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  • 【世界の亀ニュース】16巣中13巣が捕食 X線と216ヤードの糸で追うトウブハコガメの産卵

    【世界の亀ニュース】16巣中13巣が捕食 X線と216ヤードの糸で追うトウブハコガメの産卵

    今回は、アメリカ・バージニア州で進められている、トウブハコガメの巣を探し出して孵化までの生存率を調べる研究を紹介します。

    使われているのは、

    X線装置。

    GPS。

    無線発信器。

    自動撮影カメラ。

    そして、

    プラスチックのカップと、細い糸。

    最新技術と驚くほど単純な道具を組み合わせながら、人間にはなかなか見つけることのできない「カメの巣」を追いかけています。

    今回のニュース

    2026年8月14日、Smithsonian’s National Zoo and Conservation Biology Institute(スミソニアン国立動物園・保全生物学研究所)は、バージニア州で進めているトウブハコガメの繁殖調査について発表しました。

    研究チームは約8週間、ほぼ毎日のように野外調査を行い、16か所のトウブハコガメの巣を発見しました。

    しかし、そのうち13巣が産卵後わずか数時間ほどで掘り返され、卵を食べられていました。

    主な捕食者として確認されたのは、アライグマやスカンクです。自動撮影カメラには、アライグマが巣の卵を食べる姿も記録されました。

    16巣中13巣。

    今回確認された巣の約81%が失われたことになります。

    過去の研究でも、ハコガメ類の巣では捕食率が90%に達する場合があるとされており、今回の結果もそれと一致する高い捕食圧を示しました。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:アメリカ合衆国
    州:バージニア州
    研究機関:Smithsonian’s National Zoo and Conservation Biology Institute
    研究チーム:Turtle Conservation Ecology Lab
    発表日:2026年8月14日
    対象:トウブハコガメ
    情報の種類:陸生ガメ・繁殖・産卵・捕食・野外研究・保全

    スミソニアンのTurtle Conservation Ecology Labは、2022年からバージニア州に生息するハコガメの移動、繁殖行動、生息地利用などを調べています。

    今回新たに始めたのが、

    「母ガメがどこへ卵を産み、その卵がどのくらい生き残るのか」

    を調べる研究です。

    登場する亀

    今回の主役は、トウブハコガメです。

    学名は Terrapene carolina carolina

    英語ではEastern Box Turtleと広く呼ばれてきましたが、バージニア州野生生物資源局では現在、Woodland Box Turtleという名称を使用しています。

    トウブハコガメは、バージニア州全域に自然分布する陸生傾向の強いカメです。

    甲長はおよそ11〜20センチ。

    背甲は高く盛り上がり、褐色から黒色の地色に、黄色やオレンジ色の斑点、線、まだら模様が入ります。

    模様には非常に大きな個体差があります。

    名前の由来は「箱」

    ハコガメという名前の大きな理由が、腹甲です。

    トウブハコガメの腹甲には可動する蝶番のような構造があります。

    危険を感じると頭や手足を甲羅の中へ完全に引っ込め、腹甲を閉じることで、まるで箱のような状態になります。

    成熟した個体では、とても頑丈な防御です。

    でも、

    卵にはその甲羅がありません。

    そして孵化したばかりの子ガメにも、大人と同じ防御力はありません。

    今回の研究は、

    頑丈な「箱」を持つようになるずっと前に、どれほど多くの命が失われているのか

    を調べる研究でもあります。

    まず、母ガメを探す

    巣を調べるには、当然ながら最初に巣を見つけなければなりません。

    これが簡単ではありません。

    研究チームが調査している5か所には、無線発信器とGPSタグを装着した56匹のハコガメがいます。

    研究者はVHF受信機を使い、それぞれの個体に割り当てられた電波を探します。

    信号が強くなる方向へ進む。

    草をかき分ける。

    落ち葉を見る。

    そしてようやく、模様によって森の地面へ溶け込んでいる小さな甲羅を見つけます。

    発信器が付いていても見つけるのが難しいほど、ハコガメは森の中へ隠れるのが上手です。

    次にX線を撮る

    母ガメを発見したら、

    今度はその個体が卵を持っているかを調べます。

    雌のハコガメは、形成された卵を体内におよそ30〜60日間保持します。

    バージニア州でこの状態になるのは、主に5月下旬から7月上旬です。

    研究者はまず、後脚付近を慎重に触って硬い卵があるか確認します。

    ただし、触診だけでは確実ではありません。

    そこで登場するのが、

    携帯型X線装置です。

    プラスチックカップが研究器具になる

    野外に大きな病院設備を持ち込むことはできません。

    研究者は車の後ろに簡易的なフィールドステーションを作り、

    携帯型X線装置。

    タブレット。

    無線受信機。

    体重計。

    自動撮影カメラ。

    などを並べます。

    そしてX線を撮るときに使われる、非常に重要な道具があります。

    プラスチックカップです。

    カメを鉛で保護されたプレートとカップの上へ一時的に乗せます。

    カップは、撮影中にカメが歩いてどこかへ行ってしまわない高さになっています。

    その状態で短時間だけX線撮影を行うと、

    体内に卵があるかどうかが、その場で確認できます。

    高度なX線装置と、

    どこにでもありそうなプラスチックカップ。

    この組み合わせで野生の母ガメを調べています。

    卵があったら「糸」を付ける

    X線で卵が確認されたら、

    次に登場するのが糸です。

    研究者は母ガメの甲羅に、重さわずか約2グラムの小さな糸巻きを慎重に取り付けます。

    そしてカメを発見した場所へ戻します。

    糸巻きには、

    216ヤード、約198メートル

    もの糸が巻かれています。

    母ガメが森を歩く。

    その後ろに、細い糸が伸びていく。

    研究者は翌日、その糸をたどります。

    母ガメは簡単には産まない

    卵を持っているからといって、

    すぐにその場所へ産卵するわけではありません。

    ハコガメの雌は、巣を作る場所を何時間、ときには何日もかけて探します。

    土の状態。

    日当たり。

    温度。

    周囲の環境。

    さまざまな条件を確かめながら歩きます。

    研究者が、

    「ここに産むだろう」

    と思った場所から離れ、

    翌朝には約1.5マイル、約2.4キロ離れた山の上で巣を掘っていることさえあると報告されています。

    カメはゆっくり歩きます。

    でも、

    ゆっくりだから移動しないわけではありません。

    時間をかければ、人間が想像する以上の距離を移動します。

    糸をたどれば、巣が見つかる

    翌日。

    研究者は再び母ガメを探します。

    そして体重を測ります。

    もし体重が前日と変わっていなければ、

    まだ産卵していない可能性が高い。

    ところが、

    20〜80グラムほど軽くなっていたら、卵を産んだ可能性があります。

    そこで研究者は、

    母ガメの後ろに残された細い糸を逆方向へたどります。

    草の中。

    落ち葉の中。

    牧草地。

    森。

    何十メートル、場合によっては100メートル以上。

    糸を追っていく。

    そして、

    新しく土が掘り返された場所と糸が交差していれば、

    そこが巣である可能性があります。

    見つけたら、触らない

    巣を発見しても、

    研究者は卵を掘り出して確認するわけではありません。

    可能な限り巣をそのままの状態にします。

    位置を記録し、

    小さな目印を付け、

    自動撮影カメラを設置する。

    そして、

    その後何が起こるのかを見守ります。

    母ガメが選んだ場所を、

    できるだけ母ガメが残した状態のまま観察する。

    そのための研究です。

    20匹の母ガメから16巣を発見

    2026年の調査では、

    研究対象のうち20匹の雌が卵を持っていることが確認されました。

    そのうち研究チームが見つけることができた巣は16か所。

    3匹は研究者が立ち入れない私有地で産卵。

    残る1匹については、最終的に巣を発見できませんでした。

    ここまでは、

    かなり高い精度で母ガメを追跡できています。

    しかし、

    本当に厳しい結果は、その後でした。

    16巣中13巣が失われた

    約8週間の調査で見つかった16巣。

    そのうち13巣が、

    アライグマやスカンクなどによって掘り返されました。

    しかも一部は、

    産卵からわずか数時間後です。

    母ガメが穴を掘る。

    卵を産む。

    土を戻す。

    その日のうちに、

    別の動物がその場所を見つける。

    掘り返す。

    卵を食べる。

    子ガメになる前に、

    そこで命が途切れます。

    カメの最大の敵は「道路」だけではない

    陸生のカメについて考えるとき、

    人間には分かりやすい危険があります。

    道路。

    自動車。

    草刈り機。

    農薬。

    森林開発。

    実際、スミソニアンのこれまでの調査でも、道路、気候の変化、芝刈り機、住宅地周辺の捕食動物などがハコガメ減少に関係している可能性が示されています。

    しかし今回の研究が見せているのは、

    甲羅を持ったカメとして地上へ出てくる前にも、大きな壁がある

    ということです。

    卵の段階です。

    成熟まで10〜20年

    トウブハコガメは、たくさんの子どもを短期間で増やす動物ではありません。

    バージニア州野生生物資源局によると、性成熟までには10〜20年かかります。

    雌が一年に産む卵も、およそ2〜7個です。

    そして今回の調査では、

    その数少ない卵の多くが、孵化する前に捕食されました。

    一匹の雌が10年以上かけて大人になる。

    その雌が数個の卵を産む。

    その多くが孵化前に失われる。

    さらに孵化した子ガメも、捕食、道路、生息地の変化などを越えなければならない。

    ハコガメが個体数を回復するのに時間がかかる理由が見えてきます。

    100年で約32%減少

    バージニア州野生生物資源局は、州内のWoodland Box Turtleについて、過去100年間で個体数がおよそ32%減少したと推定しています。

    生息地の分断や都市化、野生個体の違法なペット取引などが主要な脅威として挙げられています。

    一方で今回の研究は、

    「生まれたカメがなぜ減るのか」

    だけでなく、

    「そもそも、何匹が生まれるところまで到達できているのか」

    という段階へ調査を広げています。

    捕食者を悪者にすればいいのか

    13巣を失った。

    原因はアライグマやスカンク。

    だから捕食動物を排除すればいい。

    そう単純な話でもありません。

    アライグマやスカンクも、その生態系の中で生きている動物です。

    今回の研究の目的も、

    ただ捕食者を見つけることではありません。

    どんな場所に作られた巣が生き残るのか。

    土壌温度はどう違うのか。

    周囲の植生はどうなっているのか。

    巣の微気候はどうなっているのか。

    そうした条件を調べ、

    ハコガメが繁殖できる環境そのものを理解すること

    が目的です。

    来年は「生き残る巣」の条件を調べる

    研究チームは2027年も調査を続ける予定です。

    次の段階では、

    土壌温度。

    巣の位置。

    巣周辺の微気候。

    そのほかの環境条件。

    など、より詳しいデータを集めます。

    「捕食された巣」だけを見るのではありません。

    生き残った巣と比べる。

    そこに何が違うのかを探す。

    もし、

    生き残りやすい巣の条件が分かれば、

    将来、生息地管理や巣の保護方法を考える材料になります。

    亀好きとして注目したいポイント

    今回のニュースで僕が一番面白いと思うのは、

    人間が母ガメに巣の場所を教えてもらっていることです。

    人間が地図を広げて、

    「ここに産むだろう」

    と決めるのではない。

    まずカメを探す。

    卵を持っているか確認する。

    そして、

    カメを元の場所へ戻す。

    そこから先は、

    母ガメに好きなところへ歩いてもらう。

    人間は後ろに残された一本の糸をたどる。

    森の中で、

    細い糸の先にある答えを探す。

    最新のX線装置があっても、

    GPSがあっても、

    最後に必要なのは、

    カメ自身がどこへ行くのかを見ること。

    この研究は、

    人間がカメに正解を教える研究ではありません。

    カメが選んだ場所から、

    人間が正解を教えてもらう研究なのだと思います。

    湯川亀吉の一言

    亀は成熟に時間がかかるよね!

    僕は熱帯魚や金魚の繁殖をしていたから、亀の繁殖にもそれと同じ感覚で取り組んでしまいました。

    亀の繁殖にはめちゃめちゃ時間がかかる。

    それに、失敗もつきものである。

    プロのブリーダーさんたちの努力・研究には本当に敬服する。

    この記事にはあまり関係ないコメントになってしまったね。

    出典

    Smithsonian’s National Zoo and Conservation Biology Institute
    「How X-Rays, Plastic Cups and Spools of String Help National Zoo Researchers Find Wild Box Turtle Nests」

    Virginia Department of Wildlife Resources
    「Woodland Box Turtle」

    IUCN Red List of Threatened Species
    「Eastern Box Turtle – Terrapene carolina」

  • 【世界の亀ニュース】ガンジススッポンを衛星で追う インド初の個体がブラマプトラ川へ帰還

    【世界の亀ニュース】ガンジススッポンを衛星で追う インド初の個体がブラマプトラ川へ帰還

    今回は、インド北東部のカジランガ国立公園で、絶滅危惧種のガンジススッポンに衛星発信器を装着し、その行動を追跡する取り組みが始まったニュースを紹介します。

    今回のニュース

    2026年5月15日、インド・アッサム州のカジランガ国立公園・トラ保護区で、衛星発信器を装着したガンジススッポン1匹が野生へ戻されました

    ガンジススッポンを衛星追跡する試みとしては、インド初と報じられています。

    健康な成体を捕獲し、獣医師の監督のもとで発信器を取り付けた後、ブラマプトラ川北岸の本来の生息環境へ放しました。今後は衛星から位置情報を取得し、このカメが季節ごとにどこへ移動するのか、どれほどの範囲を利用するのか、どこを繁殖や産卵に使うのかを調べます。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:インド共和国、アッサム州
    場所:カジランガ国立公園・トラ保護区、ブラマプトラ川流域
    放流日:2026年5月15日
    元記事の言語:英語
    情報の種類:淡水ガメ・スッポン・衛星追跡・研究・保護活動

    この調査は、インド環境・森林・気候変動省の取り組みとして、Wildlife Institute of India、カジランガ国立公園、アッサム州森林局が協力して実施し、National Geographic Societyが資金面で支援しています。

    登場する亀

    今回の主役は、ガンジススッポンです。

    学名は Nilssonia gangetica

    日本では「ガンジススッポン」または「インドスッポン」という名称が使われています。経済産業省のワシントン条約関連資料でも、Nilssonia gangeticaに対して「ガンジススッポン(インドスッポン)」という和名が記載されています。

    英語ではGanges Softshell TurtleやIndian Softshell Turtleと呼ばれます。

    一般的なカメのような硬い甲板に覆われた甲羅ではなく、平たく柔らかな甲羅を持つスッポンの仲間です。

    頭部には特徴的な模様があり、報道では頭頂部に見られる矢じりのような模様が、ほかの河川性のスッポンと見分ける特徴の一つとして紹介されています。

    ニュースの要約

    衛星発信器を取り付けられたガンジススッポンは、カジランガ周辺のブラマプトラ川へ戻されました。

    研究チームが特に知りたいのは、

    季節によってどこへ移動するのか。

    一匹がどのくらい広い範囲を利用するのか。

    どの場所で餌を探すのか。

    どこで繁殖するのか。

    そして、どこに重要な産卵場所があるのか。

    ということです。

    Wildlife Institute of Indiaの研究者Abhijit Das氏は、季節的な移動、行動圏、繁殖・産卵に重要な場所を把握することが、ブラマプトラ川流域のスッポン保全に役立つと説明しています。

    川にカメがいることと、カメが川のどこを使っているかは違う

    ガンジススッポンがブラマプトラ川に生息していること自体は、以前から知られています。

    しかし、「いる」という情報だけでは、川のどの部分を守ればよいのかまでは分かりません。

    例えば、一年のほとんどを深い水域で過ごしていても、繁殖期だけ特定の浅瀬へ移動する可能性があります。

    普段は広い川を利用しながら、産卵するときだけ特定の砂州へ上がるかもしれません。

    雨季の増水に合わせて、支流や湿地へ移動する可能性もあります。

    重要な場所が一年中同じとは限りません。

    衛星追跡を行うことで、これまで人間が水面から見ているだけでは分からなかった「一匹のカメが使っている川の地図」が少しずつ見えてきます。

    ブラマプトラ川という巨大な世界

    ブラマプトラ川は、ヒマラヤからインド北東部を通り、バングラデシュ方面へ流れる巨大な河川です。

    カジランガ周辺では、本流だけでなく、砂州、支流、湿地、氾濫原などが複雑につながっています。

    川は毎年同じ形をしているわけではありません。

    増水すれば水域が広がる。

    水が引けば砂州が現れる。

    流路そのものが変わることもあります。

    ガンジススッポンは、そんな動き続ける環境の中で暮らしています。

    研究者が知ろうとしているのは、単に「カメが何メートル移動したか」ではありません。

    変化し続ける川の中で、カメがどの場所を選びながら生きているのかということなのだと思います。

    アッサム州は淡水ガメの重要地域

    アッサム州は、アジアでも淡水ガメの多様性が高い地域の一つです。

    報道によると、州内では21種類のカメが確認されており、インドに生息する8種類のスッポン類のうち、5種類がカジランガで確認されています。

    サイやトラで有名なカジランガですが、その保護区を流れる水の中には、多くのカメやスッポンも暮らしています。

    しかし、大型哺乳類と比べると、水中で暮らすカメは姿を確認することさえ難しい。

    だからこそ、一匹に発信器を付けて追跡することには大きな意味があります。

    ガンジススッポンは川の掃除屋でもある

    ガンジススッポンは、魚類や水生動物などを食べる捕食者である一方、死んだ動物や腐敗した有機物も利用します。

    そのため、河川の食物網の中で捕食者として働くだけでなく、死骸を処理する存在としても重要な役割を持っています。

    大きなスッポンが一匹減ることは、単にカメが一匹いなくなることではありません。

    長い時間をかけて川の中で担ってきた役割も、一緒に失われます。

    広く分布していても安全とは限らない

    ガンジススッポンは、インドの複数の大河川や湖、貯水池などに分布しています。

    しかし、分布範囲が広いからといって安全な種というわけではありません。

    現在、絶滅の危険がある種として扱われており、インドではWildlife Protection ActのSchedule Iに掲載され、厳重な保護対象となっています。

    河川環境の変化、水質汚染、捕獲、砂州の消失など、淡水ガメが直面する問題は一つではありません。

    そして、対策を行うためにはまず、

    「どこを守るべきなのか」

    を知らなければなりません。

    今回の衛星追跡は、その問いへ答えるための調査です。

    一匹の背中から送られてくる位置情報

    今回の計画で興味深いのは、調査対象がまず一匹のカメだということです。

    巨大なブラマプトラ川に、一匹のガンジススッポンがいる。

    その背中に、小さな発信器が付いている。

    カメが動けば、点が動く。

    昨日いた場所から今日の場所へ。

    乾季から雨季へ。

    川の本流から、別の水域へ。

    一つひとつはただの座標です。

    でも、それを何か月、何年と重ねていけば、そのカメが必要としている川の形が見えてくるかもしれません。

    衛星追跡は「監視」ではない

    発信器を取り付けるというと、人間がカメをずっと監視しているようにも感じます。

    しかし、この研究の目的はカメの行動を管理することではありません。

    むしろ逆です。

    人間には分からない場所へ自由に泳いでいくカメを、そのまま泳がせる。

    人間は遠くから位置情報を受け取り、

    「この場所を使っていたのか」

    と後から知る。

    カメの行動に合わせて、人間の保護計画の方を変えていくための技術です。

    亀好きとして注目したいポイント

    このニュースで注目したいのは、一匹のカメに川のことを教えてもらう研究だということです。

    人間が地図を広げて、

    「ここが重要な場所だろう」

    と決めるのではありません。

    まずカメを川へ戻す。

    そして待つ。

    どこへ泳ぐのかを見る。

    どこで止まるのかを見る。

    どの季節に移動するのかを見る。

    カメ自身が、自分に必要な場所を移動によって示していく。

    研究者は、その後ろから地図を描いていきます。

    この順番が、とても面白いと思います。

    湯川亀吉の一言

    とてもいいですね!

    まず事実を確かめること・把握することはとても大きな意味があると思います。

    自分の妄想や思い込みだけで行動するような豚野郎にはなりたくないもんだぜ。

    出典

    The New Indian Express
    「India’s first satellite-tagged Ganges softshell turtle released in Kaziranga」

    The Sentinel Assam
    「First-ever satellite tagging of Ganges softshell turtle in Kaziranga National Park」

    The Times of India
    「Satellite-tagged Ganges softshell turtle released in Kaziranga」

    経済産業省
    「ワシントン条約附属書掲載種・動物」