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  • 【世界の亀ニュース】180年ぶりにゾウガメがフロレアナ島へ 失われた血統を受け継ぐ158匹が帰還

    【世界の亀ニュース】180年ぶりにゾウガメがフロレアナ島へ 失われた血統を受け継ぐ158匹が帰還

    今回は、ガラパゴス諸島のフロレアナ島に、約180年ぶりにゾウガメが戻った歴史的なニュースを紹介します。

    今回のニュース

    2026年2月20日、エクアドルのガラパゴス諸島にあるフロレアナ島へ、フロレアナゾウガメの血統を受け継ぐ若いゾウガメ158匹が放されました。

    フロレアナ島では、19世紀半ばに固有のゾウガメが姿を消して以来、約180年間にわたってゾウガメが生息していませんでした。

    今回の放逐によって、失われていたゾウガメの生態的な役割が、島へ戻り始めることになります。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:エクアドル共和国
    場所:ガラパゴス諸島・フロレアナ島
    元記事の言語:英語・スペイン語
    放逐日:2026年2月20日
    情報の種類:リクガメ・野生復帰・遺伝子研究・生態系再生・保護活動

    フロレアナ島は、ガラパゴス諸島の中でも早い時期から人間が暮らし始めた島です。現在は約160人が生活しており、自然環境の再生と島民の暮らしを両立させる大規模な復元事業が進められています。

    登場する亀

    このニュースの中心となるのは、フロレアナゾウガメの血統を受け継ぐゾウガメです。

    フロレアナ島にかつて生息していたゾウガメの学名は、Chelonoidis niger nigerです。

    ただし、今回島へ放された158匹を、かつてのフロレアナゾウガメと完全に同じ純粋な個体として扱うことはできません。

    現在、純粋なフロレアナゾウガメとして確認されている生存個体はいません。今回放されたのは、絶滅したフロレアナゾウガメと、イサベラ島のウォルフ火山に生息するゾウガメの血を受け継ぐ交雑個体の子孫です。

    ニュースの要約

    今回放された158匹は、サンタクルス島にある繁殖施設で育てられた、12歳から14歳の若いゾウガメです。

    一般的に、ガラパゴスゾウガメは5歳から7歳ほどまで成長すると、外来動物などの危険に耐えられる可能性が高くなるとされています。今回の個体たちはその年齢を十分に超え、野生で暮らせる大きさになるまで慎重に育てられました。

    放逐は、フロレアナ島で植物が豊富になり、季節的な水場も現れる雨季に合わせて行われました。

    島へ戻った直後から食物や水を確保しやすくすることで、新しい環境へ定着できる可能性を高めています。

    絶滅したはずの血統は、別の島に残っていた

    フロレアナゾウガメは、捕鯨船や航海者による大量捕獲、そして人間が持ち込んだ外来生物などの影響を受け、19世紀半ばまでにフロレアナ島から姿を消しました。

    長い間、その血統は完全に失われたと考えられていました。

    しかし2000年、フロレアナ島から離れたイサベラ島のウォルフ火山で、周囲の個体とは甲羅の形が異なるゾウガメが発見されました。

    遺伝子を調べた結果、その個体たちはフロレアナゾウガメの血統を受け継いだ交雑個体であることが分かりました。

    かつて捕鯨船の乗組員たちは、食料としてゾウガメを船へ積み込み、航海の都合によって別の島へ置いていくことがありました。

    フロレアナ島から運び出されたゾウガメの一部がイサベラ島に残され、現地のゾウガメと交雑したことで、その遺伝的な血統が約180年間残った可能性があります。

    遺伝子から血統をつなぎ直す

    研究者とガラパゴス国立公園のスタッフは、フロレアナゾウガメの血を濃く受け継ぐ個体をウォルフ火山から選び出し、繁殖施設へ移しました。

    2015年と2020年には、繁殖計画に使用する成体が新たに施設へ運ばれ、遺伝子情報をもとに交配の組み合わせが検討されました。

    目的は、絶滅したフロレアナゾウガメを完全に再現することではありません。

    それは不可能だと、計画を進める研究者自身が説明しています。

    目指しているのは、残された遺伝的な血統をできるだけ多く受け継ぎ、かつてフロレアナゾウガメが島で果たしていた生態的な役割を、再び担うことのできる個体群を作ることです。

    158匹すべてをGPSで追跡

    フロレアナ島へ放された158匹には、軽量のGPS発信器が取り付けられています。

    研究チームは、ゾウガメが島のどこを歩き、どの場所で餌を食べ、どの環境を好んで利用するのかを継続的に記録します。異常な移動や健康上の問題が見つかった場合には、早い段階で対応することもできます。

    繁殖に使われている成体は、今後も施設に残ります。

    新しい世代が十分な大きさへ成長するたびに、年間およそ25匹から100匹をフロレアナ島へ追加放逐し、何十年もかけて自立した個体群を形成する計画です。

    ゾウガメは、島を作り変える存在

    ゾウガメは、ただ島の植物を食べて暮らすだけの動物ではありません。

    植物を食べながら島内を移動し、糞と一緒に種を遠くへ運びます。

    大きな体で草や低木の間を進むことで道を作り、地面を踏み、植物が密集しすぎない開けた環境を維持します。水や泥のある場所では、ほかの生き物も利用できる小さなくぼみを作ることがあります。

    こうした働きから、ゾウガメは「生態系エンジニア」や「キーストーン種」と呼ばれます。

    フロレアナ島からゾウガメが姿を消したことで、植物の広がり方や種子の移動、開けた生息環境の維持といった働きも失われました。

    158匹の帰還は、ゾウガメという一種類を戻すだけではなく、約180年間止まっていた島の仕組みを、再び動かし始める試みです。

    12種類の生き物を島へ戻す計画

    今回のゾウガメは、フロレアナ島へ戻される予定の12種類の生き物の第一段階です。

    将来的には、現在フロレアナ島本島では見られなくなっているフロレアナマネシツグミや、固有のヘビ、フィンチ類などについても、環境が整い次第、再導入が検討されます。

    そのためには、ネズミや野生化したネコなどの外来哺乳類を減らし、島の植物や生息環境を回復させなければなりません。

    ゾウガメの帰還は、フロレアナ島全体を再生する長期計画の始まりでもあります。

    「絶滅種が復活した」とは言い切れない

    今回のニュースは、「絶滅したフロレアナゾウガメが復活した」と紹介されることがあります。

    しかし、正確には少し違います。

    かつてフロレアナ島に生息していた純粋なゾウガメと、まったく同じ遺伝子を持つ個体が復活したわけではありません。

    今回戻ったのは、絶滅した血統の一部を受け継ぐ交雑個体の子孫です。

    それでも、その価値が小さくなるわけではありません。

    かつて島から運び出されたゾウガメが、別の島で血統を残していた。

    人間はその遺伝的な痕跡を見つけ、何十年もかけて子孫を育て、再び祖先の島へ戻した。

    完全に失われたものを元通りにすることはできなくても、残されているものから、新しい未来を作ることはできます。

    亀好きとして注目したいポイント

    このニュースで注目したいのは、人間が運び出したゾウガメの血統を、人間が再び故郷へ運んだことです。

    約200年前、ゾウガメは食料として島から連れ出されました。

    船の都合で別の島へ置き去りにされ、その場所でほかのゾウガメと交雑した。

    当時の人間に、その血統を未来へ残そうという意思はなかったはずです。

    それでも、ゾウガメは生きた。

    子孫を残し、体の中にフロレアナ島へつながる遺伝子を持ち続けた。

    そして現代の人間が、その小さな痕跡を見つけました。

    今回の158匹は、絶滅した過去をそのまま再現した存在ではありません。

    でも、失われた血統と、これから再生していく島をつなぐ、新しいゾウガメなのだと思います。

    湯川亀吉の一言

    偉いね。

    出典

    Galápagos National Park Directorate
    「Un regreso a casa para Floreana」

    Galápagos Conservancy
    「A Homecoming for Floreana」

    Galápagos Conservancy
    「From the Desk of Dr. James Gibbs: On the Return of the Floreana Giant Tortoise」

    Charles Darwin Foundation
    「158 Endangered Tortoises Released onto Floreana Island, Galápagos for First Time in over 180 Years」

  • 【世界の亀ニュース】ガラパゴスの島に巨大リクガメが約180年ぶりに戻る

    【世界の亀ニュース】ガラパゴスの島に巨大リクガメが約180年ぶりに戻る

    今回は、エクアドル・ガラパゴス諸島で報じられた、巨大リクガメの再導入に関するニュースを紹介します。

    今回のニュース

    ガラパゴス諸島のフロレアナ島に、158頭の若い巨大リクガメが放たれました。

    Charles Darwin Foundationによると、フロレアナ島に巨大リクガメが戻るのは180年以上ぶりで、島の生態系回復にとって歴史的な節目とされています。放たれたのは、フロレアナ系統の血を引く若い巨大リクガメたちです。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:エクアドル、ガラパゴス諸島、フロレアナ島
    元記事の言語:英語
    公開時期:2026年2月20日
    情報の種類:新着ニュース・再導入・生態系回復

    登場する亀

    今回のニュースに登場するのは、フロレアナ系統の巨大リクガメです。

    フロレアナ島にもともといた巨大リクガメは、過去の人間活動などにより島から姿を消しました。報道では、1800年代以降、長いあいだフロレアナ島に巨大リクガメがいない状態が続いていたと紹介されています。

    ニュースの要約

    今回放たれた158頭の若いリクガメは、フロレアナ島の失われた巨大リクガメの系統を回復するための長期プロジェクトの一部です。

    AP通信によると、これらの個体は8〜13歳で、絶滅したとされるフロレアナ島のリクガメの遺伝的要素を持つ個体として育てられてきました。今回の放流は、将来的に合計700頭を島へ戻す計画の第一歩とされています。

    また、Charles Darwin Foundationは、この再導入をフロレアナ島の生態系回復にとって重要な出来事と位置付けています。巨大リクガメは、草を食べ、種を運び、地形や植生に影響を与える存在であり、単に「一種類の動物が戻った」というだけではなく、島全体の自然の流れを取り戻す意味を持っています。

    亀好きとして注目したいポイント

    このニュースで注目したいのは、巨大リクガメが“島をつくる存在”として見られていることです。

    リクガメは、ただのんびり歩いているだけの生き物ではありません。
    植物を食べ、種を運び、土を踏み、道を作り、何十年もかけて島の風景に影響を与えていきます。

    人間の時間では「歩みが遅い」と感じる亀も、島の時間で見れば、風景を変えていく力を持っている。

    約180年ぶりに巨大リクガメがフロレアナ島を歩くというのは、単なる保護ニュースではなく、失われた島のリズムをもう一度動かし始める出来事なのかもしれません。

    湯川亀吉の一言

    いつかガラパゴス諸島に行ってみたいな〜。

    出典

    元記事:Charles Darwin Foundation「158 endangered tortoises released onto Floreana Island, Galapagos, for first time in over 180 years」

    関連報道:AP News「Galápagos park releases 158 juvenile hybrid tortoises on Floreana to restore the ecosystem」

  • 【世界の亀ニュース】112年ぶりに現れた幻のゾウガメ 絶滅したと思われたフェルナンディナゾウガメ「フェルナンダ」

    【世界の亀ニュース】112年ぶりに現れた幻のゾウガメ 絶滅したと思われたフェルナンディナゾウガメ「フェルナンダ」

    今回は、エクアドル・ガラパゴス諸島で、100年以上絶滅したと考えられていたフェルナンディナゾウガメが再発見されたニュースを紹介します。

    一匹の雌。

    名前は、

    Fernanda(フェルナンダ)。

    2019年に見つかったこの一匹によって、

    「すでに絶滅した」

    と思われていた種の歴史が、もう一度動き始めました。

    今回のニュース

    2019年2月、ガラパゴス諸島のフェルナンディナ島で、一匹の雌の巨大なリクガメが発見されました。

    発見したのは、ガラパゴス国立公園とGalápagos Conservancyの調査チームです。

    フェルナンディナ島で、その島固有のゾウガメが最後に正式に確認されたのは1906年

    つまり、

    112年以上にわたって、生きた個体が確認されていなかった場所で見つかった一匹でした。

    しかし、発見しただけでは、

    「フェルナンディナゾウガメが生き残っていた」

    とは断定できませんでした。

    なぜなら、

    その一匹の姿が、1906年に採集された唯一の標本とかなり違っていたからです。

    どこの国・地域の話か

    国:エクアドル
    地域:ガラパゴス諸島
    島:フェルナンディナ島
    再発見:2019年2月
    遺伝学的な確認:2021〜2022年
    対象種:フェルナンディナゾウガメ
    学名:Chelonoidis phantasticus
    情報の種類:リクガメ・再発見・遺伝子解析・絶滅危惧種・保全

    フェルナンディナ島は、ガラパゴス諸島西部に位置する火山島です。

    島の中心には活火山があり、溶岩地帯が広がる非常に厳しい環境です。科学論文では、フェルナンディナ島は地球上でも特に原始的な自然が残された大きな島の一つとして紹介されています。

    登場する亀

    今回の主役は、

    フェルナンディナゾウガメ

    学名は、

    Chelonoidis phantasticus

    英語ではFernandina Giant Tortoise、Fernandina Island Galápagos Tortoiseなどと呼ばれています。

    日本でも「フェルナンディナゾウガメ」という和名が使われています。

    ガラパゴスゾウガメの仲間ですが、フェルナンディナ島だけに成立した独自の系統です。

    すべては1906年の一匹から始まった

    この種について科学者が持っていた証拠は、長い間ほとんど一つしかありませんでした。

    1906年。

    California Academy of Sciencesの探検隊に参加していたRollo Beckが、フェルナンディナ島で一匹の雄のゾウガメを採集します。

    その個体が、

    フェルナンディナゾウガメとして知られる唯一の確実な標本

    になりました。

    その雄は非常に特徴的な甲羅を持っていました。

    甲羅前方が大きく持ち上がった、

    いわゆる鞍型(サドルバック型)

    さらに縁甲板も大きく張り出していました。

    科学論文では、その形態は他のガラパゴスゾウガメと比較しても非常に特徴的だったとされています。

    ところが、

    その後、同じカメが見つからない。

    100年以上、姿を見せなかった

    1906年以降、生きたフェルナンディナゾウガメが正式に確認されることはありませんでした。

    ただし、

    完全に何の証拠もなかったわけではありません。

    その後の調査では、

    ゾウガメらしい糞。

    歩いた跡。

    植物を食べた痕跡。

    などが何度か見つかっていました。

    つまり、

    「もしかしたら、まだいるのではないか」

    という疑いは残っていた。

    でも、

    カメそのものが見つからない。

    フェルナンディナ島には広大な溶岩地帯があります。

    足場は悪い。

    気温は高い。

    植生の濃い場所もある。

    人間が島全体をくまなく探すことは簡単ではありません。

    2019年、一匹の雌が現れた

    そして2019年。

    調査チームがフェルナンディナ島へ入りました。

    その中で、

    Washington Tapia氏とガラパゴス国立公園レンジャーのJeffreys Málaga氏らが、一匹の雌のゾウガメを発見します。

    100年以上見つからなかった島で、

    本当にゾウガメがいた。

    巨大なニュースでした。

    この雌には、島の名前Fernandinaから、

    Fernanda

    という愛称が付けられました。

    でも、姿が違った

    ところが問題があります。

    フェルナンダは、

    1906年の雄とあまり似ていませんでした。

    1906年の標本は、非常に強いサドルバック型。

    一方のフェルナンダは、

    それほど極端な形をしていません。

    さらに体も比較的小さい。

    そのため、

    別のガラパゴスゾウガメが過去に人間によってフェルナンディナ島へ運ばれ、その子孫が残っていた可能性も否定できませんでした。

    つまり、

    島で見つかったからといって、

    フェルナンディナゾウガメとは限らなかった。

    113年前の標本とDNAを比較する

    そこで科学者が使ったのが、

    DNAです。

    フェルナンダから遺伝情報を取得する。

    そして比較対象にしたのが、

    1906年に採集された雄の博物館標本でした。

    100年以上前のカメと、

    今生きているカメ。

    そのゲノムを比較します。

    さらに、他のガラパゴスゾウガメ各系統のゲノムとも比較しました。

    結果は「同じ系統」

    2022年6月9日。

    科学誌Communications Biologyに論文が発表されました。

    タイトルは、

    “The Galapagos giant tortoise Chelonoidis phantasticus is not extinct”

    つまり、

    「フェルナンディナゾウガメは絶滅していない」

    です。

    ゲノム解析の結果、

    フェルナンダと1906年の雄は、

    同じフェルナンディナ島固有の系統に属することが確認されました。

    しかも、その系統は他のガラパゴスゾウガメとは遺伝的に区別されていました。

    一匹のカメによって、

    100年以上前に止まっていた種の記録がつながりました。

    見た目が違っても、同じ種だった

    この結果はとても面白いと思います。

    1906年の雄とフェルナンダ。

    甲羅の形はかなり違う。

    でもDNAでは、

    同じ系統だった。

    つまり、

    一匹の標本だけを見て、

    「この種類は必ずこの形」

    と考えることには危険があります。

    性別。

    年齢。

    生活環境。

    栄養状態。

    個体差。

    さまざまな要因によって、生き物の形は変化します。

    実際、研究者はフェルナンダが比較的小さい理由について、島の限られた植生環境によって成長が抑えられた可能性も指摘しています。

    「一匹見つかった」は復活ではない

    ここで終われば、

    「絶滅したカメが復活した!」

    という、とても明るい話になります。

    でも、

    実際にはもっと厳しい。

    フェルナンダは、

    確認されている唯一の生きたフェルナンディナゾウガメです。

    一匹だけでは、

    次の世代を作れません。

    必要なのは、

    もう一匹。

    特に繁殖可能な雄です。

    島中で仲間を探す

    フェルナンダが見つかったあと、ガラパゴス国立公園とGalápagos Conservancyは、何度もフェルナンディナ島へ調査隊を送りました。

    目的はただ一つ。

    フェルナンダの仲間を探すこと。

    2022年の大規模調査では18人のチームが島へ入り、約65平方キロメートルを捜索しました。

    火山島。

    溶岩。

    暑さ。

    険しい地形。

    そこを歩きながら、

    カメを探します。

    「いる」痕跡はある

    興味深いことに、

    フェルナンダ以外のカメがいる可能性を示す痕跡は見つかっています。

    歩いた跡。

    糞。

    カメが休んだような場所。

    Galápagos ConservancyのWashington Tapia氏は、こうした痕跡から少なくとも数匹が島にいる可能性を考えていました。

    しかし、

    実物が見つからない。

    痕跡はある。

    でもカメがいない。

    フェルナンディナ島は、

    今でも答えを簡単には見せてくれません。

    2023年になっても、仲間は見つからなかった

    2023年12月、Galápagos Conservancyはフェルナンダについて改めて報告しています。

    それまで実施された大規模な調査でも、

    新たなフェルナンディナゾウガメは確認できませんでした。

    そのためフェルナンダが、この種の最後の一匹、いわゆるendlingである可能性も現実味を帯びています。

    かつてピンタゾウガメの最後の一匹、

    「ロンサム・ジョージ」

    が歩いた道と重なります。

    「絶滅していなかった」と「助かった」は違う

    今回のニュースで重要なのは、

    この二つを分けることだと思います。

    絶滅していなかった。

    これは事実です。

    でも、

    種が救われた。

    これはまだ言えません。

    一匹見つかっただけだからです。

    もしフェルナンダ以外の個体が本当にいなければ、

    彼女がどれだけ長く生きても、

    その先で系統は途切れます。

    だから、

    再発見はゴールではない。

    むしろ、

    そこから保全が始まります。

    博物館の一匹が、100年後に役立った

    もう一つ注目したいのが、

    1906年の標本です。

    100年以上前、

    一匹の雄が採集されました。

    その個体はもう生きていません。

    でも、

    標本として残っていた。

    そのDNAがあったから、

    2019年に見つかったフェルナンダの正体を確かめることができました。

    昔の博物館資料が、

    100年以上後の絶滅危惧種保全に使われたことになります。

    標本は、

    ただ昔の生き物を展示するものではない。

    未来の科学者がまだ想像していない方法で、

    情報を取り出せる「記録」でもあります。

    亀好きとして注目したいポイント

    今回のニュースで僕が一番面白いと思うのは、

    「見つからない」と「いない」は同じではない

    というところです。

    1906年。

    一匹見つかる。

    それから100年以上、

    見つからない。

    普通なら、

    もういないと思う。

    それでも、

    糞がある。

    足跡がある。

    何かがおかしい。

    そして2019年。

    本当に一匹出てきた。

    亀という動物は、

    人間が思っている以上に、

    見つからないまま生きることができるのかもしれません。

    しかも舞台は、

    巨大な火山島。

    もしかすると、

    今この瞬間も、

    人間がまだ見つけていないフェルナンディナゾウガメが、

    溶岩の向こう側を歩いているのかもしれません。

    その可能性がゼロではない。

    僕はそこに、このニュースの魅力を感じます。

    湯川亀吉の一言

    人間の本質はクソだってことがよくわかったよ。

    ま、俺が世界で一番クソだけどね。

    出典

    Communications Biology / Nature
    「The Galapagos giant tortoise Chelonoidis phantasticus is not extinct」
    2022年6月9日。フェルナンダと1906年標本の全ゲノム解析を行った科学論文。

    Galápagos Conservancy
    「Breaking: Female Tortoise Found on Fernandina Island」
    2019年2月19日。フェルナンダ発見時の公式発表。

    Galápagos Conservancy
    「Publication Confirms Fernanda as Fernandina Giant Tortoise」
    DNA解析によってフェルナンダの種が確認されたことを紹介。

    Princeton University
    「’Fantastic giant tortoise,’ believed extinct, confirmed alive in the Galápagos」
    2022年6月9日。ゲノム研究とフェルナンダの再発見について。

    Galápagos Conservancy
    「The Enigma Of Fernanda – A Lone Survivor In Galápagos」
    2023年12月19日。仲間を探す調査とフェルナンダの状況について。

  • 【亀ニュースアーカイブ】絶滅したと思われたフェルナンディナゾウガメ、100年以上ぶりに発見

    【亀ニュースアーカイブ】絶滅したと思われたフェルナンディナゾウガメ、100年以上ぶりに発見

    2019年2月、エクアドルのガラパゴス諸島にあるフェルナンディナ島で、一匹の雌のゾウガメが発見されました。

    この島に固有のフェルナンディナゾウガメは、1906年に一匹の雄が採集されて以来、100年以上も生きた個体が確認されず、絶滅したと考えられていました。発見された雌は、島の名前にちなんで「フェルナンダ」と名付けられました。

    どこの国・地域の話か

    国・地域:エクアドル、ガラパゴス諸島、フェルナンディナ島
    元記事の言語:英語
    発見時期:2019年2月
    遺伝的確認:2022年
    情報の種類:過去アーカイブ・再発見・研究・絶滅危惧種

    登場する亀

    今回のニュースに登場するのは、フェルナンディナゾウガメです。

    学名はChelonoidis phantasticus。フェルナンディナ島だけに生息していたとされるガラパゴスゾウガメの一種です。

    長いあいだ科学的に知られていたのは、1906年に採集され、博物館に保存された雄の標本一匹だけでした。

    ニュースの要約

    2019年の調査で発見されたフェルナンダは、サンタクルス島にあるガラパゴス国立公園の繁殖施設へ移され、血液や遺伝情報の調査が行われました。

    しかし、フェルナンダの姿は、1906年に採集された雄の標本とは大きく異なっていました。

    雄の標本は、甲羅の前方が大きく持ち上がった、非常に特徴的な鞍型の甲羅を持っていました。一方、フェルナンダは体が小さく、甲羅も比較的なめらかだったため、本当に同じ種類なのか疑問視する研究者もいました。限られた植物しかない火山島で成長したため、発育が抑えられた可能性も考えられています。

    研究チームは、フェルナンダと1906年の標本から得たゲノムを比較しました。

    その結果、二匹は同じ系統に属し、ほかのガラパゴスゾウガメとは遺伝的に異なることが確認されました。フェルナンディナゾウガメは、絶滅していなかったのです。

    たった一匹なのか

    フェルナンディナ島では、ゾウガメらしい足跡や糞など、ほかの個体が存在する可能性を示す痕跡も報告されました。けれど、その後も生きた別個体は確認されていません。2025年時点でも、フェルナンダはこの種で唯一確認されている生存個体です。

    フェルナンディナ島は、広大な溶岩原が広がる火山島です。鋭い溶岩が島の内部への移動を妨げるため、調査は非常に困難です。人間がまだ到達できていない場所に、別のゾウガメが生きている可能性も完全には否定できません。

    なぜ今、このニュースを紹介するのか

    このニュースが発生したのは2019年ですが、絶滅と再発見について考えるうえで、とても重要な記録です。

    人間が「絶滅した」と判断したあとも、フェルナンダは火山島のどこかで生き続けていました。

    誰にも見つからず、仲間がいるかどうかもわからない場所で、何十年もの時間を生きていた。

    存在を確認できないことと、存在していないことは、同じではありません。

    世界のどこかには、僕たちが失ったと思い込んでいるだけで、今も静かに生きている亀がいるのかもしれません。

    亀好きとして注目したいポイント

    このニュースで注目したいのは、一匹の亀が、種の絶滅という判断を覆したことです。

    1906年の標本と、2019年に発見されたフェルナンダ。

    科学的に確認されているのは、わずか二匹です。しかも二匹が生きていた時代は重なっていません。

    それでも、博物館に残された100年以上前の標本と、現代の一匹の遺伝情報を比較することで、失われたと思われていた種の存在が証明されました。

    古い標本も、現在を生きる一匹も、未来の保護につながる重要な記録なのだと思います。

    湯川亀吉の一言

    絶滅したと思われていた亀が、火山島の奥で見つかった。

    ロマンが溢れてやがるぜ。

    出典

    Galápagos Conservancy「Breaking: Female Tortoise Found on Fernandina Island」

    Princeton University「“Fantastic giant tortoise,” believed extinct, confirmed alive in the Galápagos」

    Galápagos Conservancy「Publication Confirms Fernanda as Fernandina Giant Tortoise