう。

    これは哲学の話ではなく、

    実際に、

    目の前に存在する生物の話です。

    亀好きとして注目したいポイント

    今回の記事は何も感じないね。

    なんの感想もない。

    出典

    Birdsey Cape Wildlife Center / 現地報道
    2026年9月にWellfleetの保護営巣地で発見された5.2gの双頭キスイガメ、現在の観察状況について。 CBS News
    CBS Bostonの報道を見る

    USA TODAY Network / Reuters Connect
    2026年9月22日のBirdsey Cape Wildlife Centerでの個体の体重測定・継続観察、過去5年間で3例目の双頭症例であること。 Reuters Connect

    Mass Audubon — Wellfleet Bay Wildlife Sanctuary
    ケープコッドのキスイガメ個体群、営巣、生態、長期モニタリングについて。 Mass Audubon
    Mass Audubonのキスイガメ調査を見る

    Massachusetts Division of Fisheries and Wildlife
    キスイガメの州内分布、Threatened指定、生息環境について。 マサチューセッツ州政府

    2021年の双頭個体記録
    頭2つ・脚6本のキスイガメについて、脊椎・消化器系・運動の観察結果。

  • 【世界の亀ニュース】ヒラチズガメは「危険な水」を知っている? エリー湖で藻類ブルーム直前に姿を消す季節移動を確認

    【世界の亀ニュース】ヒラチズガメは「危険な水」を知っている? エリー湖で藻類ブルーム直前に姿を消す季節移動を確認

    夏。

    巨大なエリー湖を、

    一匹の雌のヒラチズガメが泳いでいます。

    6月。

    7月。

    湖の沖合まで出る。

    ところが、

    7月下旬。

    亀たちは、

    湖からいなくなりました。

    そして数km離れた支流を、

    上流へ。

    そこで冬を越し、

    翌春になると、

    また元の産卵場所近くへ戻ってきます。

    そのころエリー湖では、

    ある現象が始まります。

    有害藻類ブルーム。

    しばしば毒素を作る藍藻が、

    夏の終わりに大発生します。

    不思議なのは、

    ヒラチズガメが、

    そのピークを迎える前に、

    湖を離れていたことです。

    今回のニュース

    研究を行ったのは、

    アメリカ・オハイオ州のUniversity of Toledo(トレド大学)。

    研究者のDi’Carlo Jackson氏とJeanine M. Refsnider博士は、2022年にエリー湖西部の産卵地で捕獲した雌のヒラチズガメへ発信器を取り付け、

    音響テレメトリー

    と、

    衛星テレメトリー

    という二つの方法を組み合わせて行動を追跡しました。

    研究成果は2026年、『Journal of Great Lakes Research』に掲載されています。

    登場する亀

    今回の主役は、

    ヒラチズガメ。

    学名、

    Graptemys geographica。

    英名は、

    Northern Map Turtle
    または
    Common Map Turtle。

    日本では「ヒラチズガメ」という名称が使われています。

    北米に生息する、

    チズガメ属の淡水ガメです。

    「map turtle=地図ガメ」という名前の通り、

    甲羅には地図の等高線のような細かな模様が入ります。

    種小名のgeographicaも、

    「地理・地図」を意味する言葉に由来します。

    雌は雄の約2倍まで大きくなる

    ヒラチズガメでは、

    雄と雌の体格差がかなり大きいことが知られています。

    雌は雄のほぼ2倍の大きさまで成長することがあり、

    行動範囲も一般に雌の方が広くなります。

    さらに食べるものにも違いがあります。

    大型の雌は、

    硬い殻を持つ貝類などを主に利用。

    小型の雄は、

    より柔らかい水生無脊椎動物を食べます。

    今回研究者が追跡したのも、

    成体の雌。

    産卵のために岸へ上がってきた個体でした。

    10匹の背中に発信器を付けた

    2022年6月。

    研究者たちは、

    エリー湖西部にあるMagee Marshの砂浜で、

    産卵に訪れた雌10匹を捕獲しました。

    そして甲羅へ発信器を装着。

    その後、

    亀を湖へ戻しました。

    10匹のうち2匹については、発信器が早期に外れたと考えられ、十分な追跡データが得られなかったため解析から除外されています。

    残る個体の動きを、

    研究者は長期間追い続けました。

    「音」と「宇宙」の両方から追跡する

    今回面白いのが、

    追跡方法です。

    まず、

    音響テレメトリー。

    亀の発信器から出る音響信号を、

    湖や川に設置された受信機が拾います。

    水中にいる動物の追跡に向いています。

    一方、

    衛星テレメトリーでは、

    発信器の情報を衛星を使って取得します。

    ただし、

    亀が水中深く潜っていると、

    衛星との通信が難しくなります。

    そこで、

    二つを組み合わせました。

    湖の中では、

    音。

    支流などでは、

    衛星。

    片方だけでは見えなかった亀の一年間を、

    二つの技術でつなぎました。

    Refsnider博士は、この組み合わせについて、

    それぞれが異なる状況でうまく機能したと説明しています。

    すると、想像以上に移動していた

    追跡してみると、

    ヒラチズガメの雌は、

    かなり大きな範囲を移動していました。

    研究論文によると、

    湖と支流のデータを合わせた移動範囲は、

    約10〜22km。

    産卵を終えた後、

    6月から7月には、

    エリー湖の沖合を利用します。

    その後、

    支流へ入る。

    そして、

    さらに上流へ数km進んでいきます。

    僕たちがイメージする、

    「近所の池でずっと暮らしている亀」

    とは、

    かなり違います。

    冬になると支流で姿を消す

    上流へ移動した亀たちは、

    その支流周辺で冬を越したと考えられています。

    そして、

    翌春。

    再び下流へ。

    産卵浜のすぐ近くにある支流の河口へ戻ってきました。

    つまり、

    湖。

    川。

    湿地。

    産卵地。

    越冬場所。

    一匹の亀が、

    一年の中で複数の環境を使い分けていたのです。

    そして研究者が気付いた

    追跡データを見ていて、

    研究者たちは、

    あるタイミングに気付きました。

    ヒラチズガメがエリー湖で確認されたのは、

    7月下旬まで。

    それ以降、

    湖では確認されなくなりました。

    そのころ、

    エリー湖西部では、

    毎年ある現象が強くなります。

    cyanobacterial bloom。

    藍藻、

    つまりシアノバクテリアによる、

    大規模な水の華です。

    夏の終わりに湖が緑になる

    エリー湖西部では、

    夏になると大量の藍藻が増殖することがあります。

    特に、

    8月ごろにピークを迎えることが多い。

    種類によっては、

    microcystin(ミクロシスチン)

    と呼ばれる毒素を作ります。

    この毒素は、

    さまざまな動物の肝臓・消化器・生殖器などへ悪影響を与える可能性があります。

    過去の研究では、

    カメ類でも免疫機能への影響が報告されています。

    ところがヒラチズガメは、もういない

    藻類ブルームが本格化する、

    8月。

    その時点で、

    追跡中のヒラチズガメは、

    すでに湖から移動していました。

    Refsnider博士は、

    7月下旬以降エリー湖では個体が確認されず、

    そのころには支流や周辺湿地へ移動していたため、

    ブルームのピーク時には藻類毒素へ曝露されていなかったと考えられる

    と説明しています。

    ここで、

    ものすごく面白い疑問が出てきます。

    亀は「危険」を察知して逃げているのか?

    もしそうなら、

    すごい。

    水の変化を感じる。

    「ここは危ない」

    と判断する。

    川へ移動する。

    そんな行動を想像したくなります。

    でも研究者は、

    そこまでは言っていません。

    むしろ、

    かなり慎重です。

    Refsnider博士自身、

    亀が藻類ブルームを理由に湖を離れているのか、それとも通常の季節移動とブルームの時期が偶然一致しているだけなのかは分からない

    としています。

    ここは、

    今回の記事で一番重要なところです。

    「避けていた」と「避けるために移動した」は違う

    結果だけを見ると、

    亀は藻類ブルームを避けています。

    でも、

    原因は分からない。

    たとえば、

    水温。

    日照時間。

    水位。

    餌。

    繁殖周期。

    越冬準備。

    季節そのもの。

    こうした別の要因をきっかけに、

    毎年7月ごろ支流へ移動しているのかもしれません。

    その結果として、

    たまたま有毒藻類からも逃れることになる。

    これでも、

    十分面白い。

    生物の行動には、

    「この危険を避けよう」と意識的に進化したわけではなくても、

    別の生活パターンが結果的に危険を回避していることがあります。

    そもそも湖に暮らすヒラチズガメは、よく分かっていなかった

    これまでヒラチズガメについて、

    河川での行動研究は比較的多く行われてきました。

    一方、

    巨大な湖に暮らす個体が、

    一年を通じてどこへ移動するのかについては、

    まだ情報が少なかったと研究チームは説明しています。

    理由の一つが、

    単純に、

    追いかけるのが難しいから。

    川なら、

    移動方向は比較的限られます。

    でも、

    エリー湖は巨大です。

    亀が沖へ泳いだら、

    従来の人間による追跡は一気に難しくなります。

    だから今回、

    衛星と水中の音響受信機を組み合わせた方法が有効でした。

    亀の世界は、人間が思っているよりずっと広い

    10km。

    20km。

    人間なら、

    車ですぐです。

    でも、

    甲羅を背負った淡水ガメです。

    泳ぐ。

    川を上る。

    湖へ出る。

    戻る。

    翌年、

    また同じ場所へ来る。

    しかも、

    これを何年も繰り返している可能性があります。

    一匹のヒラチズガメにとって、

    エリー湖とその支流は、

    別々の場所ではないのかもしれません。

    全部まとめて「自分の生活圏」。

    そう考えると、

    亀を見る目が少し変わります。

    名前は「ヒラチズガメ」

    ちなみにこのカメ、

    日本では、

    ヒラチズガメ

    と呼ばれています。

    チズガメ類の中では比較的、

    甲羅が平たいことが名前の由来です。

    チズガメ属には、

    ニセチズガメ。

    フトマユチズガメ。

    ワモンチズガメ。

    クロコブチズガメ。

    など、

    特徴的な種類がたくさんいます。

    その中でも、

    Graptemys geographicaは、

    チズガメ属を代表する種類の一つです。

    「水の中で暮らす亀」をどう追跡するか

    今回のニュースは、

    亀そのものだけでなく、

    研究方法についても面白いと思います。

    昔なら、

    研究者が、

    双眼鏡で見る。

    捕まえる。

    印を付ける。

    また探す。

    それしかありませんでした。

    今は、

    甲羅に小さな装置を付ける。

    水中の受信機が、

    通過した亀を記録する。

    衛星が、

    別の場所に移動した亀を見つける。

    研究者が寝ている間も、

    亀は動く。

    そして、

    機械は記録する。

    その結果、

    人間が直接追いかけていたら見えなかった、

    一匹の亀の一年間

    が見えてきます。

    亀好きとして注目したいポイント

    僕が今回一番面白いと思うのは、

    「亀が毒を避ける能力を持っている」という話ではない

    ところです。

    むしろ、

    まだ分からない。

    そこがいい。

    7月まで、

    湖にいる。

    8月になる前に、

    いなくなる。

    有毒藻類が増える。

    結果として、

    亀はそこにいない。

    これは事実。

    でも、

    なぜ?

    そこから先は、

    まだ分からない。

    亀自身が水質の変化を感知しているのか。

    季節移動なのか。

    何世代にもわたって身についたタイミングなのか。

    別の環境要因なのか。

    今は、

    答えがありません。

    でも、

    「変なことが起きている」

    ということが分かった。

    科学って、

    そこから始まるんだと思います。

    湯川亀吉の一言

    俺は付き合っちゃいけない人間を察することができるよ

    出典

    University of Toledo
    「UToledo Herpetologist Tracks Turtles Amid Harmful Algal Bloom」
    2026年9月10日。追跡研究、藻類ブルームとの時期関係、音響・衛星テレメトリーについて。
    トレド大学の公式記事を読む

    Journal of Great Lakes Research
    Di’Carlo Jackson & Jeanine M. Refsnider
    「Acoustic and satellite telemetry reveal extensive distances traveled in both lake and tributary habitat by female northern map turtles (Graptemys geographica)」
    2026年。10匹への発信器装着、移動距離10〜22km、季節的な湖・支流利用、藍藻ブルームとの関係を扱った原著論文。
    原著論文を見る

    ITIS
    Graptemys geographicaの分類および英名Northern Map Turtle / Common Map Turtleについて。
    ITISの分類情報を見る

  • 【世界の亀ニュース】150年前から知られていたカメが「新種」に!? 孤島の Kinosternon mariamadre をめぐる分類論争

    【世界の亀ニュース】150年前から知られていたカメが「新種」に!? 孤島の Kinosternon mariamadre をめぐる分類論争

    今回は、

    「今まで誰も見たことがなかったカメが、ジャングルの奥から発見された」

    というニュースではありません。

    むしろ、

    その逆です。

    人間は、

    このカメを約150年前から知っていました。

    博物館にも標本がある。

    研究者も調べている。

    学術文献にも登場している。

    どこに暮らしているのかも分かっている。

    それなのに2025年、

    研究者たちは、

    「このカメ、今まで考えられていた種類とは違うのではないか」

    と結論しました。

    そして、

    Kinosternon mariamadre

    という新しい学名を付けました。

    でも、

    話はそこで終わりません。

    2026年現在、

    主要な爬虫類データベースでは、

    K. mariamadreを独立種としてではなく、

    Kinosternon integrumの同物異名

    として扱っています。

    新種なのか。

    それとも、

    同じ種類の島嶼個体群なのか。

    今回は、

    カメの「名前」が決まるまでの世界

    を見てみます。

    今回のニュース

    2025年7月3日。

    カメ類専門の学術誌Chelonological Contributionsに、

    「New Species of Mud Turtle (Testudines: Kinosternidae) from the Tres Marías Islands, Nayarit, Mexico」

    という論文が発表されました。

    著者は、

    Mehdi Joseph-Ouni氏、Paul Vander Schouw氏、Jay Frewer氏、Dennis Uhrig氏、William P. McCord氏。

    研究チームは、メキシコ・ナヤリット州沖のトレス・マリアス諸島に生息するドロガメを、

    Kinosternon mariamadre

    という独立した新種として記載しました。

    英語名として論文では、

    Tres Marías Mud Turtle

    が使われています。

    日本語の標準和名は確認できないため、この記事では基本的に、

    Kinosternon mariamadre

    または、

    マリア・マドレ島のドロガメ

    と表記します。

    どこの国・地域の話か

    国:メキシコ
    州:ナヤリット州
    島:Isla María Madre(マリア・マドレ島)
    島嶼群:Islas Tres Marías(トレス・マリアス諸島)
    新種記載:2025年7月3日
    提唱された学名:Kinosternon mariamadre
    科:ドロガメ科 Kinosternidae
    属:ドロガメ属 Kinosternon
    情報の種類:新種記載・分類学・島嶼生物・形態研究

    トレス・マリアス諸島には主要な島が4つあります。

    しかし論文によると、このドロガメが確認されているのは、

    マリア・マドレ島だけ。

    残る主要3島には、このカメが利用できる適切な淡水環境がないとされています。

    つまり、

    もし本当に独立種なら、

    世界でこの一つの島だけに暮らすカメ

    ということになります。

    でも、このカメは2025年に見つかったわけではない

    ここが今回の話の面白いところです。

    新種として記載されたのは、

    2025年。

    でも、

    このカメが初めて人間に知られたのは、

    それよりはるか昔です。

    論文によれば、

    マリア・マドレ島のドロガメ標本は、

    1881年にAlphonse Forrerによって採集されていました。

    その標本をもとに、

    英国の動物学者Albert Güntherが1885年にこの島のドロガメについて記録しています。

    2025年から数えれば、

    およそ144年前。

    つまり、

    「新種を発見した」

    というより、

    「144年前から目の前にいたカメを、新しい目で見直した」

    という方が近いんです。

    1897年にも採集されていた

    さらに、

    1897年。

    Nelson and Goldmanによるメキシコ生物調査の際にも、

    マリア・マドレ島から複数のドロガメが採集されました。

    2025年の新種記載では、

    そのうち4成体と1幼体が、

    新種を定義するためのパラタイプ標本として指定されています。

    つまり、

    100年以上前に博物館へ収められた標本が、

    2025年になって、

    「新種を説明する証拠」

    として再び使われたことになります。

    1925年のカメもいる

    1925年には、

    California Academy of Sciencesの調査隊が、

    マリア・マドレ島のArroyo Hondoで一匹の雄を採集しました。

    その個体は、

    古い切り株の下の泥へ半分埋まった状態で見つかったと記録されています。

    現在、この標本もK. mariamadreのパラタイプとして扱われています。

    正確に測り直された甲長は、

    144.6mm。

    15cmにも満たない、

    小さなドロガメです。

    1957年の一匹が「基準」になった

    そして、

    1957年4月7日。

    Richard G. Zweifel氏が、

    同じくArroyo Hondoで一匹の成体雄を採集しました。

    この個体は、

    2025年に新種が記載された際、

    ホロタイプ

    に指定されました。

    ホロタイプというのは、

    簡単に言えば、

    「この新種とは、まずこの個体を基準に考えてください」

    という基準標本です。

    新種の名前は、

    単なるアイデアではありません。

    世界中の研究者があとから検証できるように、

    実物の標本が残されます。

    生きていたときの色まで記録されていた

    1957年に採集されたホロタイプには、

    生きていたときの色彩記録まで残っています。

    記録では、

    頭頂部。

    甲羅。

    四肢。

    尾。

    これらは、

    ほぼ模様のない暗い黒色。

    一方、

    顎や頭部側面には黄色い斑。

    腹甲は黄色で、

    甲板の境界に沿って濃褐色の模様があったとされています。

    100年近く前の標本だけでは、

    色が退色してしまいます。

    だから、

    こうした古いフィールドノートも、

    分類を考える重要な情報になります。

    ずっと「何ガメなのか」が揺れていた

    この島のカメが、

    今まで研究されていなかったわけではありません。

    むしろ、

    研究されていたのに、分類が定まらなかった。

    論文によると、

    約1世紀にわたって、

    Kinosternon integrum

    なのか、

    Kinosternon hirtipes

    なのか、

    分類上の扱いが揺れ動いてきました。

    つまり研究者たちは、

    ずっと同じカメを見ながら、

    「これはあの種類だ」

    「いや、こっちの種類だ」

    と考え直してきたわけです。

    2025年、「どちらでもない」と考えた研究者たち

    そして2025年。

    Joseph-Ouni氏らは、

    もう一つの可能性を提示しました。

    Kinosternon integrumでも、

    Kinosternon hirtipesでもない。

    島独自の別種ではないか。

    研究チームは、

    甲羅。

    頭部。

    体の比率。

    色彩。

    その他多数の形態的特徴を比較。

    その組み合わせが既知のK. integrumとは異なるとして、

    独立種を提唱しました。

    ここで大事なのは、

    「一か所だけ違うから新種」

    ではないことです。

    一つ一つの差ではなく、

    複数の特徴をまとめて比較する。

    それが分類の材料になります。

    名前は「mariamadre」

    新しく提唱された種小名は、

    mariamadre。

    由来はとてもシンプルです。

    このカメが暮らす、

    María Madre Island。

    島の名前そのものから付けられました。

    だから、

    Kinosternon mariamadre。

    直訳すれば、

    「マリア・マドレのドロガメ」

    というような名前です。

    なぜ島にだけ違うカメがいるのか

    論文では、

    このカメが人間によって島へ持ち込まれた証拠は確認されておらず、

    島が地理的に隔離された歴史の中で独自化した可能性を考えています。

    島は、

    進化を考えるうえで非常に面白い場所です。

    海によって隔離される。

    本土の仲間と交わらなくなる。

    何千年。

    何万年。

    もっと長い時間。

    別々の環境で暮らす。

    その結果、

    同じ祖先から始まっても、

    少しずつ違う特徴を持つようになることがあります。

    でも――「新種記載=分類確定」ではない

    ここからが、

    今回の記事で一番重要です。

    論文が、

    K. mariamadreを新種として記載した。

    だったら、

    今日から世界中で新種として確定。

    ――ではありません。

    分類学では、

    新しい研究が発表されると、

    他の研究者がその証拠を検討します。

    賛成する研究者もいる。

    別の分析をする研究者もいる。

    もっとDNAを調べる必要があると考える人もいる。

    そして、

    結論が変わることもあります。

    2026年現在、独立種として扱わない資料もある

    実際、

    爬虫類分類の主要なデータベースであるThe Reptile Databaseでは、

    2026年現在、

    Kinosternon mariamadreをK. integrumの同物異名

    として扱っています。

    同じ2025年に記載されたK. iversoniも、

    同様にK. integrum側へまとめられています。

    つまり現在、

    二つの見方があります。

    2025年の新種記載論文:

    「マリア・マドレ島の個体群は独立種 K. mariamadre」

    一方、現在の主要分類整理:

    「独立種とするには至らず、K. integrumとして扱う」

    という状況です。

    世界のカメ分類は、まだ動いている

    IUCN SSCのTortoise and Freshwater Turtle Specialist Groupが2025年に公表した、

    Turtles of the World 第10版

    には、

    現生カメ類として364種が掲載されています。

    そして、このチェックリスト自身が、

    近年提唱された分類変更や、

    まだ議論が続いている分類を継続的に整理しています。

    カメの種類数は、

    永久に固定された数字ではありません。

    新種が記載される。

    一つだった種が分かれる。

    逆に、

    二種だと思われていたものが一種へ戻される。

    亜種が種になる。

    種が亜種になる。

    「カメとは何種類いるのか」という問い自体が、現在進行形なんです。

    DNAを読めば全部解決するのか?

    ここも面白いところです。

    今回のK. mariamadreの新種記載は、

    主に、

    形態・計測値・色彩

    を使った分類研究です。

    では、

    DNAを調べれば一発で答えが出るのか。

    必ずしも、

    そう単純でもありません。

    遺伝的にどれだけ離れれば別種なのか。

    形態差はどの程度重要なのか。

    交雑できるか。

    地理的に隔離されているか。

    進化的に独立した系統なのか。

    「種とは何か」そのものに、

    複数の考え方があります。

    だから、

    DNAも、

    形も、

    分布も、

    生態も、

    全部が証拠になります。

    そもそも「種」って何だろう

    普段、

    僕たちは、

    ミシシッピアカミミガメ。

    クサガメ。

    ニホンイシガメ。

    というように、

    種類が最初から決まっているものだと思っています。

    でも、

    自然の中には、

    「ここから先が別種です」

    という線は引かれていません。

    人間が、

    違いを観察する。

    比較する。

    進化の歴史を考える。

    そして、

    名前を付ける。

    分類とは、

    自然界に貼られているラベルを読む仕事ではなく、人間が自然の違いをどう理解するかという仕事

    でもあるんですね。

    新種は「見つける」だけではない

    今回のニュースを見ていると、

    「新種発見」

    という言葉の印象も少し変わります。

    新種と聞くと、

    探検家がジャングルへ入る。

    変なカメが出てくる。

    誰も見たことがない。

    新種だ!

    そんなイメージがあります。

    でも、

    K. mariamadreは違います。

    1881年には、

    標本があった。

    1885年には、

    論文に登場した。

    1897年にも採集された。

    1925年にも。

    1957年にも。

    人間は、

    ずっと知っていました。

    そして、

    2025年。

    知っていたものを見直した結果、「別のものかもしれない」と気付いた。

    新種は、

    必ずしも、

    新しく見つかった生物ではないんですね。

    博物館の標本は「過去」ではない

    僕が今回かなり面白いと思ったのが、

    博物館標本の存在です。

    100年以上前に採集されたカメ。

    普通に考えれば、

    昔の資料です。

    でも、

    分類研究では、

    その標本が2025年になって再び主役になる。

    測り直す。

    別の標本と比較する。

    採集記録を見る。

    生前の色彩記録を読む。

    新しい研究方法で、

    古い標本へもう一度質問する。

    標本は、

    「昔のカメを保存している」

    だけじゃない。

    未来の研究者が、まだ思いついていない質問に答える資料

    でもあるんですね。

    一匹の名前が変わると、地図も変わる

    もし、

    K. mariamadreが独立種として認められるなら、

    世界のカメ分布図にも、

    新しい一点が加わります。

    メキシコ。

    太平洋。

    トレス・マリアス諸島。

    マリア・マドレ島。

    そこだけに、

    一種類のカメがいる。

    一方、

    K. integrumの一地域個体群として扱うなら、

    もっと広く分布する種類の、

    孤立した島嶼個体群になります。

    カメそのものは、

    昨日も今日も同じです。

    でも、

    人間の理解が変わると、

    そのカメが世界の中で占める意味まで変わります。

    亀好きとして注目したいポイント

    今回のニュースで僕が一番面白いと思うのは、

    「まだ答えが決まっていない」

    ことです。

    新種です。

    終わり。

    ではない。

    新種として記載された。

    別の研究者が見る。

    本当に違うのか。

    標本を見る。

    DNAを見る。

    形を見る。

    昔の論文を見る。

    また議論する。

    もしかすると、

    数年後には、

    K. mariamadreが広く独立種として認められているかもしれない。

    逆に、

    K. integrumとして定着しているかもしれない。

    今、

    僕たちは、

    カメの名前が決まっていく途中を見ている。

    それが、

    すごく面白い。

    保護されたカメ。

    放流されたカメ。

    繁殖したカメ。

    それだけじゃない。

    「お前は一体、何というカメなんだ?」

    というニュースも、

    世界にはあるんですね。

    湯川亀吉の一言

    新種見つけてみたいね〜

    出典

    Chelonological Contributions / theTurtleRoom
    Joseph-Ouni, M. et al.
    「New Species of Mud Turtle (Testudines: Kinosternidae) from the Tres Marías Islands, Nayarit, Mexico」
    2025年7月3日。Kinosternon mariamadreの新種記載、標本、分布、命名、分類史について。
    新種記載論文の紹介ページを見る

    Chelonological Contributions 原著論文PDF
    ホロタイプ、パラタイプ、1881年以降の標本記録、María Madre島のみという分布情報など。
    原著論文PDFを見る

    The Reptile Database
    「Kinosternon integrum」
    2026年現在、K. mariamadreとK. iversoniをK. integrumの同物異名として整理。
    現在の分類上の扱いを見る

    IUCN SSC Tortoise and Freshwater Turtle Specialist Group / Turtle Taxonomy Working Group
    「Turtles of the World: Annotated Checklist and Atlas of Taxonomy, Synonymy, Distribution, and Conservation Status, 10th Edition」
    2025年。世界の現生カメ類の最新分類・分類変更・論争を整理したチェックリスト。
    Turtles of the World 第10版を見る

  • 【世界の亀ニュース】8,000万年の系統を絶やすな ベリーズがメキシコカワガメ「ヒカティー」を救う58項目の国家計画を承認

    【世界の亀ニュース】8,000万年の系統を絶やすな ベリーズがメキシコカワガメ「ヒカティー」を救う58項目の国家計画を承認

    今回は、中米ベリーズから、

    一匹のカメを守るために、

    国全体でこれから何をするのかを決めたニュースを紹介します。

    主役は、

    メキシコカワガメ。

    学名は、

    Dermatemys mawii。

    英語では、

    Central American River Turtle。

    そしてベリーズでは、

    Hicatee(ヒカティー)

    という名前で親しまれています。

    2026年8月。

    ベリーズ水産局は、このヒカティーを絶滅から守るための

    Central American River Turtle (Hicatee) Conservation Action Plan 2026

    を正式に承認しました。

    そこに並んでいる具体的な行動は、

    58項目。

    密猟対策。

    法律。

    教育。

    飼育下繁殖。

    野生復帰。

    研究。

    生息地保全。

    それらを一つの計画にまとめ、

    これから実際に動かしていきます。

    今回のニュース

    Turtle Survival Alliance(TSA)が2026年8月31日に発表したところによると、ベリーズのMinistry of Blue Economy & Marine Conservation傘下のFisheries Departmentが、ヒカティーの新しい保全行動計画を承認しました。

    計画作りを中心となって進めたのは、

    Belize Foundation for Research and Environmental Education(BFREE)。

    そこへ、

    Belize Fisheries Department。

    Turtle Survival Alliance。

    Zoo New England。

    研究者。

    大学。

    保全団体。

    行政。

    そして、

    実際にヒカティーを捕ってきた伝統的な漁業地域の人々

    まで参加しました。

    計画づくりそのものは2020年から始まり、オンライン・対面のワークショップや戦略会議を何年も重ねてきました。

    そして2026年8月24日。

    ベリーズのNational Climate Weekで正式に発表。

    ようやく、

    「ヒカティーを守りたい」

    という段階から、

    「誰が、何を、どう進めるのか」

    という実行段階へ移ります。

    どこの国・地域の話か

    国:ベリーズ
    地域:中米
    対象種:メキシコカワガメ
    現地名:Hicatee
    学名:Dermatemys mawii
    英名:Central American River Turtle
    発表:2026年8月24日
    TSA発表:2026年8月31日
    情報の種類:淡水ガメ・国家保全計画・飼育下繁殖・野生復帰・密猟対策・生息地保全

    メキシコカワガメは、

    ベリーズだけのカメではありません。

    現在の自然分布は、

    ベリーズ。

    グアテマラ。

    メキシコ南部。

    この3地域に限られています。

    登場する亀

    今回の主役、

    Dermatemys mawii。

    日本ではメキシコカワガメという名前が使われています。

    そして、このカメには、

    とても大きな特徴があります。

    ものすごく水棲傾向が強い。

    川。

    湖。

    三日月湖。

    冠水林。

    そうした淡水環境の中で生活します。

    さらに、

    大型の淡水ガメでありながら、

    ほぼ完全な植物食。

    水中や川沿いの植物を利用します。

    見た目もかなり独特です。

    甲羅は一般的なカメのようにゴツゴツと高く盛り上がらず、

    比較的滑らか。

    頭は丸みがあり、

    鼻先は少し突き出しています。

    完全に、

    「川を泳ぐためのカメ」

    という感じです。

    この一匹しか残っていない「科」

    ここが、

    僕が今回一番驚いたところです。

    メキシコカワガメが所属するのは、

    Dermatemydidae。

    現在、

    この科に生きている種類は、

    Dermatemys mawiiだけ。

    一種類です。

    WCS Belizeによると、

    その最も近い親戚たちは、

    現在では化石でしか知られていません。

    さらに、

    この系統は他の現生カメ類から、

    およそ8,000万年前に分岐したとされています。

    8,000万年前。

    恐竜がいた時代です。

    つまり、

    メキシコカワガメが絶滅するということは、

    一種類がいなくなるだけではありません。

    8,000万年以上続いてきた一本の系統そのものが、現代で途切れる

    ということになります。

    でも、人間が食べてきたカメでもある

    そして、

    このカメの保全を難しくしている理由があります。

    ヒカティーは、

    ベリーズの人々にとって、

    単なる珍しい野生動物ではありません。

    長い間、

    食文化とも結びついてきたカメです。

    そのため、

    捕獲されてきました。

    そして、

    捕獲量が個体群の回復能力を上回るようになった。

    TSAやBFREEは、

    現在の大きな減少原因として、

    食用目的の過剰捕獲

    を挙げています。

    だから今回の計画も、

    単純に、

    「捕るな」

    だけではありません。

    文化。

    地域住民。

    法律。

    教育。

    研究。

    野生個体群。

    全部を一緒に考えています。

    現在も細かい捕獲規制がある

    ベリーズでは現在、

    ヒカティーの売買は禁止されています。

    さらに、

    所持できる数。

    車両で運べる数。

    雌の捕獲に関するサイズ制限。

    5月1日から31日までの禁漁期。

    などの規制があります。

    ここからも、

    このカメと人間との関係の複雑さが分かります。

    完全に、

    人間から切り離された野生動物ではない。

    でも、

    今までと同じように捕り続ければ、

    いなくなる。

    だから、

    「利用」と「存続」をどう両立させるのか

    まで考えなければなりません。

    58の行動

    今回決められた計画には、

    58の具体的な行動が設定されています。

    大きく分けると、

    法執行。

    法律・規制。

    地域教育。

    飼育個体群管理。

    野生復帰。

    研究。

    野生個体群そのものの保全。

    生息地の回復と保護。

    などです。

    つまり、

    「繁殖させればいい」

    ではありません。

    密猟を減らす。

    子どもたちへ伝える。

    川を残す。

    野生の数を調べる。

    飼育個体の血統を管理する。

    カメを戻す。

    そして、

    戻した場所を守る。

    全部必要です。

    2010年から続いてきた

    もちろん、

    2026年に突然始まった活動ではありません。

    BFREEとTSAが本格的にヒカティー保全へ協力し始めたのは、

    2010年。

    翌2011年には、

    Hicatee Conservation & Research Center

    が設立されました。

    そこで、

    飼育下繁殖。

    ヘッドスタート。

    野生個体群調査。

    生態研究。

    教育。

    再導入。

    さまざまな活動が進められてきました。

    15年以上の実践を経て、

    今回、

    それらを国の正式なロードマップにまとめたわけです。

    1,000匹以上を野生へ

    そして、

    すでに結果も出始めています。

    TSAによると、

    これまでに、

    1,000匹以上のヘッドスタート個体が野生へ放されています。

    つまり、

    飼育施設で増やすだけではない。

    育てる。

    野生で生きられるサイズにする。

    そして、

    川へ戻す。

    すでにそこまで進んでいます。

    30,000エーカーを守った

    さらに2021年。

    TSA、BFREEなどの保全パートナーは、

    約30,000エーカー

    の土地の保全につなげました。

    その中には、

    重要なヒカティー生息地であるCox Lagoonも含まれます。

    Cox Lagoonは、

    Belize Riverとつながる重要な淡水環境です。

    1,000匹カメを育てる。

    でも、

    川がなくなったら意味がない。

    だから、

    カメだけでなく、

    カメが帰る場所そのものを確保する。

    ここでも、

    同じ考え方が出てきます。

    学校でも「ヒカティー」を伝える

    保全活動のもう一つの柱が、

    教育です。

    TSAによると、

    これまでにヒカティーを題材とした教育・普及活動へ、

    数千人のベリーズの子どもたち

    が参加しています。

    学校では、

    ヒカティーをテーマにしたバナーなども作られてきました。

    これは、

    かなり重要だと思います。

    今、

    川にいる大人のカメを守る。

    でも、

    20年後に、

    そのカメを捕るか、

    守るかを決めるのは、

    今の子どもたちかもしれない。

    カメの寿命は、

    人間の政策より長い。

    だから、

    次の世代まで含めて保全する必要があります。

    「ベリーズが最後の希望」

    BFREEのJacob Marlin氏は、

    ヒカティーについて、

    ベリーズがこの種の長期的な存続にとって最後の希望だ

    という強い表現を使っています。

    もちろん、

    メキシコやグアテマラにも本種は残っています。

    でも、

    多くの地域ですでに個体群は大幅に減少し、

    場所によっては姿を消しました。

    だからこそ、

    比較的個体群が残っているベリーズで、

    今止められるかどうかが重要になります。

    「計画を作った」で終わらせない

    そして今回、

    一番大事なのはここです。

    58項目を決めた。

    立派な冊子を作った。

    政府が承認した。

    それだけでは、

    カメは一匹も増えません。

    BFREE自身も、

    保全団体だけではヒカティーを救えない

    と明言しています。

    最終的に、

    ヒカティーがベリーズで十分な数を維持できるかどうかを決めるのは、

    ベリーズの人々です。

    だから今回の発表は、

    完成ではありません。

    むしろ、

    スタートラインです。

    亀好きとして注目したいポイント

    今回のニュースで僕が一番面白いと思うのは、

    やっぱり、

    「一種類を失うことと、一つの進化の枝を失うことは同じではない」

    というところです。

    ヒカティーが絶滅する。

    すると、

    Dermatemys mawiiがいなくなる。

    でも、

    それだけじゃない。

    Dermatemydidaeというグループから、

    生きている動物が、

    一匹もいなくなる。

    何千万年も続いた系統が、

    そこで終わる。

    恐竜が歩いていた頃から、

    祖先が形を変えながら、

    ずっと命をつないできた。

    気候が変わった。

    大陸が変わった。

    他の動物が絶滅した。

    それでも、

    この一本だけは、

    2026年まで来た。

    だったら、

    ここで終わらせたくない。

    今回の58項目は、

    その一本の線を、

    未来へもう少し伸ばすための計画なんだと思います。

    湯川亀吉の一言

    ベリーズって国があるということを知らなかった!

    出典

    Belize Fisheries Department
    「Central American River Turtle (Hicatee) Conservation Action Plan 2026」
    ベリーズ政府が正式に公開している保全行動計画。58の戦略的行動と長期的な保全方針について。
    Belize Fisheries Departmentの公式資料ページを見る

    Turtle Survival Alliance
    「Belize Approves Conservation and Action Plan for Critically Endangered Hicatee」
    2026年8月31日。計画の承認、58項目、15年以上の保全活動、1,000匹以上の野生復帰、30,000エーカーの生息地保全について。
    TSAの記事を読む

    Belize Foundation for Research and Environmental Education(BFREE)
    「Hope for the Hicatee」
    2026年8月24日。計画作成の経緯、地域住民・研究者・行政などの参加、Climate Weekでの発表について。
    BFREEの記事を読む

    Wildlife Conservation Society Belize
    「Central American River Turtle」
    本種がDermatemydidae唯一の現生種であること、約8,000万年前に他の現生カメ類から分岐した非常に古い系統であること、分布・食性・脅威について。
    WCS Belizeの種紹介を見る

    IUCN/SSC Tortoise and Freshwater Turtle Specialist Group
    「Dermatemys mawii – Central American River Turtle」
    分類、分布、生態、植物食、保全状況について。
    TFTSGの種アカウントを見る

  • 【世界の亀ニュース】30年ぶりにガンジス川へ 20匹のニシキセタカガメが始める「失われた個体群」の再建

    【世界の亀ニュース】30年ぶりにガンジス川へ 20匹のニシキセタカガメが始める「失われた個体群」の再建

    今回は、インドを代表する大河川・ガンジス川で始まった、絶滅寸前の淡水ガメを復活させる取り組みを紹介します。

    主役は、

    ニシキセタカガメ。

    学名は、

    Batagur kachuga。

    英語では、

    Red-crowned Roofed Turtle

    と呼ばれています。

    かつてはガンジス川流域の広い範囲に生息していました。

    しかし、成体や卵の捕獲、漁業、砂の採取、ダムによる水位変化、河岸の農地化などによって急減。

    現在、野生でまとまった個体群が残っているのは、ほぼチャンバル川だけになっています。2026年に報じられた最新の整理では、チャンバル川に残る成体は1,000匹未満、そのうち繁殖可能な雌は約500匹と推定されています。

    そして2025年。

    人間は、このカメを、

    「まだ残っている場所で守る」

    だけではなく、

    「消えてしまった川へ戻す」

    段階へ進みました。

    今回のニュース

    2025年4月26日。

    インド・ウッタルプラデシュ州のGarhaita Turtle Conservation Centerで育てられた20匹のニシキセタカガメが、ガンジス川水系のHaiderpur Wetland周辺へ移されました。

    インド政府による公式発表は、この取り組みを、

    ニシキセタカガメを約30年ぶりにガンジス川へ戻す再導入

    として紹介しています。

    20匹には、

    音響発信器(acoustic / sonic transmitter)

    が取り付けられました。

    つまり、放したあとも、

    どこへ泳ぐのか。

    どこに留まるのか。

    生き残れるのか。

    湿地と川をどのように利用するのか。

    その動きを追跡できます。

    調査は今後約2年間続けられる計画です。

    どこの国・地域の話か

    国:インド
    州:ウッタルプラデシュ州
    水系:ガンジス川
    主な放流地域:Haiderpur Wetland Complex周辺
    放流日:2025年4月26日
    対象種:ニシキセタカガメ
    学名:Batagur kachuga
    英名:Red-crowned Roofed Turtle
    情報の種類:淡水ガメ・再導入・ヘッドスタート・テレメトリー・河川保全・絶滅危惧種

    日本の環境省資料でも、Batagur kachugaには**「ニシキセタカガメ」**という和名が使われています。

    登場する亀

    ニシキセタカガメは、イシガメ科バタグールガメ属の大型淡水ガメです。

    大きな雌では甲長50cmを超えることがあり、大河川に適応したかなり立派なカメです。インド政府のガンジス川保全資料では、甲長は最大約56cm、体重は最大約25kgと紹介されています。

    でも、このカメで何より目を引くのは、

    オスの顔です。

    繁殖期になると、成熟したオスの頭部には赤、黄、白、青などの鮮烈な色彩が現れます。

    特に頭頂部が鮮やかな赤色になるため、

    Red-crowned=赤い冠を持つ

    という英名が付いています。

    一方、雌はずっと落ち着いた灰褐色〜オリーブ系の色彩。

    同じ種類とは思えないほど印象が違います。

    今後ヒーロー画像を作るなら、繁殖期の雄を描くか、雌を描くかで全く違う作品になる種類だね。

    かつてはガンジス川のカメだった

    ニシキセタカガメは、もともとガンジス川流域の広い範囲に生息していました。

    インドだけでなく、歴史的にはネパールやバングラデシュにも分布していたとされています。

    2026年のDown To Earthによる整理では、かつての分布域はガンジス川流域の主要河川・支流を含む、約40万平方キロメートル規模に及んでいました。

    つまり、

    もともとは、

    「チャンバル川だけの珍しいカメ」

    ではありませんでした。

    ガンジス川水系を代表する大型淡水ガメの一種だった。

    それが、ほとんどの地域から消えていきました。

    何がカメを消したのか

    原因は一つではありません。

    成体の捕獲。

    卵の採取。

    違法な国際ペット取引。

    漁網への混獲。

    砂の採掘。

    産卵する砂州での農業。

    ダムからの不規則な放水。

    河川環境そのものの変化。

    複数の圧力が重なりました。

    特にこのカメにとって重要なのが、

    砂州です。

    ニシキセタカガメの雌は春になると川から上がり、乾いた砂州へ穴を掘って卵を産みます。

    2026年の報告では、通常15〜20個ほどの卵を産み、約60〜65日の孵化期間を経て子ガメが川へ向かうとされています。

    つまり、

    川の水だけ守っても駄目。

    川の横にある砂まで必要なんです。

    1993年にはいた

    インド政府によると、1993年の調査ではBijnore Barrage周辺でニシキセタカガメが確認されていました。

    ところが、その後の調査では見つからなくなります。

    2020年にはHaiderpur Wetland周辺でカメ類の調査が行われました。

    9種類のカメが確認された。

    でも、

    ニシキセタカガメはいない。

    インド政府は2025年の再導入発表で、ガンジス川本流では約30年間、成体の確実な記録がなかったと説明しています。

    しかし、本当に完全に消えていたわけではなかった

    ここが面白いところです。

    2021年。

    ウッタルプラデシュ州Hapur地区で、

    一匹の成体雌

    が確認されました。

    さらに2023年。

    Bulandshahr地区のAhar村で、

    2つの巣

    が見つかります。

    27個の卵から、

    21匹の子ガメが孵化しました。

    つまり、

    ガンジス川から完全に絶滅していたわけではない可能性が出てきました。

    人間が見つけられないところで、

    わずかな個体が残っていた。

    少なくとも、

    産卵できる雌がいた。

    そして、

    繁殖も起きていた。

    でも、

    それだけで個体群が復活するとは限りません。

    最後の大きな砦はチャンバル川

    現在、このカメの生存を支えているのが、

    チャンバル川です。

    ガンジス川水系の支流で、National Chambal Sanctuaryという河川保護区があります。

    2024年の研究論文では、

    チャンバル川がニシキセタカガメの最後に知られる野生個体群を支えている

    とされています。

    そこでは2006年から、

    かなり大規模な保全活動が続いています。

    巣を探す

    毎年、

    2月から5月。

    保全チームが川沿いを歩きます。

    目的は、

    カメの巣。

    そのままでも安全な場所ならいい。

    でも、

    水位が上がれば沈みそうな巣。

    人に掘られる可能性がある巣。

    ジャッカルや野犬に襲われそうな巣。

    そうした危険な巣は、

    卵を慎重に回収します。

    そして、

    川沿いに設置された保護孵化場へ移します。

    6,500以上の巣

    2006年から2020年までの14繁殖シーズン。

    ニシキセタカガメと近縁のミスジセタカガメを合わせて、

    6,500以上の巣

    が保護されました。

    そして孵化した子ガメの多くは、

    その巣がもともとあった場所へ戻されます。

    2024年の論文によると、このプロジェクトを通じて両種合わせて12万匹以上の子ガメがチャンバル川へ放されています。

    とてつもない数です。

    でも、一部の子ガメだけは川へ戻さない

    孵化した子ガメをすぐ川へ戻す。

    それが基本です。

    でも、

    毎年その中から一部だけを選びます。

    その子たちは、

    すぐには放しません。

    保全施設で育てます。

    これが、

    head-starting=ヘッドスタート

    です。

    小さな子ガメは、

    魚や鳥など多くの捕食者に狙われます。

    そこで、

    ある程度大きくなるまで人間が育てる。

    体が大きくなり、

    捕食されにくくなってから川へ戻す。

    生存率を少しでも上げるための方法です。

    786匹を育てた

    2020年までに、

    この施設でヘッドスタートされたニシキセタカガメは、

    786匹。

    さらに近縁種のBatagur dhongokaも66匹が育てられました。

    2022年には、

    ヘッドスタートされたニシキセタカガメ100匹がチャンバル川へ放流されています。

    つまり、

    卵を守る。

    子ガメを生ませる。

    一部を育てる。

    川へ返す。

    この循環を、

    何年も何年も繰り返しています。

    そして次の段階へ

    ここまでは、

    残っている個体群を増やす保全でした。

    でも、

    2025年の20匹は意味が違います。

    放した場所は、

    最後の砦であるチャンバル川ではありません。

    かつて暮らしていたガンジス川水系。

    つまり、

    個体群を補強するのではなく、

    失われた分布域そのものを取り戻そうとしている。

    2024年の研究論文でも、長期目標としてニシキセタカガメを歴史的分布域へ再導入することが明記されていました。

    翌2025年、

    それが実際に始まりました。

    20匹を二つのグループに分ける

    今回の放流は、

    単純ではありません。

    20匹を、

    10匹ずつ二つのグループ

    へ分けました。

    一方は、

    Haiderpur Wetlandの堰より上流側。

    もう一方は、

    下流側のガンジス川本流。

    さらに報道では、それぞれ雄5匹・雌5匹で構成されたとされています。

    なぜ分けたのか。

    どちらの放流方法・環境のほうが再導入に適しているのかを比較するためです。

    「ソフト」と「ハード」を比べる

    インド政府は今回、

    soft releaseとhard releaseを比較する最初の再導入試験

    と説明しています。

    簡単に言えば、

    新しい環境へ少しずつ慣らしてから自由にする方法と、

    直接野生環境へ放す方法の違いです。

    どちらが良いかは、

    種類によっても、

    場所によっても変わります。

    だから、

    実際のカメを追跡して確かめます。

    20匹全員に発信器

    ここで重要になるのが、

    音響発信器です。

    カメが見えなくなっても、

    発信器から出る信号を追えば、

    移動を確認できます。

    2026年のDown To Earthによれば、初期の追跡では、放流個体について生存と分散に前向きな結果が得られていると報じられています。

    ただし、

    まだ始まったばかりです。

    本当の成功は、

    20匹が生きていることだけではありません。

    最終的には、人間が放さなくても増えること

    再導入されたカメが、

    ガンジス川で餌を見つける。

    生き残る。

    成長する。

    雄と雌が出会う。

    交尾する。

    雌が砂州へ上がる。

    巣を掘る。

    卵を産む。

    そして、

    人間が持ってきたのではない子ガメが、

    ガンジス川へ入る。

    そこまでいけば、

    ようやく、

    個体群の再建が始まった

    と言えるのだと思います。

    20匹を放すことは、

    ゴールではありません。

    本当の目的は、

    いつか、

    21匹目を人間が放さなくてもいい状態を作ることです。

    国際取引からも強く守られるようになった

    ニシキセタカガメは、

    IUCNレッドリストで**Critically Endangered(深刻な危機)**に分類されています。

    さらに2022年のCITES第19回締約国会議では、インドが提出した提案によって、国際取引規制を附属書IIから附属書Iへ強化することが全会一致で承認されました。現在のCITES附属書にもBatagur kachugaは附属書Iとして掲載されています。

    背景には、

    違法なペット取引があります。

    特に繁殖期の雄は、

    その異常なほど鮮やかな色彩から、

    コレクターの対象になってきました。

    実際、過去には複数個体がスーツケースへ詰め込まれ、国外へ運ばれようとして摘発された事件もあります。

    美しいことが、危険になる。

    野生動物では、

    何度も起きている問題です。

    亀好きとして注目したいポイント

    今回のニュースで僕が一番面白いと思うのは、

    「守る場所を増やす」という考え方です。

    チャンバル川に、

    最後の個体群が残っている。

    だったら、

    そこだけを徹底的に守ればいい。

    そう考えることもできます。

    でも、

    一か所だけに全個体群が集中することには危険があります。

    大規模な洪水。

    水質事故。

    感染症。

    ダム。

    開発。

    たった一つの川で何かが起きれば、

    種全体が危険になる。

    だから、

    昔いた場所へ、

    もう一つの個体群を作る。

    さらに、

    もう一つ。

    そうやって、

    絶滅の危険を分散させる。

    僕は、

    今回の20匹は、

    単にカメを放した数字ではなく、

    「ニシキセタカガメの世界を、もう一度広げる最初の20匹」

    なんだと思います。

    湯川亀吉の一言

    ニシキセタカガメ、本当に欲しかったんだよ!

    広いスペースさえあれば買ってたのにな〜!

    ちくちょう!!

    自然界でどんどん増えて、また日本に輸出してくれ!!

    出典

    Government of India / Press Information Bureau・Ministry of Jal Shakti
    「Unique Success of the Namami Gange Mission: The Return of the Red-Crowned Roofed Turtle to the Ganga After Three Decades」
    2025年4月29日。20匹の再導入、音響発信器、2グループによる放流試験、約2年間の追跡について。
    インド政府の公式発表を見る

    Down To Earth
    「Turning turtle」
    2026年3月28日。過去の分布、現在のチャンバル川個体群、2021年の成体雌、2023年の巣、再導入後の状況などを整理。
    Down To Earthの記事を読む

    The Herpetological Bulletin
    「Conservation recovery of Batagur kachuga and Batagur dhongoka turtles in India: Development and operation of a head-starting facility」
    2024年。2006年からの巣保護、孵化場、ヘッドスタート、歴史的分布域への再導入計画についての研究論文。
    研究論文を見る

    India Turtle Conservation Program
    「Batagur Recovery Project along Chambal-Yamuna River」
    チャンバル川での巣保護、孵化、個体群減少、地域との連携について。
    保全プロジェクトを見る

    Turtle Survival Alliance
    「Red-crowned Roofed Turtles Get a Head Start in India」
    ヘッドスタート、巣の移設、孵化・放流と脅威について。
    TSAの記事を読む

    CITES
    2025年2月7日版の附属書。Batagur kachugaはAppendix Iに掲載。
    CITES附属書を見る

    環境省
    日本国内資料でBatagur kachugaの和名「ニシキセタカガメ」を確認。
    環境省資料を見る

  • 【世界の亀ニュース】100年ぶりに再発見されたカメを「未来の湿地」へ 気候変動から救うオーストラリアの移住計画

    【世界の亀ニュース】100年ぶりに再発見されたカメを「未来の湿地」へ 気候変動から救うオーストラリアの移住計画

    今回は、オーストラリア西部に生息する、世界でも特に希少な淡水ガメの保全活動を紹介します。

    学名は、

    Pseudemydura umbrina。

    日本の法令では、

    オーストラリアヌマガメモドキ

    という和名が使われています。

    一方、日本の爬虫類関連資料などでは、

    クビカシゲガメ

    という名前も使われています。

    このカメは、

    一度は絶滅したと思われました。

    再発見された。

    繁殖に成功した。

    1,000匹以上を野生へ戻した。

    普通なら、

    ここまででも大成功です。

    でも、

    問題が一つ残っていました。

    カメが暮らしてきた湿地そのものが、だんだん乾いている。

    そこで研究者たちは、

    過去にこのカメが生息していなかった、

    もっと南の、

    もっと涼しく、

    もっと長く水が残る湿地へ、

    カメを移し始めました。

    今回のニュース

    大きな転換点の一つが、2016年です。

    西オーストラリア州政府、Perth Zoo、University of Western Australiaなどの保全チームは、飼育下で繁殖した24匹のオーストラリアヌマガメモドキを、西オーストラリア州南西部の新しい候補地へ移しました。

    重要なのは、

    そこが単なる「別の放流場所」ではなかったことです。

    本来このカメが知られていた歴史的な分布域よりも、

    さらに南側。

    将来の気候変動を考え、

    より涼しく、

    より湿潤な環境を探して選ばれました。

    この方法は、

    assisted colonisation

    と呼ばれます。

    日本語なら、

    「人為的移住」

    「保全的移住」

    あるいは、

    「分布域外への計画的移送」

    に近い考え方です。

    どこの国・地域の話か

    国:オーストラリア
    州:西オーストラリア州
    従来の主な生息地域:パース近郊・スワン沿岸平野
    新たな移住候補地:西オーストラリア州南西部
    対象種:オーストラリアヌマガメモドキ
    学名:Pseudemydura umbrina
    英名:Western Swamp Tortoise / Western Swamp Turtle
    情報の種類:淡水ガメ・飼育下繁殖・野生復帰・気候変動・保全的移住

    現在、オーストラリア政府も本種の重要な保全策として、気候変動下でも生息可能な場所へ新しい個体群を作ることを挙げています。

    登場する亀

    オーストラリアヌマガメモドキは、

    ヘビクビガメ科に属する非常に小型の淡水ガメです。

    成体でも甲長はおよそ11〜13cm程度。

    体重は300〜450gほど。

    首は短く、

    頭頂部には大きな一枚の鱗板があります。

    足には水かきがあり、

    各足に5本の爪を持ちます。

    見た目は、

    派手ではありません。

    巨大でもない。

    奇抜な模様もない。

    茶色。

    黒。

    泥や湿地に溶け込むような小さなカメです。

    でも、

    進化的には非常に独特な存在です。

    Pseudemydura属で現在生きているのは、この一種だけ。

    オーストラリア政府の回復計画では、近縁のカメとは大きく異なる遺存的な系統であることが紹介されています。

    1839年、一匹だけ見つかった

    このカメの科学的な物語は、

    1839年に始まります。

    オーストリア人の博物学者Ludwig Preissが、西オーストラリアで一匹の標本を採集。

    その標本は、

    ウィーン自然史博物館へ送られました。

    しかし、

    その後が続きません。

    一匹も見つからない。

    何十年経っても、

    見つからない。

    1901年、

    博物館に保存されていた標本をもとに、

    Pseudemydura umbrina

    として正式に記載されます。

    でも、

    生きたカメが見つからない状態は続きました。

    100年以上、誰も見つけられなかった

    1839年から、

    1953年まで。

    114年間。

    新しい標本は確認されませんでした。

    そのため、

    このカメは絶滅したのではないかと考えられていました。

    そして1953年。

    物語が突然動きます。

    見つけたのは少年だった

    西オーストラリア州Upper Swan。

    そこで一匹の小さなカメを見つけたのは、

    Robert Boydという少年でした。

    彼はそのカメを、

    Western Australian Naturalists’ Clubの野生動物展示会へ持っていきます。

    そこで、

    「これは普通のカメではない」

    と気付かれました。

    100年以上、

    科学者にも見つからなかったカメ。

    その再発見のきっかけを作ったのは、

    一人の少年でした。

    探してみると、二つの小さな個体群があった

    再発見後、

    周辺で調査が行われます。

    そして、

    パース北東部に、

    二つの小さな生息地が見つかりました。

    現在の、

    Ellen Brook Nature Reserve。

    Twin Swamps Nature Reserve。

    この二つです。

    1962年には、

    残された生息環境を守るため、

    自然保護区が設けられました。

    一度は絶滅したと思われたカメに、

    ようやく保護区ができました。

    でも、生息地そのものが消えていった

    問題は、

    カメを捕る人だけではありませんでした。

    このカメが暮らしていたスワンバレー周辺は、

    パース都市圏に近い場所です。

    農業。

    宅地開発。

    道路。

    粘土採掘。

    排水。

    かつて湿地だった土地の多くが、

    別の用途へ変わっていきました。

    オーストラリア政府によると、本来利用していた粘土質の湿地の大部分は、現在では都市化・農業利用・粘土採掘などによって失われています。

    1980年代、30匹未満

    保護区まで作った。

    それでも、

    減少は止まりませんでした。

    1980年代。

    野生に残った個体は、

    30匹未満。

    Perth Zooは、

    この時期を本種が絶滅寸前まで追い詰められた時代として紹介しています。

    100年ぶりに見つかった。

    そのわずか30年後、

    今度は本当に消えそうになりました。

    1989年、動物園で繁殖を始める

    そこで、

    Perth Zooを中心とした飼育下繁殖プログラムが本格化します。

    開始は1989年。

    親ガメを繁殖させる。

    卵を見つける。

    掘り出す。

    孵卵器へ移す。

    孵化させる。

    子ガメを育てる。

    そして、

    十分に成長してから野生へ戻す。

    現在、Perth Zooでは、子ガメがおよそ100g、約3歳になった頃を一つの目安として野生復帰させています。

    1,300匹以上が生まれた

    その積み重ねは、

    大きな数字になりました。

    Perth Zooによると、

    1989年以降、

    1,300匹以上のオーストラリアヌマガメモドキが同園で繁殖。

    2024年6月時点で、

    そのうち1,125匹が野生環境へ放されています。

    30匹未満まで減ったカメです。

    そこから、

    1,000匹を超えるカメを、

    再び自然へ送り出せるところまで来ました。

    だったら、もう安心?

    ここまで読むと、

    保全は成功したように見えます。

    でも、

    新しい問題が出てきました。

    雨が減っている。

    このカメは、

    一年中水の中にいるわけではありません。

    冬から春。

    雨によって一時的な湿地に水がたまる。

    カメはそこで活動します。

    餌を食べる。

    成長する。

    繁殖に必要なエネルギーを蓄える。

    そして夏。

    湿地が乾くと、

    地面の穴や深い落ち葉の中へ入り、

    活動を抑えて暑い時期を乗り切ります。

    つまり、

    一定期間、湿地に水が残ること

    が非常に重要です。

    ところが、水のある期間が短くなっている

    気候が暖かく、

    乾燥するようになる。

    雨が減る。

    湿地が早く乾く。

    すると、

    カメが水中で餌を取れる期間が短くなります。

    昔は半年近く使えた湿地でも、

    水が残る期間が数か月まで短くなる可能性がある。

    そうなると、

    カメは十分に食べられません。

    成長できない。

    繁殖できない。

    つまり、

    保護区そのものは残っていても、カメが暮らせなくなる

    可能性があります。

    そこで発想を逆にした

    普通の保全なら、

    「本来の生息地を守ろう」

    と考えます。

    それはもちろん重要です。

    でも、

    本来の場所の気候そのものが変わってしまったら?

    そこで研究者たちは、

    違う問いを立てました。

    カメを守る場所を、もっと南へ作れないか。

    西オーストラリア州南西部。

    パース周辺より、

    涼しい。

    雨が多い。

    湿地に長く水が残る。

    将来、

    現在の生息地が暑く乾燥したとき、

    そこがカメの避難場所になる可能性があります。

    2016年、歴史的分布域の外へ

    2016年。

    24匹の飼育下繁殖個体が、

    Meerup周辺とAugusta東部の保全地域へ試験的に放されました。

    西オーストラリア州政府は当時、この試みを、

    将来の気候変動に備えて脊椎動物を歴史的分布域外へ移す試み

    として紹介しました。

    カメを、

    「昔いた場所」

    へ戻すのではない。

    「未来でも生きられそうな場所」へ移す。

    保全の考え方そのものが変わっています。

    「カメがいなかった場所へ放していいのか」

    でも、

    これは簡単な問題ではありません。

    ある生き物を、

    本来いなかった地域へ持ち込む。

    人間は過去、

    これを何度もやっています。

    そして、

    外来生物問題を起こしてきました。

    だから、

    assisted colonisationには議論があります。

    移したカメが、

    新しい生態系へ悪影響を与えないか。

    他の希少種と競合しないか。

    病気を持ち込まないか。

    新しい場所で本当に繁殖できるか。

    気候だけでは決められません。

    コンピューターまで使って「未来の湿地」を探す

    そこで研究者たちは、

    現在の生息地だけを見ません。

    気温。

    降水量。

    湿地に水が残る期間。

    カメの活動。

    卵の発生。

    将来の気候予測。

    さまざまな条件をモデル化し、

    これから先もカメが暮らせそうな場所

    を探しました。

    University of Western Australiaの研究者たちは、

    この理想的な場所を、

    “Goldilocks wetlands”

    と表現しています。

    暑すぎない。

    寒すぎない。

    乾きすぎない。

    カメにとって、

    「ちょうどいい湿地」です。

    2021年、さらに73匹

    試験は続きます。

    2021年には、

    Perth Zooで繁殖した73匹が、

    西オーストラリア州南西部の二つの場所へ放されました。

    Augusta東部へ16匹。

    Scott National Parkへ57匹。

    このうち48匹には、

    無線発信器やデータロガーが装着されました。

    見るのは、

    単に生死だけではありません。

    どこへ移動するか。

    いつ活動するか。

    体温はどう変化するか。

    どれくらい成長するか。

    新しい環境で、

    カメが本当に「普通に暮らせるか」を調べます。

    2022年、191匹を一度に放流

    翌2022年。

    さらに大きな放流が行われました。

    合計、

    191匹。

    44匹がScott National Park。

    147匹がMoore River Nature Reserve。

    飼育下繁殖プログラム開始以来、

    当時最大規模の放流でした。

    Scott National Parkの個体群は特に、

    気候変動への避難先として新しい個体群を作れるか

    を確かめる重要な試みになっています。

    2024年、さらに20匹

    保全は現在も続いています。

    2024年には、

    Perth ZooとAdelaide Zooで育った20匹が、

    Moore River近郊へ放されました。

    年齢は、

    2歳から13歳。

    放流前には無線発信器が取り付けられ、

    既にその場所で暮らしている個体と行動を比較する研究も始まりました。

    同発表時点で、

    Perth Zooでは1,300匹以上が繁殖し、

    1,145匹が野生へ放された

    とされています。

    「元の場所へ戻す」だけが保全ではなくなった

    これまで、

    野生復帰という言葉には、

    一つの分かりやすい形がありました。

    捕まえられた場所へ戻す。

    昔いた場所へ戻す。

    本来の生息地へ戻す。

    でも、

    気候変動は、

    その考え方を難しくしています。

    場所は残っている。

    保護区にもなっている。

    密猟者もいない。

    それでも、

    気候だけが昔とは違う。

    だったら、

    カメを過去へ戻すのではなく、

    未来へ移す必要があるのかもしれない。

    オーストラリアヌマガメモドキの保全は、

    その難しい問いを、

    実際のカメを使って考えているプロジェクトです。

    亀好きとして注目したいポイント

    今回の話で僕が一番面白いと思うのは、

    「生息地とは何なのか」

    というところです。

    カメが昔からいた場所。

    それが生息地。

    普通はそう考えます。

    でも、

    気温が変わる。

    雨が減る。

    湿地が乾く。

    すると、

    地図上では同じ場所でも、

    カメにとっては、

    もう同じ場所ではない。

    逆に、

    昔はカメがいなかった南の湿地が、

    50年後には、

    カメにとって一番暮らしやすい場所になるかもしれない。

    保全というのは、

    昔の状態をそのまま保存する仕事だと思っていたけれど、

    このカメを見ていると、

    そうではないのかもしれない。

    変わっていく世界の中で、生き物が生き続けられる場所を探す仕事

    でもあるのだと思います。

    湯川亀吉の一言

    他人が持っていない亀って、なんで欲しくなるんでしょうね?

    僕の性格が捻くれてるせいかな?

    欲しいなぁ〜オーストラリアヌマガメモドキ

    出典

    Perth Zoo
    「Western Swamp Tortoise Breeding Program」
    再発見、1980年代の個体数、繁殖プログラム、現在の繁殖・放流実績、気候変動に対応した新しい放流地について。
    URL:Perth Zooの保全プログラムを見る

    Western Australia Department of Biodiversity, Conservation and Attractions
    「Record release for critically endangered Western Swamp Tortoise」
    2022年。44匹と147匹、合計191匹の記録的な放流について。
    URL:DBCAの記事を読む

    National Environmental Science Program – Threatened Species Recovery Hub
    「Western swamp tortoises move to a cool new home」
    2016年。気候変動に備えて24匹を歴史的分布域外へ移した初期のassisted colonisationについて。
    URL:2016年の移住計画を見る

    The University of Western Australia
    「Bold plan to find ‘Goldilocks’ wetlands for Western Swamp Tortoise」
    2022年9月7日。気候変動に耐えられる新しい湿地を探す研究について。
    URL:UWAの記事を読む

    Australian Government – DCCEEW
    「Western swamp tortoise」
    本種の脅威と、気候変動避難地への新個体群創出を含む現在の保全方針。
    URL:オーストラリア政府の種情報を見る

    e-Gov 法令検索
    Pseudemydura umbrinaの日本語名「オーストラリアヌマガメモドキ」の確認。
    URL:e-Govの法令情報を見る

  • 【世界の亀ニュース】16巣中13巣が捕食 X線と216ヤードの糸で追うトウブハコガメの産卵

    【世界の亀ニュース】16巣中13巣が捕食 X線と216ヤードの糸で追うトウブハコガメの産卵

    今回は、アメリカ・バージニア州で進められている、トウブハコガメの巣を探し出して孵化までの生存率を調べる研究を紹介します。

    使われているのは、

    X線装置。

    GPS。

    無線発信器。

    自動撮影カメラ。

    そして、

    プラスチックのカップと、細い糸。

    最新技術と驚くほど単純な道具を組み合わせながら、人間にはなかなか見つけることのできない「カメの巣」を追いかけています。

    今回のニュース

    2026年8月14日、Smithsonian’s National Zoo and Conservation Biology Institute(スミソニアン国立動物園・保全生物学研究所)は、バージニア州で進めているトウブハコガメの繁殖調査について発表しました。

    研究チームは約8週間、ほぼ毎日のように野外調査を行い、16か所のトウブハコガメの巣を発見しました。

    しかし、そのうち13巣が産卵後わずか数時間ほどで掘り返され、卵を食べられていました。

    主な捕食者として確認されたのは、アライグマやスカンクです。自動撮影カメラには、アライグマが巣の卵を食べる姿も記録されました。

    16巣中13巣。

    今回確認された巣の約81%が失われたことになります。

    過去の研究でも、ハコガメ類の巣では捕食率が90%に達する場合があるとされており、今回の結果もそれと一致する高い捕食圧を示しました。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:アメリカ合衆国
    州:バージニア州
    研究機関:Smithsonian’s National Zoo and Conservation Biology Institute
    研究チーム:Turtle Conservation Ecology Lab
    発表日:2026年8月14日
    対象:トウブハコガメ
    情報の種類:陸生ガメ・繁殖・産卵・捕食・野外研究・保全

    スミソニアンのTurtle Conservation Ecology Labは、2022年からバージニア州に生息するハコガメの移動、繁殖行動、生息地利用などを調べています。

    今回新たに始めたのが、

    「母ガメがどこへ卵を産み、その卵がどのくらい生き残るのか」

    を調べる研究です。

    登場する亀

    今回の主役は、トウブハコガメです。

    学名は Terrapene carolina carolina。

    英語ではEastern Box Turtleと広く呼ばれてきましたが、バージニア州野生生物資源局では現在、Woodland Box Turtleという名称を使用しています。

    トウブハコガメは、バージニア州全域に自然分布する陸生傾向の強いカメです。

    甲長はおよそ11〜20センチ。

    背甲は高く盛り上がり、褐色から黒色の地色に、黄色やオレンジ色の斑点、線、まだら模様が入ります。

    模様には非常に大きな個体差があります。

    名前の由来は「箱」

    ハコガメという名前の大きな理由が、腹甲です。

    トウブハコガメの腹甲には可動する蝶番のような構造があります。

    危険を感じると頭や手足を甲羅の中へ完全に引っ込め、腹甲を閉じることで、まるで箱のような状態になります。

    成熟した個体では、とても頑丈な防御です。

    でも、

    卵にはその甲羅がありません。

    そして孵化したばかりの子ガメにも、大人と同じ防御力はありません。

    今回の研究は、

    頑丈な「箱」を持つようになるずっと前に、どれほど多くの命が失われているのか

    を調べる研究でもあります。

    まず、母ガメを探す

    巣を調べるには、当然ながら最初に巣を見つけなければなりません。

    これが簡単ではありません。

    研究チームが調査している5か所には、無線発信器とGPSタグを装着した56匹のハコガメがいます。

    研究者はVHF受信機を使い、それぞれの個体に割り当てられた電波を探します。

    信号が強くなる方向へ進む。

    草をかき分ける。

    落ち葉を見る。

    そしてようやく、模様によって森の地面へ溶け込んでいる小さな甲羅を見つけます。

    発信器が付いていても見つけるのが難しいほど、ハコガメは森の中へ隠れるのが上手です。

    次にX線を撮る

    母ガメを発見したら、

    今度はその個体が卵を持っているかを調べます。

    雌のハコガメは、形成された卵を体内におよそ30〜60日間保持します。

    バージニア州でこの状態になるのは、主に5月下旬から7月上旬です。

    研究者はまず、後脚付近を慎重に触って硬い卵があるか確認します。

    ただし、触診だけでは確実ではありません。

    そこで登場するのが、

    携帯型X線装置です。

    プラスチックカップが研究器具になる

    野外に大きな病院設備を持ち込むことはできません。

    研究者は車の後ろに簡易的なフィールドステーションを作り、

    携帯型X線装置。

    タブレット。

    無線受信機。

    体重計。

    自動撮影カメラ。

    などを並べます。

    そしてX線を撮るときに使われる、非常に重要な道具があります。

    プラスチックカップです。

    カメを鉛で保護されたプレートとカップの上へ一時的に乗せます。

    カップは、撮影中にカメが歩いてどこかへ行ってしまわない高さになっています。

    その状態で短時間だけX線撮影を行うと、

    体内に卵があるかどうかが、その場で確認できます。

    高度なX線装置と、

    どこにでもありそうなプラスチックカップ。

    この組み合わせで野生の母ガメを調べています。

    卵があったら「糸」を付ける

    X線で卵が確認されたら、

    次に登場するのが糸です。

    研究者は母ガメの甲羅に、重さわずか約2グラムの小さな糸巻きを慎重に取り付けます。

    そしてカメを発見した場所へ戻します。

    糸巻きには、

    216ヤード、約198メートル

    もの糸が巻かれています。

    母ガメが森を歩く。

    その後ろに、細い糸が伸びていく。

    研究者は翌日、その糸をたどります。

    母ガメは簡単には産まない

    卵を持っているからといって、

    すぐにその場所へ産卵するわけではありません。

    ハコガメの雌は、巣を作る場所を何時間、ときには何日もかけて探します。

    土の状態。

    日当たり。

    温度。

    周囲の環境。

    さまざまな条件を確かめながら歩きます。

    研究者が、

    「ここに産むだろう」

    と思った場所から離れ、

    翌朝には約1.5マイル、約2.4キロ離れた山の上で巣を掘っていることさえあると報告されています。

    カメはゆっくり歩きます。

    でも、

    ゆっくりだから移動しないわけではありません。

    時間をかければ、人間が想像する以上の距離を移動します。

    糸をたどれば、巣が見つかる

    翌日。

    研究者は再び母ガメを探します。

    そして体重を測ります。

    もし体重が前日と変わっていなければ、

    まだ産卵していない可能性が高い。

    ところが、

    20〜80グラムほど軽くなっていたら、卵を産んだ可能性があります。

    そこで研究者は、

    母ガメの後ろに残された細い糸を逆方向へたどります。

    草の中。

    落ち葉の中。

    牧草地。

    森。

    何十メートル、場合によっては100メートル以上。

    糸を追っていく。

    そして、

    新しく土が掘り返された場所と糸が交差していれば、

    そこが巣である可能性があります。

    見つけたら、触らない

    巣を発見しても、

    研究者は卵を掘り出して確認するわけではありません。

    可能な限り巣をそのままの状態にします。

    位置を記録し、

    小さな目印を付け、

    自動撮影カメラを設置する。

    そして、

    その後何が起こるのかを見守ります。

    母ガメが選んだ場所を、

    できるだけ母ガメが残した状態のまま観察する。

    そのための研究です。

    20匹の母ガメから16巣を発見

    2026年の調査では、

    研究対象のうち20匹の雌が卵を持っていることが確認されました。

    そのうち研究チームが見つけることができた巣は16か所。

    3匹は研究者が立ち入れない私有地で産卵。

    残る1匹については、最終的に巣を発見できませんでした。

    ここまでは、

    かなり高い精度で母ガメを追跡できています。

    しかし、

    本当に厳しい結果は、その後でした。

    16巣中13巣が失われた

    約8週間の調査で見つかった16巣。

    そのうち13巣が、

    アライグマやスカンクなどによって掘り返されました。

    しかも一部は、

    産卵からわずか数時間後です。

    母ガメが穴を掘る。

    卵を産む。

    土を戻す。

    その日のうちに、

    別の動物がその場所を見つける。

    掘り返す。

    卵を食べる。

    子ガメになる前に、

    そこで命が途切れます。

    カメの最大の敵は「道路」だけではない

    陸生のカメについて考えるとき、

    人間には分かりやすい危険があります。

    道路。

    自動車。

    草刈り機。

    農薬。

    森林開発。

    実際、スミソニアンのこれまでの調査でも、道路、気候の変化、芝刈り機、住宅地周辺の捕食動物などがハコガメ減少に関係している可能性が示されています。

    しかし今回の研究が見せているのは、

    甲羅を持ったカメとして地上へ出てくる前にも、大きな壁がある

    ということです。

    卵の段階です。

    成熟まで10〜20年

    トウブハコガメは、たくさんの子どもを短期間で増やす動物ではありません。

    バージニア州野生生物資源局によると、性成熟までには10〜20年かかります。

    雌が一年に産む卵も、およそ2〜7個です。

    そして今回の調査では、

    その数少ない卵の多くが、孵化する前に捕食されました。

    一匹の雌が10年以上かけて大人になる。

    その雌が数個の卵を産む。

    その多くが孵化前に失われる。

    さらに孵化した子ガメも、捕食、道路、生息地の変化などを越えなければならない。

    ハコガメが個体数を回復するのに時間がかかる理由が見えてきます。

    100年で約32%減少

    バージニア州野生生物資源局は、州内のWoodland Box Turtleについて、過去100年間で個体数がおよそ32%減少したと推定しています。

    生息地の分断や都市化、野生個体の違法なペット取引などが主要な脅威として挙げられています。

    一方で今回の研究は、

    「生まれたカメがなぜ減るのか」

    だけでなく、

    「そもそも、何匹が生まれるところまで到達できているのか」

    という段階へ調査を広げています。

    捕食者を悪者にすればいいのか

    13巣を失った。

    原因はアライグマやスカンク。

    だから捕食動物を排除すればいい。

    そう単純な話でもありません。

    アライグマやスカンクも、その生態系の中で生きている動物です。

    今回の研究の目的も、

    ただ捕食者を見つけることではありません。

    どんな場所に作られた巣が生き残るのか。

    土壌温度はどう違うのか。

    周囲の植生はどうなっているのか。

    巣の微気候はどうなっているのか。

    そうした条件を調べ、

    ハコガメが繁殖できる環境そのものを理解すること

    が目的です。

    来年は「生き残る巣」の条件を調べる

    研究チームは2027年も調査を続ける予定です。

    次の段階では、

    土壌温度。

    巣の位置。

    巣周辺の微気候。

    そのほかの環境条件。

    など、より詳しいデータを集めます。

    「捕食された巣」だけを見るのではありません。

    生き残った巣と比べる。

    そこに何が違うのかを探す。

    もし、

    生き残りやすい巣の条件が分かれば、

    将来、生息地管理や巣の保護方法を考える材料になります。

    亀好きとして注目したいポイント

    今回のニュースで僕が一番面白いと思うのは、

    人間が母ガメに巣の場所を教えてもらっていることです。

    人間が地図を広げて、

    「ここに産むだろう」

    と決めるのではない。

    まずカメを探す。

    卵を持っているか確認する。

    そして、

    カメを元の場所へ戻す。

    そこから先は、

    母ガメに好きなところへ歩いてもらう。

    人間は後ろに残された一本の糸をたどる。

    森の中で、

    細い糸の先にある答えを探す。

    最新のX線装置があっても、

    GPSがあっても、

    最後に必要なのは、

    カメ自身がどこへ行くのかを見ること。

    この研究は、

    人間がカメに正解を教える研究ではありません。

    カメが選んだ場所から、

    人間が正解を教えてもらう研究なのだと思います。

    湯川亀吉の一言

    亀は成熟に時間がかかるよね!

    僕は熱帯魚や金魚の繁殖をしていたから、亀の繁殖にもそれと同じ感覚で取り組んでしまいました。

    亀の繁殖にはめちゃめちゃ時間がかかる。

    それに、失敗もつきものである。

    プロのブリーダーさんたちの努力・研究には本当に敬服する。

    この記事にはあまり関係ないコメントになってしまったね。

    出典

    Smithsonian’s National Zoo and Conservation Biology Institute
    「How X-Rays, Plastic Cups and Spools of String Help National Zoo Researchers Find Wild Box Turtle Nests」

    Virginia Department of Wildlife Resources
    「Woodland Box Turtle」

    IUCN Red List of Threatened Species
    「Eastern Box Turtle – Terrapene carolina」

  • 【世界の亀ニュース】カナダでニセチズガメ100件超の観察記録 市民の写真から見つかった外来チズガメ

    【世界の亀ニュース】カナダでニセチズガメ100件超の観察記録 市民の写真から見つかった外来チズガメ

    今回は、カナダで本来生息していないチズガメの観察記録が増えているニュースを紹介します。

    きっかけは、一枚のカメの写真でした。

    今回のニュース

    2026年8月6日、Canadian Wildlife Federation(カナダ野生生物連盟)は、カナダ国内でニセチズガメの観察記録が100件を超え、さらにフトマユチズガメも20件以上記録されていると発表しました。

    どちらも本来はアメリカに自然分布する淡水ガメです。

    カナダ野生生物連盟によると、これらの外来チズガメは現在、ブリティッシュコロンビア州、オンタリオ州、ケベック州で観察されています。

    ただし、ここで重要なのは、

    「100件の観察記録=100匹の別個体」ではない

    ということです。

    同じ個体が複数回撮影されている可能性もあります。また、観察例が増えていることだけから、カナダで繁殖して安定した野生個体群を形成していると断定することもできません。

    現時点で分かっているのは、カナダのさまざまな場所で、本来そこにいないチズガメが繰り返し確認されているということです。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:カナダ
    確認地域:ブリティッシュコロンビア州、オンタリオ州、ケベック州
    発表日:2026年8月6日
    情報源:Canadian Wildlife Federation
    情報の種類:淡水ガメ・外来種・市民科学・生息分布調査

    今回の発見には、自然観察情報を投稿する市民科学プラットフォーム「iNaturalist Canada」の写真記録が大きな役割を果たしています。

    登場する亀

    今回のニュースには、よく似た3種類のチズガメが登場します。

    ヒラチズガメ

    学名は Graptemys geographica。

    英語ではNorthern Map Turtle、Common Map Turtleと呼ばれます。

    この3種類の中で、カナダに自然分布しているのがヒラチズガメです。

    カナダでは主にオンタリオ州中部・南部と、ケベック州南西部の一部に分布しています。カナダ国内では保全上「Special Concern(特別な懸念)」に指定されているカメでもあります。

    ニセチズガメ

    学名は Graptemys pseudogeographica。

    英語ではFalse Map Turtleと呼ばれます。

    本来の自然分布域は、アメリカのミシシッピ川やミズーリ川水系などです。日本でも「ニセチズガメ」という和名が使われています。

    カナダ野生生物連盟によると、2021年ごろにはまだ珍しい観察例だったものが、2026年にはiNaturalist上で100件を超える観察記録になりました。

    フトマユチズガメ

    学名は Graptemys ouachitensis。

    英語ではOuachita Map Turtleと呼ばれます。

    日本では「フトマユチズガメ」または「ウォシタチズガメ」という和名が使われています。自然分布はアメリカ中部から南部です。

    こちらもカナダでは本来の自然分布外で、2026年時点で20件を超える観察記録が確認されています。

    始まりは「なんか違う」

    このニュースの面白いところは、最初から外来種を探していたわけではないことです。

    2021年、カナダ野生生物連盟の研究者たちは、ヒラチズガメがモーターボートのプロペラによってどの程度負傷しているのかを調べていました。

    そのために、iNaturalist Canadaへ投稿されていたヒラチズガメの写真を一枚ずつ確認していました。

    研究対象となったのは、1,953件ものヒラチズガメの観察写真です。研究者たちはその中から甲羅の状態を確認できる個体を選び、プロペラによる傷がないか調査しました。

    その作業中、

    一枚の写真に写っていたカメが、

    どうもヒラチズガメらしくない。

    研究者たちは違和感を覚えました。

    少し似ている。

    でも何かが違う。

    そこで写真を保留して後から詳しく調べたところ、そのカメはカナダ在来のヒラチズガメではなく、ニセチズガメだったことが分かりました。

    5年後には100件を超えた

    一枚の写真から始まった発見でした。

    ところが、それから約5年。

    ニセチズガメの観察記録は100件を超えました。

    さらに、別種のフトマユチズガメについても20件以上が報告されています。

    研究者にとって問題なのは、

    「外来チズガメがいる」

    ということだけではありません。

    在来のヒラチズガメと非常によく似ていることです。

    見間違えれば、外来種が増えていても、すべてヒラチズガメとして記録されてしまう可能性があります。

    見分ける鍵は「目の後ろ」

    3種類を見分けるとき、カナダ野生生物連盟が注目しているのが頭部の模様です。

    ヒラチズガメ

    目の後ろに、丸形または三角形に近い斑紋があります。

    個体差はありますが、多くの場合、目と同程度の大きさです。

    ニセチズガメ

    ニセチズガメの一部では、目の後ろに太い黄色の線が「L字型」に走ります。

    上から見ると、その模様がホッケースティックや眉毛のように見えることがあります。

    亜種のミシシッピチズガメでは、その模様がさらに目の周囲から鼻や口方向へ伸びます。

    フトマユチズガメ

    フトマユチズガメでは、目の後ろに比較的大きな長方形状の斑紋があります。

    さらに重要なのが下顎です。

    目のほぼ真下に大きな斑点があり、その幅が目と同じ程度か、それ以上になることが識別ポイントとされています。

    亀の専門家でも間違える

    「模様を見れば簡単に分かる」

    というほど単純ではありません。

    カナダ野生生物連盟自身、

    チズガメの識別は専門家にとっても難しい

    と説明しています。

    模様には個体差があります。

    写真の角度によって見えない部分もあります。

    甲羅だけが水面から出ていて、頭が見えない場合もあります。

    遠くの丸太で日光浴しているカメなら、種類を判断することはさらに難しくなります。

    だからこそ、横から頭部の模様がよく分かる写真が重要になります。

    市民が撮った写真が外来種調査になる

    今回のニュースでもう一つ注目したいのが、市民科学です。

    iNaturalist Canadaには、専門研究者だけでなく、一般の人が自然の中で見つけた動植物の写真を投稿できます。

    2023年に発表されたカナダ野生生物連盟の研究では、iNaturalist Canadaには当時すでに1,000万件以上の生物観察記録があり、そのうちカメだけでも6万件以上が登録されていました。

    研究者がカナダ中の池や川を毎日巡回することはできません。

    でも、

    散歩中の人。

    釣りをしている人。

    カヌーに乗っている人。

    公園を歩いている人。

    そうした何万人もの人が撮影した写真が集まれば、巨大な観測網になります。

    一枚の「亀の写真」が、数年後には外来種の分布を追跡するデータになる可能性があります。

    なぜカナダにいるのか

    カナダ野生生物連盟は、本来の分布域から離れた都市公園や水域にいるチズガメについて、人間によって持ち込まれた可能性を指摘しています。

    淡水ガメは長年、ペットとして世界中で流通してきました。

    しかし、大きくなった。

    飼えなくなった。

    引っ越すことになった。

    そうした理由で自然の池や川へ放されたカメが、外来個体となることがあります。

    もちろん、今回確認された一匹一匹について「元ペットだった」と証明されているわけではありません。

    ただし、本来の自然分布から遠く離れた場所で複数種のチズガメが確認されている以上、人間による移動は重要な問題です。

    「外来種」と「定着」は同じではない

    ここは今回の記事で特に注意したいところです。

    ニセチズガメの観察記録が100件を超えたからといって、

    「カナダで大量繁殖している」

    とまでは、今回の発表から判断できません。

    観察記録は個体数そのものではありません。

    繁殖した子ガメが確認されているのか。

    越冬しているのか。

    同じ場所に何年間も個体群が存在するのか。

    在来種と餌や日光浴場所を奪い合っているのか。

    そうしたことを調べて初めて、外来個体群がどの程度定着しているのかが分かります。

    今回の100件という数字は、

    「今後詳しく調べる必要があるサイン」

    として見るのが適切だと思います。

    在来のヒラチズガメも安心できない

    カナダ在来のヒラチズガメ自体も、すでにさまざまな問題に直面しています。

    カナダ野生生物連盟がiNaturalistの写真1,513件を詳しく分析した研究では、4%にモーターボートのプロペラによるものと考えられる甲羅の傷が確認されました。地域によっては7%に達しています。

    ヒラチズガメは長寿で、成熟まで時間がかかるカメです。

    そのため、繁殖可能な成体が少しずつ失われるだけでも、長期的には個体群に影響する可能性があります。

    そこへ今度は、本来いなかった近縁種まで現れ始めています。

    外来チズガメが在来種へどの程度影響するのかは、これから調べていく必要があります。

    日本でも他人事ではない

    ニセチズガメとフトマユチズガメは、日本でも「生態系被害防止外来種」に関する情報が整理されている種類です。

    国立環境研究所の侵入生物データベースでは、ニセチズガメ、フトマユチズガメともに、日本国内では定着していないとされています。

    しかし、どちらもペットとして流通してきたカメです。

    海外で起きている問題だから、日本には関係ないとは言い切れません。

    飼育しているカメを最後まで飼う。

    自然へ放さない。

    当たり前に見えるこの行動が、外来種問題を作らないためには非常に重要です。

    亀好きとして注目したいポイント

    今回のニュースで僕が面白いと思うのは、

    発見の始まりが、「なんか違う」だったことです。

    研究者は外来チズガメを探していたわけではありません。

    ヒラチズガメの甲羅についた傷を調べていた。

    何千枚もの写真を見ていた。

    その中の一匹だけ、

    なんとなく違った。

    その違和感を捨てなかった。

    そして5年後、

    100件を超える観察記録へつながった。

    生き物を観察するというのは、

    珍しいものを見つけることだけではないのだと思います。

    いつものカメを見る。

    また見る。

    何度も見る。

    だから、

    「いつもと違う」

    ことが分かる。

    今回のニュースは、市民科学の話であると同時に、

    生き物をよく見ることの力

    についてのニュースでもあると思います。

    湯川亀吉の一言

    外来種ってそんなに問題なのか?

    出典

    Canadian Wildlife Federation
    「New Turtle Invaders in Canada」

    Seburn, D. C. et al.
    「Assessing Injury Rates in Northern Map Turtles (Graptemys geographica) From Motorboats Using iNaturalist Canada」
    Herpetological Conservation and Biology, 2023.

    https://www.inaturalist.org/places/canada

    国立環境研究所 侵入生物データベース
    「ニセチズガメ Graptemys pseudogeographica」

    国立環境研究所 侵入生物データベース
    「フトマユチズガメ Graptemys ouachitensis」

  • 【世界の亀ニュース】絶滅危惧種を含む5種7匹の子ガメが誕生 テネシー水族館で淡水ガメのベビーブーム

    【世界の亀ニュース】絶滅危惧種を含む5種7匹の子ガメが誕生 テネシー水族館で淡水ガメのベビーブーム

    今回は、アメリカのテネシー水族館で、5種類の淡水ガメの子どもが相次いで誕生したニュースを紹介します。

    今回のニュース

    アメリカ・テネシー州チャタヌーガにあるテネシー水族館で、2026年5月中旬以降、5種類、合計7匹の淡水ガメが孵化しました。

    誕生したのは、ヨツメイシガメ3匹、ジャノメイシガメ1匹、キボシイシガメ1匹、ワモンチズガメ1匹、ヒラリーカエルガメ1匹です。

    このうち多くは、絶滅の危機に直面している種類です。さらに水族館の孵卵器では、別のワモンチズガメやモリイシガメ類などの卵も発生を続けています。テネシー水族館が7月7日に発表し、アメリカ動物園水族館協会が7月31日に改めて紹介しました。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:アメリカ合衆国、テネシー州
    場所:チャタヌーガ、テネシー水族館
    元記事の言語:英語
    水族館による発表:2026年7月7日
    アメリカ動物園水族館協会による紹介:2026年7月31日
    情報の種類:新着ニュース・淡水ガメ・繁殖・孵化・動物園・絶滅危惧種

    テネシー水族館は、一般公開されているものとしては北米最大規模の淡水ガメコレクションを持つ施設です。1992年の開館から今回の発表までに、56種類・亜種、合計1,166匹のカメを孵化させてきました。

    誕生した5種類のカメ

    今回孵化したのは、次の5種類です。

    ヨツメイシガメ 3匹

    学名は Sacalia quadriocellata。

    頭部の左右にある眼状斑によって、本物の目と合わせて四つの目があるように見えることが、和名の由来です。今回誕生した種類の中では最も多い3匹が孵化しました。

    ジャノメイシガメ 1匹

    学名は Sacalia bealei。

    英語ではBeal’s four-eyed turtle、またはBeal’s eyed turtleと呼ばれます。ヨツメイシガメと同じSacalia属ですが、甲羅や頭部の模様に違いがあります。日本では「ジャノメイシガメ」という和名が使われています。

    キボシイシガメ 1匹

    学名は Clemmys guttata。

    黒い甲羅や皮膚に黄色い斑点が散らばる、小型の北米産淡水ガメです。英語ではSpotted turtleと呼ばれています。

    ワモンチズガメ 1匹

    学名は Graptemys oculifera。

    甲羅に輪のような模様が現れるチズガメの仲間で、英語名はRinged map turtleです。アメリカ南部の限られた水系に分布する種類です。

    ヒラリーカエルガメ 1匹

    学名は Phrynops hilarii。

    南米に分布するヨコクビガメ類の一種です。首を甲羅へまっすぐ引き込むのではなく、横へ曲げて収納します。顎にある2本のヒゲ状突起も特徴です。

    ニュースの要約

    今回の孵化では、ヨツメイシガメが3匹、そのほかの4種類が1匹ずつ誕生しました。

    テネシー水族館の記事では、ヨツメイシガメは「深刻な絶滅危機」、ジャノメイシガメ、キボシイシガメ、ワモンチズガメは「絶滅危惧」と紹介されています。

    ヒラリーカエルガメは同じ評価対象には含まれていませんが、異なる大陸や環境で進化した5種類が、同じ時期に一つの水族館で孵化したことになります。

    水族館の孵卵器では、さらに2匹のワモンチズガメが孵化直前とみられています。

    また、チュウオウアメリカモリイシガメとキボシチズガメの卵も、順調な発生を示していると報告されました。ワモンチズガメがテネシー水族館で孵化したのは、1998年以来です。

    孵卵器の中に季節を作る

    カメの卵を孵化させるには、温度を一定に保つだけでは十分ではありません。

    土や砂などの床材、水分量、空気の温度、湿度といった条件を、その種類が野生で経験する環境に近づける必要があります。

    飼育下での繁殖例が少ない種類では、どの条件が適しているのか、まだ十分に分かっていない場合もあります。飼育担当者は、卵の状態を観察しながら、野生の季節変化を孵卵器の中で再現します。

    特に複雑だったのが、ヒラリーカエルガメの孵化です。

    このカメが生息する南米では、卵が産み落とされる時期と、子ガメが安全に活動できる雨季との間に時間があります。

    卵の発生や孵化はすぐに進むのではなく、条件が整うまで遅らせられることがあります。雨季の嵐や水位上昇などの環境変化が、子ガメにとって外へ出る合図になります。

    テネシー水族館では、最初に卵を低温・低湿度に近い条件で管理しました。

    その後、少しずつ温度を上げ、時折水を吹きかけることで、乾季から雨季へ移り変わる環境を再現しました。

    つまり、飼育員は孵卵器の中で南米の季節を進め、子ガメが卵から出る時期を待ったのです。

    2007年から続くヨツメイシガメの繁殖

    テネシー水族館は、ヨツメイシガメの繁殖で特に大きな成果を残してきました。

    同館では2007年、飼育下では世界初とされたヨツメイシガメの孵化に成功しました。それ以降、今回の3匹を含め、飼育下個体群へ加わったヨツメイシガメは合計72匹になりました。

    水族館で誕生した個体の一部は、ブロンクス動物園、ノックスビル動物園、キャメロンパーク動物園など、アメリカ動物園水族館協会に加盟する別の施設へ移されています。

    一つの施設だけで個体を抱えるのではなく、複数の施設で分散して飼育・繁殖することで、災害や病気などによって一度に個体群を失う危険を減らせます。

    飼育下で残す「もう一つの個体群」

    今回誕生した子ガメが、すぐに野生へ放されるわけではありません。

    動物園や水族館で維持される希少種の個体群には、野生の個体群がさらに減少した場合に備える「保険」のような役割があります。

    適切な血統管理を行いながら繁殖を続けることで、その種類そのものと、飼育・繁殖に必要な知識を将来へ残します。テネシー水族館は、こうした個体群を野生絶滅への備えとなる「assurance population」と説明しています。

    ただし、水族館で繁殖できることと、野生のカメを守ることは同じではありません。

    川や湿地そのものが失われれば、帰る場所はなくなります。

    飼育下繁殖は野生環境の代わりではなく、野生の個体群と生息地を守る活動を支える、もう一つの方法なのだと思います。

    飼育技術も次の施設へ受け継がれる

    テネシー水族館では、繁殖に成功した方法を施設内だけの秘密にはしていません。

    卵を管理した温度、湿度、床材、孵化までの変化などを、ほかの動物園や水族館の専門家と共有しています。

    以前は飼育下での孵化が難しかった種類でも、複数の施設が知識を共有することで、繁殖例を増やせる可能性があります。

    一匹の子ガメが誕生するまでに得られた知識は、その一匹だけのものではありません。

    次の卵を孵化させる人へ伝わり、別の水族館へ伝わり、その種類全体を守るための技術へ変わっていきます。

    亀好きとして注目したいポイント

    このニュースで注目したいのは、5種類のカメが、それぞれ違う季節と環境を卵の中に持っていることです。

    同じ孵卵器へ入れて、同じ温度にすれば孵化するわけではありません。

    アジアの山地に暮らすカメ。

    北米の湿地に暮らすカメ。

    南米の乾季と雨季を生きるカメ。

    卵は小さく、外から見ればよく似ています。

    でも、その卵が待っている雨や温度、湿度、孵化の時期は、それぞれ違います。

    飼育員は卵を見ながら、その中にある遠い川や森の季節を想像します。

    カメを増やすというより、カメが何百万年もかけて身につけた時間の進み方を、人間が少しずつ学んでいるのだと思います。

    湯川亀吉の一言

    繁殖は楽しいよね!

    出典

    Tennessee Aquarium
    「Hatching bonanza adds 7 adorable baby turtles from 5 species to Aquarium」

    Association of Zoos and Aquariums
    「Tennessee Aquarium Welcomes Seven Baby Turtles From Five Species」

  • 【世界の亀ニュース】砂漠の泉に残るソノイタドロガメ約250匹 国境壁建設を前に緊急避難を検討

    【世界の亀ニュース】砂漠の泉に残るソノイタドロガメ約250匹 国境壁建設を前に緊急避難を検討

    今回は、アメリカとメキシコの国境近くにある砂漠のオアシスで暮らす、絶滅危惧の淡水ガメに関するニュースを紹介します。

    今回のニュース

    アメリカ・アリゾナ州のソノラ砂漠にあるキトバキート・スプリングスで、絶滅危惧のソノイタヒゲナガドロガメを緊急避難させる計画が検討されています。

    キトバキート・スプリングスは、オルガンパイプ・カクタス国定公園内にある小さな泉と池です。アメリカ国内でソノイタヒゲナガドロガメが自然に生息している場所は、ここ一か所しかありません。

    この泉の近くでは、既存の国境壁に加えて、高さ約30フィートの二重目の壁を建設する計画が進められています。

    研究者や保護関係者は、工事に伴う地下水の利用、重機の移動、地形の改変などによって泉や池が維持できなくなる可能性を懸念し、最悪の場合に備えてカメを人工環境へ移す準備を進めています。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:アメリカ合衆国、アリゾナ州
    場所:オルガンパイプ・カクタス国定公園、キトバキート・スプリングス
    元記事の言語:英語
    元記事の公開時期:2026年7月24日
    情報の種類:新着ニュース・淡水ガメ・生息地保全・絶滅危惧種

    キトバキート・スプリングスは、アメリカとメキシコの国境近くにある砂漠のオアシスです。

    周囲約100マイルの範囲でも数少ない安定した水源の一つで、淡水ガメだけでなく、魚や巻き貝、鳥類、哺乳類など、多くの生き物にとって重要な場所になっています。

    登場する亀

    今回のニュースに登場するのは、英語でSonoyta mud turtleと呼ばれる淡水ガメです。

    学名は Kinosternon sonoriense longifemorale。ソノラドロガメの亜種で、日本語の標準的な呼称が広く定着しているとは確認できなかったため、この記事では「ソノイタヒゲナガドロガメ」と表記します。

    成体の甲長は最大約13.5センチ。背甲はオリーブ色から暗褐色で、頭部や首には網目状の模様があります。前後に蝶番を持つ腹甲と、指の間にある水かきも特徴です。

    アメリカでは、2017年に絶滅危惧種として保護対象になりました。

    現在確認されている生息地は、アリゾナ州のキトバキート・スプリングスにある一個体群と、メキシコ・ソノラ州のソノイタ川流域に残る複数の個体群です。

    ニュースの要約

    報道によると、現在キトバキートの池には、およそ250匹のソノイタヒゲナガドロガメが生息していると推定されています。

    研究者たちは、池の水が失われたり、堤が損傷したりする最悪の事態を想定し、可能な限り多くのカメを捕獲して、一時的に人工の飼育環境へ移す方法を検討しています。

    アリゾナ・ソノラ砂漠博物館では、野生個体群に何かが起きた場合に備え、すでに約20匹のソノイタヒゲナガドロガメを飼育しています。

    同館は、緊急時にはさらに最大50匹を受け入れる意向を示しています。フェニックス動物園も、カメの受け入れに協力する可能性があります。

    しかし、カメを施設へ移せば問題が解決するわけではありません。

    保護関係者が最も心配しているのは、一時的に避難させたカメを、将来戻せる生息地が残っているかどうかです。人工環境は命をつなぐ場所にはなっても、泉そのものの代わりにはなりません。

    砂漠にある、小さな淡水の世界

    ソノイタヒゲナガドロガメは、砂漠に暮らす淡水ガメです。

    広大な乾燥地帯に大きな川が流れているわけではありません。

    地下から湧き出す水が短い水路を流れ、小さな池を満たす。その限られた水の中で、カメたちは餌を探し、身を隠し、世代をつないできました。

    キトバキート・スプリングスは、ソノイタヒゲナガドロガメだけの生息地ではありません。

    世界でこの泉にしか野生個体が残っていないキトバキート・パプフィッシュや、非常に小さな泉性の巻き貝も生息しています。

    一つの小さな泉が失われれば、複数の生き物が同時に野生の生息地を失う可能性があります。

    なぜ国境壁が泉へ影響するのか

    今回計画されている二重目の国境壁は、既存の壁から約90〜150フィート離れた位置に建設される可能性があります。

    壁そのものだけでなく、工事用道路、資材置き場、重機の通行、地下水の利用などが、泉を支える地下水系や周辺環境へ影響することが懸念されています。

    2020年に行われた最初の国境壁建設でも、コンクリート製造のための地下水利用が問題になりました。

    アメリカ魚類野生生物局が2025年にまとめた状況評価でも、国境壁建設に使われる地下水のくみ上げが、キトバキート・スプリングスを支える水系への新たな負荷として挙げられています。

    一方、アメリカ税関・国境警備局は、キトバキート・スプリングスを避け、希少な自然資源への影響を最小限にするため、魚類野生生物局や国立公園局と協力していると説明しています。

    また、泉から5マイル以内では地下水をくみ上げない方針を示していますが、研究者からは、それだけで泉を守れるかを判断する十分な情報がないとの懸念も出ています。

    亀好きとして注目したいポイント

    このニュースで注目したいのは、約250匹のカメが、一つの小さな泉に生存を託していることです。

    250匹という数字だけを見れば、決して一匹や二匹ではありません。

    けれど、そのすべてが同じ池で暮らしている。

    泉の水が止まれば、逃げ込める別の川はない。
    池が失われれば、歩いて隣の湿地へ移ることもできない。

    砂漠の中では、水がある場所そのものが、生き物の世界です。

    カメを捕まえて施設へ運ぶことはできるかもしれない。

    でも、そのカメたちが何世代も生きてきた水、泥、岸辺、季節まで運ぶことはできません。

    絶滅危惧種を守るということは、個体を生かすだけではなく、その個体がカメとして暮らせる場所を残すことなのだと思います。

    湯川亀吉の一言

    ソノイタヒゲナガドロガメ。

    僕はこの記事を読むまで知らない亀だった。

    この世界には、知らない亀がたくさんいるにちがいない。

    少なくとも僕は、知らない亀と出会うことを生き甲斐にしている。

    僕のような人たちはたくさんいるだろうし、これからもたくさん出てくるだろう。

    まだ見ぬ亀ファンの楽しみを奪うのはナンセンスである。

    どうにかしっかりした保全を行なって欲しいものです。

    余談ですが、僕の故郷の川ではギギやアカザといった魚がたくさん棲んでいました。

    しかし、上流のダム工事があり、今ではすっかり見られなくなってしまいました。

    僕はちょっと寂しいです。

     

    へへ、湿っぽい話しちまったな。

    出典

    The Guardian
    「This desert oasis is a biological wonderland. Trump’s border wall threatens to destroy it」

    U.S. Fish and Wildlife Service
    「Sonoyta Mud Turtle」

    U.S. Fish and Wildlife Service
    「Draft Recovery Plan for Endangered Sonoyta Mud Turtle Available」

    National Park Service
    「Quitobaquito Springs」