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  • 世界の亀ニュース】メコン川で257匹のカントールマルスッポンが孵化 14巣を守る保全活動

    世界の亀ニュース】メコン川で257匹のカントールマルスッポンが孵化 14巣を守る保全活動

    今回は、カンボジアを流れるメコン川で、絶滅の危機にある大型のスッポン「カントールマルスッポン」の子ども257匹が孵化したニュースを紹介します。

    今回のニュース

    2026年、カンボジアのメコン川沿いで、カントールマルスッポンの巣が14か所確認されました。

    5月24日時点で、そのうち12巣から合計257匹の子ガメが孵化しています。

    さらに残る2巣についても、保全チームが引き続き監視を続けています。カンボジア農林水産省傘下の水産当局とWildlife Conservation Society(WCS)Cambodia、地域住民らが協力して巣を守ってきました。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:カンボジア
    場所:メコン川流域
    発表日:2026年5月24日
    情報の種類:淡水ガメ・スッポン・繁殖・孵化・産卵地保全

    カンボジアのメコン川では、地域住民と保全チームが産卵期に砂州や河岸を巡回し、カントールマルスッポンの巣を探して保護する活動を続けています。

    登場する亀

    今回の主役は、カントールマルスッポンです。

    学名は Pelochelys cantorii

    日本では「マルスッポン」と呼ばれることもあります。英語ではCantor’s Giant Softshell Turtle、Asian Giant Softshell Turtleなどと呼ばれます。

    スッポン科の中でも非常に大型になる種類で、専門家による種解説では甲長60〜100センチほどに達するとされています。

    硬い甲板に覆われた一般的なカメとは違い、平たく柔らかな甲羅を持ち、魚類、甲殻類、貝類などの水生生物を食べます。

    ニュースの要約

    2026年に保全チームが確認した巣は14か所。

    そのうち12巣から257匹が孵化しました。

    興味深いのは、その後の扱いです。

    257匹すべてを同じ方法で管理したわけではありません。

    43匹は、孵化したあと自分の力でメコン川へ入りました。

    残る214匹は慎重に回収され、ココン爬虫類保全センターへ運ばれました。一定期間安全な環境で育てたあと、将来的に野生へ戻す予定です。

    自然に任せる個体と、人間が一時的に保護する個体。

    二つの方法を組み合わせながら、この種の生存率を高めようとしています。

    川岸の砂の中で生まれる巨大スッポン

    成体のカントールマルスッポンは巨大になります。

    しかし、生まれたときは当然、小さな子ガメです。

    母ガメは河岸や砂州に穴を掘り、そこへ卵を産みます。専門家の種解説では、一度に24〜70個程度の卵を産むとされています。

    卵を産んだあと、母ガメは川へ戻ります。

    そこから先、卵は砂の中で育ちます。

    雨。

    川の増水。

    捕食動物。

    人間による卵の採取。

    孵化するまでには、さまざまな危険があります。

    だから保全チームは、成体のスッポンだけを探すのではなく、川岸そのものを見守っています。

    43匹は自分で川へ入った

    今回のニュースで特に印象的なのが、43匹の子ガメです。

    この43匹は孵化後、人間に運ばれることなく、自分自身でメコン川へ入りました。

    砂の中から地上へ出る。

    川の方向へ進む。

    そして水へ入る。

    非常に短い距離かもしれません。

    しかし、生まれたばかりの子ガメにとっては、最初の野生の移動です。

    残る214匹については保全施設へ移されましたが、この43匹は孵化直後から完全に野生の時間を歩き始めました。

    なぜ214匹は保全施設へ運ばれたのか

    子ガメは非常に小さく、捕食される危険が高い時期です。

    そこで一部の個体を安全な施設で育て、ある程度生存しやすい状態にしてから野生へ戻す方法が使われています。

    今回の214匹は、ココン爬虫類保全センターで保護・飼育されます。

    これはカメを永久に飼育するためではありません。

    目的は、最も危険な成長初期を人間が少しだけ補助し、最終的には再び川へ返すことです。

    一度はカンボジアから消えたと思われていた

    カントールマルスッポンは、カンボジアでは長い間ほとんど確認されなくなっていました。

    WCSによれば、科学者による野生個体の確認が途絶えていた時期がありましたが、その後、クラチエ州とストゥントレン州の間を流れるメコン川で再確認されました。

    現在では、その地域がカンボジアに残る重要な生息地となっています。

    つまり、今回257匹が生まれた川は、

    「たまたま子ガメがたくさん生まれた場所」

    ではありません。

    一度は姿を消したと思われた大型スッポンが、今も繁殖を続けている貴重な場所です。

    2022年には982匹が孵化

    今回の257匹だけを見ると、とても大きな成果に感じます。

    しかし、カンボジアでは以前から大規模な巣の保護が続けられています。

    2022年には63巣、2,155個の卵が確認され、5月20日までに40巣から982匹が孵化しました。

    その年には580匹の子ガメが、世界亀の日に合わせてメコン川へ放されています。

    2021年にも66巣、2,528個の卵が確認され、1,300匹が野生へ戻されました。

    一年だけの成功ではありません。

    砂州を探し、巣を守り、子ガメを川へ返す活動が何年も積み重ねられています。

    カメだけを守っても生き残れない

    カントールマルスッポンの減少には、食用を目的とした捕獲、卵の採取、漁具への混獲、河川環境の破壊などが関係しています。

    つまり、

    卵だけ守ればよい。

    子ガメだけ放せばよい。

    という問題ではありません。

    大きく成長したスッポンが暮らせる深い水域。

    餌を探せる川。

    安全に卵を産める砂州。

    それらが全部残っていなければ、次の世代は続きません。

    メコン川の巨大生物の一員

    カントールマルスッポンが暮らすメコン川には、ほかにも巨大な淡水生物が生息しています。

    WCSは、このスッポンがカワゴンドウや巨大淡水エイなどと同じ深い水域を利用する、メコン川を象徴する生物の一つだと紹介しています。

    水面から見れば、ただ大きな川が流れている。

    でも水の下には、

    巨大な魚がいて、

    エイがいて、

    スッポンが砂へ潜っている。

    カントールマルスッポンを守ることは、そうした巨大河川生態系そのものを残すことにもつながります。

    亀好きとして注目したいポイント

    このニュースで注目したいのは、257匹という数字より、その前に14個の巣を見つけた人がいたことです。

    子ガメが生まれる瞬間は分かりやすい。

    写真にもなる。

    数字にもなる。

    でも、そのずっと前に、

    砂浜を歩く人がいる。

    母ガメの足跡を探す。

    砂の盛り上がりを見る。

    ここに卵があるかもしれないと考える。

    そして、その場所を何週間も守る。

    257匹という結果は、孵化した日に突然生まれた成果ではありません。

    川岸で何も起こらない日にも、砂を見続けた時間の結果なのだと思います。

    湯川亀吉の一言

    大きなスッポン飼ってみたいと思ったことありますが、めちゃめちゃ大きくなるから飼えないね。

    将来、水族館を作った時には飼育してみたい。

    出典

    Agence Kampuchea Presse(カンボジア国営通信)
    「Over 200 Cantor’s Giant Softshell Turtle Hatchlings Discovered along Mekong River in Cambodia」

    Wildlife Conservation Society Cambodia
    カントールマルスッポン保全活動・メコン川への放流記録。

    IUCN SSC Tortoise and Freshwater Turtle Specialist Group
    「Pelochelys cantorii – Asian Giant Softshell Turtle」

  • 【世界の亀ニュース】オーストラリアで珍しいハイブリッドのウミガメが孵化

    【世界の亀ニュース】オーストラリアで珍しいハイブリッドのウミガメが孵化

    今回は、オーストラリア・クイーンズランド州で報じられた、珍しいハイブリッドのウミガメの赤ちゃんに関するニュースを紹介します。

    今回のニュース

    オーストラリア・クイーンズランド州のモンレポスで、アカウミガメとアオウミガメのハイブリッドとみられる赤ちゃんガメが発見されました。

    クイーンズランド州政府の発表によると、この赤ちゃんガメは、モンレポスの海岸で見つかったアカウミガメ × アオウミガメのハイブリッド個体で、研究のために2匹がゴールドコーストのSea Worldへ安全に運ばれたとされています。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:オーストラリア、クイーンズランド州、モンレポス
    元記事の言語:英語
    公開時期:2026年5月23日
    情報の種類:新着ニュース・孵化・研究ニュース

    登場する亀

    今回のニュースに登場するのは、アカウミガメとアオウミガメのハイブリッドとみられる赤ちゃんガメです。

    クイーンズランド州には、世界にいる7種のウミガメのうち6種が生息しており、その中には絶滅危惧種のアカウミガメやアオウミガメも含まれています。また、モンレポス保護公園は、オーストラリア東海岸本土で最も多くのウミガメが産卵する場所として紹介されています。

    ニュースの要約

    今回、クイーンズランド州の環境・観光・科学・イノベーション省は、モンレポスの海岸でアカウミガメとアオウミガメのハイブリッドとみられる赤ちゃんガメの卵塊を確認しました。

    そのうち2匹はSea Worldへ運ばれ、健康状態、食事、成長の様子などを観察しながら研究される予定です。州政府の担当者は、ウミガメ同士のハイブリッド化は珍しいものの、すべてのウミガメ種で記録されたことがあると説明しています。

    また、クイーンズランド州では2014年以降、共同で行われている「Nest to Turtle Protection program」により、4万以上の巣が監視され、推定250万匹の赤ちゃんガメが安全に海へ向かったと紹介されています。

    亀好きとして注目したいポイント

    このニュースで注目したいのは、ハイブリッドの赤ちゃんガメが、ただ珍しい存在として扱われているだけではないという点です。

    見た目の珍しさだけで終わる話ではなく、研究者たちは、その成長や体の特徴、生殖できる可能性などを慎重に観察しようとしています。

    ウミガメは、海を越えて長い距離を移動し、同じ海岸へ戻ってくる生き物です。
    その長い時間と移動の中で、異なる種類同士が出会い、まれにこうした存在が生まれる。

    亀の世界は、僕たちが思っているよりもずっと広く、複雑で、まだわからないことが多いのかもしれません。

    湯川亀吉の一言

    ハイブリッドのウミガメか〜!!
    オラ、わくわくすっぞ!!

    出典

    元記事:Queensland Government Department of the Environment, Tourism, Science and Innovation「Rare hybrid turtles hatched at Mon Repos」

  • 【世界の亀ニュース】絶滅寸前のビルマオオセタカガメ 20匹のオスを川へ戻したら、孤独だった雌から14匹が誕生

    【世界の亀ニュース】絶滅寸前のビルマオオセタカガメ 20匹のオスを川へ戻したら、孤独だった雌から14匹が誕生

    今回は、ミャンマーの大河川に生息する希少な淡水ガメ「ビルマオオセタカガメ」の保全活動を紹介します。

    かつては、

    絶滅したのではないか

    とまで考えられていたカメです。

    しかし、生き残ったわずかな個体を見つけ、卵を守り、子ガメを育て、川へ戻す活動が始まりました。

    そして2018年。

    保全施設で育った若いオス20匹が、チンドウィン川へ放されます。

    その約1年半後。

    長年、無精卵しか産めなかった一匹の野生の雌が19個の卵を産み、

    14匹が孵化しました。

    人間が川へ戻したオスが、

    野生に残っていた雌を見つけた可能性が高いと考えられています。

    今回のニュース

    2020年5月22日、Wildlife Conservation Society(WCS)とTurtle Survival Alliance(TSA)は、ミャンマー北部を流れるチンドウィン川で、ビルマオオセタカガメの繁殖に大きな進展があったと発表しました。

    そこには一匹の野生の雌がいました。

    しかし、その雌は長い間、繁殖相手となる雄と出会えていなかったと考えられています。

    過去に産んだ卵は孵化しませんでした。

    ところが2020年。

    19個の卵を産み、

    そのうち14個が孵化しました。

    研究者たちが考えたのは、

    2018年に放流した若い雄たちです。

    そのときチンドウィン川へ戻されたのは、

    20匹の飼育下育ちの雄。

    そのうち少なくとも一匹が野生の雌と出会い、交尾したと考えられました。

    どこの国・地域の話か

    国:ミャンマー
    主な河川:チンドウィン川
    対象種:ビルマオオセタカガメ
    学名:Batagur trivittata
    英名:Burmese Roofed Turtle
    情報の種類:淡水ガメ・絶滅危惧種・繁殖・ヘッドスタート・野生復帰

    ビルマオオセタカガメはミャンマー固有の大型淡水ガメで、かつてはエーヤワディー川、チンドウィン川、シッタン川、サルウィン川などの大きな河川に広く分布していました。

    日本の経済産業省が公開しているワシントン条約対象種の資料でも、Batagur trivittataには**「ビルマオオセタカガメ」**という和名が使われています。

    登場する亀

    ビルマオオセタカガメは、イシガメ科バタグールガメ属の淡水ガメです。

    大きな川とその支流を主な生息環境とし、河川沿いの砂州を産卵場所として利用します。

    そして、このカメにはとても面白い特徴があります。

    成熟した雄の外見が繁殖期に大きく変わることで知られるカメです。

    名前の「trivittata」も、ラテン語で「3本の帯を持つ」といった意味に由来すると考えられています。

    一度は「絶滅した」と思われた

    ビルマオオセタカガメは、昔から珍しいカメだったわけではありません。

    かつてはミャンマーの大河川で普通に見られたとされています。

    しかし、

    卵の大量採取。

    成体の捕獲。

    漁網への混獲。

    産卵砂州の消失。

    金採掘。

    河川環境の改変。

    こうしたものが重なり、個体数が急激に減少しました。

    1970年代にはすでに、

    「絶滅したのではないか」

    と考えられるようになります。

    2001年、「甲羅」が見つかった

    転機は2001年でした。

    WCSの調査チームがミャンマーで別の希少なカメを探していたとき、

    ある村で、

    最近殺されたと思われるビルマオオセタカガメの甲羅

    を発見しました。

    生きた個体ではありません。

    でも、

    「最近まで生きていたカメの甲羅」がある。

    つまり、

    絶滅していない可能性があります。

    そこから調査が進みました。

    寺院の池に、生き残りがいた

    その後、

    マンダレーの寺院の池で、

    生きたビルマオオセタカガメが発見されます。

    さらにチンドウィン川上流では、

    わずかながら野生で繁殖を続けている個体群も見つかりました。

    絶滅していなかった。

    でも、

    安心できる数ではありません。

    WCSが2020年に発表した時点でも、野生に残る繁殖可能な雌は5匹未満とされていました。

    TSAの現在の種情報では、野生個体群は99%以上減少し、確認される野生の成体雌はさらに少数とされています。

    まず卵を守る

    そこで始まったのが、

    チンドウィン川の産卵地を直接守る活動です。

    毎年2月から3月。

    残された雌が砂州へ上がり、

    卵を産みます。

    保全チームはその卵を探します。

    そして、

    人や動物に掘り返される前に保護します。

    保護された卵は、チンドウィン川沿いの村に設けられた安全な場所で孵化まで管理されます。

    5月から6月。

    子ガメが生まれます。

    でも、

    すぐには川へ戻しません。

    5〜6年間育ててから川へ戻す

    孵化したばかりの子ガメは小さい。

    捕食されやすい。

    漁具にも弱い。

    そこで、

    5〜6年間、人間の管理下で育てます。

    ある程度大きくなり、野外で生存できる可能性が高くなってから川へ戻します。

    いわゆる、

    ヘッドスタート

    です。

    卵を守る。

    孵化させる。

    数年間育てる。

    そして、

    元の川へ返す。

    この循環を何年も続けました。

    飼育個体群は1,000匹近くまで増えた

    保全活動は野生の卵だけではありません。

    マンダレーのYadanabon Zooをはじめ、複数の場所に保全繁殖個体群=assurance colonyが作られました。

    もし野生個体群が完全に消えても、

    種そのものが失われないようにするためです。

    そして繁殖に成功します。

    2020年には、WCSは飼育下個体群が1,000匹近くまで増えたと報告しました。

    数十年前には、

    絶滅したと思われていたカメです。

    それが、

    人間の管理下とはいえ、

    1,000匹近くまで増えました。

    でも、飼育下で1,000匹いても十分ではない

    ここは、

    これまで紹介してきた亀たちにも共通します。

    飼育下で増えた。

    だから成功。

    ではありません。

    このカメは、

    川のカメです。

    大きな川を泳ぐ。

    砂州へ上がる。

    卵を産む。

    流れの中で餌を探す。

    そういう生活をして初めて、

    ビルマオオセタカガメという種が野生に存在していることになります。

    だから、

    増やしたカメをもう一度川へ戻さなければなりません。

    2018年、若い雄20匹を放す

    そこで2018年。

    保全施設で育てた若い雄20匹が、チンドウィン川へ放されました。

    この放流には、

    特別な意味がありました。

    川には雌が残っている。

    でも、

    雄がほとんどいない。

    雌は毎年卵を産んでも、

    受精しない。

    だったら、

    雄を戻す。

    とても単純に聞こえます。

    でも、

    野生復帰というのは、

    「カメの数を増やす」ことだけではない。

    野生に足りなくなった繁殖相手を戻す

    ことでもあります。

    そして一匹の雌が19個の卵を産んだ

    2020年。

    チンドウィン川上流にいた一匹の雌が、

    19個の卵を産みます。

    そして、

    14匹が孵化しました。

    それまで、

    その雌が産んだ卵は受精していませんでした。

    しかし、

    雄を川へ戻したあと、

    初めて子ガメが生まれた。

    もちろん、

    どの雄が父親なのかは、

    このニュースだけでは分かりません。

    それでもWCSとTSAは、

    2018年に放した雄との交尾によって受精した可能性が高いと考えました。

    14匹という数字以上の意味

    14匹。

    飼育施設なら、

    もっとたくさん生まれているかもしれません。

    でも、

    この14匹は意味が違います。

    母親は、

    野生で生き残った雌。

    父親はおそらく、

    人間が育てて野生へ返した雄。

    そこで生まれた子どもです。

    つまり、

    飼育下個体群と野生個体群が、

    もう一度つながった。

    保全施設が、

    単なる避難場所ではなく、

    野生を補強するための場所として機能した瞬間

    だと思います。

    さらに60匹が川へ戻った

    その後も再導入は続きました。

    Turtle Survival Allianceは、ヘッドスタートされた60匹のビルマオオセタカガメをミャンマー西部の2つの河川へ再導入した取り組みを報告しています。

    一度、

    ほとんどカメがいなくなった川。

    そこへ、

    少しずつ戻す。

    20匹。

    60匹。

    また次の世代。

    一度に昔の状態へ戻すことはできません。

    川には、まだ危険がある

    しかし、

    放流すれば終わりではありません。

    川には今も、

    漁網があります。

    産卵砂州の消失があります。

    人による卵の採取があります。

    河川環境の変化があります。

    飼育下で100匹増やしても、

    川で100匹失われれば、

    個体群は復活しません。

    だから、

    カメを育てることと、

    カメが戻れる川を残すこと。

    この二つを同時に進める必要があります。

    卵を集めることが、永遠に続いてはいけない

    現在の保全方法では、

    野生の雌が産んだ卵を人間が保護し、

    子ガメを育てています。

    これは今、

    非常に重要な方法です。

    でも、

    最終的な理想は、

    人間が毎年卵を拾わなくてもいい状態でしょう。

    雌が自分で砂州を選ぶ。

    卵を産む。

    孵化する。

    子ガメが川へ入る。

    成長する。

    そして、

    また繁殖する。

    その循環が、

    人間の手を借りずに続くこと。

    そこまで戻れば、

    本当の意味で野生個体群が復活したと言えるのだと思います。

    亀好きとして注目したいポイント

    今回の話で僕が一番好きなのは、

    「雄を放したら、雌の卵から子ガメが生まれた」

    というところです。

    保全活動というと、

    とにかく数を増やすことを想像します。

    100匹育てる。

    200匹放す。

    1,000匹まで増やす。

    もちろん、それも大事です。

    でも、

    野生に残っていた一匹の雌に必要だったのは、

    100匹のカメではなかったのかもしれない。

    たった一匹の雄だったかもしれない。

    ずっと同じ川で生きていた。

    毎年卵を産んだ。

    でも、

    相手がいなかった。

    そこへ、

    人間が育てた雄が泳いでくる。

    どこかで出会う。

    そして、

    次の年。

    卵から子ガメが出てくる。

    保全って、

    「たくさん増やす」だけじゃないんだね。

    途切れてしまった生き物同士のつながりを、

    もう一度つなぐ仕事でもあるんだと思います。

    湯川亀吉の一言

    バタグール飼ってみたいね〜

    出典

    Wildlife Conservation Society(WCS)
    「Isolated Female Burmese Roofed Turtle Surprises Conservationists by Laying Fertile Eggs」
    2020年5月22日。野生の雌が19個の卵を産み、14匹が孵化したこと、2018年に雄20匹を放流したことについて。

    Wildlife Conservation Society Myanmar Program
    「Burmese Roofed Turtle Conservation」
    過去の分布、減少、再発見、チンドウィン川での卵保護・ヘッドスタートなどについて。

    Wildlife Conservation Society(WCS)
    「The Turtle that Almost Went Extinct, Now Ready for Its Close-up」
    2020年8月25日。飼育下個体群が約1,000匹まで増加したことなどについて。

    Turtle Survival Alliance(TSA)
    「Burmese Roofed Turtle」
    現在の保全状況、脅威、ヘッドスタート・個体群補強について。

    Turtle Survival Alliance(TSA)
    「Burmese Roofed Turtles Return to the Wild」
    ヘッドスタートされた60匹の野生復帰について。