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直近で公開された世界中の亀ニュース。

  • 【世界の亀ニュース】アマゾンの淡水ガメ「ムツコブヨコクビガメ」、ブラジルで絶滅危惧種に

    【世界の亀ニュース】アマゾンの淡水ガメ「ムツコブヨコクビガメ」、ブラジルで絶滅危惧種に

    今回は、ブラジルで報じられた、アマゾン川流域に生息する淡水ガメの保全状況に関するニュースを紹介します。

    今回のニュース

    ブラジルで、アマゾン川流域に暮らすムツコブヨコクビガメが、国内の最新評価で絶滅危惧種に分類されました。

    ムツコブヨコクビガメの学名は、Podocnemis sextuberculata。英語では「Six-tubercled Amazon River Turtle」と呼ばれています。

    報道によると、これまでブラジル国内では「準絶滅危惧」と評価されていましたが、個体数の大幅な減少が確認されたことから、「絶滅危惧」へ引き上げられました。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:ブラジル、アマゾナス州・パラー州西部を中心とするアマゾン川流域
    元記事の言語:英語
    公開時期:2026年7月15日
    情報の種類:新着ニュース・淡水ガメ・絶滅危惧種・保護活動

    登場する亀

    今回のニュースに登場するのは、ムツコブヨコクビガメです。

    アマゾン川とその支流に暮らすヨコクビガメの仲間で、ブラジルのほか、ペルー、コロンビア、ボリビアにも分布しています。

    Podocnemis属の中では比較的小型で、甲長はおよそ34センチ、体重は最大3.5キロほどになるとされています。

    英名の「Six-tubercled」は、幼い個体の腹甲に見られる特徴的な6つの隆起に由来します。

    この隆起は成長するにつれて目立たなくなるため、成体を上から見ただけでは、名前の由来が分かりにくいカメです。

    ニュースの要約

    ブラジルの評価では、アマゾナス州とパラー州西部に生息するムツコブヨコクビガメの個体数が、過去36年間で50%以上減少したと推定されました。

    36年は、この種にとって約3世代に相当します。

    調査対象となった地域には、ムツコブヨコクビガメの分布域全体のおよそ70%が含まれているため、この減少は種全体の将来を考えるうえでも、非常に重いものとされています。

    主な脅威として挙げられているのは、生息環境の悪化、卵や成体の過剰な採取、違法な捕獲などです。

    ムツコブヨコクビガメを含むアマゾンの淡水ガメは、長く地域の食文化と関わってきました。

    そのため、保護を進めるには、単に捕獲を禁止するだけでなく、カメに依存してきた先住民や河川地域の人々の生活と両立できる仕組みが必要だと指摘されています。

    長年の保護活動があっても減少している

    ブラジルでは、アマゾンのカメを守るための大規模な活動が長く続けられてきました。

    ブラジル環境・再生可能天然資源院の「アマゾン・カメ類プログラム」では、ムツコブヨコクビガメや、同じPodocnemis属のトラカジャ、オオヨコクビガメなどを対象に、子ガメの管理、放流、監視が行われています。

    これまでに保護活動の対象となった子ガメは、合計1億匹を超えるとされています。

    それでも、ムツコブヨコクビガメの個体数は減少しました。

    カメをたくさん放流するだけでは、すべての問題は解決しません。

    成体になるまで生きられる川が必要です。
    産卵できる砂州が必要です。
    卵を掘り返されない環境が必要です。
    そして、保護活動が数十年先まで続く仕組みも必要です。

    亀好きとして注目したいポイント

    このニュースで注目したいのは、保護活動が行われている種類でも、安心できるとは限らないということです。

    子ガメが放流される場面は、明るく希望に満ちて見えます。

    でも、その子ガメが成長し、繁殖できる年齢になり、再び砂州へ戻って卵を産むまでには、長い時間がかかります。

    その途中で、捕獲されるかもしれない。
    川の環境が変わるかもしれない。
    産卵場所が失われるかもしれない。

    亀の保護は、放流した瞬間に終わるものではありません。

    一匹の子ガメが、次の世代を残せる成体になるまで生きられる環境を守ること。

    その長い時間まで含めて、保護なのだと思います。

    地域の人々が守るアマゾンの川

    アマゾンでは、地域住民が産卵地や湖を守る保全活動も進められています。

    ジュルア川流域では、地域社会との協力によって砂州や三日月湖を保護し、違法漁業や密猟から淡水生態系を守る取り組みが行われています。

    ムツコブヨコクビガメも、こうした保護対象となる淡水ガメの一種です。

    遠くから来た誰かが亀を守るだけではなく、その川で暮らしてきた人たちが、自分たちの川と亀を守る。

    その形が続かなければ、アマゾンの広大な水域を守りきることはできないのかもしれません。

    湯川亀吉の一言

    アマゾン行ってみたいね〜。

    亀探してみたいし、ピンクのカワイルカも見てみたいね!

    出典

    元記事:Mongabay
    「Brazil lists the Amazon river turtle as endangered for the first time」

    関連情報:The Reptile Database
    「Podocnemis sextuberculata」

    関連情報:ブラジル環境・再生可能天然資源院
    「Programa Quelônios da Amazônia」

  • 【世界の亀ニュース】ジョージア州の島でウミガメの産卵巣が過去最多に

    【世界の亀ニュース】ジョージア州の島でウミガメの産卵巣が過去最多に

    今回は、アメリカ・ジョージア州のタイビー島で報じられた、ウミガメの産卵に関するニュースを紹介します。

    今回のニュース

    アメリカ・ジョージア州のタイビー島で、ウミガメの巣の数が過去最多を記録していると報じられました。

    Southern Livingによると、タイビー島では2026年7月15日時点で49か所のウミガメの巣が確認され、これまでの記録だった2022年の35か所を大きく上回ったとされています。保護活動はTybee Island Marine Science CenterとTybee Island Sea Turtle Projectを中心に行われています。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:アメリカ、ジョージア州、タイビー島
    元記事の言語:英語
    公開時期:2026年7月
    情報の種類:新着ニュース・産卵・保護活動

    登場する亀

    今回のニュースに登場するのは、主にアカウミガメです。

    記事によると、タイビー島で確認されるウミガメはアカウミガメが中心で、アカウミガメは自分が生まれた海岸へ戻って産卵する性質があると紹介されています。

    ニュースの要約

    タイビー島では、2026年のウミガメの産卵シーズンに、これまでで最も多い巣が確認されています。

    2026年7月15日時点で確認された巣は49か所。
    これは、これまでの最高記録だった2022年の35か所をすでに超える数です。

    記事では、この増加は継続的な保護活動の成果として紹介されています。
    一方で、タイビー島のような人が多く訪れる海岸では、ビーチに残されたごみ、夜間の光、混雑した浜辺など、人間の活動による影響もあります。観光客や地域の人たちには、浜辺を清潔に保ち、夜の光を減らすことが呼びかけられています。

    また、ジョージア州全体では、2004年には約400か所だったウミガメの巣が、2022年には4,000か所以上に増えたと紹介されています。これは、長く続けられてきた保護活動が少しずつ実を結んでいることを感じさせる数字です。

    亀好きとして注目したいポイント

    このニュースで注目したいのは、巣の数が増えるまでには、長い時間の積み重ねがあるということです。

    ウミガメの保護は、すぐに結果が見えるものではありません。
    卵を守り、砂浜を守り、光を減らし、人に呼びかけ、また次の年を待つ。

    それを何年も、何十年も続けた先に、ようやく「今年は巣が多い」というニュースになる。

    49か所の巣という数字の裏には、海岸を歩いて確認する人たち、ロープで巣を守る人たち、夜の明かりを消す人たち、浜辺のごみを拾う人たちの時間があります。

    亀は、今日守ったから明日増えるわけではない。
    でも、守り続けた場所には、いつか戻ってくるかもしれない。

    このニュースは、そんなウミガメの長い時間を感じさせてくれます。

    湯川亀吉の一言

    何でも、長く続けることがとても大切。

    それでも、望んだ結果を一朝一夕を願う人が多いのはなんでだろうね?

    ま、僕もそんなクソどものうちの一人だけどね。

    出典

    元記事:Southern Living「This Georgia Beach Is Having Its Biggest Sea Turtle Nesting Season Ever」

  • 【世界の亀ニュース】約50年ぶりに仲間と出会ったトウブハコガメの回復物語

    【世界の亀ニュース】約50年ぶりに仲間と出会ったトウブハコガメの回復物語

    今回は、アメリカで報じられた、長年不適切な環境で飼われていたトウブハコガメの回復に関するニュースを紹介します。

    今回のニュース

    アメリカで、約50年にわたって室内で飼われていたトウブハコガメが保護され、回復を続けていると報じられました。

    Peopleの記事によると、このトウブハコガメの名前は「Rockalina」。1970年代に野生から持ち帰られたあと、長いあいだ暗い室内で、主にキャットフードを食べながら暮らしていたとされています。2025年にGarden State Tortoiseによって保護され、その後、屋外環境での回復が進められてきました。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:アメリカ、ニュージャージー州
    元記事の言語:英語
    公開時期:2026年7月
    情報の種類:新着ニュース・保護活動・飼育改善・回復記録

    登場する亀

    今回のニュースに登場するのは、トウブハコガメです。

    トウブハコガメは、アメリカ東部に分布するハコガメの仲間です。名前に「turtle」とありますが、主に陸上で生活するカメで、森林や草地、湿った環境などと関わりながら暮らします。

    今回のRockalinaは、野生から人間の暮らしの中へ持ち込まれ、長いあいだ本来の環境から離れて生きてきた個体です。Garden State Tortoiseの動画説明では、1977年に野生から持ち帰られ、約50年にわたり台所の床で飼われていたと紹介されています。

    ニュースの要約

    Rockalinaは、保護された当初、非常に悪い状態だったと報じられています。

    Peopleの記事では、暗い室内で長く暮らし、日光を浴びることも、同じ種類のカメと関わることもなく、キャットフード中心の生活を続けていたと紹介されています。保護時には、目が閉じた状態で、爪は伸びすぎ、体には猫の毛が絡まっていたとされています。

    その後、Garden State Tortoiseの管理のもとで、Rockalinaは屋外の専用環境へ移され、自然に近い食事や日光、土や草に触れる生活を取り戻していきました。

    そして最近、Rockalinaは「Pebble」という若いトウブハコガメと初めて穏やかに対面し、イチゴを分け合うような様子も見られたと報じられています。これは、長く孤立していたRockalinaにとって、大きな一歩として紹介されています。

    亀好きとして注目したいポイント

    このニュースで注目したいのは、亀の時間の長さです。

    人間にとって50年は、とても長い時間です。
    でも、長寿のカメにとっても、それは決して軽い時間ではありません。

    野生から連れてこられ、本来の土も、草も、日光も、仲間もない場所で暮らす。
    それでもRockalinaは生き続けた。

    このニュースは、「カメは丈夫だから何でも大丈夫」という考えが、どれほど危ういかを教えてくれます。

    亀は強い。
    でも、強いから雑に扱っていいわけではない。

    日光、土、水、食べ物、隠れる場所、季節、そして同じ種類の仲間。
    そういうものがあって、初めてそのカメらしい時間が流れるのだと思います。

    湯川亀吉の一言

    俺も亀飼ってるから言えることだけど、生き物飼ってる人間は全員クズだね。

    この記事を読んで、すぐに全部の水槽の水換えをしたよ。

    出典

    元記事:People「Turtle Who Spent Decades Eating Cat Food Gets a New Best Friend After Remarkable Recovery」

    関連動画:Garden State Tortoise「Kitchen Floor Turtle Fed Cat Food for 50 Years Feels Sun for the First Time Since 1977!」

  • 【世界の亀ニュース】育てて放したブランディングガメが母に 20年越しの次世代が湿地へ

    今回は、アメリカ・マサチューセッツ州で続けられてきた淡水ガメの保護活動が、約20年を経て大きな節目を迎えたニュースを紹介します。

    今回のニュース

    2026年6月25日、アメリカ・マサチューセッツ州のグレート・メドウズ国立野生生物保護区で、2匹の若いブランディングガメが湿地へ放されました。

    今回の放流が特別だったのは、この2匹の母親もまた、幼いころに人間の手で育てられ、同じ湿地へ戻されたカメだったことです。

    保護活動で育てられたカメが成長し、野生で繁殖し、その子どもが再び湿地へ帰る。

    2003年に始まった保護事業で、初めて確認された「二代目」の野生復帰です。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:アメリカ合衆国、マサチューセッツ州
    場所:コンコード、グレート・メドウズ国立野生生物保護区と周辺湿地
    放流日:2026年6月25日
    発表時期:2026年6月29日〜7月7日
    情報の種類:新着ニュース・淡水ガメ・野生復帰・繁殖・保護活動

    グレート・メドウズ周辺では、アメリカ魚類野生生物局、マサチューセッツ州野生生物局、ズー・ニューイングランド、学校、地域住民などが協力し、ブランディングガメの保護を続けています。

    登場する亀

    今回のニュースに登場するのは、ブランディングガメです。

    学名は Emydoidea blandingii。英語ではBlanding’s Turtleと呼ばれます。

    北米に分布する半水棲の淡水ガメで、浅く流れの緩やかな湿地や、水草の多い池などを利用します。暗く滑らかなドーム状の背甲と、明るい黄色の顎から喉が特徴です。成体の甲長はおよそ16〜22センチになります。

    水中だけで一生を過ごすわけではありません。

    餌場、越冬場所、繁殖に使う水域、産卵場所の間を移動し、1マイル以上も陸上を歩くことがあります。そのため、湿地の分断や道路上での事故の影響を受けやすいカメです。

    ニュースの要約

    今回放された2匹は、生後約9か月のブランディングガメです。

    孵化後の最初の冬をストーン動物園で過ごし、十分に成長してから湿地へ戻されました。

    野生で冬を越した子ガメは、春になっても硬貨ほどの小ささであることが多く、捕食者に襲われる危険があります。一方、暖かい飼育環境で十分な餌を与えられた子ガメは、短期間で体を大きくし、野生で生き残れる可能性を高められます。

    この保護方法は、ヘッドスタートと呼ばれます。

    カメを一生飼育するのではありません。

    命を落としやすい幼少期だけを人間が預かり、ある程度成長した段階で本来の生息地へ戻します。

    母ガメ「アイビー」の物語

    2匹の母親は、個体番号144番、愛称をアイビーといいます。

    アイビーの物語は、2010年に始まりました。

    一匹の母ガメがグレート・メドウズの湿地を離れ、1マイル以上を移動して、近くのオフィス街の植え込みに巣を作りました。

    その巣から生まれた11匹の中に、体重わずか7グラムの雌の子ガメがいました。それがアイビーです。

    アイビーはストーン動物園で約10か月間育てられ、2011年に湿地へ放されました。

    甲羅には、将来再発見したときに識別できる小さな印が付けられていました。

    しかし、その後アイビーは10年以上、人間の前から姿を消します。

    湿地のどこかで生きているのか。
    事故に遭ったのか。
    捕食されたのか。

    人間には分からないまま、時間だけが過ぎていきました。

    10年以上ぶりの再発見

    2023年、野外調査を行っていたスタッフが、成長したアイビーを再発見しました。

    硬貨ほどの子ガメだったアイビーは、繁殖可能な大きさの成体になっていました。

    スタッフは甲羅に無線発信器を取り付け、その後の移動を追跡しました。

    そして2025年6月25日の深夜、アイビーが湿地から産卵場所へ向かっていることを発信器が知らせました。

    保護スタッフが追跡すると、アイビーは保全されている野生の花畑を選び、午前2時30分ごろから8個の卵を産みました。

    そのうち7個が無事に孵化しました。

    保護されたカメが、自分で次の世代を残した

    ヘッドスタートでは、放した子ガメの数が成果として注目されることがあります。

    しかし、本当の目的は、放したカメが大人になることです。

    さらに、その成体が人間の助けを受けずに野生で相手を見つけ、産卵し、次の世代を残すことです。

    アイビーの産卵は、この保護活動が「子ガメを放す段階」から、野生の個体群が自分たちで世代をつなぐ段階へ進み始めたことを示しています。

    2003年に活動が始まってから、グレート・メドウズと周辺湿地では800匹以上のヘッドスタート個体が放されてきました。

    ズー・ニューイングランドのHATCHプログラム全体では、1,400匹以上のブランディングガメが育てられています。

    学校の教室で育てられる子ガメ

    この活動に参加しているのは、動物園や研究施設だけではありません。

    地元の学校では、子どもたちが教室に設置された水槽で、ブランディングガメの子ガメをひと冬育てます。

    暖かい水槽の中で餌を与え、体重や甲羅の長さを記録し、春になると湿地へ戻します。

    2009年以降、この活動にはマサチューセッツ州の学校から2万2,000人以上の児童・生徒が参加しています。

    アイビーが産んだ7匹のうち、今回の式典で放された2匹以外の子ガメも、地域の学校で育てられ、生徒たちによって野生へ戻されました。

    一匹の母ガメから生まれた子どもたちが、複数の教室で冬を越し、それぞれの生徒に見送られて湿地へ帰ったことになります。

    なぜ回復に20年以上かかるのか

    ブランディングガメは、とても長く生きるカメです。

    保護された環境では70〜80年以上生きる可能性があります。

    一方で、繁殖を始めるまでには長い時間がかかり、一般に成熟するのは十数年から20年以上経ってからです。

    卵を孵化させ、子ガメを育て、放流するだけなら、一年以内に行えます。

    しかし、そのカメが無事に成長し、自分の卵を産んだことを確認するには、さらに十年以上待たなければなりません。

    保護活動の結果を確かめるためには、人間の年度や計画期間ではなく、カメの一生に合わせて待つ必要があります。

    カメが移動できる地域を守る

    ブランディングガメを守るには、巣や一つの池だけを囲えばよいわけではありません。

    カメたちは複数の湿地を利用し、その間にある森林や草地、住宅地の近くを歩きます。

    アイビーの母親はオフィス街へ産卵に向かい、アイビー自身は保護された花畑に卵を産みました。

    人間が利用する土地と、カメが利用する土地は、完全には分かれていません。

    道路、住宅地、学校、企業、保護区を含む地域全体で協力しなければ、移動するカメを守ることはできません。

    亀好きとして注目したいポイント

    このニュースで注目したいのは、一度放したカメを、人間が完全には見守れないことです。

    アイビーは湿地へ帰ったあと、10年以上姿を見せませんでした。

    保護した人たちは、その間に何が起きているのか知ることができなかった。

    それでも、アイビーは生きていた。

    水の中で餌を探し、冬を越し、少しずつ体を大きくしていた。

    そして、再び見つかったときには、次の世代を残せる母ガメになっていました。

    保護活動は、すべてを管理することではありません。

    人間の手から離れたあと、カメが自分の時間を生きられるようにすること。

    アイビーの子どもたちは、今度は自分たちの姿を湿地の中へ消していきます。

    次に人間と出会うのは、何年後になるのでしょうか。

    湯川亀吉の一言

    亀の累代繁殖やりたいよね。

    出典

    U.S. Fish and Wildlife Service
    「Partners release second generation of “headstarted” turtles at Great Meadows National Wildlife Refuge」

    Massachusetts Division of Fisheries and Wildlife
    「Historic win for Blanding’s turtles」

    Zoo New England
    「Zoo New England, MassWildlife, and U.S. Fish & Wildlife Service release historic second-generation Blanding’s turtles」

    U.S. Fish and Wildlife Service
    「Blanding’s Turtle(Emydoidea blandingii)」

  • 【世界の亀ニュース】インド沖で漁具に絡まったウミガメを漁師たちが救助

    【世界の亀ニュース】インド沖で漁具に絡まったウミガメを漁師たちが救助

    今回は、インド南部・タミルナードゥ州沖で報じられた、漁具に絡まったウミガメの救助に関するニュースを紹介します。

    今回のニュース

    インド南部のタミルナードゥ州沖で、漁具に絡まったウミガメが漁師たちによって救助されました。

    Times of Indiaによると、このウミガメを救助したのは、研究者から海洋生物の救助対応について訓練を受けていた漁師たちです。ウミガメは漁具に絡まっていましたが、漁師たちによって安全に解放され、けがなく海へ戻されたと報じられています。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:インド、タミルナードゥ州沖
    元記事の言語:英語
    公開時期:2026年7月
    情報の種類:新着ニュース・救助・保護活動

    登場する亀

    今回のニュースに登場するのは、ウミガメです。

    記事では、具体的な種類までは明記されていません。
    そのため今回は、種類を断定せず、インド南部沿岸で起きたウミガメ救助のニュースとして紹介します。

    ニュースの要約

    今回の救助で大切なのは、偶然ウミガメを見つけた漁師たちが、ただ網から外したというだけではない点です。

    漁師たちは、事前に研究者たちから海洋生物が漁具に絡まったときの対応について訓練を受けていました。
    その知識があったからこそ、ウミガメを傷つけず、安全に海へ戻すことができたと考えられます。

    ウミガメにとって、漁具への絡まりは大きな脅威です。
    しかし、海で日々働く人たちが救助方法を知っていれば、命を救える場面が増えるかもしれません。

    このニュースは、研究者と漁業者が協力することで、海の現場で実際に保護につながる行動が生まれることを示しています。

    亀好きとして注目したいポイント

    このニュースで注目したいのは、亀を守る人が、必ずしも研究者や保護団体だけではないという点です。

    海を一番近くで見ているのは、漁師たちです。
    毎日海に出て、潮の流れを知り、網を扱い、魚や海の生き物と向き合っている。

    その人たちが、ウミガメを見つけたときにどう動けばいいかを知っている。
    それだけで、救える命がある。

    亀を守るということは、特別な場所だけで行われるものではなく、海の仕事のすぐ隣にもあるのだと思います。

    湯川亀吉の一言

    えらいね。

    出典

    元記事:Times of India「Fishermen trained by city researchers rescue entangled sea turtle off Tamil Nadu coast」

  • 【世界の亀ニュース】アフリカの巨大リクガメが掘る穴は、生態系を動かしているのかもしれない

    【世界の亀ニュース】アフリカの巨大リクガメが掘る穴は、生態系を動かしているのかもしれない

    今回は、アフリカのサハラ砂漠南縁からサヘル地域に暮らす、ケヅメリクガメに関するニュースを紹介します。

    今回のニュース

    アフリカ大陸最大のリクガメとして知られるケヅメリクガメが掘る巣穴が、生態系に大きな役割を持っている可能性があると報じられました。

    Times of Indiaの記事では、ケヅメリクガメが暑さを避けるために掘る深い巣穴が、単なる避難場所ではなく、土壌や周囲の環境に影響を与える「生態系エンジニア」としての働きを持つ可能性があると紹介されています。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:サハラ砂漠南縁・サヘル地域
    元記事の言語:英語
    公開時期:2026年7月
    情報の種類:新着ニュース・研究/生態系ニュース

    登場する亀

    今回のニュースに登場するのは、ケヅメリクガメです。

    ケヅメリクガメは、アフリカ大陸最大のリクガメで、世界でもガラパゴスゾウガメ、アルダブラゾウガメに次いで大きいリクガメとして知られています。記事では、サハラ砂漠とサヘルの厳しい暑さの中で、ケヅメリクガメが深い巣穴を掘って暑さをしのいでいることが紹介されています。

    ニュースの要約

    ケヅメリクガメは、厳しい乾燥地帯で生きるために巣穴を掘ります。

    これまでは、その巣穴は主に「暑さや乾燥から身を守るための場所」として見られてきました。
    しかし、研究者たちは、こうした巣穴が土壌の状態や周囲の小さな生き物たちに影響を与えている可能性にも注目し始めています。

    記事では、ケヅメリクガメが「生態系エンジニア」として見られ始めていることが紹介されています。
    生態系エンジニアとは、自分の行動によって周囲の環境そのものを変えてしまう生き物のことです。たとえば巣穴を掘ることで、土の状態、湿度、他の生き物の隠れ場所、植物の生え方などに影響を与える可能性があります。

    一方で、ケヅメリクガメは絶滅危惧種とされており、もし個体数が減れば、その巣穴が持っていた生態系への働きも失われてしまうかもしれません。

    亀好きとして注目したいポイント

    このニュースで注目したいのは、リクガメが“ただ歩いている生き物”ではなく、環境そのものを動かしているかもしれないという点です。

    亀は動きが遅い。
    だから、人間の目には「何もしていない」ように見えることがあります。

    でも、長い時間で見ると違う。

    のっし、のっしと大地を歩き、硬い土を掘り、巣穴を残し、そこに湿度や影が生まれる。
    その穴を他の生き物が使い、植物が変わり、土が変わる。

    亀の一歩や、亀が掘った穴は、人間が思うよりもずっと大きな意味を持っているのかもしれません。

    湯川亀吉の一言

    ケヅメリクガメはけっこうでかいね。

    出典

    元記事:Times of India「For thousands of years, this giant tortoise has been digging burrows across the Sahara, and scientists now think those tunnels may play a bigger ecological role than anyone realised」

  • 【世界の亀ニュース】バリ島で保護対象のアオウミガメ21匹の違法取引を摘発

    【世界の亀ニュース】バリ島で保護対象のアオウミガメ21匹の違法取引を摘発

    今回は、インドネシア・バリ島で報じられた、アオウミガメの違法取引に関するニュースを紹介します。

    今回のニュース

    インドネシアのバリ島で、保護対象となっているアオウミガメ21匹の違法取引が摘発されました。

    AP通信によると、現地警察は2026年6月10日、バリ島のPegametan海岸で捜査を行い、保護対象のアオウミガメ21匹を確認し、容疑者1名を逮捕したと報じられています。容疑者は、東ジャワのマドゥラ島付近から亀を受け取り、販売目的で流通させようとしていた疑いがあるとされています。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:インドネシア、バリ島
    元記事の言語:英語
    公開時期:2026年6月
    情報の種類:新着ニュース・密輸/違法取引・保護対象種

    登場する亀

    今回のニュースに登場するのは、アオウミガメです。

    アオウミガメは世界各地の暖かい海に生息するウミガメの仲間です。今回の報道では、インドネシアでは1990年以降、国内の海に生息するすべてのウミガメ類が法的に保護されており、取引は禁止されていると紹介されています。

    ニュースの要約

    今回、バリ島の警察は、地域住民からの情報をもとにPegametan海岸を捜査しました。

    その結果、保護対象のアオウミガメ21匹が確認され、67歳の容疑者が逮捕されました。報道によると、容疑者は別の人物から亀を受け取り、販売目的で流通させようとしていた疑いが持たれています。警察は、背後にいる可能性のある他の関係者についても捜査を続けているとされています。

    記事では、インドネシアではウミガメの取引が禁止されている一方で、食肉利用、伝統的利用、儀式的な需要などを背景に、過去にも違法取引が問題になってきたことが紹介されています。

    亀好きとして注目したいポイント

    このニュースで注目したいのは、保護対象の亀が、いまだに人間の需要によって流通の対象になってしまう現実です。

    アオウミガメは、美しい海を泳ぐ象徴的な存在として語られることが多い亀です。
    でも一方で、地域によっては今も食用や伝統的利用の対象になり、違法取引の危険にさらされています。

    今回のニュースは、単に「悪い人が捕まった」という話だけではありません。
    亀を守るためには、法律、地域社会、文化、経済、そして現場で情報を寄せる人たちの存在が関わっていることを感じさせるニュースです。

    保護活動というのは、海岸で赤ちゃんガメを見送るような美しい場面だけではなく、こうした暗い流通の入口を止めることも含まれているのだと思います。

    湯川亀吉の一言

    大変だね。

    出典

    元記事:AP News「Police in Bali foil an attempt to trade protected 21 live green sea turtles and arrest a suspect」

  • 【世界の亀ニュース】オーストラリアで9,100匹以上のアオウミガメの赤ちゃんが海へ

    【世界の亀ニュース】オーストラリアで9,100匹以上のアオウミガメの赤ちゃんが海へ

    今回は、オーストラリアで報じられた、アオウミガメの卵移動プロジェクトに関するニュースを紹介します。

    今回のニュース

    オーストラリア北部、グレートバリアリーフ北部のアオウミガメに関するニュースです。

    ABC Newsによると、レイン島からサー・チャールズ・ハーディ島へ移されたアオウミガメの卵から、9,100匹以上の赤ちゃんガメが海へ向かったと報じられています。移された卵のうち、約82%が孵化して海へたどり着いたとされています。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:オーストラリア、グレートバリアリーフ北部
    元記事の言語:英語
    公開時期:2026年6月1日
    情報の種類:新着ニュース・保護活動・繁殖/孵化

    登場する亀

    今回のニュースに登場するのは、アオウミガメです。

    舞台になったレイン島は、アオウミガメにとって非常に重要な産卵地として知られています。記事では、この地域のアオウミガメが気候変動や海面上昇、砂浜の温度上昇などの影響を受けていることも紹介されています。

    ニュースの要約

    今回の取り組みでは、アオウミガメの卵がレイン島からサー・チャールズ・ハーディ島へ移されました。

    目的のひとつは、孵化数を増やすことだけではありません。
    砂の温度が高くなりすぎると、アオウミガメの赤ちゃんはメスに偏りやすくなるため、より涼しい環境へ卵を移すことで、オスの赤ちゃんが生まれる可能性を高める狙いもあります。今回、移された卵は約9,000個にのぼり、約82%が孵化して海へ向かったと報じられています。

    また、記事では、この取り組みが10年以上続くレイン島回復プロジェクトの一部であることも紹介されています。伝統的所有者と研究者が協力し、アオウミガメの未来を守ろうとしている点も大切なポイントです。

    亀好きとして注目したいポイント

    このニュースで注目したいのは、ただ「たくさん孵化した」という話ではないところです。

    亀の保護というと、卵を守る、赤ちゃんを海へ帰す、という場面に目が行きます。
    でも今回のニュースでは、砂浜の温度、性別の偏り、海面上昇、産卵地の地形、そしてその土地の人々の文化まで関わっています。

    一匹の赤ちゃんガメが海へ向かう背景には、島の形、気候、研究者、伝統的所有者、そして長く続く保護活動があります。

    亀を守るということは、亀だけを見ることではなく、亀が生まれる場所ごと見つめることなのかもしれません。

    湯川亀吉の一言

    偉いね。

    出典

    元記事:ABC News「Thousands of baby green sea turtles head to sea after successful egg relocation」

  • 【世界の亀ニュース】絶滅寸前だったキタブチイシガメ37匹、35年続く保護活動で湿地へ

    【世界の亀ニュース】絶滅寸前だったキタブチイシガメ37匹、35年続く保護活動で湿地へ

    今回は、アメリカ・ワシントン州で報じられた、希少な淡水ガメの野生復帰に関するニュースを紹介します。

    今回のニュース

    2026年7月、アメリカ・ワシントン州で、37匹の若いキタブチイシガメが保護された湿地へ放されました。

    この放流は、ワシントン州魚類野生生物局とウッドランドパーク動物園が協力して進める「Western Pond Turtle Recovery Project」の一環です。

    プロジェクトは2026年で開始から35年を迎えました。絶滅寸前だったカメを守るため、卵や子ガメを一時的に安全な環境で育て、野生で生き残りやすい大きさになってから湿地へ戻す活動が続けられています。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:アメリカ、ワシントン州
    元記事の言語:英語
    公開時期:2026年7月10日
    情報の種類:新着ニュース・淡水ガメ・野生復帰・保護活動

    登場する亀

    今回のニュースに登場するのは、キタブチイシガメです。

    学名は Actinemys marmorata。英語ではWestern Pond TurtleやNorthern Pacific Pond Turtleと呼ばれています。分類や日本語資料によっては、単に「ブチイシガメ」と表記されることもありますが、この記事ではキタブチイシガメとします。

    キタブチイシガメは、池や湿地、流れの緩やかな水辺などに暮らす北米原産の淡水ガメです。

    ワシントン州では個体数が激減し、1990年の時点で残っていたのは、二つの個体群に合計約150匹だけでした。絶滅を防ぐため、1991年に動物園と州当局による本格的な回復事業が始まり、1993年には州の絶滅危惧種に指定されました。

    ニュースの要約

    キタブチイシガメの保護活動では、野生の巣から卵や孵化したばかりの子ガメを集め、ウッドランドパーク動物園やオレゴン動物園で一時的に育てます。

    孵化直後の子ガメは、硬貨ほどの小ささです。

    そのまま野生へ出ると、外来種のウシガエルをはじめとする捕食者に食べられる危険性が高いため、動物園で冬を越しながら、魚やミミズなどを与えて成長させます。

    目標となるのは、体重がおよそ2〜3オンス、約57〜85グラムに達することです。

    この大きさまで育つと、子ガメはウシガエルの口に入りにくくなり、野生で生き残れる可能性が高まります。

    健康状態を確認した後、カメたちは保護された湿地へ戻されます。放流後も、州の生物学者たちが生存状況や移動を追跡します。

    小さなカメに「先行時間」を与える

    この方法は、英語で「ヘッドスタート」と呼ばれています。

    野生動物を一生飼育するのではなく、最も命を落としやすい幼少期だけを安全な環境で過ごさせ、ある程度成長してから本来の生息地へ戻す方法です。

    キタブチイシガメは、性成熟するまでに約10〜12年かかります。孵化した子ガメが成体となり、次の世代を残すまでには、長い時間が必要です。

    だからこそ、最初の数か月を生き延びられるかどうかが、何十年後の個体群に大きく影響します。

    動物園で過ごす一度の冬は、このカメたちにとって、野生へ帰る前に与えられた「先行時間」なのかもしれません。

    35年間で2,300匹以上を野生へ

    35年間にわたる共同事業によって、これまでに2,300匹以上のキタブチイシガメがヘッドスタートを経て野生へ戻されました。

    その結果、ピュージェット湾地域とコロンビア川峡谷では、再び個体群が形成されています。調査では、ヘッドスタート個体と野生で生まれた個体を合わせ、約800匹が生き残っていると推定されています。

    1996年に最初の16匹が放されたワシントン州南部の回復地では、長年の放流によって個体数が200匹を超えるまでに回復した記録もあります。

    約150匹まで減ったカメを、何十年もかけて少しずつ増やしてきた。

    今回放された37匹も、その長い回復の物語につながる新しい世代です。

    回復を脅かす甲羅の病気

    保護活動には、大きな課題も残されています。

    野生個体群では、甲羅に病変が現れる深刻な病気が広がっており、野生個体の80%以上に影響が確認されていると報告されています。

    症状が重くなると、健康状態や生存に影響する可能性があります。現在、シェッド水族館やイリノイ大学の研究者たちが、微生物や環境との関係を含めて病気の原因を調べています。

    外来種から子ガメを守り、生息地を整え、野生へ戻す。

    それだけでも長い時間がかかります。

    さらに、新しく現れた病気にも対応しながら、保護活動を次の世代まで続けなければなりません。

    亀好きとして注目したいポイント

    このニュースで注目したいのは、亀を守る活動そのものも、亀のようにゆっくり進んでいることです。

    1991年に始まった活動が、2026年で35年。

    卵を見つけ、孵化させ、冬のあいだ育て、湿地へ戻す。
    それを毎年繰り返す。

    放した子ガメが成長し、繁殖できるようになるまでには、さらに10年以上かかります。

    一度の放流だけで、絶滅危惧種が回復するわけではありません。

    今日放された37匹が大人になり、その子どもが生まれ、さらに次の世代へ命がつながるまで、保護する人たちは待ち続けます。

    亀は遅い。

    でも、亀を守る活動もまた、急ぐことのできない仕事なのだと思います。

    湯川亀吉の一言

    孵化したばかりの子ガメは、硬貨ほどの大きさしかない。

    その小さな甲羅では、ウシガエルの口から逃げることも難しい。

    だから人間は、一度だけその命を預かる。

    冬のあいだ食べ物を与え、少しだけ大きく育てて、また湿地へ返す。

    守り続けるのではない。
    野生で生きられるところまで、一緒に時間を進める。

    35年間で2,300匹以上。

    一匹ずつを見れば、小さなカメだ。
    でも、その小さな甲羅を一つずつ湿地へ戻してきた時間は、とても大きい。

    亀はゆっくり育つ。
    だから、人間も急がずに守り続けなければならない。

    今回放された37匹が、いつか泥の岸辺で卵を産む日まで。

    この保護活動は、まだ終わらないのだと思います。

    出典

    Woodland Park Zoo
    「Endangered turtles released to the wild」

    Washington Department of Fish and Wildlife
    「South Puget Sound Wildlife Area Management Plan」

    The Reptile Database
    「Actinemys marmorata」

  • 【世界の亀ニュース】洪水に沈む産卵地 マグダレナヨコクビガメの卵を守るコロンビアの人々

    【世界の亀ニュース】洪水に沈む産卵地 マグダレナヨコクビガメの卵を守るコロンビアの人々

    今回は、南米コロンビアにしか生息していない淡水ガメ、

    マグダレナヨコクビガメ

    を紹介します。

    学名は、

    Podocnemis lewyana。

    英語では、

    Magdalena River Turtle

    と呼ばれています。

    2026年。

    このカメが産卵するシヌー川で、大規模な洪水が発生しました。

    本来なら、

    水位が下がる。

    砂州が現れる。

    雌ガメが上陸する。

    穴を掘る。

    卵を産む。

    そんな季節でした。

    ところが今年は、

    卵を産む砂浜そのものが水の下へ消えてしまった。

    それでも地域の人たちは、水位の変化を見ながら残された砂州を歩き、カメの巣を探し続けています。

    今回のニュース

    2026年6月29日、Turtle Survival Alliance(TSA)は、コロンビア北西部のシヌー川で行われているマグダレナヨコクビガメの保全活動について報告しました。

    2026年初頭、北半球から南下した寒冷前線の影響によってコロンビア・カリブ地域で激しい雨が降り、大規模な洪水が発生。

    さらにTSAによると、Urrá水力発電ダムの運用に伴うシヌー川流量の異常な増加が洪水を悪化させたとされています。

    コルドバ県では10を超える自治体が被害を受けました。

    そして、

    マグダレナヨコクビガメの重要な繁殖地である**Cotocá Arriba(コトカ・アリバ)**も、大きな被害を受けました。

    どこの国・地域の話か

    国:コロンビア
    県:コルドバ県
    地域:Cotocá Arriba
    河川:シヌー川
    発表:2026年6月29日
    対象種:マグダレナヨコクビガメ
    学名:Podocnemis lewyana
    情報の種類:淡水ガメ・産卵・洪水・巣の保護・地域住民による保全

    本種はコロンビア固有種です。

    マグダレナ川水系とシヌー川水系を中心に分布し、ナンベイヨコクビガメ属の中でも、アンデス山脈の西側に自然分布する唯一の種類とされています。

    日本語では「マグダレナヨコクビガメ」という名称が使われることがあります。

    登場する亀

    マグダレナヨコクビガメは、

    ナンベイヨコクビガメ科の中大型淡水ガメです。

    2026年に公開されたIUCN/SSC Tortoise and Freshwater Turtle Specialist Groupの最新種アカウントでは、最大直線甲長は、

    雌:約50cm
    雄:約42.4cm

    とされています。

    そして名前の通り、

    ヨコクビガメ。

    一般的な潜頸類のように首を真っすぐ甲羅の中へ引き込むのではなく、首を横方向へ曲げて収納します。

    雌はおよそ5〜7年、雄は3〜4年ほどで性成熟すると考えられています。

    世代時間は約10〜12年。

    つまり、一度個体群が大きく減ると、

    元の数まで戻るのに非常に長い時間がかかるカメです。

    年に2回、砂浜へ上がる

    マグダレナヨコクビガメは、

    一年に二つの主要な繁殖期があります。

    12月〜2月。

    そして、

    7月〜8月。

    川の水位が下がると、

    普段は水中に隠れている砂州や砂浜が姿を現します。

    雌ガメはそこへ上がり、

    穴を掘って卵を産みます。

    通常は一度に12〜22個程度。

    大型の雌では、

    最大32個ほどの卵を産むことがあります。

    孵化までは平均約61日。

    生まれたばかりの子ガメの甲長は、わずか4〜5cmほどです。

    カメの巣に必要なのは「水が少ない時間」

    ここが今回のニュースを理解するうえで重要です。

    川に暮らすカメだから、

    水が多いほうが良い。

    とは限りません。

    成体にとって川は生活場所です。

    でも、

    卵には水が多すぎると困る。

    川の水位が下がる。

    砂浜が出る。

    雌が産卵する。

    約2か月、

    卵が土の中で発生する。

    子ガメが孵化する。

    川へ向かう。

    この時間が必要です。

    ところが途中で川が増水すれば、

    巣が水没します。

    卵は正常に発生できなくなり、

    孵化できない可能性が高くなります。

    2026年、その砂浜が消えた

    本来この時期のシヌー川では、

    水位が低くなり、

    産卵に使える砂浜が現れます。

    ところが2026年。

    豪雨と河川の増水によって、

    その砂浜が水没しました。

    川岸だけではありません。

    Cotocá Arribaでは、

    農作物。

    道路。

    住宅。

    人間の暮らしそのものも洪水の被害を受けました。

    つまり、

    カメを守っている人たち自身も、

    被災者でした。

    それでも川へ行く

    それでも、

    地域住民はカメの巣を探しました。

    水が少し引く。

    砂浜が少しだけ現れる。

    そこへ行く。

    足跡を見る。

    砂を見る。

    巣を探す。

    また水が来る前に、

    卵を救い出す。

    TSAの報告では、住民たちは洪水の波の合間を縫って砂州を巡回したとされています。

    卵は「向きを変えない」

    巣を見つけると、

    すぐ掘り出せばいい。

    というわけでもありません。

    カメの卵は、

    扱い方にも注意が必要です。

    住民たちは慎重に卵を掘り出し、

    向きを回転させないようにして

    運搬用の容器へ入れます。

    その後、

    安全な施設へ運び、

    人工的な環境で孵化まで管理します。

    つまり、

    自然の巣を別の場所へ移して、

    洪水より先に卵を避難させるわけです。

    普通なら140巣

    数字を見ると、

    2026年の異常さが分かります。

    通常の繁殖シーズン。

    地域住民が救出する巣は、

    平均して、

    約140巣。

    ところが、

    2026年6月29日の報告時点で救出できたのは、

    5巣。

    140。

    そして、

    5。

    産卵できる砂浜がどれほど失われたのかが分かります。

    でも、その5巣から孵化が始まった

    そして、

    小さなニュースがあります。

    救出された5巣の卵から、

    子ガメが孵化し始めました。

    5巣しか救えなかった。

    そう考えることもできます。

    でも、

    もし誰も砂州へ行かなければ、

    その5巣も水の下へ消えていたかもしれません。

    今年生まれるはずだった一世代の一部が、

    人間の手によって洪水を越えました。

    この活動は2013年から続いている

    今回だけ、

    突然カメを助け始めたわけではありません。

    Cotocá Arribaの地域住民は、

    2013年から

    WCS ColombiaやTurtle Survival Allianceと協力して、

    シヌー川でカメの巣を守っています。

    最初の年に保護した巣は、

    9巣。

    そこから活動は拡大。

    現在では、

    15か所の産卵地を監視しています。

    そしてこれまでに、

    1,000巣以上を保護。

    そこから生まれた、

    16,000匹以上の子ガメをシヌー川へ放してきました。

    9巣から始まった

    僕は、

    この数字も好きです。

    最初から、

    巨大な保全プロジェクトだったわけではありません。

    2013年。

    9巣。

    そこから、

    毎年川を見る。

    雌が来る。

    巣を探す。

    卵を守る。

    子ガメを放す。

    また次の年。

    それを繰り返す。

    13年。

    その結果が、

    1,000巣。

    16,000匹です。

    「Sinú Turtles」

    Cotocá Arribaで行われているこの取り組みは、

    Sinú Turtles

    と呼ばれています。

    主役は、

    地域住民です。

    研究者だけが川へ来て調査するのではありません。

    川の水位を普段から見ている人。

    砂州がどこに出るか知っている人。

    カメがいつ来るか知っている人。

    その川で暮らしてきた人たち自身が、

    巣を探します。

    これは、

    かなり強い保全方法だと思います。

    川にはダムがある

    さらに、

    シヌー川のカメには難しい問題があります。

    上流には、

    Urrá水力発電ダム

    があります。

    ダムは、

    人間に電力を供給します。

    しかし、

    河川の水位変化にも影響します。

    WCS Colombiaは、人工的な水位変動によってマグダレナヨコクビガメの巣が浸水する危険性が高まるため、地域住民が毎年産卵地を監視し、必要なら卵を人工孵化施設へ移していると説明しています。

    つまり、

    昔なら自然の季節変化に合わせていた産卵が、

    人間による河川管理の影響も受けるようになっています。

    洪水だけが敵ではない

    マグダレナヨコクビガメは、

    IUCNレッドリストで、

    Critically Endangered(CR/深刻な危機)

    に分類されています。

    CITESでは、

    ナンベイヨコクビガメ属として附属書IIに掲載されています。

    大きな脅威の一つが、

    捕獲です。

    成体が食用として捕られる。

    卵も採取される。

    2024年に発表された12年間の調査では、調査個体群で雌と幼体の割合が時間とともに減少し、残された雌も小型化する傾向が確認されました。

    研究者たちは、捕獲圧によって大型の成体雌が選択的に失われている可能性を指摘しています。

    雌が減るということ

    これは、

    カメでは特に大きな問題です。

    一匹の大きな雌が、

    毎年何十個もの卵を産む。

    その雌が捕られる。

    すると、

    失われるのは一匹だけではありません。

    その先、

    何年にもわたって産まれるはずだった卵も、

    同時に失われます。

    しかもマグダレナヨコクビガメの世代時間は、

    10〜12年ほど。

    大きな雌を失った個体群が、

    すぐ次の世代で元に戻ることはできません。

    推定16,000〜28,000匹

    Turtle Survival Allianceは現在の野生個体数を、

    約16,000〜28,000匹

    と推定しています。

    数字だけを見ると、

    「まだたくさんいる」

    と思うかもしれません。

    でも、

    個体数傾向は減少。

    そして分布は、

    ほぼコロンビアの限られた河川水系だけです。

    さらに、

    すべての個体が同じではありません。

    2026年の研究では、シヌー川とマグダレナ川などの個体群には明確な遺伝的違いがあり、少なくとも3つの異なる保全管理単位として考える必要があることが示されています。

    つまり、

    別の川にたくさんいるから、

    一つの川の個体群が消えても大丈夫、

    という話ではありません。

    このカメは種を運ぶ

    マグダレナヨコクビガメは、

    主に植物を食べます。

    水生植物。

    陸上植物。

    果実。

    そして、

    食べた果実の種子を別の場所へ運びます。

    2026年の種アカウントでは、本種が種子散布や発芽を助け、河川生態系の栄養循環にも関わっている可能性が指摘されています。

    カメが一匹減る。

    それだけでは、

    川の変化は見えないかもしれません。

    でも、

    何千匹、

    何万匹と減れば、

    植物の種が運ばれる方法まで変わる可能性があります。

    16,000匹を「放した」という数字の意味

    これまでに放された子ガメは、

    16,000匹以上。

    ものすごい数字です。

    でも、

    16,000匹を放せば、

    16,000匹の成体になるわけではありません。

    子ガメは小さい。

    魚。

    鳥。

    その他の捕食者。

    洪水。

    乾燥。

    さまざまな危険があります。

    だから、

    たくさん生まれる。

    たくさん死ぬ。

    その中から、

    ごく一部が成体になる。

    それが、

    カメの自然な生き方です。

    保全活動がしていることは、

    子ガメを永久に安全な場所で飼うことではありません。

    「本来川へ入るはずだった子ガメが、卵の段階で全滅する」という異常を減らしている。

    そう考えるほうが近いと思います。

    2026年の5巣

    だから、

    今回の5巣も重要です。

    普通なら140巣。

    今年は5巣。

    数字だけなら、

    失敗に見えます。

    でも、

    洪水の中で、

    住宅も農地も被害を受けている人たちが、

    それでも砂浜へ行った。

    そして、

    5つを見つけた。

    卵を運んだ。

    孵化させた。

    その子ガメが、

    もうすぐ川へ戻る。

    保全の成果は、

    毎年右肩上がりになるとは限らないんですね。

    自然条件が悪い年もあります。

    亀好きとして注目したいポイント

    今回のニュースで僕が一番注目したいのは、

    「カメを守っている人も、同じ洪水の中にいる」

    というところです。

    外から来た人が、

    カメだけを助けているわけじゃない。

    家が水に浸かる。

    作物が駄目になる。

    道路が通れない。

    自分たちの生活にも、

    大きな問題が起きている。

    それでも、

    川を見る。

    砂浜が出たら、

    カメの巣を探す。

    なぜそこまでやるのか。

    Cotocá Arribaで巣の救出に参加するJuan Negretteさんは、

    このカメを、

    シヌー川と地域を象徴する存在

    として語っています。

    カメを守ることと、

    自分たちの川を守ることが、

    分かれていないんだと思います。

    湯川亀吉の一言

    亀ってかっこいいよね。

    出典

    Turtle Survival Alliance
    「Protecting Magdalena River Turtle Nests as Waters Rise」
    2026年6月29日。洪水、5巣の救出、2013年からの地域保全、1,000巣以上・16,000匹以上の実績について。
    TSAの記事を読む

    WCS Colombia
    「Magdalena river turtle」
    Sinú Turtlesプロジェクト、生態、産卵地の洪水リスク、人工孵化について。
    WCS Colombiaの種紹介を見る

    IUCN/SSC Tortoise and Freshwater Turtle Specialist Group
    「Podocnemis lewyana – Magdalena River Turtle」
    2026年8月17日公開。体格、繁殖、生態、分布、遺伝的構造、保全状況についての最新種アカウント。
    2026年の種アカウントを見る

    Turtle Survival Alliance
    「Magdalena River Turtle」
    推定野生個体数、主要な脅威、現在の保全活動について。
    TSAの種紹介を見る

    Environmental Monitoring and Assessment
    「Lessons learned during a 12-year monitoring project with the endangered Magdalena River turtle」
    2024年8月30日。12年間の調査から、成体雌・幼体の減少と捕獲圧との関係を分析した研究。
    研究論文を読む